「不正出血が茶色い…これって大丈夫?」
多くの女性が一度は経験したり、耳にしたりするかもしれません。生理期間ではないのに出血があることを不正出血と呼びますが、特に茶色い出血を見ると、不安に感じる方もいるでしょう。
この茶色い不正出血は、病気のサインである可能性もあれば、ホルモンバランスのちょっとした変化によるものなど、それほど心配いらないケースもあります。本記事では、不正出血がなぜ茶色くなるのかというメカニズムから、考えられる原因、時期別の特徴、そして「これは病院に行った方がいい」という受診の目安まで、分かりやすく解説します。ご自身の体の状態を理解し、不要な不安を減らすための一助となれば幸いです。
不正出血が茶色くなる原因とは?
なぜ茶色い?古い血液のメカニズム
私たちが一般的にイメージする生理の血液は、鮮やかな赤色をしています。これは、子宮内膜から剥がれ落ちた血液が比較的短時間で体外に排出されるためです。しかし、出血してから体外に出るまでに時間がかかると、血液は空気に触れて酸化が進みます。
酸化した血液は、含まれるヘモグロビンが変化し、色が濃く、黒っぽい赤や茶色へと変化していきます。また、量がごく少量である場合も、子宮や膣の中で他の分泌物(おりものなど)と混ざり合うことで、色が薄まり茶色く見えることがあります。
つまり、茶色い不正出血の多くは、少量であるか、体内に比較的長く留まっていた「古い血液」である可能性が高いと言えます。生理の終わりかけに茶色っぽい出血が見られるのも、経血が排出されるスピードが遅くなり、体内に残っていた古い血液が少量ずつ出てくるためです。
ただし、茶色いからといって全てが心配ないわけではありません。その茶色い出血を引き起こしている根本原因が、病気や体の不調と関連していることもあるからです。
茶色い不正出血を引き起こす主な原因(ホルモンバランス、病気など)
茶色い不正出血は、様々な原因によって引き起こされます。不正性器出血の原因は、器質的なもの(ポリープ、腺筋症、筋腫、悪性腫瘍、内膜増殖症など:PALM)と、器質的ではないもの(凝固障害、排卵機能不全、子宮内膜性、医原性、分類不能など:COEIN)に分けて整理されることもあります[2]。大きく分けて、ホルモンバランスの乱れによるものと、子宮や卵巣などの器質的な病気によるもの、妊娠に関連するものなどがあります。
1. ホルモンバランスの乱れ
女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの主要な女性ホルモンの働きによって生理周期がコントロールされています。これらのホルモンバランスが乱れると、子宮内膜が不安定になり、生理とは関係のない時期に出血を起こすことがあります。
- 原因となる要因: ストレス、疲労、不規則な生活、過度なダイエットや肥満、加齢(特に更年期)、睡眠不足、環境の変化など。
- 特徴: 少量の茶色い出血が数日続くことが多いです。時期は排卵期や生理前などに起こりやすいですが、周期に関係なく起こることもあります。
ホルモンバランスの乱れによる不正出血は、一時的なものであればそれほど心配ないことが多いですが、頻繁に起こる場合や量が増える場合は、背景に別の原因がある可能性も考えられます。
2. 器質的な病気
子宮や卵巣などに何らかの病変がある場合も、不正出血の原因となります。これらの病気が原因の場合、出血の色や量、期間だけでなく、痛みを伴ったり、おりものに変化が見られたりすることもあります。
- 子宮頸管ポリープ: 子宮の入り口(子宮頸管)にできる良性の小さなできものです。刺激を受けると(性行為や内診など)出血しやすい性質があり、少量の茶色い出血として現れることがあります。一般的に、40歳以上の出産経験のある女性によく見られますが、若い女性には稀です[1]。
- 子宮内膜ポリープ: 子宮の内側(子宮内膜)にできる良性のポリープです。生理期間以外に出血を起こすことがあり、茶色い出血として見られることもあります。大きさや数によって症状は異なります。
- 子宮筋腫: 子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。多くの場合、月経量増加や過長月経(生理が長引く)の原因となりますが、不正出血を引き起こすこともあります。筋腫ができる場所や大きさによって症状は異なります。
