カンジダ症は、カンジダという真菌(カビの一種)によって引き起こされる感染症です。特に女性では腟や外陰部でよくみられ、強いかゆみやおりものの異常といった不快な症状を引き起こします。男性でも亀頭や包皮に感染することがあります。
適切な治療を行えば、症状を改善させることができますが、カンジダ症の治療薬にはさまざまな種類があり、市販薬で対応できる場合と、医療機関での診察・処方が必要な場合があります。また、症状の程度や感染部位、過去の罹患歴によっても適した治療薬は異なります。
この記事では、カンジダ症の治療薬について、市販薬と病院で処方される医療用医薬品の種類や特徴、それぞれの選び方、効果的な使い方、治療期間、再発時の対策、そして医療機関を受診すべき目安について詳しく解説します。ご自身の状況に合わせて、適切な治療薬を選択し、症状の改善を目指すための参考にしてください。
カンジダ治療薬の種類を知る
カンジダ症の治療に用いられる薬は、大きく分けて「市販薬」と「病院で処方される医療用医薬品」の2種類があります。どちらもカンジダ菌の増殖を抑える抗真菌薬を有効成分としていますが、使用できる条件や剤形、成分濃度などに違いがあります。
カンジダ 市販薬の種類と特徴
市販薬は、医療機関を受診せずに薬局やドラッグストアで購入できる治療薬です。主に、過去に医師から腟カンジダの診断・治療を受けたことがあり、今回の症状が再発であると自分で判断できる場合に限って使用が認められています。初めて発症した場合や、症状がカンジダ症によるものか確信が持てない場合は、必ず医療機関を受診する必要があります。
市販薬の主な有効成分としては、イミダゾール系の抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩、クロトリマゾール、オキシコナゾール硝酸塩など)が一般的です。これらの成分がカンジダ菌の細胞膜の合成を阻害することで、菌の増殖を抑え、症状を緩和します。
腟カンジダ市販薬(腟錠・クリーム)
女性の腟カンジダ症に対する市販薬には、主に「腟錠」と「クリーム」の2つの剤形があります。
- 腟錠(ちつじょう)
腟内に挿入して使用する錠剤タイプの薬です。有効成分が腟内でゆっくりと溶け出し、直接的にカンジダ菌に作用します。一般的に、就寝前に使用することが推奨されており、数日間の連日使用で治療を完了させるものが主流です(例: 1日1回6日間、または1日1回1〜3日間など、製品によって異なります)。腟内のカンジダ菌に集中的に作用するため、根本的な治療に適しています。挿入用のアプリケーターが付属している製品もあります。 - クリーム(塗り薬)
外陰部のかゆみや炎症に対して使用する塗り薬です。有効成分が皮膚から吸収され、外陰部にいるカンジダ菌に作用します。かゆみが強い場合や、外陰部の赤み・腫れが気になる場合に適しています。腟錠と併用することで、腟内と外陰部の両方の症状に対応できる製品もあります。単独で使用する場合は、外陰部の洗浄後に1日数回塗布するのが一般的です。
市販薬の多くは、腟錠とクリームがセットになった製品や、どちらか一方の製品として販売されています。ご自身の主な症状(腟内のおりもの異常や不快感が主か、外陰部のかゆみが主かなど)に合わせて選ぶことができます。
市販薬が使えるケース、使えないケース
市販薬は便利ですが、使用できる条件が厳しく定められています。正しく判断しないと、症状が悪化したり、別の病気を見逃したりするリスクがあります。
市販薬が使えるケース:
- 過去に医師から腟カンジダの診断・治療を受けたことがある。
- 今回の症状が、過去に診断された腟カンジダの症状(白いカッテージチーズ状のおりもの、外陰部のかゆみなど)と酷似している。
- 症状が再発であり、初めての発症ではない。
市販薬が使えないケース(必ず病院を受診が必要なケース):
- 腟カンジダの症状が初めてである。
- 症状がカンジダ症によるものか確信が持てない(他の性感染症や皮膚疾患の可能性も考えられるため)。
- 発熱、下腹部痛など、カンジダ症以外の全身症状がある。
- 症状が重い、または悪化している。
- 市販薬を数日使用しても症状が改善しない、または悪化した。
- 過去にカンジダ症と診断されていても、今回の症状が以前と異なる。
- 妊娠中または授乳中である。
- 糖尿病など、免疫機能が低下する可能性のある基礎疾患がある。
- 他の薬(特に免疫抑制剤など)を服用している。
- 男性のカンジダ症(男性用の市販薬は限られているか、ほとんどありません。詳細は後述します)。
