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PTSDの治し方とは?具体的な治療法と克服への道のり

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、生命の危機を感じるような出来事や、自分自身や他人の生命、身体の安全が脅かされるような出来事を体験したり目撃したりした後に起こる精神疾患です。強いショックや恐怖、無力感などを伴うこの体験は「トラウマ」と呼ばれます。PTSDは、このトラウマ体験が心の傷として残り、様々な苦痛な症状を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。しかし、PTSDは適切な治療によって回復が十分に可能な疾患です。専門家の助けを借り、適切な治療法に取り組むことで、症状を軽減し、健康的な生活を取り戻すことができます。

PTSDの治し方|症状や治療法、克服について専門家が解説

目次

PTSDとは?基礎知識

PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、大きな精神的なショックを受けた後に発症する可能性のある精神疾患です。ここでいう「精神的なショック」とは、単なる嫌な出来事ではなく、生命や身体の安全に関わるような、非常に強い恐怖や苦痛を伴う体験(心的外傷体験、トラウマ)を指します。例えば、地震や洪水などの自然災害、事故、犯罪被害、虐待、戦争体験などが挙げられます。

PTSDは、単に「嫌なことを思い出して辛い」という状態とは異なります。トラウマ体験から時間が経過しても、その体験がまるで今起こっているかのように鮮明に思い出されたり(再体験)、トラウマに関連するあらゆるものを避けようとしたり、感情が麻痺してしまったり、常に神経が張り詰めた状態になったり(過覚醒)といった特有の症状が持続することで診断されます。これらの症状は、本人の意思とは関係なく現れ、仕事や学業、対人関係など、日常生活に深刻な支障をきたします。

PTSDの診断は、国際的な診断基準であるDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)やICD-11(国際疾病分類第11版)に基づいて、専門医が行います。診断には、特定の種類のトラウマ体験に曝露したこと、そして後述する特徴的な症状が一定期間以上持続していることなどが基準となります。

トラウマとの違い

「トラウマ」という言葉は日常会話でもよく使われますが、医学的な「心的外傷(トラウマ)」と、それが原因で発症する「PTSD」は区別が必要です。

  • トラウマ(心的外傷): 生命や身体の安全を脅かされるような、非常に強い恐怖や苦痛を伴う体験そのものを指します。地震、事故、暴力、虐待などがこれにあたります。多くの人は、このような体験をした後に一時的にショックや恐怖、不安を感じますが、時間の経過とともに自然に回復していきます。これは正常な反応です。
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害): トラウマ体験後に、その出来事に関連する苦痛な症状(再体験、回避、過覚醒など)が持続し、日常生活に支障をきたしている病的な状態を指します。つまり、トラウマは「原因となる出来事」であり、PTSDは「トラウマによって引き起こされる精神疾患」です。トラウマ体験をした人全てがPTSDを発症するわけではありません。

このように、トラウマはあくまで発症の引き金となる体験であり、PTSDはその体験が原因で起こる疾患名です。適切な治療対象となるのは、トラウマ体験そのものではなく、その体験によって引き起こされたPTSDの症状です。

PTSDの主な症状

PTSDの症状は多岐にわたりますが、特に中心となる「三大症状」と呼ばれるものがあります。これらの症状がトラウマ体験から一定期間(通常1ヶ月以上)経過しても続き、日常生活に困難をもたらしている場合にPTSDと診断される可能性が高まります。

PTSDの三大症状

PTSDの主な症状は以下の3つのカテゴリーに分けられます。

  1. 再体験症状(侵入症状): トラウマ体験が、本人の意思とは関係なく、まるで今再び起こっているかのように追体験される症状です。
    • フラッシュバック: 突然、トラウマ体験の場面が鮮明に思い出され、その時の感覚(音、匂い、感情など)がリアルに蘇ります。まるでタイムスリップしたかのような感覚に襲われ、恐怖やパニックを感じることがあります。
    • 悪夢: トラウマに関連する夢を繰り返し見ます。夢の中で再び危険な状況に陥ったり、その時の感情を追体験したりします。
    • 侵入思考・イメージ: トラウマに関連する考えやイメージが頭から離れず、繰り返し浮かんできます。
    • 解離: トラウマを思い出す状況で、現実感がなくなったり、自分が自分ではないように感じたり(離人感)、周囲の世界が非現実的に感じられたり(現実感喪失)することがあります。
  2. 回避・麻痺症状: トラウマに関連する思考、感情、場所、人物、状況などを意図的に避けようとする行動や、感情が鈍くなる症状です。
    • 回避: トラウマを思い出させるような場所(事故現場の近くを通らない、など)、人(トラウマに関連する話をする人を避ける、など)、会話、活動などを避けます。
    • 感情の麻痺(感情の鈍化): 以前は楽しめていた活動に興味がなくなったり、喜び、愛情、悲しみなどの感情が感じにくくなったりします。他人から孤立しがちになることもあります。
    • 記憶の困難: トラウマ体験の重要な部分を思い出せないことがあります(解離性健忘)。
    • 将来への悲観: 将来に対して希望を持てなくなったり、自分が長く生きられないと感じたりすることがあります。
  3. 過覚醒症状: 常に警戒態勢にあり、神経が高ぶっている状態です。リラックスすることが難しくなります。
    • 過剰な警戒心: 常に周囲を警戒し、危険がないか探し回るようになります。ちょっとした物音にも過敏に反応します。
    • 驚愕反応: 予期しない大きな音や出来事に対して、過度に驚いたり、飛び上がったりするなどの反応を示します。
    • 易刺激性・怒り: ちょっとしたことでイライラしたり、怒りっぽくなったりします。
    • 集中力の低下: 物事に集中することが難しくなります。
    • 睡眠障害: 寝付きが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたり、熟睡できなかったりします。悪夢を見ることも睡眠障害の一因となります。

