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生理前 体温が上がるのはなぜ?微熱(37度)の原因と妊娠との違い

生理前になると、「なんだか体が熱っぽい」「微熱があるみたい」と感じたことはありませんか?
これは、多くの女性が経験する体の自然な変化の一つです。
生理前の体温上昇は、女性ホルモンの変動と深く関係しており、決して異常なことではありません。
この記事では、生理前に体温が上がるメカニズムから、37度前後の微熱は正常なのか、そして多くの女性が悩む生理前の体温変化と他の症状(だるさなど)、さらには妊娠初期との違いまで、詳しく解説していきます。
自分の体のサインを正しく理解し、より快適に生理前期間を過ごすためのヒントを見つけましょう。

目次

生理前の体温変化のメカニズム(基礎体温との関係)

女性の体は、生理周期に合わせてホルモンのバランスがダイナミックに変化しています。
このホルモンの変動が、体温にも影響を与えているのです。
特に基礎体温を記録している方は、周期の中で体温が高くなる時期と低くなる時期があることに気づいているでしょう。
この体温の変化こそが、女性ホルモンの働きを示しています。

生理周期と女性ホルモンの関係

女性の生理周期は、主に卵胞ホルモン(エストロゲン)黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンによってコントロールされています。

生理が始まってから排卵までの約2週間(個人差があります)は、主に卵胞ホルモンの分泌が増える時期です。
この卵胞ホルモンは、子宮内膜を厚くして妊娠に備える準備をしたり、女性らしい体つきを作ったりする働きがあります。
気分を前向きにしたり、肌や髪を美しく保つ効果も期待できます。

排卵後から次の生理が始まるまでの約2週間は、主に黄体ホルモンの分泌が増える時期です。
黄体ホルモンは、受精卵が着床しやすいように子宮内膜の状態をさらに整えたり、妊娠が成立した場合にはその状態を維持したりする重要な役割を担っています。
この黄体ホルモンの増加が、生理前の体温変化に大きく関わってきます。

高温期・低温期とは?基礎体温の測り方

基礎体温とは、生命を維持するために最低限必要なエネルギーしか消費していない、最も安静な状態の体温のことです。
具体的には、朝目が覚めて、起き上がる前に、布団の中で測る体温を指します。

基礎体温を毎日測ってグラフにすることで、生理周期における体温の変動パターンが見えてきます。
一般的な生理周期では、体温が低い時期(低温期)と高い時期(高温期)の二相に分かれます。

  • 低温期: 生理開始日から排卵日までの約2週間。
    卵胞ホルモンの分泌が優位で、体温は比較的低い状態が続きます。
    一般的に36.5℃以下になることが多いですが、個人差があります。
  • 高温期: 排卵日から次の生理が始まるまでの約2週間。
    黄体ホルモンの分泌が優位になり、体温が低温期よりも0.3℃~0.5℃程度上昇した状態が続きます。
    一般的に36.7℃以上になることが多いですが、これも個人差があります。

基礎体温を正確に測るためには、以下の点に注意しましょう。

  • 婦人体温計を使用する: 婦人体温計は、一般的な体温計よりも精密に体温を測ることができます。
    小数点以下第2位まで測れるものが推奨されます。
  • 毎日同じ時間に測る: 可能な限り、毎日同じ時間に測ることが重要です。
    起床時間が大きくずれると、正確な体温変動パターンを把握しにくくなります。
  • 目覚めてすぐ、体を動かす前に測る: 目が覚めたら、布団から出る前にすぐに舌の下に体温計を挟んで測ります。
    体を起こしたり動かしたりするだけでも体温は上昇してしまいます。
  • 最低でも4時間以上の睡眠をとる: 睡眠時間が短いと正確な基礎体温が測れないことがあります。
  • 測定値を記録する: 基礎体温表やアプリに毎日記録し、体温の変動をグラフで見える化しましょう。
    生理日、排卵日、体調の変化(頭痛、腹痛、だるさなど)、性交渉なども一緒に記録すると、より多くの情報が得られます。