これらの条件に当てはまる場合は、自己判断で市販薬を使用せず、必ず医療機関(婦人科や泌尿器科など)を受診してください。医師による正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。
病院処方のカンジダ医療用医薬品
医療機関を受診した場合、医師は患者さんの症状、既往歴、性交渉の有無などを確認し、必要に応じて検査(顕微鏡検査や培養検査)を行います。その診断に基づいて、より効果の高い医療用医薬品が処方されます。病院で処方される薬は、市販薬よりも成分の種類が多く、成分濃度が高い場合や、全身に作用する飲み薬が選択できるなど、より幅広い治療が可能です。
病院処方薬の主な有効成分も抗真菌薬ですが、アゾール系(フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾールなど)、ポリエン系(アムホテリシンB、ナイスタチン)など、様々な種類があります。
飲み薬(内服薬)について(カンジダ 飲み薬 一回など)
カンジダ症の治療に飲み薬(内服薬)が処方されることがあります。特に、腟カンジダが再発を繰り返す場合や、他の部位(口腔、食道など)にカンジダ症がある場合、外用薬での治療が難しい場合などに選択されます。
飲み薬の大きな特徴は、体の内側からカンジダ菌に作用するため、腟だけでなく全身に存在するカンジダ菌にも効果が期待できる点です。また、外用薬の使用が難しい方や、短期間で治療を終えたい方にとって便利な選択肢となります。
よく用いられる飲み薬としては、「フルコナゾール(商品名:ジフルカンなど)」があります。フルコナゾールは効果が高く、通常1回の服用で腟カンジダの治療が完了するものが多いです。症状が重い場合や再発しやすい場合は、複数回に分けて服用することもありますが、多くの場合は単回療法(1回だけ飲む)で効果が得られます。ただし、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。飲み薬は全身に作用するため、他の薬との飲み合わせや副作用にも注意が必要です。
飲み薬の他に、イトラコナゾール(商品名:イトリゾールなど)が処方されることもあります。こちらはカンジダの種類や部位によって使い分けられます。
病院処方の外用薬(腟錠、クリーム)
病院でも、市販薬と同様に腟錠やクリームといった外用薬が処方されます。病院処方の外用薬は、市販薬よりも有効成分の種類が豊富だったり、成分濃度が高かったりすることがあります。
- 腟錠
市販薬と同様に腟内に挿入して使用します。成分の種類や含有量、治療期間は様々です。数日間の連日投与や、週に1回の維持療法として使用される場合もあります。病院で処方される腟錠は、より広範囲のカンジダ菌に効果を発揮するものや、再発予防効果を持つものなどがあります。 - クリーム・軟膏
外陰部だけでなく、男性の陰部、あるいは口腔内など、感染部位に応じたクリームや軟膏が処方されます。病院処方薬は、市販薬では対応できない種類のカンジダ菌にも有効な成分を含むものや、炎症を抑える成分が配合されたものなどがあります。通常、1日数回、患部に塗布して使用します。
外用薬は直接患部に作用するため、全身への影響が少ないというメリットがあります。しかし、感染が腟の深部まで及んでいる場合や、症状が重い場合には、外用薬だけでは十分な効果が得られないこともあります。医師は、症状の程度や感染部位、患者さんの状況を総合的に判断して、最適な剤形と成分の薬を選択します。
治療薬の種類 | 入手方法 | 主な剤形 | 主な有効成分の種類 | 適応 | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
市販薬 | 薬局・ドラッグストア | 腟錠、クリーム | イミダゾール系抗真菌薬(ミコナゾールなど) | 過去に診断された腟カンジダの再発 | 自己判断で使用可能だが条件あり。初めての場合は不可。剤形が限られる。 |
医療用医薬品 | 病院処方 | 飲み薬、腟錠、クリーム、軟膏 | アゾール系、ポリエン系など多様 | カンジダ症全般(初発、再発、重症、全身など) | 医師の診断に基づく。成分の種類や濃度、剤形が豊富。飲み薬(1回服用など)も選択肢。 |
カンジダ治療薬の正しい選び方
カンジダ治療薬を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。最も重要なのは、自身の症状が本当にカンジダ症によるものか、そしてそれが初めての発症なのか再発なのかを正しく判断することです。
女性のカンジダ治療薬の選び方
女性の場合、カンジダ症の多くは腟カンジダです。選び方のフローは以下のようになります。
- 初めての症状か、過去にも経験があるか?