- 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖する病気です。強い生理痛や慢性的な骨盤痛が主な症状ですが、不正出血を伴うこともあります。
- 子宮頸がん・子宮体がん: 悪性腫瘍(がん)も不正出血の原因となります。初期の段階では自覚症状がないことも多いですが、進行すると性行為後の出血や生理期間以外の不正出血が見られるようになります。茶色い出血として始まることもあります。特に、閉経後に出血が見られた場合は注意が必要です。
- 膣炎・子宮頸管炎: 細菌やカビ、ウイルスなどの感染によって膣や子宮頸管に炎症が起きると、刺激で出血したり、おりものに血液が混じったりして茶色く見えることがあります。かゆみや悪臭のあるおりものを伴うことが多いです。
これらの器質的な病気による不正出血は、発見が遅れると治療が難しくなる場合もあります。特にがんなどの悪性疾患は早期発見が非常に重要です。
3. 妊娠に関連するもの
妊娠初期には、生理予定日頃やその後に少量の出血が見られることがあります。
- 着床出血: 受精卵が子宮内膜にもぐり込む際に起こる生理的な出血です。必ず起こるわけではありませんが、妊娠超初期症状の一つとして知られています。時期は生理予定日頃(受精から約7〜10日後)、期間は数時間~数日と短く、量は少量で、色はピンク色や茶色であることが多いです。
- 切迫流産: 妊娠初期に、赤ちゃんは育っているものの出血や腹痛が見られる状態です。少量の茶色い出血から始まることもあります。
- 絨毛膜下血腫: 妊娠初期に胎嚢(たいのう)を覆う絨毛膜と子宮壁の間に血腫ができる状態です。少量の茶色い出血が続くこともあります。
これらの妊娠に関連する出血は、妊娠週数や出血の状況によって対応が異なります。妊娠の可能性がある時期に不正出血があった場合は、早めに産婦人科を受診することが大切です。
4. その他
上記以外にも、茶色い不正出血の原因となることがあります。
- ピル(低用量ピル、中用量ピルなど)の服用: ピルを飲み始めたばかりの頃や、飲み忘れがあった場合、ピルの種類によっては、ホルモン量が不安定になり不正出血(破綻出血や消退出血とは異なる中間期出血)が起こることがあります。茶色い出血として見られることも少なくありません。多くの場合、体が慣れるにつれて落ち着いてきます。
- 薬剤の影響: 一部の薬剤(抗凝固薬など)が影響することもあります。
- 性行為による刺激: 性行為の際に、子宮頸部などが擦れて出血し、少量の場合は茶色く見えることがあります。子宮頸管ポリープなどがある場合も起こりやすいです。
このように、茶色い不正出血の原因は多岐にわたります。次に、生理周期やライフステージごとの茶色い出血の特徴について詳しく見ていきましょう。
【時期別】茶色い不正出血の可能性と特徴
不正出血が起こる時期によって、考えられる原因やその特徴は異なります。ここでは、生理周期の特定の時期や、妊娠、閉経といったライフステージごとの茶色い出血について解説します。
排卵期出血との違い・見分け方
生理と生理の間の時期、特に生理開始から10~14日目頃(排卵期)に起こる少量の出血を「排卵期出血」と呼びます。
- メカニズム: 排卵期には、卵胞を成熟させるエストロゲンというホルモンが一時的にピークを迎えた後、急激に減少します。このホルモン量の変動によって子宮内膜の一部が剥がれ落ち、出血することがあります。また、排卵の際に卵巣の表面が破れることによる物理的な出血が原因となることもあります。
- 特徴: 排卵期出血は、出血期間が1~3日程度と比較的短く、量も少量であることが多いです。色はピンク色や茶色であることがほとんどで、鮮血が出ることは稀です。排卵に伴う下腹部痛(排卵痛)やおりものの変化(透明で伸びるようになる)を伴うこともあります。
排卵期出血かどうかの見分け方:
生理周期から見て、排卵期(次の生理予定日の約14日前)に起こっているか。
出血量が少量で、期間が短いか。
鮮血ではなく、ピンク色や茶色であるか。
排卵痛を伴うか。
排卵期出血は生理的な現象であり、治療の必要がないことがほとんどです。ただし、排卵期出血だと思っていたら別の原因だった、というケースもあり得ます。出血量が多い、痛みが強い、期間が長いなど、いつもと違うと感じる場合は、念のため医療機関に相談することをおすすめします。
生理前や生理後に少量出る場合
生理の開始前や終了後に、通常の経血とは異なる茶色い出血が見られることもよくあります。