基礎体温を記録することで、排卵の有無や時期、生理周期の乱れなどを把握するのに役立ちます。

なぜ生理前に体温が上がるの?(プロゲステロンの影響)

生理前に体温が上がる最大の理由は、排卵後に分泌量が増える黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによるものです。

プロゲステロンには、脳の体温調節中枢に作用して、体温を上昇させる働きがあります。
具体的には、体温を通常より高く設定するようなイメージです。
これにより、基礎体温が低温期よりも0.3℃~0.5℃程度上昇し、高温期となります。

この体温上昇は、受精卵が子宮に着床しやすくするための準備の一環と考えられています。
温かい環境は、受精卵の発育にとってより適しているからです。
高温期は、排卵後から次の生理が始まるまで約2週間(12日~14日間)持続するのが一般的です。
この期間、体温が高い状態が続くことで、「生理前に体が熱っぽい」「微熱があるように感じる」といった感覚につながるのです。

プロゲステロンは体温を上げるだけでなく、眠気を誘ったり、だるさを感じさせたり、食欲を増進させたり、便秘になりやすくしたり、むくみを引き起こしたり、胸の張りを感じさせたりするなど、様々な作用があります。
これらの作用が、生理前に多くの女性が経験する心身の不調、いわゆるPMS(月経前症候群)の症状の一部として現れることがあります。

したがって、生理前に体温が上がるのは、女性ホルモンの正常な働きによるものであり、排卵があり、体が妊娠の準備をしているサインの一つと言えます。

生理前に体温が上がる(微熱・37度超え)のは正常?

生理前に体温が上がるのは、多くの女性にとって自然な生理現象です。
しかし、「何度くらいまでが正常なの?」「37度を超えると心配?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。

生理前の微熱は何度くらい?(37度前後)

生理前の高温期における基礎体温は、一般的に36.7℃以上が目安とされています。
低温期の体温から0.3℃~0.5℃程度上昇した状態が約2週間続くのが正常なパターンです。

そのため、生理前に37度前後の微熱を感じることは、生理的な体温上昇の範囲内として全く珍しいことではありません。
37.0℃、37.1℃、37.2℃といった体温は、多くの女性が高温期に経験する範囲と言えるでしょう。
これは病気による発熱ではなく、ホルモンの影響による生理的な体温上昇です。

ただし、これはあくまで基礎体温の目安です。
日中の活動しているときの体温は、基礎体温よりも高く出るのが普通です。
そのため、生理前に「熱っぽいな」と感じて脇の下などで体温を測ったときに、37度前後になることも十分にあり得ます。

37度以上の微熱が続く場合

生理前の高温期に37度以上の体温が続くこと自体は、多くの女性にとって正常な範囲内です。
特に平熱がもともと高めの方や、高温期の体温上昇幅が大きい方の場合は、37度台前半が続くこともあります。

しかし、いくつか注意が必要なケースもあります。

  • 明らかに普段の高温期よりも体温が高い(例えば37.5℃を超えるなど)
  • 微熱とともに、関節痛や喉の痛み、倦怠感が異常に強いなど、風邪のような症状が強く出ている
  • 生理予定日を過ぎても微熱(高温期)が続き、生理が来ない
  • 微熱が2週間以上、生理周期とは関係なく続いている

このような場合は、単なる生理前の体温上昇ではなく、風邪やインフルエンザなどの感染症、またはその他の病気が原因である可能性も考えられます。
特に生理予定日を過ぎても高温期が続く場合は、妊娠の可能性も考慮する必要があります。

ご自身の普段の生理周期や高温期のパターンを把握しておくことが大切です。
もし、いつもと違う明らかな異常や、体温以外のつらい症状がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
自己判断せず、専門家のアドバイスを求めましょう。

生理前に体温が下がるのはなぜ?

