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避妊インプラントとは?仕組み・効果・費用・日本での現状を徹底解説

避妊は、女性の健康と人生設計において非常に重要な選択です。様々な避妊方法がある中で、「避妊インプラント」という選択肢について耳にしたことがある方もいるかもしれません。避妊インプラントは、一度体に装着すると長期間にわたって高い避妊効果が期待できる方法として、世界中で利用が広がっています。しかし、日本ではまだあまり馴染みがないため、「どんな仕組みなの?」「安全性は?」「費用はどれくらいかかるの?」といった疑問や不安を感じる方もいるでしょう。

この記事では、避妊インプラントについて、その仕組みや効果、メリット・デメリット、安全性、そして日本での現状や費用まで、皆さんが知りたい情報を網羅的に解説します。海外では注目度が高く、避妊や月経トラブルの改善に効果があるとされる避妊インプラント(参考: 避妊インプラント – 新宿駅前婦人科クリニック)が、長期的な避妊方法をご検討されている方にとって、どのような選択肢になり得るのか、判断するための一助となれば幸いです。

目次

避妊インプラントとは

避妊インプラントは、女性の上腕部(二の腕の内側)の皮下に挿入する、マッチ棒ほどの細い棒状の器具です。この器具から、女性ホルモンの一種であるプロゲストーゲンが少量ずつ持続的に放出されることで避妊効果を発揮します。一度挿入すれば、一般的に3年間またはそれ以上の期間(製品によります)にわたり避妊効果が持続するため、長期避妊法(LARC: Long-Acting Reversible Contraception)の一つに分類されます。日々の避妊への意識や管理が必要ない点が大きな特徴です。

避妊インプラントの仕組みと効果

避妊インプラントの主な避妊の仕組みは、含まれているプロゲストーゲンという合成された黄体ホルモンが、少量ずつ体内に放出されることで、いくつかの作用をもたらす点にあります。

具体的には、以下の3つの主要な作用によって妊娠を防ぎます。

  1. 排卵の抑制: プロゲストーゲンが脳にある視床下部や下垂体に作用し、排卵を促すホルモンの分泌を抑制します。これにより、卵巣からの排卵が起こりにくくなります。これが最も主要な避妊メカニズムです。
  2. 頸管粘液の変化: 子宮の入り口(頸管)から分泌される粘液の性状を変化させます。通常、排卵期には精子が子宮内へ侵入しやすいように粘液がサラサラになりますが、プロゲストーゲンの作用により粘液が粘稠になり、精子が子宮内に入りにくくすることでバリア機能が高まります。
  3. 子宮内膜の変化: 受精卵が着床するための子宮内膜を薄く変化させます。これにより、もし排卵や受精が起きたとしても、受精卵が子宮内膜に着床しにくくなり妊娠が成立するのを防ぎます。

これらの複数のメカニズムが複合的に作用することで、避妊インプラントは非常に高い避妊効果を発揮します。一度挿入すれば、定められた期間(例えば3年間)は、特別な管理や追加の対策なしに避妊効果が持続します。これは、毎日決まった時間に服用する必要がある低用量ピルなどと比較して、ユーザー側の負担が大幅に軽減されることを意味します。

効果が現れるまでの期間は、一般的に挿入後数日以内とされていますが、確実を期すためには挿入後7日間は他の避妊法を併用することが推奨される場合があります。具体的な期間や推奨事項は、使用する製品や医師の指示に従ってください。

避妊インプラントのメリット・デメリット

避妊インプラントを選択する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解し、ご自身のライフスタイルや健康状態、避妊に対する考え方に合っているかを検討することが重要です。