これらの症状は、トラウマ体験直後から現れることもあれば、数週間、数ヶ月、場合によっては数年経ってから現れることもあります。症状の程度や組み合わせは人によって異なり、時期によって変動することもあります。

フラッシュバックへの対処法

フラッシュバックはPTSDの症状の中でも特に苦痛を伴い、日常生活に大きな支障をきたしやすいものです。フラッシュバックが起きた時には、その場から安全に「現在」に戻ってくるための対処法(グラウンディング技法など)を知っておくことが有効です。専門家による治療の中で、これらの技法を学ぶことができます。

グラウンディングとは、「今、ここにいる」という感覚を取り戻すための技法です。五感を使って現実世界に意識を向けたり、呼吸に集中したりすることで、過去のトラウマ体験に引きずり込まれる感覚を和らげます。

  • 五感を使ったグラウンディング:
    • 見る: 周囲を見回し、目に見えるもの(例: 青いもの5つ、丸いもの4つ)を数える。
    • 触る: 触れるものの感触(服の生地、椅子の硬さ、自分の手など)に注意を向ける。
    • 聞く: 聞こえてくる音(時計の音、車の音、鳥の声など)に耳を澄ませる。
    • 嗅ぐ: 香りのあるもの(ハンカチにつけたアロマ、コーヒーなど)の匂いを嗅ぐ。
    • 味わう: ガムを噛んだり、飲み物を飲んだりして味に意識を向ける。
  • 呼吸に集中する: ゆっくりと深呼吸を繰り返し、吸う息と吐く息の感覚に意識を集中します。
  • 体の感覚に意識を向ける: 足が地面についている感覚、座っている場所にお尻がついている感覚など、体の物理的な感覚に意識を向けます。
  • 安全な場所を思い浮かべる: 自分が完全にリラックスでき、安心できる場所(現実でも想像上でも良い)を心の中で思い浮かべます。

これらの技法は、フラッシュバックが起き始めた初期段階で実践することで、症状の悪化を防ぐのに役立つことがあります。繰り返し練習することで、より効果的に使えるようになります。ただし、これらのセルフケアは専門的な治療の補助であり、治療そのものに代わるものではないことを理解しておくことが重要です。

複雑性PTSDについて

近年、「複雑性PTSD(Complex PTSD: C-PTSD)」という概念が注目されています。これは、一度きりの出来事によるトラウマ(単純性トラウマ、Simple Trauma)ではなく、幼少期の虐待やネグレクト、長期間にわたる家庭内暴力、人身取引、戦争捕虜など、長期間にわたって繰り返し、あるいは断続的に体験するトラウマ(複合性トラウマ、Complex Trauma)によって引き起こされるとされる状態です。

単純性PTSDの症状(再体験、回避、過覚醒)に加えて、複雑性PTSDでは以下のようないくつかの特徴的な困難が見られることが多いとされています。

  • 感情調整の困難: 強い感情の波に襲われたり、感情をコントロールできなかったりします。怒り、悲しみ、羞恥心などが特に強く現れることがあります。
  • 自己概念の障害: 自分自身に対して否定的な感情(無価値感、罪悪感、羞恥心)を抱きやすく、自分が他者と根本的に違うと感じたり、自分は傷つけられる存在だと思い込んだりします。
  • 対人関係の障害: 他者を信用することが難しく、親密な関係を築くことに困難を伴います。対人関係において極端な依存または回避パターンを示すことがあります。
  • 解離の症状: 現実感の喪失、健忘、人格の変化など、より顕著な解離症状が見られることがあります。
  • 身体症状: ストレスに関連する身体症状(慢性的な痛み、疲労、消化器系の問題など)を抱えやすい傾向があります。

