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診断書はあとから書いてもらえる?もらい方・注意点を徹底解説

診断書が必要になったけれど、その時点ではもらっていなかった。後から必要だと気づいた場合に、「診断書を後から書いてもらうことはできるのだろうか?」と不安に思う方は少なくありません。結論から言えば、診断書を後から書いてもらうことは可能です。ただし、いくつかの条件や注意点があります。この記事では、診断書を後日発行してもらう方法や必要な手順、費用、そして「過去の日付に遡って書いてもらえるのか?」「どんな場合に断られるのか?」といった多くの人が疑問に思う点について、詳しく解説していきます。いざという時に慌てないために、ぜひこの記事を読んで、診断書の後日発行について正しい知識を身につけてください。

はい、診断書を後から書いてもらうことは、基本的に可能です。多くの医療機関では、患者さんからの申請に基づいて診断書を発行する体制が整っています。受診時に診断書を申請し忘れたり、後になってから公的な手続きや保険金請求などで必要になったりすることはよくあるため、医療機関もこうしたニーズに対応しています。

ただし、診断書は、医師が患者さんの診察や治療に基づいて作成する公式な書類です。そのため、後日発行であっても、過去の診療内容が正確に記録されていることが前提となります。医師は、診断書を作成する際に、当時のカルテ(診療録)を確認して内容を記載します。したがって、診断書を後日発行してもらうためには、受診した医療機関にカルテが保存されている必要があります。

法律で定められたカルテの保存期間

診断書の後日発行が可能であることの重要な根拠となるのが、カルテの保存期間です。日本の医療法では、医療機関は診療に関する諸記録(カルテなど)を完結の日から5年間保存することが義務付けられています(医療法第25条)。

この「完結の日」とは、一般的にその診療行為が終了した日を指します。例えば、ある病気の治療が完了した日や、患者さんがその医療機関への通院を終了した日などが該当します。ただし、最後の診療日から起算することが多いようです。

つまり、原則として最後の受診日から5年以内であれば、受診した医療機関にカルテが保存されている可能性が高く、それに基づいて診断書を後日作成してもらうことが期待できます。逆に、最後の受診日から5年以上経過している場合は、医療機関によってはカルテがすでに破棄されている可能性があり、診断書の発行が難しくなることがあります。ただし、医療機関によっては自主的に5年を超えて保存している場合もありますので、まずは医療機関に問い合わせてみることが大切です。

また、診断書には、医師が診察に基づいて診断した病名や症状、治療内容、今後の見込みなどが記載されます。後日発行の場合でも、診断書の内容はあくまで受診した時点での患者さんの状態や診断に基づいている必要があります。後から症状が変わったり、別の医療機関で別の診断を受けたりした場合でも、その医療機関が発行する診断書には、その医療機関で診療した内容のみが反映されます。

目次

診断書を後から書いてもらう際のもらい方・手順

診断書を後日発行してもらう際の手順は、医療機関によって多少の違いはありますが、一般的な流れは以下の通りです。

医療機関へ発行を依頼する方法

後日診断書の発行を依頼する場合、いくつかの方法があります。

  • 直接来院して受付に依頼する: 最も確実な方法の一つです。医療機関の受付窓口に行き、診断書の発行を依頼します。その際、いつ頃受診したか、何のために診断書が必要か(例:保険金請求、会社への提出など)、診断書の提出先で指定された様式があるかなどを伝えましょう。指定の様式がある場合は、忘れずに持参してください。多くの医療機関では、診断書の発行申請用紙が用意されていますので、必要事項を記入して提出します。
  • 電話で問い合わせて依頼する: 来院が難しい場合は、まず電話で医療機関に問い合わせてみるのも良いでしょう。電話で後日発行が可能か、必要な手続き、持ち物、費用、おおよその発行期間などを確認できます。医療機関によっては、電話での受付後、郵送やFAXで申請書を送付してくれる場合もあります。
  • 医療機関のウェブサイトを確認する: 一部の医療機関では、ウェブサイトに診断書発行に関する案内や申請書のダウンロードページを設けている場合があります。事前に確認しておくとスムーズです。オンラインで申請を受け付けている医療機関はまだ少数ですが、今後増える可能性もあります。