一般的な生理周期では、排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)が増加し、体温が上昇して高温期に入ります。
そして、生理が始まる直前になると、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量が急激に減少し、それに伴って体温も下がって低温期に戻ります。

つまり、生理前に体温が下がるのは、まもなく生理が始まるサインです。
この体温の低下は、生理の1日前や数日前から始まることが多く、体温計で確認すると、高温期だった基礎体温がガクッと下がっているのがわかります。

しかし、生理前の高温期であるはずの時期に、一時的に体温がガクッと下がることもあります。
これは、インプランテーションディップと呼ばれる現象かもしれません。
インプランテーションディップとは、受精卵が子宮内膜に着床する際に、一時的に体温が低下することがあるという説です。
ただし、インプランテーションディップが起こるメカニズムははっきり解明されておらず、必ずしも全ての妊娠で起こるわけではありません。
また、妊娠していない周期でも体温が一時的に下がることもあります。

また、高温期が短い(10日未満)にもかかわらず、体温が低下してしまう場合は、黄体機能不全の可能性も考えられます。
黄体機能不全とは、黄体からのプロゲステロンの分泌が不十分であったり、黄体期が短かったりする状態です。
これにより、子宮内膜が十分に成熟せず、妊娠しにくくなったり、流産の原因になったりすることがあります。
基礎体温を付けていて、高温期が明らかに短い、または体温の上がり方が不十分だと感じる場合は、婦人科で相談してみると良いでしょう。

さらに、ストレスや不規則な生活、睡眠不足、冷えなども体温の変動に影響を与えることがあります。
生理前に体温が下がってしまうことが続く場合は、ホルモンバランスだけでなく、日頃の生活習慣を見直すことも大切です。

生理前の体温変化と一緒に現れる症状(だるいなどPMSとの関連)

生理前の体温上昇は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌増加によるものですが、プロゲステロンは体温以外にも様々な影響を体に及ぼします。
そのため、生理前の体温変化は、他のさまざまな不調、いわゆるPMS(月経前症候群)の症状と一緒に出やすい傾向があります。

だるさ、眠気、頭痛などの症状

プロゲステロンの分泌量が増加すると、以下のような様々な症状が現れることがあります。
これらの症状は、体温上昇と同時期に起こりやすく、PMSの代表的な症状です。

  • だるさ・倦怠感: プロゲステロンには鎮静作用があり、これが日中のだるさや強い眠気につながることがあります。
    体が重く感じられたり、やる気が出なかったりすることもあります。
    体温が高い状態が続くこと自体も、体に負担をかけ、だるさを感じさせる要因となることがあります。
  • 眠気・睡眠の変化: 日中の強い眠気を感じやすい一方で、夜は寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることもあります。
    これはホルモンバランスの変化が自律神経にも影響するためと考えられています。
  • 頭痛: 血管の収縮・拡張に関わるホルモンの変動や、むくみによる脳の血管への影響などが原因で、生理前に頭痛が起こりやすくなります。
    特に偏頭痛持ちの方は、生理前に症状が悪化することがあります。
  • 腹痛・下腹部痛: 子宮の収縮や、骨盤内の血流の変化などが原因で、下腹部が重く感じられたり、生理痛のような痛みを感じたりすることがあります。
  • 腰痛: 骨盤のうっ血や、ホルモンの影響で靭帯が緩むことなどが原因で、腰に痛みを感じることがあります。
  • 胸の張り・痛み: プロゲステロンやエストロゲンの影響で乳腺が発達したり、水分が貯留したりすることで、胸が張ったり、痛んだりすることがあります。
  • むくみ: ホルモンの影響で体内に水分が溜まりやすくなり、顔や手足、お腹などがむくむことがあります。
    体温が高いと、余分な水分を排出しにくいと感じることもあります。
  • 便秘・下痢: プロゲステロンは腸の動きを抑制する働きがあるため、便秘になりやすくなります。
    一方で、人によってはホルモンの変化が刺激となって下痢になることもあります。
  • イライラ・気分の落ち込み: ホルモンバランスの急激な変化は、脳内の神経伝達物質にも影響を与え、情緒不安定になりやすくなります。
    些細なことでイライラしたり、悲しくなったり、不安を感じたりすることがあります。
  • 食欲の変化: 食欲が増進したり、特定のものが無性に食べたくなったり(特に甘いものや炭水化物)、逆に食欲がなくなったりすることがあります。