複雑性PTSDは、その診断基準や治療法について現在も研究が進められている段階ですが、長期的なトラウマ体験が自己や他者との関係性に与える影響が大きいことから、単純性PTSDとは異なる、より包括的な治療アプローチが必要とされることが多いです。専門医やトラウマ専門のセラピストは、複雑性PTSDの診断と治療経験が豊富であるため、適切なサポートを受けることが重要です。

PTSDの原因

PTSDは、生命や身体の安全を脅かすような、非常に強い恐怖や苦痛を伴う「心的外傷体験(トラウマ)」が原因で発症します。どのような体験がトラウマとなり得るかは人それぞれですが、一般的に以下のような出来事が挙げられます。

  • 自然災害: 地震、津波、洪水、台風、火山の噴火など
  • 人為的な災害・事故: 航空機や列車の事故、大規模火災、爆発事故など
  • 犯罪被害: 強盗、暴行、誘拐、監禁、性犯罪など
  • 暴力・虐待: 児童虐待(身体的、性的、精神的、ネグレクト)、家庭内暴力(DV)、いじめ、拷問など
  • 戦争・紛争: 戦闘体験、捕虜体験、避難生活、テロ攻撃など
  • 重大な病気・怪我: 重篤な病気の診断、生命を脅かすような大怪我、手術体験、集中治療室(ICU)での体験など
  • 近親者の突然の死: 予期せぬ事故や事件による大切な人の死

これらの出来事を直接体験した場合だけでなく、
目撃した場合(例:家族が事故に遭うのを目撃した)、
近親者に起こった出来事を知らされた場合(例:子供が性被害に遭ったことを知った親)、
あるいはトラウマ的な出来事に繰り返し曝露する場合(例:救急隊員、警察官、災害救援者など)もPTSDの原因となり得ます。

ただし、同じようなトラウマ体験をしても、PTSDを発症する人としない人がいます。これは、PTSDの発症がトラウマ体験そのものだけでなく、個人の持つ様々な要因(脆弱性要因)や、体験後の回復を助ける要因に影響されるためです。

脆弱性要因:

  • トラウマ体験の性質(体験の重さ、継続性、人為的か自然的かなど)
  • トラウマ体験時に感じた恐怖や無力感の程度
  • トラウマ体験以前の精神的な健康状態(過去の精神疾患の既往など)
  • 過去のトラウマ体験の有無(特に幼少期のトラウマ)
  • 遺伝的な要因脳の生物学的な要因
  • 性格特性(悲観的傾向、ネガティブな認知スタイルなど)
  • トラウマ体験後の社会的サポートの不足
  • 経済的な困難その後のストレス

回復を助ける要因:

  • トラウマ体験後の良好な社会的サポート(家族、友人、コミュニティからの支援)
  • ストレス対処能力レジリエンス(精神的な回復力)が高い
  • トラウマ体験後の安全な環境
  • 早期の専門的な介入

このように、PTSDは単一の原因で発症するのではなく、トラウマ体験と個人の生物学的・心理学的・社会的な要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

PTSDは治る?治らない?回復の可能性について

PTSDは「治るのか?」という疑問は、患者さん本人やその家族にとって非常に重要です。結論から言うと、PTSDは適切な治療を受けることで十分に回復が見込める精神疾患です。決して「治らない病気」ではありません。多くの人が治療を通じて症状を軽減させ、トラウマ体験以前のような、あるいはそれ以上に健康的な生活を送ることができるようになります。

しかし、回復までの道のりは人によって異なり、治療には時間と根気が必要な場合が多いです。また、症状が完全に消失しない場合でも、症状をコントロールし、トラウマ体験と折り合いをつけながら生活していくことは可能です。

自然回復は期待できる?

トラウマ体験をした人の多くは、体験直後から数週間以内に、ショックや恐怖、不安といった急性ストレス反応を示しますが、時間の経過とともにこれらの症状は自然に軽減していきます。トラウマ体験から1ヶ月以内に症状が自然に消失する人も少なくありません。これを「自然回復」と呼ぶことがあります。

しかし、トラウマ体験から1ヶ月以上経過しても症状が持続し、PTSDと診断される状態になった場合、自然回復の可能性は低くなります。特に、症状が重度である場合や、複数のトラウマ体験がある場合、幼少期のトラウマが原因である場合(複雑性PTSD)、十分な社会的サポートが得られない場合などは、自然回復は期待しにくく、専門的な治療が必要不可欠となります。

専門的な治療を受けずに放置すると、症状が慢性化したり、うつ病、不安障害、パニック障害、物質依存などの他の精神疾患を合併したりするリスクが高まります。また、身体的な健康問題(心血管疾患、消化器系の問題など)のリスクも上昇すると指摘されています。そのため、トラウマ体験後にPTSDの症状が見られる場合は、「時間が経てば治るだろう」と安易に考えず、できるだけ早く専門医に相談することが推奨されます。早期の介入は、症状の慢性化を防ぎ、回復を早める上で非常に重要です。