避妊インプラントのメリット

避妊インプラントの最大のメリットは、その優れた避妊効果の持続性です。

  • 高い避妊効果: 正しく挿入されていれば、年間妊娠率は極めて低く(約0.05%未満)、最も避妊効果の高い方法の一つです。ユーザー側の使い忘れなどによる失敗のリスクがないため、ピルやコンドームと比較して圧倒的に確実性が高いと言えます。
  • 長期的な避妊: 一度の挿入で3年間またはそれ以上の期間、避妊効果が持続します。これにより、毎日のピル服用や、性行為のたびにコンドームを使用する手間が省け、避妊に関するストレスや負担が大幅に軽減されます。
  • 可逆性: 避妊効果は可逆的であり、妊娠を希望する際は医療機関でインプラントを除去することで、比較的速やかに妊娠できる状態に戻ります。除去後の妊娠率は、インプラントを使用していなかった場合とほぼ同等とされています。
  • 性行為への影響がない: 性行為の直前や最中に避妊について考える必要がありません。これにより、よりリラックスして性行為に臨むことができます。
  • 特定の婦人科疾患に対する副効用: プロゲストーゲンの作用により、月経量が減少したり、生理痛(月経困難症)が軽減される効果が期待できます。場合によっては、これらの症状の改善を目的としてインプラントが選択されることもあります。
  • 経済的なメリット: 長期的に見ると、毎月ピルを購入したりコンドームを用意したりする費用と比較して、トータルの費用が抑えられる可能性があります。

避妊インプラントのデメリットや注意点

避妊インプラントには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。

  • 医療機関での処置が必要: 挿入・除去には、専門の知識と技術を持った医師による医療機関での処置が必要です。手術とまでは言えませんが、局所麻酔を伴う小さな処置となります。
  • 初期費用がかかる: 挿入時にまとまった費用がかかります。長期的に見れば経済的になる可能性はありますが、導入時の負担は比較的大きくなります。
  • 性感染症(STD)は予防できない: 避妊インプラントは妊娠を防ぐための方法であり、クラミジアや淋病、HIVなどの性感染症を予防する効果はありません。性感染症の予防には、コンドームの使用が必要です。
  • 副作用の可能性: ホルモンの影響による副作用が見られることがあります。これらの副作用は個人差が大きく、すべての人に現れるわけではありませんが、事前にどのような可能性があるかを知っておくことが重要です。

よく見られる副作用について

避妊インプラントによって最もよく見られる副作用は、不正出血です。これは、インプラントから放出されるプロゲストーゲンによって子宮内膜が不安定になるために起こります。

  • 不正出血: 挿入後数ヶ月間は、少量の出血が不規則に続いたり、点状出血が見られたりすることがあります。多くの場合は時間とともに落ち着きますが、長期間続く場合や出血量が多い場合は医師に相談が必要です。無月経になる人もいれば、逆に頻繁に出血する人もいます。
  • その他の一般的な副作用: 頭痛、胸の張りや痛み、気分の変動(抑うつ気分など)、吐き気、体重の変化(増加または減少)、ニキビの増加、腹痛、性欲の変化などが報告されています。これらの症状も、通常は軽度であり、体の慣れとともに軽減することが多いです。

多くの副作用は一時的なものですが、症状が重い場合や長く続く場合、気になる症状が現れた場合は、必ず挿入した医療機関や婦人科医に相談してください。

生理周期への影響(生理が止まる、不正出血など)

避妊インプラントに含まれるプロゲストーゲンは、排卵を抑制し、子宮内膜を変化させる作用があるため、月経周期に大きな影響を与えます。

  • 月経量の減少または無月経: プロゲストーゲンの作用により子宮内膜が薄くなるため、月経量が著しく減少したり、全く生理が来なくなる(無月経)ことがあります。これは、避妊インプラントによる一般的な影響であり、必ずしも体に悪い影響があるわけではありません。生理がないことをメリットと感じる方も多くいます。
  • 不正出血: 前述の通り、予測できない時期に不正出血が起こる可能性が高いです。特に挿入初期にはよく見られます。出血パターンは個人差が大きく、予測が難しい場合もあります。

生理が止まることや不正出血は、多くのユーザーが経験する避妊インプラントの特徴的な影響です。これらが生理的に問題ない影響であることを理解しておくことが大切ですが、もし不安を感じる場合や、出血量が多い、痛みを伴うなどの場合は、必ず医師に相談して原因を特定してもらいましょう。

避妊インプラントの安全性

避妊インプラントは、世界中で広く使用されており、その安全性と高い避妊効果は確立されています。しかし、どのような医療行為や薬剤にもリスクがゼロということはありません。避妊インプラントの安全性について、さらに詳しく見ていきましょう。

世界的な評価と承認状況(FDA, WHOなど)