これらの症状は、体温上昇と密接に関連しており、プロゲステロンの影響によって引き起こされていると考えられます。
これらの症状は総称してPMS(月経前症候群)と呼ばれ、月経が始まる3~10日ほど前から身体や心にいろいろな症状が起こる病気です。PMSの原因や症状についてさらに詳しく知りたい方は、済生会の解説ページをご覧ください。
自分の生理周期における体温とこれらの症状の関係を把握することで、生理前の不調を予測し、対策を立てやすくなります。

生理前の体温変化はいつまで続く?

生理前の体温が高い状態(高温期)は、一般的に排卵後から次の生理が始まるまでの約2週間(12日〜14日間)続きます。

この期間、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が維持されることで、基礎体温は高い状態を保ちます。
しかし、妊娠が成立しなかった場合、生理予定日が近づくにつれて黄体は退化し始め、プロゲステロンの分泌量が急激に低下します。

プロゲステロンの分泌量が減少すると、体温調節中枢への作用が弱まるため、体温は自然に下がって低温期に戻ります。
体温が低下したタイミングで、厚くなっていた子宮内膜が剥がれ落ち、生理が始まります。

したがって、生理前の体温上昇は、生理が始まる直前(多くは生理開始の1日前か当日)まで続き、生理が始まるとともに体温が下がる、というのが一般的なパターンです。

もし、生理予定日を過ぎても体温が高い状態(高温期)が3週間以上続く場合は、妊娠している可能性が高くなります。
基礎体温を付けている場合は、高温期が通常よりも長く続いているかどうかを確認してみましょう。
妊娠検査薬を試してみるのも一つの方法です。

一方で、生理前の高温期が10日未満で終わってしまう場合や、高温期と低温期の差がはっきりしない場合は、黄体機能不全などのホルモンバランスの乱れが原因で生理周期が不安定になっている可能性があります。
このような場合は、一度婦人科で相談してみることをおすすめします。

自分の生理周期における体温の変化パターンを把握することで、生理の開始時期を予測しやすくなりますし、体の異常にも気づきやすくなります。

妊娠初期と生理前の体温変化の違い

生理前の体温上昇は、黄体ホルモンの影響による正常な体の変化ですが、この時期の体温変化は、妊娠超初期の体温変化と似ているため、どちらなのか判断に迷うことがあります。
特に「生理前の微熱があるけれど、これって妊娠?」と不安になる方も少なくありません。

生理前の体温上昇(高温期)と妊娠初期の体温変化は、どちらも黄体ホルモンによって引き起こされるため、似たようなパターンを示します。
しかし、基礎体温の推移や他の症状を注意深く観察することで、ある程度の見分けをつけることが可能です。

基礎体温グラフで見分けるポイント

基礎体温を毎日記録している場合、生理前の体温変化と妊娠初期の体温変化を見分ける上で、最も重要なポイントは高温期がどのくらい続くかです。

特徴 生理前の体温変化(通常の周期) 妊娠初期の体温変化
高温期の持続期間 排卵後から約12日~14日間(通常2週間以内) 排卵後から3週間以上続く
生理開始時の体温 生理が始まる直前または始まった後に体温が低下し、低温期に戻る 生理予定日を過ぎても体温が高い状態(高温期)が維持される
着床時の体温 特になし、または一時的な体温低下(インプランテーションディップ)が起こることも 受精卵が着床する頃に、一時的に体温がガクッと下がる(インプランテーションディップ)と言われることがあるが、必ずではない