依頼する際は、スムーズな手続きのために以下の情報を正確に伝えることが重要です。

  • 患者さんの氏名、生年月日、診察券番号(分かれば)
  • 最後に受診したおおよその時期
  • 診断書が必要な目的(提出先)
  • 診断書の必要な内容(特定の病名や期間、治療内容など)
  • 指定の診断書用紙の有無

後日発行に必要な持ち物

診断書を後日発行してもらう際に必要となる主な持ち物は以下の通りです。医療機関によって異なりますので、事前に確認しておくことをお勧めします。

  • 本人確認書類: 運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど。患者さん本人であることを証明するために必要です。
  • 診察券: 診察券があると、受付での手続きがスムーズに進みます。
  • 診断書の発行申請書: 医療機関所定の申請書。窓口で記入することも、事前にウェブサイトからダウンロードして記入しておくことも可能です。
  • 指定の診断書用紙: 保険会社や提出先から特定の様式を求められている場合は、その用紙を忘れずに持参または郵送します。
  • 委任状(代理人が申請する場合): 患者さん本人ではなく、ご家族などが代理で申請・受け取りを行う場合は、患者さん本人が署名・捺印した委任状が必要となるのが一般的です。代理人の本人確認書類も必要になります。
  • 印鑑: 医療機関によっては、申請書に捺印が必要な場合があります。
  • 費用: 診断書の発行にかかる費用。現金払いが基本ですが、クレジットカードなど他の支払い方法が可能な場合もあります。事前に支払い方法も確認しておくと安心です。

診断書の発行にかかる費用と期間

診断書の発行は、基本的に健康保険が適用されない自費診療(自由診療)となります。そのため、費用は医療機関が独自に設定しています。

診断書の発行にかかる費用の目安

書類の種類 費用の目安(税込) 備考
一般的な診断書 3,000円~5,000円 簡潔な病状や経過を記載するもの
保険会社指定の診断書 5,000円~10,000円 詳細な治療経過や手術歴などを記載するもの
傷病手当金申請用意見書など 3,000円~5,000円 公的手続き用の書類

※上記はあくまで目安であり、医療機関の種類(病院か診療所か)、地域、診断書の内容の複雑さによって大きく変動します。高額な場合は1万円を超えることもあります。事前に医療機関に確認することをお勧めします。

診断書の発行にかかる期間

診断書の発行にかかる期間も、医療機関や時期によって異なります。

  • 一般的な期間: 通常、申請から1週間から2週間程度かかることが多いです。
  • 日数がかかる理由:
    • 担当医師が診療の合間に作成するため、すぐに着手できない場合がある。
    • カルテの確認や内容の整理に時間がかかる場合がある。
    • 医療機関の受付や文書発行部門が混雑している場合がある。
    • 土日祝日や年末年始などの休診日を挟む場合。
    • 指定の様式が複雑で記載事項が多い場合。

お急ぎの場合でも、即日発行は難しいことがほとんどです。提出期限がある場合は、余裕を持って早めに依頼することが重要です。どうしても急ぐ必要がある場合は、依頼時にその旨を伝え、最短でいつ頃発行可能か相談してみましょう。ただし、対応してもらえるかどうかは医療機関の判断によります。

診断書を後から書いてもらう上での注意点

診断書を後日発行してもらう際には、いくつか特に注意しておきたい点があります。これらの点を理解しておくことで、スムーズな手続きにつながり、トラブルを防ぐことができます。

診断書の日付を過去に遡って書いてもらえるか

診断書に記載される「診断日」について、「受診日ではなく、後日発行を依頼した日付になってしまうのか?」「過去の受診日まで遡って書いてもらえるのか?」という疑問を持つ方が多いです。