- 生理前に出る茶色い出血: 生理予定日の数日前から、少量の茶色い出血や茶色っぽいおりものが見られることがあります。これは、生理が始まる前にホルモンバランスが変化し、子宮内膜が剥がれ始める準備段階で起こる出血や、前回の生理の残りが少量排出されることで起こると考えられます。生理が始まれば、通常の経血(鮮血)に変わるのが特徴です。ただし、黄体機能不全(プロゲステロンの分泌が十分でない状態)など、ホルモンバランスの乱れによって生理前に不正出血が見られることもあります。
- 生理後に残る茶色い出血: 生理が終わった後も、少量の茶色い出血が数日続くことがあります。これは、子宮内に残っていた経血が少量ずつ排出される際に、時間が経って酸化し茶色くなったものです。生理の終わりかけの茶色い出血と同様のメカニズムです。徐々に出血量が減り、やがて止まるのが特徴です。
見分け方と注意点:
生理周期と関連して起こっているか。
生理が始まる前であれば、その後通常の生理が始まるか。
生理後であれば、徐々に出血が減って止まるか。
生理前後の少量の茶色い出血は、多くの場合生理的な範囲内と考えられます。しかし、生理前の出血が1週間以上続く、生理後の出血がダラダラと長引く(10日以上など)、量が徐々に増えてくる、痛みを伴うといった場合は、ホルモンバランスの大きな乱れや器質的な病気が隠れている可能性も否定できません。
妊娠超初期症状としての茶色い出血?
妊娠を希望している方にとって、生理予定日頃の不正出血は「妊娠?生理?」と特に気になる症状でしょう。前述の通り、妊娠超初期には着床出血として茶色い出血が見られることがあります。
- 着床出血: 受精卵が子宮内膜にもぐり込む際に起こる、ごく少量の出血です。時期は生理予定日頃(受精から約7〜10日後)、期間は数時間~数日と短く、量も少量で、色はピンク色や茶色であることが多いです。生理痛のような軽い下腹部痛を伴うこともあります。着床出血は全ての人に起こるわけではなく、約1割~2割程度の人が経験すると言われています。
- 切迫流産: 妊娠が成立した後、妊娠22週未満に子宮からの出血が見られる状態を切迫流産と言います。出血の量や色は様々で、少量の茶色い出血から始まることも少なくありません。お腹の張りや痛み(生理痛のような)を伴うこともあります。出血があっても赤ちゃんが育つことも多いですが、進行流産につながる可能性もあるため、妊娠が分かった後に出血が見られた場合は、出血の色や量に関わらずすぐに医療機関に連絡し、診察を受ける必要があります。
- 絨毛膜下血腫: 胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)を覆う絨毛膜と子宮壁の間に血腫ができる状態です。妊娠初期に見られることがあり、少量の茶色い出血や、時には鮮血が出ることもあります。安静などの指示が出されることがありますが、血腫が自然に吸収されて妊娠が継続することも多いです。
妊娠の可能性がある場合の茶色い出血の見分け方と対応:
性行為の心当たりがあり、生理予定日頃に出血が見られた場合は、妊娠検査薬を試してみる。
妊娠検査薬で陽性が出た後に出血が見られた場合は、出血の色や量に関わらずすぐに産婦人科を受診する。茶色い出血だから大丈夫と自己判断せず、必ず医師の指示を仰ぐことが重要です。
妊娠の診断を受けていない場合でも、いつもと違う出血で妊娠の可能性があると感じたら、まずは産婦人科に相談しましょう。
時期別の不正出血の特徴を理解することで、ある程度はご自身の状態を推測できますが、自己判断は禁物です。特に妊娠の可能性や、次に述べる「危険なサイン」がある場合は、必ず専門家である医師に相談してください。
こんな不正出血 茶色に注意!病院を受診する目安
茶色い不正出血の中には、それほど心配いらないものも多いと説明しましたが、中には病気のサインとして注意が必要なケースもあります。「これは病院に行った方がいい」という、医療機関を受診する目安となる症状を具体的に見ていきましょう。
痛みを伴う、量が多い、続くなどの危険な症状
単なる少量の茶色い出血ではなく、以下のような症状を伴う場合は、放置せずに必ず医療機関を受診しましょう。