治癒率と慢性化について

PTSDの「治癒率」を一概に示すことは難しいですが、適切な心理療法(特にトラウマ焦点化認知行動療法やEMDR)を受けた場合、多くの研究で改善または寛解(症状が著しく軽減またはほぼ消失した状態)が見られることが報告されています。具体的な数字は研究デザインや対象者によって異なりますが、例えばトラウマ焦点化認知行動療法では、治療を受けた患者さんの半数以上、あるいはそれ以上の人に有意な症状改善が見られるという報告が多くあります。

ただし、治療効果には個人差が大きく、治療期間も数ヶ月から年単位と様々です。また、一度症状が改善しても、強いストレスやトラウマを思い出すような出来事があった場合に、症状が再び現れる(再燃または再発)可能性もあります。

治療を受けずに放置した場合、PTSDの症状は慢性化しやすいことが知られています。ある研究では、治療を受けなかった場合、PTSDと診断された人の約30%が慢性的な経過をたどると報告されています。慢性化したPTSDは、症状が長期間続き、回復に時間がかかる傾向があります。

治療によって回復を最大化するための要因:

  • 早期の治療開始: 症状が現れてからできるだけ早く治療を開始することが、回復を早める上で重要です。
  • 適切な治療法の選択: PTSDに対する有効性が科学的に確立されている心理療法(トラウマ焦点化認知行動療法やEMDRなど)を選択することが最も効果的です。
  • 治療者との信頼関係: 治療者との間に安心できる信頼関係を築けるかどうかも、治療の進捗に大きく影響します。
  • 治療への積極的な取り組み: 心理療法は受動的に受けるものではなく、患者さん自身が主体的に取り組むことが求められます。課題に取り組んだり、学んだスキルを実践したりすることが重要です。
  • 周囲からのサポート: 家族や友人など、周囲からの理解と支援があることは、治療を続ける上での大きな力となります。
  • 合併症への対応: うつ病や不安障害、物質依存などの合併症がある場合は、それらに対する治療も同時に行う必要があります。

PTSDは深刻な病気ですが、適切な治療によって回復できる病気です。諦めずに、専門家のサポートを得ながら治療に取り組むことが、克服への最も確実な道です。

PTSDの治し方|代表的な治療法

PTSDの治療には、主に心理療法薬物療法があります。これらの治療法は、単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。現在のガイドラインでは、特にトラウマ焦点化型の心理療法がPTSDに対する第一選択肢として推奨されています。

専門医による治療の重要性

PTSDの治療を始めるにあたって最も重要なのは、
PTSDに関する専門的な知識と治療経験を持つ医師や心理士(臨床心理士、公認心理師など)のいる専門機関を受診することです。自己判断で対処したり、科学的根拠の乏しい民間療法に頼ったりすることは、症状の悪化や慢性化を招くリスクがあります。

専門医による治療が重要な理由は以下の通りです。

  • 正確な診断: PTSDは、うつ病、不安障害、双極性障害など、他の精神疾患と症状が似ている場合や、これらの疾患を合併している場合があります。専門医は正確な診断を行い、適切な治療法を選択できます。また、複雑性PTSDの診断も専門的な知識が必要です。
  • 適切な治療計画: 患者さんの症状の重さ、トラウマ体験の種類、合併症の有無、生活状況などを総合的に評価し、個々の患者さんに合った最適な治療計画を立てることができます。
  • 安全な環境での治療: 特に心理療法においては、トラウマ体験に触れるプロセスが含まれるため、安全で信頼できる治療的な関係性の中で、専門家の指導のもとで行われることが不可欠です。
  • 合併症への対応: PTSD患者さんは、うつ病、不安障害、物質依存などの他の精神疾患や身体的な問題を合併しやすい傾向があります。専門医はこれらの合併症にも適切に対応し、統合的な治療を提供できます。
  • 薬物療法の適切な管理: 薬物療法を行う場合、薬剤の種類、用量、副作用などを適切に管理し、安全に治療を進めることができます。

信頼できる専門家を見つけ、治療者との間に安心できる治療的な関係性を築くことが、回復への重要な第一歩となります。

心理療法(認知行動療法、EMDRなど)

心理療法は、PTSDの症状を改善し、トラウマ体験を乗り越えるための中心的な治療法です。特に、トラウマ体験に焦点を当てた心理療法が有効であることが多くの研究で示されています。

トラウマ焦点化認知行動療法(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy: TF-CBT)

認知行動療法(CBT)をベースに、トラウマに特化した技法を取り入れた治療法です。トラウマ体験によって生じた、非現実的な「認知」(考え方や信念)や、トラウマに関連する「行動」(回避行動など)に働きかけることで症状の軽減を目指します。いくつかの異なるプログラムがありますが、代表的なものとして以下があります。