避妊インプラントは、1980年代から開発が進められ、現在では世界保健機関(WHO)や多くの国の保健当局から、安全で有効な避妊法として推奨されています。特に、アメリカの食品医薬品局(FDA)など、信頼性の高い規制当局によって承認されており、その安全性と効果に関する広範な臨床試験データが存在します。

世界中で数百万人の女性が避妊インプラントを利用しており、その実績から安全性に関する信頼性は高いと言えます。長期的な使用における安全性についても、多くの研究で確認されています。

妊娠率と避妊効果期間

避妊インプラントは、正しく挿入されていれば、年間妊娠率が0.05%未満という非常に低い失敗率を誇ります。これは、すべての避妊法の中で最も効果が高い部類に入り、避妊手術(不妊手術)に匹敵するほどの確実性です。ピルやコンドームのように、使用者の行動に左右されることなく効果が持続するため、「うっかり」による妊娠のリスクをほぼ排除できます。

避妊効果の持続期間は、製品によって異なりますが、一般的には3年間です。一部の製品では4年間や5年間効果が持続するものもあります。効果期間が終了する前に、インプラントの交換や除去が必要です。効果期間を過ぎると、徐々に避妊効果が低下する可能性があるため、注意が必要です。

ただし、挿入時に技術的な問題があった場合や、体内でインプラントが破損・移動した場合など、ごく稀に避妊に失敗する可能性もゼロではありません。また、挿入後の体重増加が大きい場合など、特定の条件下では効果が低下する可能性も指摘されることもありますが、一般的な使用においては極めて高い効果が期待できます。

日本における避妊インプラントの現状

避妊インプラントは、世界中で普及が進んでいる一方で、日本ではまだ広く認知されているとは言えません。しかし、日本でも避妊インプラント(イムプラノン®Nなど)は薬事承認されており、導入・使用が可能です。

日本でできる場所、取り扱いクリニックは?

日本で避妊インプラントの挿入・除去を受けることができるのは、一部の医療機関です。主に、産婦人科クリニックや病院で取り扱いがあります。ただし、全ての産婦人科で扱っているわけではないため、事前に医療機関に問い合わせて確認する必要があります。

避妊インプラントの挿入や除去には、専用の器具と手技が必要です。そのため、医師が適切なトレーニングを受けていることが重要です。日本産科婦人科学会などのウェブサイトで、避妊インプラントの取り扱い医療機関に関する情報が提供されている場合もありますので、参考にすると良いでしょう。

現時点では、低用量ピルやIUS(ミレーナ)と比較すると、取り扱い医療機関はまだ限られている傾向にあります。これは、導入コストや医師のトレーニング、そして日本の社会における避妊インプラントの認知度などが影響していると考えられます。

保険適用について

日本の医療制度において、避妊インプラントは原則として保険適用外(自費診療)となります。これは、避妊目的での使用が病気の治療とはみなされないためです。そのため、挿入や除去にかかる費用は、全額自己負担となります。

ただし、避妊インプラントに含まれるプロゲストーゲンが、月経困難症や過多月経、子宮内膜症など、特定の疾患の治療目的で用いられる場合があります。これらの疾患の治療としてインプラントの使用が検討される場合は、疾患によっては保険適用となる可能性があります。どのような場合に保険適用となるかは、個々の疾患や医師の判断、最新の保険制度によって異なりますので、必ず医療機関で確認してください。

純粋な避妊目的の場合は自費診療となるため、費用は医療機関によって異なります。事前に費用についてしっかりと確認しておくことが重要です。

避妊インプラントの費用・値段

避妊インプラントは自費診療となるため、医療機関によって費用が異なります。費用の内訳としては、主に以下の要素が含まれます。

  • インプラント本体の薬剤費
  • 挿入処置の費用
  • 除去処置の費用
  • 診察料(初診料、再診料、挿入・除去時の診察料)
  • 事前の検査費用(必要に応じて、性感染症検査や妊娠検査など)

挿入・除去にかかる費用相場

日本における避妊インプラントの挿入にかかる費用相場は、医療機関によって幅がありますが、一般的に10万円~15万円程度となることが多いようです。この費用には、インプラント本体代、挿入処置料、初診料などが含まれていることが一般的です。

また、効果期間が終了した後や、妊娠を希望する場合、または副作用などでインプラントを抜去する際には除去処置の費用が発生します。除去にかかる費用相場は、挿入よりもやや安価になることが多く、2万円~5万円程度が目安となるでしょう。ただし、インプラントが深部に迷入しているなど、除去が困難なケースでは、より高度な手技が必要となり費用が高額になる可能性もあります。