診断書の日付は「診断を行った日」または「発行を依頼された日」

医師法上、診断書には「医師が診断を行った日」を記載することが原則です。後日発行の場合、通常は「診断を行った日(=受診日)」または「診断書の発行を依頼された日」のいずれかを記載します。

  • 「診断を行った日」を記載する場合: 過去の受診時に医師が下した診断内容について証明する場合です。この場合、診断書の発行日は後日になりますが、診断が確定した日(過去の受診日)が明記されます。これが一般的な診断書の後日発行の形です。
  • 「発行を依頼された日」を記載する場合: 後日改めて患者さんの状態を診察し、その時点での状態について診断書を作成する場合などです。

「過去に遡って」特定の期間の診断を証明することの難しさ

多くの人が知りたいのは、「入院期間の初日まで」「病気になった日まで」など、過去の特定の期間について遡って病状を証明する診断書を後日書いてもらえるか、という点かもしれません。

これについては、原則として、医師が実際に診察して診断を下した期間や状態についてのみ診断書は発行されます。

  • 受診期間中の病状や期間: 診断書は、カルテに記録されている受診時の所見、検査結果、治療内容などに基づいて作成されます。したがって、その医療機関を受診していた期間中の病状や、その期間にわたる診断については、カルテに記録があれば後日でも診断書に記載してもらうことが可能です。例えば、「〇月〇日から〇月〇日まで、△△病のため入院加療を要した」といった内容は、入院期間中のカルテ記録があれば記載してもらえます。
  • 受診期間外の病状や期間: しかし、その医療機関を受診していなかった期間や、医師が直接診察・診断していない期間について、「この期間も同じ病状でした」「この日から病気になったことにしてください」といった内容で診断書を書いてもらうことは、医師法や医療倫理に反する行為となるため、基本的には不可能です。医師は、自身の責任において診断書を作成するため、実際に診察していない過去の状態について虚偽または不確かな内容を記載することはできません

例えば、ある病気でA病院に1ヶ月入院し退院後、B病院に転院して治療を続けたとします。退院後しばらく経ってからA病院に「入院前の〇月〇日から入院期間も含めて診断書を書いてほしい」と依頼しても、A病院では入院前の期間の診断をしていないため、入院期間についてのみ診断書が発行されるのが一般的です。

したがって、「診断書を過去に遡って書いてもらう」という表現は、正確には「過去に受診・診断された内容について、後日診断書として発行してもらう」という意味になります。実際に診察を受けていない過去の期間や、医師が確認できない状態について、後日都合の良いように日付を遡って記載してもらうことはできないと理解しておきましょう。

診断書の発行を断られるケース

診断書は後日でも発行可能ですが、場合によっては発行を断られることもあります。主なケースは以下の通りです。

  • カルテが保存されていない: 上記の通り、医療法で定められた5年の保存期間を過ぎており、医療機関がカルテを破棄している場合。カルテがないため、過去の診療内容を確認できず、診断書を作成することができません。
  • カルテの内容が不十分または確認できない: 過去の診療記録が残っていても、記載内容が簡潔すぎる、経年劣化で見にくいなど、診断書に必要な情報がカルテから十分に読み取れない場合。
  • 依頼内容が不適切、または医師が診断できない内容:
    • 受診していない期間について病状を証明してほしいなど、医師が診断していない内容の記載を求める場合。
    • 診断書の発行目的が不正であると疑われる場合。
    • 依頼された内容が、医学的に診断として確定できないものや、医師の専門外である場合。
  • 非常に長期間前の受診: カルテが残っていても、あまりにも長期間前の受診の場合、担当した医師が既に退職していたり、当時の状況を医師自身が思い出せなかったりすることがあります。医師によっては、カルテだけでは責任を持って診断書を作成できないと判断し、断る場合があります。
  • 医療機関の規定: 医療機関によっては、診断書の発行に関する独自の規定(例:特定の目的の診断書は発行しない、一定期間を過ぎたものは発行しないなど)を設けている場合があります。
  • 手数料の未払い: 診断書発行は自費診療であり、手数料の支払いが確認できない場合。