  • 持続エクスポージャー療法(Prolonged Exposure: PE): 避けているトラウマに関連する状況や記憶に、安全な環境で段階的に直面していくことで、恐怖や不安を和らげていく技法です。トラウマの記憶を繰り返し話したり、避けていた場所に行ってみたりします。
  • 認知処理療法(Cognitive Processing Therapy: CPT): トラウマ体験によって生じた、自分自身や世界、他者に対する否定的な認知(例:「私はダメな人間だ」「世界は危険な場所だ」「誰も信用できない」)に焦点を当て、より現実的でバランスの取れた認知に変えていくことを目指します。トラウマ体験について詳しく記述したり、議論したりする中で認知の歪みに気づき、修正していきます。

これらのトラウマ焦点化CBTは、通常、週に1回、数ヶ月間にわたって行われます。 structured(構造化)されており、具体的な技法を用いて進められます。

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)

トラウマ体験の苦痛な記憶を、治療者の誘導する眼球運動やタッピングなどの左右交互の刺激を与えながら処理していく心理療法です。トラウマ記憶に関連するイメージ、感情、身体感覚、否定的な認知に焦点を当て、左右交互の刺激を与えながらこれらの苦痛を軽減し、より現実的でポジティブな認知へと変化させていくことを目指します。

EMDRの正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、レム睡眠中に脳が行う記憶の処理プロセスと類似しているという説や、左右交互の刺激が脳の特定の領域を活性化させて記憶の再編成を促すという説などがあります。

EMDRも通常、構造化されたプロトコル(手順)に沿って進められ、数回から十数回のセッションが必要となることが多いです。特に単一のトラウマ体験によるPTSDに有効性が高いとされていますが、複雑性PTSDにも適応できるよう工夫されたアプローチもあります。

その他の心理療法:

上記の他に、PTSDの症状緩和や回復に役立つとされる心理療法には以下のようなものがあります。

  • ストレス免疫トレーニング(Stress Inoculation Training: SIT): トラウマ体験そのものに直接触れるのではなく、リラクゼーション技法や認知再構成法など、ストレス対処スキルを身につけることに焦点を当てた技法です。不安やストレスへの対処能力を高めることを目指します。
  • 弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT): 特に感情調整の困難や対人関係の問題が顕著な複雑性PTSDや、自己破壊的な行動が見られる場合に有効とされることがあります。感情調整、対人関係スキル、ストレス耐性、マインドフルネスなどのスキル習得に焦点を当てます。
  • ソマティック・エクスペリエンス(Somatic Experiencing: SE): トラウマが身体に与えた影響に焦点を当て、身体感覚を意識的に感じ、安全な形でトラウマエネルギーの解放を促すことを目指す身体志向の心理療法です。
  • リラクゼーション技法やマインドフルネス: 不安や過覚醒症状の軽減に役立ちます。

どの心理療法が最も適しているかは、患者さんの症状、トラウマ体験の種類、治療者の専門性などによって異なります。専門家とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが重要です。

薬物療法

薬物療法は、PTSDの特定の症状(不安、抑うつ、不眠、過覚醒など)を軽減するために用いられます。心理療法と組み合わせて行われることが多く、薬だけでPTSDの原因であるトラウマ記憶を完全に消し去ることはできませんが、症状を和らげることで心理療法に取り組みやすくしたり、日常生活を送りやすくしたりする効果が期待できます。

PTSDの薬物療法で最も一般的に使用されるのは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬です。SSRIは、脳内のセロトニンの働きを調整することで、不安、抑うつ、過覚醒などの症状に効果を示すとされています。日本でPTSDに対して保険適用があるSSRIとしては、パロキセチン(商品名:パキシル)やセルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)などがあります。これらの薬剤は、効果が現れるまでに数週間かかることが多く、また副作用(吐き気、眠気、性機能障害など)が出ることがあります。

SSRI以外にも、症状に応じて以下のような薬剤が補助的に使用されることがあります。

  • SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬): SSRIと同様に、不安や抑うつ、過覚醒症状に効果が期待できます。ベンラファキシン(商品名:イフェクサー)などが使用されることがあります。
  • 非定型抗精神病薬: フラッシュバックや解離症状が強い場合、あるいは重度の不安や易刺激性がある場合に、低用量で使用されることがあります。
  • 抗不安薬: 不安やパニック発作が強い場合に一時的に使用されることがありますが、依存性のリスクがあるため、長期的な使用は慎重に行われます。
  • 睡眠薬: 不眠が深刻な場合に処方されます。こちらも依存性や耐性のリスクがあるため、専門医の指示のもとで適切に使用することが重要です。
  • Prazosin(プラゾシン): 主にα1ブロッカーという種類の降圧剤ですが、悪夢や睡眠障害、過覚醒症状に有効である可能性が指摘されており、海外ではPTSDの治療薬として使用されることもあります。日本では保険適用外の使用となる場合があります。