最もわかりやすい違いは、高温期の長さです。
生理前の高温期は通常2週間程度で終わり、生理開始とともに体温が下がります。
一方、妊娠が成立した場合、妊娠を継続するために黄体ホルモンの分泌が維持されるため、高温期が生理予定日を過ぎても続き、3週間以上高温期が持続します。
基礎体温グラフを見て、高温期がいつもより長い場合は、妊娠の可能性を疑ってみましょう。

ただし、基礎体温は体調や測定方法によっても変動するため、グラフだけで正確に判断することは難しい場合もあります。
あくまで目安として考え、不安な場合は妊娠検査薬を使用したり、医療機関を受診したりすることが大切です。

他の妊娠超初期症状との比較

体温変化だけでなく、他の体のサインも妊娠初期と生理前では異なることがあります。
これらの症状を総合的に判断することが重要です。

症状 生理前の症状(PMS) 妊娠超初期症状
出血 生理として比較的まとまった量の出血が起こる 少量の出血(着床出血)が数時間~数日続くことがある。
色はピンクや茶色で、生理よりも少量。
全員に起こるわけではない。
胸の張り・痛み 生理前になると胸全体が張って痛むことが多い。
生理が始まると症状が軽快する。
生理前よりも乳首が敏感になったり、乳輪の色が濃くなったりすることがある。
生理が始まっても張りが続く、または増すことがある。
だるさ・眠気 生理前特有のだるさや眠気を感じやすい。
生理が始まると軽快する。
生理前のだるさや眠気に似ているが、さらに強い倦怠感を感じることがある。
体が変化に対応しようとしているため。
吐き気 生理前にはほとんどないか、あっても軽い吐き気程度。 つわりとして吐き気やムカムカ、胃の不快感などが現れることがある。
早い人では生理予定日前後から始まる。
特定のにおいがダメになったり、食べ物の好みが変わったりすることも。
頻尿 生理前にはあまり一般的ではない。 妊娠すると子宮が大きくなり膀胱を圧迫したり、ホルモンの影響で血流が増えたりするため、トイレに行く回数が増えることがある。
情緒不安定 イライラ、気分の落ち込み、不安感などが生理前に現れやすい。
生理が始まると軽快する。
ホルモンバランスの変化が急激なため、情緒不安定になることがある。
不安や期待など複雑な感情になることも。
味覚・嗅覚の変化 生理前にはあまり一般的ではない。 妊娠すると味覚や嗅覚が敏感になり、今まで好きだったものが苦手になったり、特定のにおいが不快に感じたりすることがある。

着床出血やつわりは妊娠超初期に特徴的な症状ですが、これらの症状が現れない場合もあります。
最も確実なのは、生理予定日を1週間~10日過ぎても生理が来ない場合に妊娠検査薬を使用することです。
陽性反応が出た場合は、早めに産婦人科を受診しましょう。

生理前の症状と妊娠超初期症状は似ている部分が多く、自己判断は難しいことがあります。
不安な場合は、専門家の意見を聞くことが最も確実です。

生理前の体温変化への対処法・セルフケア

生理前の体温上昇は自然な現象であり、基本的に治療の必要はありません。
しかし、体温上昇に伴うだるさや不快感を軽減するために、いくつかのセルフケアを試すことができます。