これらの費用はあくまで目安であり、医療機関の所在地や方針によって大きく異なる場合があります。また、事前の検査費用や、挿入・除去後の経過観察の診察料などが別途かかる場合もあります。正確な費用については、検討している医療機関に直接問い合わせて確認することが最も確実です。

長期的な避妊にかかる費用を比較検討する際には、避妊インプラントの初期費用だけでなく、その効果持続期間(3年間など)で割った年間のコストや、他の避妊法(ピル、IUSなど)を同じ期間使用した場合の総費用と比較してみると良いでしょう。

避妊インプラントの挿入・除去方法

避妊インプラントの挿入と除去は、いずれも医療機関で医師によって行われる比較的簡単な処置です。

挿入方法:

  1. 診察と説明: まず、医師による診察を受け、避妊インプラントが適しているか、リスクやメリット、副作用について十分に説明を受けます。同意が得られれば、挿入の準備に進みます。
  2. 挿入部位の決定: 通常、利き手ではない方の上腕部内側の、肘から8~10cmほど離れた場所に挿入します。
  3. 局所麻酔: 挿入部位に局所麻酔の注射を行います。これにより、処置中の痛みを感じにくくします。麻酔薬を注入する際に軽い痛みを感じることがあります。
  4. インプラントの挿入: 専用のアプリケーター(挿入器)を使って、皮膚に小さな切り込みを入れ、その皮下にインプラントを挿入します。アプリケーターを使うことで、インプラントを正確な深さ(皮下)に留置できます。
  5. 確認と処置後のケア: 挿入後、触診などでインプラントが正しい位置にあるか確認します。切り込みは非常に小さいため、縫合は通常不要で、医療用テープや絆創膏で保護します。処置時間は麻酔なども含めて数分で完了します。処置後は、内出血や腫れを防ぐために数日間圧迫することが推奨される場合があります。

除去方法:

  1. 診察と説明: 除去の理由や今後の避妊について話し合い、除去の同意を確認します。
  2. 除去部位の特定: インプラントの挿入されている正確な位置を触診で確認します。触知しにくい場合は、エコー(超音波検査)などで確認することもあります。
  3. 局所麻酔: 挿入時と同様に、除去部位の皮膚に局所麻酔を行います。
  4. インプラントの露出と抜去: インプラントの先端部分の皮膚に、インプラントの長さに沿って小さな切り込み(通常2~3mm程度)を入れます。専用の器具を使ってインプラントを皮膚の下から剥離し、引っ張り出して抜去します。
  5. 処置後のケア: 抜去後、出血がないか確認し、小さな切り込みは縫合不要な場合が多く、医療用テープや絆創膏で保護します。完全に回復するまでには数日かかることがあります。処置時間は、挿入時よりもやや時間がかかる場合がありますが、通常は数分から15分程度で完了します。

いずれの処置も、感染予防のため清潔な環境で行われ、医師の技術が重要です。挿入部位には小さな傷跡が残る可能性がありますが、通常は目立ちにくい位置です。非常にまれですが、インプラントが深部に迷入してしまい除去が困難になるケースも報告されており、その場合はより専門的な処置が必要となります。

避妊インプラントと他の避妊法との比較

避妊方法は多岐にわたります。避妊インプラントを検討する際に、他の避妊法との違いを理解しておくことは、ご自身に最適な方法を選ぶ上で役立ちます。代表的な避妊法との比較を見てみましょう。