薬物療法を行うかどうか、どのような薬剤を使用するかは、専門医が患者さんの症状、合併症、既往歴、体質などを考慮して判断します。薬剤の選択や用量の調整は、必ず医師の指示に従って行うようにしてください。自己判断での服用中止や用量変更は危険です。

その他の治療法

心理療法や薬物療法がPTSD治療の中心となりますが、これらの治療を補完する形で、あるいは特定の症状や困難に対して、以下のようなその他の治療法やアプローチが用いられることがあります。

  • 芸術療法: 絵を描いたり、音楽を聴いたり演奏したり、ダンスをしたりするなど、創造的な活動を通して感情を表現し、心の状態を探求する治療法です。言葉にすることが難しいトラウマ体験や感情を表現するのに役立つことがあります。
  • マインドフルネス瞑想: 今ここに意識を向け、自分の思考、感情、身体感覚を判断することなく観察する練習をします。過去のトラウマ記憶や未来への不安に囚われがちな状態から抜け出し、現在の瞬間にグラウンディングすることを助け、過覚醒や不安の軽減に役立つことがあります。
  • 運動療法: 適度な運動は、ストレスの軽減、気分の改善、睡眠の質の向上に効果があることが知られています。運動は、トラウマに関連する身体の緊張を和らげたり、自身の身体への感覚を取り戻したりするのにも役立つ可能性があります。
  • ヨガや太極拳: 体と心の繋がりを意識し、呼吸と動きを組み合わせるこれらの活動は、リラクゼーション効果や自己認識の向上、身体感覚への気づきを促し、PTSDの症状緩和に有効である可能性が研究されています。
  • 動物介在療法: 犬や猫などの動物と触れ合うことで、安心感や癒やしを得たり、孤独感を軽減したりする効果が期待できます。
  • 集団療法: PTSDを持つ他の人たちと経験や感情を共有する中で、自分だけではないと感じたり、新たな対処法を学んだりすることができます。ただし、参加者の状態やグループの性質によっては、かえって苦痛になる可能性もあるため、慎重な選択が必要です。

これらの補完的なアプローチは、中心的な治療法と併用することで、回復プロセスをサポートする可能性があります。ただし、その効果や有効性については、心理療法や薬物療法ほど確立されていないものもあります。必ず専門家と相談しながら、自分に合ったものを取り入れるようにしてください。

日常生活でできるセルフケア

PTSDの治療は専門家と共に進めることが基本ですが、回復を促し、症状を管理するために、日常生活の中で自分でできるセルフケアも非常に重要です。治療で学んだスキルを実践したり、心身の健康を整えるための習慣を取り入れたりすることが、回復への道のりをサポートします。

  • 規則正しい生活を送る: 毎日同じ時間に寝起きし、バランスの取れた食事を摂るなど、生活リズムを整えることは心身の安定につながります。不眠がある場合も、一定の睡眠習慣を保つことが大切です。
  • ストレスを管理する: ストレスはPTSDの症状を悪化させやすい要因です。自分なりのリラクゼーション方法(深呼吸、筋弛緩法、マインドフルネス、好きな音楽を聴く、入浴など)を見つけ、日常生活に積極的に取り入れましょう。
  • 安全な環境を確保する: できる限り、自分が安心できると感じられる場所や状況で過ごすように心がけましょう。 triggers(トラウマを思い出す引き金)となる状況を全て避けることは難しいかもしれませんが、可能な範囲で調整することが重要です。
  • 適度な運動を取り入れる: 前述のように、運動はストレス解消や気分転換に効果的です。無理のない範囲で、ウォーキング、ジョギング、ヨガなど、自分が楽しめる運動を習慣にしましょう。
  • サポートシステムを活用する: 信頼できる家族、友人、パートナーなどに、自分の気持ちや経験を話すことは、孤独感を和らげ、支えられていると感じる上で重要です。ただし、トラウマについて話すことは非常にエネルギーを使うことですので、話す相手やタイミングは慎重に選びましょう。また、同じような経験をした人たちの自助グループに参加することも有効な場合があります。
  • 趣味や楽しい活動に時間を費やす: 以前楽しめていた活動や、新しく興味を持った活動に時間を費やすことで、感情の麻痺を和らげ、生活に彩りを取り戻すことができます。
  • タバコやアルコール、カフェイン、薬物への依存に注意する: これらの物質は一時的に気分を紛らわせるかもしれませんが、長期的には心身の健康を損ない、PTSDの症状を悪化させる可能性があります。依存傾向がある場合は、専門家や自助グループに相談しましょう。
  • フラッシュバックやパニック発作への対処法を実践する: 治療で学んだグラウンディング技法や呼吸法などを、実際に症状が出た時に使えるように練習しておきましょう。
  • 自己肯定感を高める: 小さな成功体験を積み重ねたり、自分の良い点や頑張っている点を認めたりすることで、傷ついた自己肯定感を回復させていくことが大切です。