- 初めての場合: 必ず医療機関(婦人科)を受診してください。自己判断せず、正確な診断を受けることが最優先です。
- 過去に医師から診断・治療を受けたことがあり、今回の症状が以前と酷似している場合(再発): 市販薬を使用できる可能性があります。
- 市販薬を使用する場合、どの剤形を選ぶか?
- おりものの異常(白いカッテージチーズ状、酒粕状など)や腟の不快感が主で、外陰部のかゆみもある場合: 腟錠と外用クリームの両方がセットになった製品が良いでしょう。腟内の原因菌を直接治療しつつ、外陰部のつらいかゆみも和らげられます。
- 外陰部のかゆみが非常に強く、赤みや腫れが目立つ場合: 腟錠と外用クリームの併用、または外用クリームを重点的に使用できる製品を選ぶと良いでしょう。ただし、外陰部の症状のみに見えても、原因が腟内にあることがほとんどなので、腟錠での根本治療も重要です。
- 外陰部の症状は軽く、主に腟内の不快感やおりものの異常が気になる場合: 腟錠単独での治療も可能です。
- 市販薬の治療期間
市販薬の腟錠には、1日タイプ、3日タイプ、6日タイプなどがあります。効果の持続性や使用回数が異なります。初めて市販薬を使う場合や、より確実に治療したい場合は、比較的長い期間(6日間)の製品を選ぶと安心感があるかもしれません。ただし、どの製品を選ぶかは個人の好みや使いやすさでも構いません。重要なのは、定められた期間、毎日忘れずに使用することです。
繰り返しになりますが、少しでも不安がある場合や、症状が疑わしい場合は、迷わず婦人科を受診してください。
男性のカンジダ薬について(カンジダ薬 男性)
男性のカンジダ症は、主に亀頭や包皮に発症します。赤み、かゆみ、ただれ、白いカスといった症状が現れます。男性の場合、女性の腟カンジダのように市販の腟錠や飲み薬が一般的に販売されているわけではありません。
男性のカンジダ症の治療は、多くの場合、外用薬(クリームや軟膏)が中心となります。女性用の市販薬に含まれる抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩、クロトリマゾールなど)を含む外用薬は、男性のカンジダ症にも有効な場合があります。ただし、男性用のカンジダ市販薬として販売されている製品は限られています。
男性がカンジダ症の疑いがある場合:
- 初めての症状の場合: 必ず医療機関(泌尿器科、皮膚科など)を受診してください。性感染症である可能性も考えられるため、正確な診断と適切な治療が必要です。自己判断で市販薬を使用すると、症状が悪化したり、他の病気を見逃したりする可能性があります。
- 過去に医師からカンジダ症の診断を受けたことがあり、今回の症状が再発で、軽度である場合: 一部の外用市販薬が使用できる可能性があります。ただし、必ず薬剤師に相談し、男性のカンジダ症に適応があるか確認してください。適応がない製品を自己判断で使用するのは避けるべきです。
女性が腟カンジダにかかった場合、性交渉によってパートナーである男性に感染させている可能性も十分にあります。女性が治療しても、パートナーが感染しているとピンポン感染(お互いに感染させ合う)を繰り返し、再発の原因となることがあります。女性がカンジダ症と診断された場合、症状の有無にかかわらず、パートナーも一緒に泌尿器科や皮膚科を受診して検査・治療を受けることが推奨されます。男性の治療は塗り薬で比較的容易に行えることが多いです。
症状(かゆみ、おりものなど)に合わせた薬の選択
カンジダ症の症状は、かゆみ、おりものの変化、外陰部の赤み・腫れ、性交痛など様々です。これらの症状に応じて、適した治療薬の剤形を選ぶことが重要です。
- かゆみが強い場合: 外用クリームが効果的です。有効成分が皮膚から吸収され、かゆみの原因となっている外陰部の炎症やカンジダ菌に直接作用し、速やかに症状を和らげます。
- おりものの異常(白いカッテージチーズ状、酒粕状など)や腟の不快感が主の場合: 腟錠が最も重要です。腟内のカンジダ菌を根本的に治療しないと、おりものの異常は改善しません。