- 出血量が多い、または徐々に増えてくる: 少量の茶色い出血だったものが、量が増えて生理のようになっている、あるいは鮮血が混じるようになってきた場合は注意が必要です。特に、ナプキン交換が頻繁に必要なほど量が多い場合や、塊(血の塊)が混じる場合は、子宮筋腫や子宮内膜症、場合によっては流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)などの可能性も考えられます。
- 強い痛み(腹痛、腰痛など)を伴う: 不正出血に加え、強い下腹部痛や腰痛、生理痛のような痛みが続く場合は、子宮内膜症や骨盤内炎症性疾患(PID)、卵巣の病気(卵巣嚢腫の破裂や茎捻転など)、異所性妊娠などの緊急性の高い状態である可能性も考えられます。痛みの程度が強い、市販薬が効かない、動けないほどの痛みがある場合は、速やかに受診してください。
- 出血が長く続く: 通常の生理期間ではない時期に、茶色い出血がダラダラと1週間以上続く、あるいは一旦止まってもすぐにまた出血するなど、出血が長引く場合は、ホルモンバランスの大きな乱れや、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮がんなどの器質的な病気が原因である可能性が考えられます。生理前後の出血や排卵期出血であれば通常は短期間で止まります。
- 発熱や悪臭のあるおりものを伴う: 不正出血に加え、発熱や、普段と違う色(黄色、緑色など)で悪臭のあるおりものを伴う場合は、性感染症を含む感染症(膣炎、子宮内膜炎、卵管炎など)を起こしている可能性が高いです。炎症が進行すると重篤になることもあります。
- 生理周期とは無関係に頻繁に起こる: 排卵期や生理前後のように周期と関連しているものではなく、不規則に不正出血を繰り返す場合も、ホルモンバランスの大きな乱れや、背景に何らかの病気が隠れている可能性が考えられます。
- 体調が著しく悪い: 不正出血と共に、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔色が悪いなどの貧血症状が見られる場合は、出血量が多くなっているサインかもしれません。
受診を検討するタイミングのまとめ:
茶色い出血でも量が多かったり、塊が混じる場合。
強い腹痛や腰痛を伴う場合。
1週間以上ダラダラと出血が続く場合。
発熱や悪臭のあるおりものを伴う場合。
生理周期と無関係に頻繁に不正出血を繰り返す場合。
体調不良や貧血症状を伴う場合。
いつもと違う、何かおかしいと感じる場合。
これらの症状に一つでも当てはまる場合は、自己判断せずに必ず婦人科を受診してください。早期に適切な診断と治療を受けることが重要です。
閉経後に不正出血 茶色が見られたら
閉経(生理が1年以上来ない状態)を迎えた後に出血が見られた場合、出血の色に関わらず、必ず医療機関を受診する必要があります。これは、閉経後の不正出血は、子宮がん(子宮体がん、子宮頸がん)やその他の悪性腫瘍が原因である可能性が、閉経前の不正出血に比べて高くなるためです。
閉経後は女性ホルモンの分泌が著しく低下するため、子宮内膜が薄くなり、不正出血は起こりにくくなります。そのため、閉経後に出血が見られた場合は、それが少量で茶色い出血であっても、放置せず「がんかもしれない」という意識を持って速やかに婦人科を受診することが非常に大切です。
閉経後の茶色い不正出血の原因としては、以下のようなものも考えられますが、自己判断は危険です。
- 萎縮性膣炎: 閉経により女性ホルモンが減少し、膣の粘膜が薄く乾燥しやすくなることで起こる炎症です。些細な刺激でも出血しやすくなり、少量の茶色い出血として現れることがあります。かゆみや性交痛を伴うこともあります。
- ホルモン補充療法の影響: 閉経後の症状緩和のためにホルモン補充療法を行っている場合、一時的に不正出血が見られることがあります。
- 老人性ポリープ: 子宮頸部などにできる良性のポリープです。
これらの良性の原因であることもありますが、まずは悪性腫瘍の可能性を除外するための検査を受けることが最も重要です。躊躇せず、すぐに婦人科を受診してください。
閉経後の不正出血における重要ポイント:
出血の色や量に関わらず、閉経後に出血があった場合は必ず婦人科を受診する。
特に子宮体がんや子宮頸がんの可能性を念頭に、詳しい検査を受ける必要がある。
不安を抱え込まず、専門医に相談する。
不正出血 茶色に関するよくある質問
不正出血、特に茶色い出血について、多くの女性が抱きやすい疑問にお答えします。
茶色い不正出血中でも妊娠は可能?