避妊法 仕組み 効果持続期間 年間妊娠率 (典型的な使用) 手軽さ 費用 (目安) 主なメリット 主なデメリット
避妊インプラント 皮下からのホルモン放出 3年以上 0.05%未満 挿入後は手間なし 初期費用10-15万円 (自費) 極めて高い効果、長期持続、日々の管理不要 挿入/除去に医療処置、初期費用大、不正出血などの副作用
IUS (ミレーナ) 子宮内からのホルモン放出 5年 0.2% 挿入後は手間なし 約5-10万円 (自費/保険適用) 高い効果、長期持続、月経量減少、特定疾患に保険適用 挿入/除去に医療処置、不正出血などの副作用、子宮への挿入
OC/LEP (低用量ピル) 毎日のホルモン服用 毎日 7% 毎日服用が必要 月数千円 (自費/保険適用) 効果が高い(正しく使えば)、周期調整、肌荒れ改善 毎日服用必要、血栓症リスク、吐き気・むくみなど副作用
避妊リング (IUD) 子宮内での物理的・化学的作用 3-5年 0.6-0.8% 挿入後は手間なし 数万円 (自費/保険適用) 長期持続、ホルモン不要(銅付加の場合) 挿入/除去に医療処置、過多月経・生理痛増加、子宮への挿入
コンドーム 物理的バリア 1回ごと 12% 入手しやすい 数百円/回 性感染症予防にも有効 使用のたびに必要、破損の可能性、ユーザーの行動に左右される
避妊注射 定期的なホルモン注射 (日本では未承認) 数ヶ月ごと 6% 定期的な受診が必要 手間が少ない 不正出血、体重増加、骨密度の影響などの副作用、長期的な影響

※年間妊娠率(典型的な使用):これは一般的な使用状況における失敗率を示し、完璧な使用(指示通りに正確に使う)の場合よりも高くなります。典型的な使用における避妊インプラントの失敗率の低さが際立っています。

ミレーナとの違い

避妊インプラントと同様に長期避妊法として日本で普及が進んでいるものに、IUS(子宮内システム)である「ミレーナ」があります。どちらもプロゲストーゲンを放出するホルモン療法ですが、いくつか重要な違いがあります。

比較項目 避妊インプラント (イムプラノン®Nなど) IUS (ミレーナ)
挿入部位 上腕部(二の腕の内側)の皮下 子宮腔内
形状 細い棒状(約4cm) T字型(約3cm)
放出ホルモン エトノゲストレル (プロゲストーゲン) レボノルゲストレル (プロゲストーゲン)
効果期間 3年 5年
挿入/除去 局所麻酔下の皮下処置 内診台での子宮内処置
費用 避妊目的:自費 (>10万円) 避妊目的:自費 (<10万円)
月経困難症/過多月経:保険適用可能
主な副作用 不正出血、無月経、頭痛など 不正出血、無月経、腹痛、骨盤痛など
対象 子宮の状態に関わらず適用可能 子宮に疾患がある場合は適用できない場合も

ミレーナは子宮内に挿入するため、子宮の形態に問題がある場合や、子宮に関する疾患がある場合は使用できないことがあります。一方、避妊インプラントは腕に挿入するため、子宮の状態に左右されず、より多くの女性が選択できます。

また、ミレーナは月経困難症や過多月経の治療目的であれば保険適用となる可能性が高いですが、避妊インプラントは現時点では保険適用となるケースは限定的です(製品や疾患による)。費用の面でも大きな違いがあります。

どちらの方法が適しているかは、ご自身の体の状態、持病、ライフスタイル、費用、そして何よりも避けたい副作用は何かなど、様々な要因を考慮して医師とよく相談して決めることが重要です。

避妊インプラントに関するよくある質問 (FAQ)

避妊インプラントについて、皆さんがよく疑問に思われることにお答えします。

避妊インプラントの費用はいくらですか?

避妊インプラントの費用は、日本では自費診療となり、医療機関によって異なります。挿入にかかる費用相場は10万円~15万円程度、除去にかかる費用相場は2万円~5万円程度が目安となります。これには、インプラント本体代、処置料、診察料などが含まれます。正確な費用は、受診を希望する医療機関に直接ご確認ください。

避妊インプラントは日本でできますか?

はい、避妊インプラントは日本でも薬事承認されており、挿入・除去が可能です。ただし、すべての医療機関で取り扱っているわけではありません。避妊インプラントの取り扱いがある産婦人科クリニックや病院を探して受診する必要があります。

避妊インプラントは安全ですか?

避妊インプラントは、世界中で長年使用されており、安全性が確立されている避妊法です。WHOやFDAなどの主要な保健機関もその安全性と有効性を認めています。挿入・除去は医療処置を伴いますが、通常は局所麻酔下で短時間で行われます。副作用が見られることがありますが、多くは軽度で一時的なものです。重篤な合併症は非常に稀です。

避妊インプラントの妊娠率は?

