MENU

更年期障害にセックスは効果あり?【女性向け】関係性や悩みを解説

更年期は女性にとって、体と心に大きな変化が訪れる時期です。
閉経を挟んだ前後の約10年間を指し、多くの女性がさまざまな不調を感じます。
こうした変化は性生活にも影響を与えることが少なくありません。
「更年期障害とせックスにはどのような関係があるの?」「性生活を続けることにはどんな効果があるの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。
この記事では、更年期障害が性生活に与える影響と、更年期におけるせックスの医学的な効果、そして性生活の悩みに対する具体的な対策について、専門家の視点から詳しく解説します。
性生活はデリケートな話題ですが、正しい知識を持つことで、更年期をより快適に過ごし、パートナーとの関係を良好に保つための一助となるはずです。

目次

更年期障害が性生活に与える影響

更年期障害の症状は多岐にわたりますが、性生活に関わる変化もその一つです。
これらの変化は、主に女性ホルモンであるエストロゲンの減少によって引き起こされます。
エストロゲンの減少は、体の様々な部位に影響を及ぼし、それが直接的または間接的に性生活の質に影響を与えます。

エストロゲンの減少と身体の変化

エストロゲンは、女性の健康を維持するために非常に重要なホルモンです。
特に性器周辺の組織の健康にも深く関わっています。
更年期に入りエストロゲンの分泌量が減少すると、膣や外陰部に様々な変化が現れます。

膣の乾燥や萎縮

エストロゲンの減少は、膣の粘膜を薄くさせ、潤いを保つ機能を低下させます。
これにより、膣が乾燥しやすくなります。
また、膣壁の弾力性が失われ、萎縮が進むこともあります。
この状態を「老人性膣炎」と呼ぶことがありますが、これは病気というよりは加齢に伴う変化であり、医学的には「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)」という包括的な名称で呼ばれることが増えています。
GSMには、膣の乾燥、かゆみ、灼熱感、性交痛、性器のたるみといった症状に加え、尿道の萎縮による頻尿や尿失禁なども含まれます。

膣の乾燥や萎縮は、性生活において深刻な問題を引き起こす可能性があります。
特に、性交渉時の潤滑不足は摩擦を増加させ、不快感や痛みの原因となります。
また、膣壁が薄くなることで傷つきやすくなり、出血を伴うこともあります。
これらの身体的な不快感は、性行為に対する抵抗感を生み出し、性生活から遠ざかるきっかけとなることがあります。

膣の健康は、性行為の有無に関わらず、女性器周辺の快適さや尿路系の健康にも関わります。
乾燥や萎縮が進むと、日常的にかゆみや不快感を感じたり、膀胱炎を繰り返しやすくなったりすることもあります。
したがって、膣の乾燥や萎縮は、単に性生活の問題にとどまらず、女性のQOL(生活の質)全体に関わる重要な課題と言えます。

性交痛の原因

更年期における性交痛の主な原因は、前述した膣の乾燥と萎縮です。
潤滑が不足し、膣壁が薄く硬くなることで、挿入時や性行為中に強い痛みを感じるようになります。
この痛みは、性行為への恐怖心を生み、さらに膣の緊張を高めて痛みを悪化させるという悪循環に陥ることがあります。

性交痛の原因は一つだけではありません。
更年期に多い骨盤底筋の機能低下や、心理的なストレス、過去の性体験、パートナーとの関係性の問題なども影響することがあります。
しかし、多くのケースで、エストロゲンの減少による膣や外陰部の変化が根底にあると考えられています。

性交痛を我慢しながら性行為を続けることは、心身ともに大きな負担となります。
痛みを避けるために性行為を避けるようになり、パートナーシップに影響を与える可能性も否定できません。
性交痛は、単なる不快な症状ではなく、治療やケアが必要な医学的な問題として捉えることが重要です。

性欲の低下や変化

更年期には、性欲(リビドー)が低下することも多くの女性が経験する変化です。
エストロゲンの減少に加え、テストステロンといった他の性ホルモンの分泌も減少することが影響していると考えられています。
テストステロンは女性の性欲にも関与しており、その減少が性的な関心の低下につながることがあります。

しかし、性欲の変化はホルモンバランスだけでなく、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。
更年期に現れる他の身体症状(ホットフラッシュ、疲労感、不眠など)による体調不良は、性的な活動への意欲を低下させます。
また、精神的な症状(イライラ、気分の落ち込み、不安)も性欲に影響を及ぼします。

さらに、体型の変化や容姿の変化に対する自信の低下、閉経に対するネガティブなイメージ、性生活への不安(性交痛への恐怖など)、パートナーとの関係性の変化なども性欲の低下に関わります。
子育ての終了や仕事の変化といったライフステージの変化も、性に対する意識を変える可能性があります。

性欲の低下は、単に「性的な気分にならない」というだけでなく、以前は楽しめていた性的な活動への興味を失ったり、性的な刺激に対する反応が鈍くなったりといった形で現れることもあります。
パートナーとの性的な関係において、以前のような頻度や方法での性行為が難しくなることもあり、それが新たな悩みを生む原因となることもあります。

ただし、更年期における性欲の変化は個人差が非常に大きく、中には性欲が増加する人もいれば、変化を全く感じない人もいます。
また、性欲の形が変わるだけで、以前とは異なる形で性的な親密さを楽しむようになる人もいます。
性欲の低下は病的なものではなく、更年期という変化の時期に起こりうる自然な現象の一つとして理解することも大切です。
しかし、それが自分自身やパートナーシップにとって大きな悩みとなっている場合には、適切な対策を検討する必要があるでしょう。