- 外陰部の赤みや腫れがある場合: 抗真菌成分だけでなく、炎症を抑える成分が配合された病院処方のクリームが適していることもあります。
- 症状が腟内と外陰部の両方に現れている場合: 腟錠とクリームを併用する治療が効果的です。多くの市販薬はセットで販売されていますし、病院でも両方が処方されます。
- 繰り返すカンジダ症で、生活に支障が出ている場合: 病院で飲み薬(フルコナゾールなど)による治療を検討できます。1回の服用で効果が期待でき、外用薬の使用が面倒な方にも適しています。また、再発抑制のために定期的に飲み薬を服用する治療法もあります(これは医師の診断・指導のもとで行われます)。
症状のタイプだけでなく、ご自身のライフスタイルや使いやすさも考慮して剤形を選ぶと、治療を継続しやすくなります。例えば、外用薬を塗るのが難しい部位や状況であれば飲み薬を希望するなど、医師や薬剤師に相談してみましょう。
カンジダ治療の期間と注意点
カンジダ症の治療期間は、使用する薬の種類や剤形、症状の程度によって異なります。適切に治療を行えば、比較的短期間で症状は改善しますが、自己判断で治療を中断せず、定められた期間、指示通りに薬を使用することが重要です。
カンジダは錠剤で何日で治る?治療期間
女性の腟カンジダの場合、主に腟錠や飲み薬が用いられます。
- 市販の腟錠: 製品によって異なりますが、一般的に1日タイプ、3日タイプ、6日タイプがあります。それぞれのタイプに定められた期間(例えば6日タイプなら6日間)、毎日忘れずに腟に挿入することで治療が完了します。症状が改善したからといって途中で使用をやめると、カンジダ菌が完全に死滅せず、再発しやすくなる可能性があります。治療期間を最後まで守ることが大切です。
- 病院処方の腟錠: 市販薬と同様に数日間の連日投与が多いですが、成分や症状によっては週に1回の使用を数週間続ける場合や、より短い期間で終了するものもあります。医師の指示に従ってください。
- 病院処方の飲み薬(フルコナゾールなど): 多くの場合は1回の服用で治療が完了します。服用後数日かけて効果が現れ、症状が改善していくのが一般的です。効果の感じ方には個人差があり、「カンジダ 飲み薬 一回」でどのくらい効果があるか不安になる方もいるかもしれませんが、有効成分が体内に留まり作用し続けます。1回の服用で十分な場合が多いですが、症状が重い場合などは、医師の判断で追加投与や他の治療薬との併用が行われることもあります。
外用クリームや軟膏は、かゆみなどの症状がなくなるまで、通常1日2〜3回、数日から1〜2週間程度使用します。
治療を開始して数日でかゆみやおりものの異常が改善し、治ったように感じることが多いですが、見た目の症状がなくなっても、腟内や外陰部にカンジダ菌が残っている可能性があります。そのため、症状が改善しても自己判断で薬の使用をやめず、定められた期間、治療を継続することが再発予防につながります。
治療中の具体的な注意点(性交渉含む)
カンジダ症の治療中は、いくつかの注意点があります。これらを守ることで、治療効果を高め、症状の悪化やパートナーへの感染、再発を防ぐことができます。
- 清潔を保つ: 患部を清潔に保つことは重要ですが、洗いすぎは禁物です。石鹸でゴシゴシ洗いすぎると、皮膚のバリア機能が低下し、かえって症状が悪化したり、他の細菌が増殖したりする可能性があります。ぬるま湯で優しく洗い流す程度で十分です。洗浄剤を使う場合は、デリケートゾーン用の刺激の少ないものを選びましょう。洗った後は、ゴシゴシ拭かずに柔らかいタオルで優しく水分を拭き取ります。
- 通気性の良い下着を選ぶ: 綿素材など、通気性が良く吸湿性の高い下着を着用しましょう。化学繊維や締め付けの強い下着は湿気をため込みやすく、カンジダ菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