体を冷やさない工夫

体温が少し高い状態である高温期でも、冷えは大敵です。
体が冷えると血行が悪くなり、PMSの症状(腹痛、腰痛、むくみなど)が悪化することがあります。

  • 温かい飲み物を飲む: 冷たい飲み物よりも、白湯やハーブティー(ノンカフェインのもの)などを選ぶようにしましょう。
  • 体を温める食べ物を摂る: 生姜、ネギ、根菜類など、体を温める効果のある食材を積極的に食事に取り入れましょう。
  • 服装の工夫: 薄着になりすぎず、腹巻きや靴下などを活用して、お腹周りや足元を冷やさないようにしましょう。
  • 入浴: シャワーだけでなく、湯船にゆっくり浸かることで、体の芯から温まり、血行を促進できます。
    アロマオイルなどを数滴垂らすとリラックス効果も高まります。
    ただし、熱すぎるお湯は体に負担をかけることがあるので、ぬるめのお湯(38℃~40℃程度)にゆったり浸かるのがおすすめです。

リラックスできる方法

生理前はホルモンバランスの影響で、心身ともに不安定になりやすい時期です。
体温上昇による不快感も相まって、ストレスを感じやすいこともあります。
リラックスできる時間を設けることが大切です。

  • 軽いストレッチやヨガ: 無理のない範囲で体を動かすことで、心身の緊張がほぐれ、血行も促進されます。
  • アロマテラピー: ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のある香りのアロマオイルを焚いたり、お風呂に垂らしたりして香りを楽しむのも良いでしょう。
  • 音楽鑑賞: ゆったりとした好きな音楽を聴いて、気分転換を図りましょう。
  • 読書: 静かな環境で好きな本を読むことで、心を落ち着かせることができます。
  • 質の良い睡眠: 十分な睡眠をとることで、体の回復力を高めることができます。
    寝る前にカフェインやアルコールを控える、寝室を快適な温度・湿度に保つなどの工夫をしましょう。

食事や運動のポイント

生理前は、心身の状態を整えるために、普段以上に食事や運動に気を配ることが大切です。

  • バランスの取れた食事: ビタミン、ミネラル、食物繊維などをバランス良く摂取しましょう。
    特に、ビタミンB6(PMS症状の緩和に役立つとされる)、カルシウム、マグネシウムなどが豊富な食品を意識して取り入れると良いでしょう。
  • 血糖値の急激な上昇を避ける: 甘いものや炭水化物ばかりを摂ると、血糖値が急激に変動し、気分の落ち込みやイライラにつながることがあります。
    GI値の低い食品を選んだり、食事の順番を工夫したり(野菜から食べるなど)することがおすすめです。
  • カフェインやアルコールの摂取を控える: カフェインは神経を興奮させたり、体を冷やしたりすることがあります。
    アルコールはホルモンバランスを乱したり、むくみを悪化させたりすることがあります。
    生理前の不調が強い時期は、控えめにしましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、血行を促進し、気分転換にもなります。
    無理な激しい運動は避け、心地よいと感じる程度の運動を継続しましょう。

これらのセルフケアは、生理前の体温上昇に伴う不快感を軽減し、PMSの症状を和らげることにもつながります。
ご自身の体調に合わせて、できることから試してみてください。
ただし、症状が重く、日常生活に支障をきたす場合は、我慢せずに医療機関に相談することが大切です。

こんな体温の変化は要注意!病院に行く目安

生理前の体温上昇は多くの場合正常な生理現象ですが、中には医療機関を受診した方が良いケースもあります。
ご自身の体温の変化や他の症状を注意深く観察し、以下のような場合は専門家に相談することを検討しましょう。