避妊インプラントの年間妊娠率は、0.05%未満と極めて低く、最も効果の高い避妊法の一つです。典型的な使用状況においても失敗が非常に少ないため、確実な避妊を希望する方にとって非常に有力な選択肢となります。ユーザー側の使い忘れなどによる失敗がない点が、高い効果を維持できる理由です。

避妊インプラントを挿入した場所は分かりますか?

避妊インプラントは、通常、利き手ではない方の上腕部内側の皮下に挿入されます。皮膚の下に細い棒状のインプラントが触れることで、インプラントが挿入されている場所を触って確認することができます。見た目ではほとんど分かりませんが、細い傷跡が残る可能性はあります。

避妊インプラントで体重が増えますか?

避妊インプラントの副作用として、体重の変化(増加または減少)が報告されています。これは、ホルモンの影響によるものと考えられますが、個人差が非常に大きいです。すべての人に体重増加が起こるわけではありません。もし体重増加が気になる場合は、食生活や運動習慣を見直し、改善が見られない場合は医師に相談してください。

避妊インプラントで不妊になりますか?

いいえ、避妊インプラントの使用によって不妊になることはありません。避妊効果は可逆的であり、インプラントを除去すれば、比較的速やかに妊娠できる状態に戻ります。多くの女性が除去後数ヶ月以内に月経周期が回復し、妊娠に至っています。

避妊インプラントの挿入・除去は痛いですか?

挿入時、除去時ともに局所麻酔を行います。麻酔薬の注射の際に軽い痛みを感じることがありますが、麻酔が効けば処置中の痛みはほとんど感じないことが一般的です。処置後、麻酔が切れてから数日間、挿入部位に軽い痛みや違和感、内出血や腫れが見られることがありますが、通常は自然に改善します。

誰でも避妊インプラントを挿入できますか?

特定の健康状態や持病がある方には、避妊インプラントの使用が推奨されない場合があります。例えば、現在妊娠している方、過去に血栓症になったことがある方、重度の肝臓病がある方、診断が確定していない不正出血がある方、乳がんやその既往歴がある方、避妊インプラントの成分にアレルギーがある方などです。挿入が可能かどうかは、医師の診察と判断が必要です。

避妊インプラントの避妊効果はいつから始まりますか?

月経開始から5日以内に避妊インプラントを挿入した場合、挿入直後から避妊効果が期待できます。月経周期の他の時期に挿入した場合は、挿入後7日間は他の避妊法(コンドームなど)を併用することが推奨されます。これにより、確実に避妊効果が得られるまで期間中の妊娠を防ぎます。具体的な開始時期については、医師の指示に従ってください。

まとめ|避妊インプラントの検討は専門家へ相談

避妊インプラントは、一度挿入すれば長期間にわたって極めて高い避妊効果が得られる、非常に優れた避妊法です。毎日の手間が省けることや、確実性の高さは大きなメリットと言えます。一方で、挿入・除去に医療処置が必要なこと、初期費用がかかること、そしてホルモンによる副作用(特に不正出血)が見られる可能性があることも理解しておく必要があります。

避妊インプラントは、特に以下のような方にとって有効な選択肢となる可能性があります。

  • 長期間にわたり確実な避妊を強く望む方
  • 毎日ピルを服用するのが難しい、または忘れがちな方
  • 生理痛や月経量が多くて悩んでいる方
  • エストロゲンを含む避妊法(OC/LEPなど)が使えない方

しかし、避妊インプラントがすべての人に適しているわけではありません。ご自身の健康状態、ライフスタイル、将来の妊娠希望、そして避妊法に求めることなどを総合的に考慮し、最適な方法を選択することが何よりも大切です。

避妊インプラントについてさらに詳しく知りたい方、ご自身に適しているか相談したい方は、必ず婦人科医や専門の医療機関を受診してください。医師は、あなたの体の状態を診察し、メリットとデメリットを丁寧に説明した上で、避妊インプラントがあなたにとって最良の選択肢であるかどうかを判断してくれます。専門家への相談を通じて、安心して避妊方法を選択しましょう。


免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の医療行為や薬剤の使用を推奨するものではありません。避妊方法の選択にあたっては、必ず医療機関を受診し、医師の判断に基づきご自身に合った方法を選択してください。本記事の情報により生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

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