- 性交渉を控える: カンジダ症の治療中は、性交渉を控えることが推奨されます。性交渉によって患部に刺激を与えたり、カンジダ菌を広げたり、パートナーに感染させてしまうリスクがあります。症状が完全に改善するまで、性交渉は避けましょう。もし性交渉を持つ場合は、コンドームを使用することで感染リスクを減らすことができますが、完全に防げるわけではありません。
- パートナーの治療: 女性がカンジダ症になった場合、症状がなくてもパートナーである男性も感染している可能性があります。ピンポン感染を防ぎ、再発を防ぐためにも、パートナーも一緒に医療機関を受診し、必要に応じて検査・治療を受けることが非常に重要です。
- ナプキン・おりものシートの使用: おりものが気になる場合でも、長時間のナプキンやおりものシートの使用は湿気をため込みやすいため、なるべく控えましょう。使用する場合は、こまめに交換してください。
- 甘い物の摂りすぎに注意: カンジダ菌は糖を栄養源として増殖します。甘い物の摂りすぎはカンジダ菌を増やしてしまう可能性があるため、治療中は控えることを意識しましょう。
- 免疫力の低下を防ぐ: 睡眠不足、疲労、ストレスなどは免疫力を低下させ、カンジダ菌が増殖しやすい状態を作ります。十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけるなど、規則正しい生活を送ることが大切です。
治療薬の効果的な使い方(錠剤 溶ける時間、クリーム 塗ると かゆい)
治療薬の効果を最大限に引き出し、不快な症状を和らげるためには、正しい使い方を知っておくことが重要です。
- 腟錠の使い方:
- 一般的に就寝前に使用します。寝ている間に薬が溶けて腟内に留まりやすいためです。「錠剤 溶ける時間」は製品によって異なりますが、数時間かけてゆっくりと溶け出し、有効成分を放出します。完全に溶ける前に体位を変えたり活動したりすると、薬が出てきてしまうことがあります。
- 清潔な手で挿入します。アプリケーターが付属している場合は、説明書に従って正しく使用してください。
- 可能な限り腟の奥まで挿入すると、効果的に成分が作用します。
- 挿入後、薬の一部が溶け残ったり、おりものと一緒に流れ出てきたりすることがありますが、これは正常な反応であることが多いです。心配な場合は医師や薬剤師に相談しましょう。ナプキンを使用すると下着の汚れを防げます。
- クリームの使い方:
- 使用前に患部を清潔に洗い、水分を拭き取ります。
- クリームは、かゆみや赤みなどの症状が出ている外陰部とその周辺に塗布します。腟内には使用できません(腟内用のアプリケーター付きクリームもありますが、これは病院処方薬が多いです)。
- 塗布量の目安は、製品の説明書を確認してください。塗りすぎても効果が増すわけではありません。薄く、均一に塗布します。
- 「クリーム 塗ると かゆい」と感じることが稀にあります。これは、薬が刺激になっている可能性や、一時的な反応である可能性があります。通常は一時的なものですが、かゆみが強くなったり、赤みや腫れが悪化したりする場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。
- 1日数回の塗布が必要な製品が多いです。指示された回数を守りましょう。
どの治療薬を使用する場合も、製品に添付されている説明書をよく読み、記載されている使用方法や期間を必ず守ってください。不明な点があれば、薬剤師または医師に相談しましょう。
カンジダが繰り返す場合の原因と対策
カンジダ症は、一度治っても再発しやすい感染症として知られています。「カンジダ 繰り返す 毎月」のように、頻繁に症状が現れて悩んでいる方も少なくありません。再発を繰り返す背景には、様々な原因が考えられます。
なぜカンジダは繰り返すのか(カンジダ 繰り返す 毎月)