茶色い不正出血が見られる状況で妊娠が可能かどうかは、その不正出血の原因によります。
- 排卵期出血の場合: 排卵期出血は排卵の時期に起こるものです。排卵の前後数日間が妊娠しやすい期間とされているため、排卵期出血が見られている時期やその直後は、妊娠の可能性は十分にあります。ただし、出血があること自体が妊娠のしやすさに直接影響を与えるわけではありません。
- 生理前・生理後の出血の場合: 生理が近づいている、あるいは生理が終わろうとしている時期の出血であれば、その時期は妊娠しやすい期間ではありません。生理前の出血であれば、その後生理が始まる可能性が高いです。
- ホルモンバランスの乱れによる不正出血の場合: ホルモンバランスの乱れが原因の場合、排卵が正常に行われていない可能性も考えられます。排卵がなければ妊娠は成立しないため、この場合は妊娠しにくい状況と言えます。ただし、ホルモンバランスの乱れの程度によっては排卵が起こることもありますので、不正出血があるからといって妊娠しないと断定はできません。
- 器質的な病気による不正出血の場合: 子宮筋腫や子宮内膜ポリープなど、病気が原因で不正出血が起こっている場合、その病気自体が妊娠の成立や継続に影響を与える可能性があります。病気の種類や進行度によって異なりますが、不妊の原因となったり、妊娠中にトラブルを起こしたりすることがあります。不正出血の原因となっている病気を治療することで、妊娠が可能になるケースもあります。
- 妊娠初期の出血の場合: すでに妊娠が成立しているものの、着床出血や切迫流産などで出血が見られている状況です。この場合は、妊娠はすでに成立しています。
結論として、茶色い不正出血が見られるからといって一概に妊娠できないわけではありませんが、その原因によっては妊娠の可能性が低かったり、妊娠しても継続が難しかったりする場合があります。妊娠を希望している方で不正出血が続く場合は、一度婦人科を受診し、原因を調べてもらうことをお勧めします。
ピル服用中に茶色い出血があったら?