セルフケアは、治療の補助として非常に強力な味方になりますが、セルフケアだけでは症状の改善が難しい場合が多いです。あくまで専門的な治療と並行して行うべきものです。

PTSDの診断と専門機関での治療

PTSDの治療を始めるためには、まず正確な診断を受けることが重要です。診断は専門的な知識と経験を持つ医師によって行われます。

どの診療科を受診すべきか

トラウマ体験による心理的な苦痛やPTSDのような症状が現れた場合、最初に受診を検討すべき診療科は主に以下の通りです。

  • 精神科: PTSDを含む様々な精神疾患の診断と治療を専門とする診療科です。薬物療法や、必要に応じて提携する心理士による心理療法を提供します。PTSDの診断や薬物療法が必要な場合に適しています。
  • 心療内科: ストレスが原因で身体的な症状(胃痛、頭痛、動悸など)が現れている場合や、精神的な問題と身体的な問題が複雑に絡み合っている場合に適しています。PTSDの診断・治療を行っている心療内科もありますが、病院によって専門性が異なるため、事前に確認が必要です。
  • トラウマ専門のクリニック: PTSDや複雑性PTSD、解離性障害など、トラウマ関連疾患の診断と治療に特化したクリニックです。トラウマ焦点化心理療法(PE, CPT, EMDRなど)を提供できる心理士が在籍していることが多いです。専門性が高い反面、数や地域に限りがある場合があります。

まずは、かかりつけ医に相談してみたり、精神科または心療内科のある病院・クリニックに相談してみるのが良いでしょう。もし可能であれば、事前に電話などで「PTSDのような症状で相談したいのですが」と伝えて、対応可能かどうか、トラウマ治療に詳しい医師や心理士がいるかなどを確認してみることをお勧めします。

信頼できる専門医・機関の選び方

PTSDの治療は長期にわたることもあり、信頼できる専門家と出会うことが非常に重要です。以下の点を参考に、自分に合った専門医や機関を選びましょう。

以下の点を参考に、自分に合った専門医や機関を選びましょう。

  • PTSDやトラウマ関連疾患の治療経験: 医師や心理士が、PTSDや複雑性PTSDの診断・治療に関する十分な知識と経験を持っているかどうかを確認しましょう。学会の専門医・専門家リストなどを参考にすることもできます。
  • 提供される治療法: 心理療法(特にトラウマ焦点化CBTやEMDR)がPTSDの治療に有効であることが確立されています。これらの治療法を提供できる心理士が在籍しているか、あるいは連携しているかを確認しましょう。薬物療法が必要な場合も、個々の症状に合わせた適切な薬剤を選択できるかどうかが重要です。
  • インフォームドコンセント: 診断名、症状の原因、利用可能な治療法(それぞれのメリット・デメリット、期間、費用、副作用など)、予後について、患者さんが理解できるように丁寧な説明があり、患者さんの意向を尊重してくれるかどうかが重要です。
  • 治療者との相性: 治療者との間に安心できる信頼関係を築けるかどうかは、治療の進捗に大きく影響します。初回の面談で、話を聞いてくれる姿勢や、安心できる雰囲気を感じられるかなどを確認してみましょう。
  • アクセスと費用: 通院のしやすさ(場所、診療時間)や、治療にかかる費用(保険適用、自費診療の料金など)も考慮に入れる必要があります。特に心理療法は保険適用外となる場合が多いので、事前に確認しておきましょう。
  • 口コミや評判: 可能であれば、実際にその機関や医師を受診した人の評判(ただし、個人の体験談であり、全ての人に当てはまるわけではない点に注意が必要)や、インターネット上の情報などを参考にすることもできます。ただし、情報の信憑性には注意が必要です。

いくつかの機関を検討し、初診で複数の医師や心理士に会ってみて、自分にとって最も信頼でき、安心して治療を任せられると感じられる専門家を選ぶことも良い方法です。

PTSDを克服するために

PTSDの克服は、症状が完全に消えることだけを意味するのではなく、トラウマ体験と折り合いをつけ、その体験があってもなお、健康で満足のいく生活を送れるようになることを目指します。回復への道のりは挑戦的であることも少なくありませんが、不可能ではありません。

周囲の理解とサポート

PTSDの回復において、周囲の人々からの理解とサポートは非常に重要です。家族、友人、パートナー、職場の人々など、身近な人々の支えがあることで、患者さんは孤立感を感じずに済み、治療にもより積極的に取り組むことができます。

周囲の人は、PTSDが病気であることを理解し、患者さんの症状(フラッシュバック、回避、過覚醒など)を単なる甘えや性格の問題として捉えないことが大切です。症状が現れた時にどう接すれば良いか、患者さんが何に困っているのかなどを、本人や専門家から学ぶことも有効です。無理強いしたり、安易な励ましをしたりするのではなく、患者さんのペースを尊重し、必要な時にそばにいる、話を聞くといった姿勢が重要です。