カンジダ菌は健康な人の体にも常在しているカビの一種です。通常は免疫機能や常在菌(善玉菌)によってバランスが保たれ、悪さをすることはありません。しかし、体の抵抗力が低下したり、特定の条件が揃ったりすると、カンジダ菌が増殖しやすくなり、症状が現れます。これが「カンジダ 繰り返す 毎月」のように再発を招く主な理由です。
カンジダ症が繰り返す主な原因は以下の通りです。
- 免疫力の低下: 風邪などの体調不良、疲労、ストレス、睡眠不足などによって免疫力が低下すると、カンジダ菌を抑えきれなくなり増殖しやすくなります。
- 抗生物質の服用: 抗生物質は細菌を殺しますが、同時に体に良い働きをする常在菌(特に腟内の乳酸菌など)も減らしてしまいます。乳酸菌は腟内を酸性に保ち、カンジダ菌の増殖を抑える役割があるため、乳酸菌が減るとカンジダ菌が増えやすくなります。
- 妊娠: 妊娠中はホルモンバランスが変化し、腟内の環境がカンジダ菌の増殖に適した状態になりやすいと言われています。
- 糖尿病: 血糖値が高い状態が続くと、体液中の糖分が増え、カンジダ菌の栄養源となりやすくなります。また、糖尿病によって免疫機能が低下することもあります。
- ステロイド薬の使用: ステロイド薬は炎症を抑える効果がありますが、同時に免疫機能も抑制するため、カンジダ菌が増殖しやすくなることがあります。
- 通気性の悪い服装: 締め付けの強い下着や化学繊維の下着、タイトなパンツなどは湿気をため込みやすく、カンジダ菌が好む環境を作ります。
- 洗いすぎ: デリケートゾーンの洗いすぎは、皮膚のバリア機能を損ない、常在菌のバランスを崩してしまいます。
- 性交渉による感染(ピンポン感染): パートナーがカンジダ菌を持っている場合、性交渉によってお互いに感染させ合うことで再発を繰り返すことがあります。男性は症状が出にくい場合もあるため、パートナーが無症状でも注意が必要です。
- 治療の不徹底: 症状が改善したからといって自己判断で治療を中断したり、指示された使用方法や期間を守らなかったりすると、カンジダ菌が完全に死滅せず、残った菌が増殖して再発につながることがあります。
カンジダ再発時の治療薬と予防
カンジダが再発した場合、過去に医師から診断・治療を受けたことがあり、今回の症状が以前と酷似していれば、前述の「市販薬が使えるケース」に該当し、市販の腟カンジダ治療薬(腟錠やクリーム)を使用できる場合があります。しかし、頻繁に再発を繰り返す場合は、市販薬での一時的な対処だけでなく、根本的な原因の特定と対策が必要です。
再発を繰り返す場合の治療と対策:
- 医療機関を受診する: 頻繁に再発する場合は、必ず医療機関(婦人科や泌尿器科など)を受診しましょう。医師に相談することで、再発しやすい原因を特定したり、より効果の高い医療用医薬品(飲み薬や専門的な外用薬)による治療を受けたりすることができます。再発抑制のために、定期的に飲み薬を服用する治療法を提案されることもあります(医師の判断によります)。
- パートナーの検査・治療: 性交渉のあるパートナーがいる場合は、パートナーも一緒に医療機関を受診し、検査・治療を受けることが非常に重要です。男性は無症状でもカンジダ菌を保有していることがあり、ピンポン感染の原因となります。
- 生活習慣の見直し: 免疫力の低下を防ぐために、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス解消などを心がけましょう。
- デリケートゾーンのケア: 通気性の良い下着を選び、洗いすぎに注意するなど、デリケートゾーンを清潔かつ乾燥した状態に保つように意識しましょう。
- 基礎疾患の管理: 糖尿病などの基礎疾患がある場合は、血糖コントロールなどを適切に行うことが再発予防につながります。
- 薬の影響: 抗生物質など、カンジダ菌が増殖しやすい原因となる薬を服用する際は、あらかじめ医師にカンジダ症の既往があることを伝え、予防的な対策について相談すると良いでしょう。