低用量ピルなどのホルモン剤を服用中に、生理とは異なる時期に少量の茶色い出血が見られることは珍しくありません。これを不正性器出血(消退出血以外の出血)と呼びます。
ピル服用中の不正性器出血の原因としては、主に以下のものが考えられます。
- 飲み始めの慣らし期間: ピルの服用を開始して最初の数シートは、体がホルモンバランスの変化に慣れる期間であるため、不正出血が起こりやすくなります。特に茶色い出血や少量の鮮血が見られることがあります。多くの場合、2~3シート服用を続けるうちに落ち着いてきます。
- 飲み忘れ: ピルを飲み忘れると、血中のホルモン濃度が一時的に低下し、子宮内膜が不安定になって不正出血が起こることがあります。特に休薬期間の前の飲み忘れは出血につながりやすいです。
- ピルの種類や体との相性: 使用しているピルのホルモン量や種類が体質に合わない場合、不正出血が続くことがあります。この場合は、医師と相談して別の種類のピルに変更することで改善することがあります。
- 他の薬剤との相互作用: 一部の薬剤(抗凝固薬など)は、ピルの効果を弱めたり、不正出血を引き起こしたりすることがあります。
- 病気が原因の場合: まれに、ピルを服用していても、子宮頸管ポリープや子宮頸がんなど、ピルとは無関係な病気が原因で不正出血が起こっている可能性もあります。
ピル服用中の茶色い出血への対応:
飲み忘れがないか確認する: もし飲み忘れていたら、指示通りに服用を再開してください。
飲み始めの場合は様子を見る: 最初の数シートであれば、体が慣れるまで様子を見ても良いことが多いです。
出血が続く、量が増える、痛みを伴うなどの場合: 出血が長期間続く(例えば3シート以上)、量が増える、鮮血になる、強い痛みを伴う、発熱や悪臭のあるおりものを伴うといった場合は、病気が隠れている可能性も考えられます。必ずピルを処方してもらっている医師に相談しましょう。自己判断でピルの服用を中止したりせず、医師の指示を仰ぐことが重要です。
ピル服用中の不正出血は、ほとんどが心配ないものですが、念のため医師に相談することで、より安心してピルを継続できるでしょう。
その他、不正出血 茶色に関する疑問
Q: 不正出血で病院を受診する場合、何科に行けば良いですか?
A: 女性器からの出血ですので、婦人科を受診してください。
Q: 病院ではどのような検査を行いますか?
A: 不正出血の原因を特定するために、以下のような検査が行われることが多いです。
- 問診: 出血の色や量、期間、他の症状(痛み、おりものの変化など)、生理周期、妊娠の可能性、既往歴、薬剤の服用歴などを詳しく聞かれます。
- 内診: 膣や子宮頸部の状態を観察し、出血している部位などを確認します。
- 超音波検査: 子宮や卵巣に筋腫、ポリープ、嚢腫などの病変がないかを超音波で調べます。
- 子宮頸がん検診・子宮体がん検診: 特に閉経後の出血や、がんの可能性が疑われる場合に必須の検査です。子宮の細胞を採取して検査します。
- ホルモン検査: ホルモンバランスの乱れが疑われる場合に、血液検査でホルモン値を調べます。
- 感染症検査: 膣炎などが疑われる場合に、膣分泌物などを採取して検査します。
Q: ストレスは不正出血に関係ありますか?
A: はい、ストレスはホルモンバランスの乱れの大きな原因の一つであり、不正出血を引き起こすことがあります。過度なストレスは脳の視床下部に影響を与え、生理周期を司るホルモンの分泌を乱す可能性があります。心身のリラックスを心がけることも大切です。
Q: 不正出血の色は、原因によって違いがありますか?
A: 茶色い出血は古い血液である可能性が高いですが、鮮血は比較的新しい出血です。しかし、出血の色だけで原因を特定することはできません。例えば、子宮がんでも最初は少量の茶色い出血から始まることもありますし、子宮頸管ポリープからの出血は刺激で鮮血が出ることもあります。出血の色だけでなく、量、期間、他の症状(痛み、おりもの、周期との関連など)を総合的に見て判断する必要があります。
Q: 不正出血がある場合、性行為は控えた方が良いですか?