ただし、サポートする側も大きな負担を感じることがあります。サポートする側自身も、無理をせず、必要であれば専門家や支援団体に相談するなど、自分の心身の健康を守ることも忘れてはなりません。

諦めずに治療を続ける重要性

PTSDの治療は、短期間で劇的に症状が改善することもあれば、ゆっくりと、波がありながら進んでいくこともあります。特に心理療法では、トラウマ記憶に触れるプロセスで一時的に症状が悪化するように感じたり、強い感情が湧き上がってきたりすることがあります。これは治療プロセスの一部であり、決して治療がうまくいっていないサインではありません。むしろ、回復に向けた重要なステップである可能性があります。

治療の途中で困難に直面したり、症状の改善が見られずに discouraged(落胆)したりすることもあるかもしれません。しかし、そこで治療を諦めてしまうと、症状が慢性化したり、回復が遅れたりするリスクがあります。

治療が辛い時や、疑問、不安がある時は、遠慮せずに治療者に伝えることが非常に重要です。治療者は、患者さんの状態に合わせて治療計画を調整したり、困難を乗り越えるためのアドバイスをしたりすることができます。また、治療に行き詰まりを感じている場合は、他の専門家のセカンドオピニオンを聞いてみるのも良いかもしれません。

PTSDの回復には時間がかかりますが、希望を持って治療を続けることが、最終的な克服につながります。小さな変化や改善にも目を向け、自分の回復力を信じることが大切です。

PTSDの治し方に関するよくある質問

PTSDは自然に回復しますか?

トラウマ体験後の一時的な急性ストレス反応は、時間の経過とともに自然に回復することが多いです。しかし、トラウマ体験から1ヶ月以上経過してもPTSDの症状が持続する場合、自然回復は期待しにくく、慢性化するリスクが高まります。特に症状が重い場合や、過去にもトラウマ体験がある場合、十分なサポートが得られない場合などは、早期に専門的な治療を受けることが強く推奨されます。

PTSDの症状を和らげるには?

PTSDの症状(フラッシュバック、不安、不眠など)を和らげるためには、まず専門家による適切な治療を受けることが最も重要です。並行して、日常生活でのセルフケアを取り入れることも有効です。具体的には、規則正しい生活、ストレス管理(リラクゼーション技法など)、適度な運動、安全な環境の確保、信頼できる人からのサポート、そしてフラッシュバックなどが起きた時のためのグラウンディング技法などの対処法を学ぶことが挙げられます。自己判断での対処は症状を悪化させる可能性もあるため、必ず専門家の指導のもとで行いましょう。

PTSDは治る確率は?

PTSDは適切な治療を受けることで、多くの患者さんが症状を改善させ、回復することができます。具体的な「治る確率」を示す正確な数字は研究によって異なりますが、トラウマ焦点化心理療法を受けた場合、半数以上、あるいはそれ以上の患者さんに有意な症状改善や寛解が見られるという報告が多くあります。回復の可能性は十分に高いと言えます。ただし、治療効果には個人差があり、治療期間も異なります。治療を継続し、専門家のサポートを得ながら取り組むことが回復への鍵となります。

PTSDの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?

治療期間は、症状の重さ、トラウマ体験の種類、合併症の有無、選択する治療法、個人の回復力などによって大きく異なります。一般的に、トラウマ焦点化心理療法は構造化されており、数ヶ月(例えば、週1回のセッションを12回〜20回程度)で集中的に行われることが多いですが、症状が複雑であったり、複数のトラウマ体験がある場合(複雑性PTSD)などは、より長期間の治療が必要となることもあります。薬物療法も、症状が安定するまで継続する必要があり、年単位になることも少なくありません。治療期間については、専門医と相談し、個別の治療計画の中で確認していく必要があります。

PTSDと診断されたら仕事や学校に行けなくなりますか?

PTSDの症状が重い場合、集中力の低下、過剰な警戒心、フラッシュバックなどによって、仕事や学業に支障が出ることがあります。一時的に休職や休学が必要になる場合もあります。しかし、これは病気によって引き起こされている状態であり、適切な治療によって症状が改善すれば、再び仕事や学業に戻ることは十分に可能です。職場や学校に病気のことを伝えるかどうかは個人の判断によりますが、理解やサポートを得られる場合は、働き方や学び方について配慮をしてもらえる可能性もあります。必要に応じて、産業医やスクールカウンセラー、主治医と相談してみましょう。


免責事項
本記事は、PTSDの治し方に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。個々の症状や状況に合わせた適切な診断と治療は、必ず専門医にご相談ください。本記事の情報に基づいて行われた行動の結果については、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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