- 乳酸菌の摂取: 腟内の善玉菌である乳酸菌を増やすために、ヨーグルトなどの乳酸菌を含む食品を摂ったり、腟用の乳酸菌製剤を試したりすることも、再発予防に有効である可能性があります。
頻繁な再発はQOL(生活の質)を低下させるだけでなく、背景に他の病気が隠れている可能性もゼロではありません。自己判断で市販薬に頼り続けず、専門家である医師に相談し、原因を突き止めて適切な対策を講じることが最も重要です。
こんな時は病院へ!受診の目安
カンジダ症の症状が出たとき、市販薬で対処できる場合もありますが、安全かつ確実に治療するためには、医療機関を受診すべきケースがあります。以下のような場合は、迷わず病院(女性は婦人科、男性は泌尿器科や皮膚科など)を受診してください。
- 腟カンジダの症状が初めてである: 過去に医師から診断・治療を受けたことがない場合は、自己判断せずに必ず受診が必要です。カンジダ症以外の病気(細菌性腟症、トリコモナス腟炎、性器ヘルペス、クラミジア、淋病などの性感染症、あるいはアレルギーや皮膚疾患など)の可能性も考えられるため、正確な診断が必要です。
- 症状がカンジダ症によるものか確信が持てない: おりものの色や性状がいつもと違う、かゆみがあるなど、気になる症状があるものの、それがカンジダ症特有のものか自信がない場合。他の病気を見逃さないためにも受診が必要です。
- 症状が重い、または悪化している: かゆみや痛みが非常に強い、外陰部の腫れやただれがひどい、排尿時や性交渉時の痛みが強いなど、症状が重い場合や、市販薬を使用しているにも関わらず症状が悪化している場合は、医療機関での治療が必要です。
- 市販薬を数日使用しても症状が改善しない: 市販薬で治療を開始しても、定められた期間内に症状が改善しない、またはむしろ悪化している場合は、市販薬では効果が不十分である、あるいはカンジダ症以外の病気である可能性が考えられます。
- 妊娠中または授乳中である: 妊娠中や授乳中は、使用できる薬が限られているため、必ず医師に相談してください。自己判断での市販薬の使用は避けてください。
- 基礎疾患がある: 糖尿病、免疫不全疾患(HIV感染症など)、あるいは免疫抑制剤やステロイド薬を服用しているなど、免疫機能が低下する可能性のある基礎疾患がある場合は、カンジダ症が重症化したり、治療が難しくなったりすることがあります。必ず医師に相談してください。
- カンジダ症以外の全身症状がある: 発熱、下腹部痛、不正出血など、カンジダ症の症状に加えて全身症状がある場合は、他の感染症やより重篤な病気の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。
- 頻繁に再発を繰り返す: 1年に複数回カンジダ症を繰り返す場合は、再発の原因を特定し、根本的な対策を講じるために医療機関を受診すべきです。パートナーの治療も検討する必要があります。
- 男性のカンジダ症が疑われる場合: 前述の通り、男性用の市販薬は限られており、性感染症の可能性も考慮する必要があるため、男性のカンジダ症の疑いがある場合は医療機関(泌尿器科、皮膚科など)を受診してください。
これらの目安に該当する場合は、自己判断や市販薬での対応は避け、専門的な知識を持つ医師の診察を受けましょう。正確な診断と適切な治療を受けることが、早期回復と再発予防への近道です。
免責事項:
この記事はカンジダ治療薬に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の製品の効果を保証するものではありません。また、読者ご自身の症状について医学的な診断や治療法の選択を推奨するものではありません。ご自身の症状に不安がある場合や、治療薬の選択に迷う場合は、必ず医療機関を受診するか、薬剤師にご相談ください。治療効果や副作用には個人差があり、すべての情報がすべての人に当てはまるわけではありません。この記事の情報によって生じたいかなる損害についても、筆者およびサイト運営者は責任を負いかねます。