A: 出血の原因によります。性行為が刺激となって出血が悪化する場合や、感染症の可能性がある場合は控えた方が良いでしょう。特に、子宮頸管ポリープや膣炎、子宮頸がんなどが疑われる場合は、性行為を控えるよう指導されることがあります。自己判断が難しい場合は、医師に相談してください。
不正出血の原因・症状・対処法の比較表
特徴 | 考えられる主な原因 | 症状の特徴(不正出血以外) | 医療機関受診の目安 |
---|---|---|---|
茶色/少量 | ホルモンバランスの乱れ 排卵期出血 生理前/後 着床出血 ピル服用中 萎縮性膣炎(閉経後) 子宮頸管ポリープ(軽度) |
なし、軽い腹痛(排卵期/着床)、おりもの変化(排卵期)、かゆみ(膣炎) | 量が増える、続く(1週間超)、痛み伴う、他の症状伴う、閉経後なら必ず |
鮮血/少量 | 子宮頸管ポリープ 性行為による刺激 妊娠初期の出血(切迫流産など) 子宮頸がん(初期) |
性交後に出血、腹痛(妊娠初期)、おりもの変化 | 続く、量が増える、痛みを伴う、他の症状伴う、閉経後なら必ず |
出血量が多い | ホルモンバランスの大きな乱れ 子宮筋腫 子宮内膜ポリープ 子宮内膜症 子宮体がん 流産/異所性妊娠(妊娠初期) |
強い生理痛、過長月経、腹痛、貧血症状、お腹の張り | 量が多い、塊が混じる、強い痛み、体調不良 |
出血が続く | ホルモンバランスの乱れ 子宮内膜ポリープ 子宮筋腫 子宮がん(頸がん/体がん) 妊娠初期の出血 |
周期の乱れ、生理痛、お腹の張り、体重減少(がん)、つわり/腹痛(妊娠) | 1週間以上続く、量が増える、痛みを伴う、他の症状伴う、閉経後なら必ず |
痛み伴う | 子宮内膜症 骨盤内炎症性疾患 卵巣の病気 異所性妊娠 流産 子宮筋腫 |
強い生理痛、慢性的な骨盤痛、発熱、悪臭おりもの、吐き気/めまい(異所性) | 強い痛み、市販薬効かない、動けない、発熱、悪臭おりもの、体調不良 |
閉経後 | 子宮がん(体がん/頸がん) 萎縮性膣炎 老人性ポリープ ホルモン補充療法の影響 |
なし、かゆみ、性交痛 | 出血の色や量に関わらず必ず受診 |
※上記の表は一般的な目安であり、全てのケースに当てはまるわけではありません。症状は個人差があり、複数の原因が重なっている可能性もあります。不安な場合は必ず医療機関を受診してください。
まとめ|不正出血 茶色で不安な場合は医療機関へ相談
不正出血、特に茶色い出血は、多くの女性が経験する可能性のある症状です。茶色く見えるのは、出血から時間が経って血液が酸化した「古い血液」であることが多いですが、その原因はホルモンバランスのちょっとした変化から、子宮や卵巣の病気、妊娠に関連するものまで多岐にわたります。
排卵期出血や生理前後の少量の茶色い出血は、生理的な現象であることが多く、それほど心配いらないケースが少なくありません。しかし、不正出血の色が茶色であっても、
- 出血量が多い、または徐々に増えてくる
- 強い腹痛や腰痛を伴う
- 出血が長く続く(1週間以上など)
- 発熱や悪臭のあるおりものを伴う
- 生理周期と無関係に頻繁に繰り返す
- 閉経後に出血が見られた
といった場合は、病気が隠れているサインかもしれません。特に閉経後の不正出血は、悪性腫瘍の可能性も考慮し、速やかに婦人科を受診することが非常に重要です。
「茶色いから大丈夫だろう」「もう少し様子を見よう」と自己判断せず、少しでも不安を感じる場合は、迷わず婦人科を受診してください。早期に適切な診断を受けることで、もし病気があったとしても早期に治療を開始でき、体の負担を減らすことにつながります。また、病気でなかったとしても、医師に相談することで不安が解消され、安心して日々を過ごせるようになります。
ご自身の体からのサインに耳を傾け、適切に対応することが、健康を守る上で何よりも大切です。
免責事項:
本記事は、不正出血 茶色に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療法を推奨するものではありません。個々の症状や状態については個人差があり、医学的な判断は専門医によって行われるべきです。本記事の情報に基づいてご自身で判断せず、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本記事の情報の利用により生じた結果について、当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
引用元:
[1] Mount Sinai, Cervical Polyps, https://www.mountsinai.org/health-library/diseases-conditions/cervical-polyps
[2] American Academy of Family Physicians, Abnormal Uterine Bleeding in Premenopausal Women, https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2019/0401/p435.html