  • 生理予定日を過ぎても高温期が2週間以上続く:通常、高温期は12日~14日で終わり、生理が始まります。
    生理予定日を大幅に過ぎても高温期が続いている場合、妊娠の可能性が高いです。
    妊娠を希望している方もそうでない方も、妊娠検査薬で確認したり、産婦人科を受診したりしましょう。
  • 高温期が10日未満と短い:排卵があっても、高温期が短い場合は黄体機能不全の可能性があります。
    黄体機能不全は不妊の原因になることもありますので、妊娠を希望している場合は特に婦人科で検査を受けることをおすすめします。
  • 高温期と低温期の差が0.3℃未満で不明瞭:基礎体温のグラフが二相性にならず、体温の変動が少ない場合、無排卵の可能性があります。
    無排卵が続くと、生理不順になったり、将来的な病気のリスクが高まったりすることがあります。
  • 高温期の体温が異常に高い(37.5℃を超えるなど)状態が続く:生理的な体温上昇の範囲を超えて、明らかに高い微熱が続く場合は、風邪やインフルエンザなどの感染症、または他の病気が原因である可能性も考えられます。
    微熱とともに、強い倦怠感、関節痛、喉の痛み、咳などの症状がある場合は、内科なども受診視野に入れるべきです。
  • 体温変化だけでなく、PMSの症状が重く、日常生活に支障をきたしている:生理前の体温上昇に伴うだるさや頭痛などが非常に強く、仕事や学業、家事などに集中できない、精神的に不安定で人間関係にも影響が出ているといった場合は、PMSやPMDD(月経前不快気分障害)である可能性があります。
    婦人科や精神科で相談することで、症状を和らげる治療法(漢方薬、低用量ピル、SSRIなど)が見つかることがあります。
  • 生理周期が極端に乱れている:体温の変化パターンが定まらない、生理周期が毎回大きくずれる、突然生理が来なくなったといった場合は、ホルモンバランスの大きな乱れや、他の婦人科疾患(多嚢胞性卵巣症候群、甲状腺機能異常など)が隠れている可能性があります。
  • 基礎体温の測定自体がうまくいかない、グラフがつけられない:基礎体温を正確に測れているか不安な場合や、グラフの読み方が分からない場合も、婦人科で相談してみましょう。
    医師や看護師からアドバイスをもらうことができます。

これらのサインは、体が何らかの不調を訴えている可能性があります。
自己判断で悩まず、早めに医療機関を受診し、専門家の診断を受けることが大切です。
医師に相談する際は、基礎体温表(もし記録していれば)、いつからどのような症状があるか、症状の程度、生理周期などを具体的に伝えられるように準備しておくと良いでしょう。

【まとめ】生理前の体温変化を正しく理解し、自分の体を大切に

生理前の体温上昇(高温期)は、多くの女性が経験する自然な体の変化であり、排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによるものです。
この体温上昇は、体が妊娠に備えて準備しているサインであり、通常は生理が始まるとともに体温は下がって低温期に戻ります。

生理前の微熱(37度前後)は、生理的な体温上昇の範囲内として珍しくありません。
しかし、体温が異常に高かったり、高温期が極端に短かったり長かったりする場合、または体温変化とともに他のつらい症状(だるさ、頭痛、イライラなど)が重く現れる場合は、PMSや他の病気、あるいは妊娠の可能性も考えられます。

ご自身の生理周期や基礎体温のパターンを把握することは、体の状態を理解し、生理前の不調に適切に対処するために非常に役立ちます。
基礎体温を毎日記録し、体温の変化だけでなく、体調の変化や症状なども一緒に記録することで、自分自身の体のリズムが見えてくるでしょう。

生理前の体温変化やその他の症状で悩んでいる場合は、体を温める、リラックスできる時間を作る、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけるといったセルフケアを試してみましょう。
それでも症状が改善しない場合や、いつもと違う明らかな異常を感じる場合は、迷わず婦人科を受診することをおすすめします。

生理前の体温変化は、自分自身の体と向き合う大切な機会です。
体のサインに耳を傾け、適切に対応することで、より快適に日々を過ごせるようになるでしょう。


免責事項

本記事は、生理前の体温変化に関する一般的な情報提供を目的としています。
医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
個人の体質や症状によっては、本記事の情報が当てはまらない場合もあります。
ご自身の体調に不安がある場合や、具体的な診断・治療については、必ず医師や専門家にご相談ください。
本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、執筆者および発行者は一切の責任を負いません。

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