これらの理由で診断書の発行を断られた場合、その医療機関から診断書を取得することは難しくなります。その場合は、必要であれば別の医療機関(もしあれば、その病気で次に受診した医療機関など)に相談するか、診断書の提出先に代替書類で対応可能かなどを確認する必要があります。

診断書を保険金請求に利用する場合

診断書を後日発行してもらう理由として最も多いケースの一つが、生命保険や医療保険の保険金・給付金の請求です。保険金請求に診断書を利用する場合に知っておきたい点があります。

医療保険における診断書の提出期限

保険金や給付金の請求には、通常、保険会社所定の診断書が必要です。保険会社は、この診断書に記載された傷病名、治療内容、入院期間、手術の有無などを確認し、保険契約に基づいて保険金や給付金の支払いを判断します。

多くの保険契約では、保険金・給付金の請求には請求事由が発生した日(例:退院日、手術日など)から〇年以内という提出期限が設けられています。この期限は保険会社や契約内容によって異なりますが、一般的には3年となっていることが多いです。

診断書の発行には時間がかかること、後日発行の場合はさらに手続きに日数がかかる可能性もあることを踏まえると、保険金請求が必要になったらできるだけ早く保険会社に連絡し、必要書類(診断書用紙を含む)を取り寄せ、速やかに医療機関に診断書の発行を依頼することが重要です。

もし、診断書の発行が提出期限に間に合わない可能性がある場合は、必ず事前に保険会社に連絡し、状況を説明しましょう。特別な理由があれば、提出期限を延長してもらえる場合や、診断書以外の書類(例えば、診療報酬明細書や退院証明書など)で代替できないか相談できる場合があります。保険会社とのコミュニケーションを密に取ることで、請求漏れやトラブルを防ぐことができます。

また、保険会社指定の診断書用紙は、医療機関所定の診断書とは様式が異なります。保険会社から送付された診断書用紙を医療機関に渡し、これに記入してもらうよう依頼する必要があります。医療機関によっては、保険会社指定の診断書の方が記載事項が多く、費用も高くなる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ:診断書の後日発行について

診断書を後から書いてもらうことは、多くのケースで可能です。しかし、いくつかの重要な注意点があります。

  • 診断書は、受診時に医師が診断した内容に基づいて作成されます。後日発行の場合でも、原則として過去の受診期間や、カルテに記録された内容についての証明となります。
  • 診断書に記載される診断日は、受診日(診断を行った日)または発行を依頼した日となるのが一般的です。実際に診察を受けていない過去の期間について、都合の良いように遡って診断書を書いてもらうことは、医師法に抵触するためできません
  • 診断書の後日発行は、医療法で定められたカルテの保存期間(原則5年)が重要なポイントとなります。最後の受診日から5年以上経過している場合、カルテが破棄されている可能性があり、発行が難しくなることがあります。
  • 後日発行を依頼する際は、受診した医療機関の受付に直接行くか、電話で問い合わせるのが一般的な方法です。事前に必要書類(本人確認書類、指定様式など)や費用、期間を確認しておきましょう。
  • 診断書発行は自費診療となり、費用は医療機関によって異なります(目安:3,000円~10,000円程度)。発行までには通常1~2週間程度かかります。
  • カルテがない、カルテの内容が不十分、依頼内容が不適切(医師が診断できない内容や不正目的など)、非常に長期間前の受診、といった場合には、診断書の発行を断られることがあります。
  • 保険金請求などで診断書が必要な場合は、保険契約で定められた提出期限(一般的に請求事由発生日から3年)に注意が必要です。診断書の発行には時間がかかるため、早めに保険会社に連絡し、医療機関に依頼することが大切です。期限に間に合わない場合は、事前に保険会社に相談しましょう。

診断書の後日発行は可能な手続きですが、スムーズに進めるためには、受診した医療機関への早めの連絡と、正確な情報提供が鍵となります。いざという時に慌てないよう、この記事の情報が参考になれば幸いです。

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