更年期におけるせックスの医学的な効果

更年期を迎えて性生活に悩みを抱える方がいる一方で、性生活を続けることには様々な医学的な効果があると考えられています。
もちろん、性生活は強制されるべきものではなく、あくまで本人が望む場合に享受できるメリットです。
しかし、性生活を続ける、あるいは再開することを検討する上で、その効果を知っておくことは有益でしょう。

血行促進による身体への効果

性行為は適度な身体活動であり、心拍数を上げ、全身の血行を促進します。
血行が良くなることは、更年期女性の健康維持に様々なメリットをもたらす可能性があります。

まず、血行促進は全身の組織に酸素や栄養素をより効率的に供給することにつながります。
これは、肌の健康を保つ上でもプラスに働く可能性があります。
また、更年期には動脈硬化のリスクが高まることが知られていますが、適度な運動としての性行為は、血管の柔軟性を保ち、心血管系の健康維持に寄与する可能性が示唆されています。
ただし、心臓病などの持病がある場合は、無理のない範囲で行うことが重要であり、事前に医師に相談することをお勧めします。

さらに、性行為による血行促進は、骨盤底筋群の血流改善にもつながります。
骨盤底筋は、骨盤内の臓器を支え、尿道や膣、肛門を締める役割をしています。
更年期にはエストロゲンの減少や加齢に伴い、骨盤底筋が弱まりやすく、尿漏れなどの原因となることがあります。
性行為によって骨盤底筋が適度に刺激され、血行が改善されることは、これらの筋肉の健康維持に役立つ可能性も考えられます。

全身の血行促進は、更年期症状の一つである冷え性の改善にもつながるかもしれません。
体が温まることで、不快な冷えの症状が和らぐことが期待できます。

精神的な安定への効果

性行為は、身体的な効果だけでなく、精神的な健康にも良い影響を与えることが知られています。
性行為中や後に分泌される様々な神経伝達物質やホルモンが、リラックス効果や幸福感をもたらします。

特に、愛情ホルモンとして知られるオキシトシンは、性行為中の触れ合いやオルガズムによって分泌が促進されます。
オキシトシンには、不安を軽減し、信頼感や絆を深める効果があります。
これは、パートナーとの関係性を良好に保つ上で非常に重要です。
更年期は精神的に不安定になりやすい時期ですが、パートナーとの性的な親密さを通じて安心感や幸福感を得ることは、気分の落ち込みやイライラを和らげる助けになる可能性があります。

また、性行為はストレス解消の一助となることもあります。
身体的な緊張が解放されることに加え、オルガズムには鎮痛作用があることも示唆されています。
日々のストレスから一時的に解放され、リラックスした時間を過ごすことは、更年期に感じやすい精神的な負担を軽減することにつながります。

さらに、性的な活動を続けることは、自己肯定感や女性としての自信を保つ上でも大切です。
更年期には体型の変化などで自信を失いやすい人もいますが、パートナーとの性的な関係を通じて自分を受け入れ、愛されていると感じることは、精神的な安定に大きく寄与します。
性的な親密さを保つことは、パートナーシップ全体の満足度を高め、互いの支え合いを強固にする効果も期待できます。

膣の健康維持への効果の可能性

更年期に起こる膣の乾燥や萎縮に対し、性行為を続けることが一定の効果を持つ可能性が示唆されています。
性行為によって膣に適度な刺激が与えられ、血流が増加することは、膣の粘膜組織を健康に保つことに繋がるという考え方です。

性行為による血流増加は、膣壁の細胞に酸素や栄養素を供給しやすくし、粘膜の厚みや潤いをある程度維持するのに役立つ可能性があります。
使用頻度によって組織の健康が保たれるという「Use it or lose it(使わないと失われる)」という考え方は、更年期の膣に関しても当てはまる場合があります。
定期的な性行為は、膣の弾力性を保ち、硬くなるのを遅らせる効果が期待できるかもしれません。

ただし、この効果は医学的に確立された治療法として推奨されるほどのものではなく、「可能性」の段階です。
また、既に膣の乾燥や萎縮が進んで性交痛が強い場合に、無理に性行為を行うことは症状を悪化させるリスクもあります。
そのため、膣の健康維持を目的として性行為を行う場合は、痛みを伴わない範囲で、十分な潤滑剤を使用するなど、工夫を取り入れることが重要です。

既に性交痛などの症状がある場合は、性行為を続けることだけでは改善が難しいことが多く、医療的なケアや治療と並行して行うことが現実的です。
しかし、更年期初期や症状が軽度な場合、あるいはGSMの治療によって症状が改善した後に、定期的な性行為を行うことが、その後の膣の健康を維持する一助となる可能性は十分に考えられます。

更年期の性生活で悩んだときの対策

更年期における性生活の変化は多くの女性が経験する自然なことですが、それが悩みとなり、生活の質を低下させるような場合には、適切な対策をとることが大切です。
一人で抱え込まず、様々な選択肢を検討してみましょう。

膣の乾燥・性交痛への対策

更年期の性生活の悩みで最も多いものの一つが、膣の乾燥やそれに伴う性交痛です。
これらの症状に対しては、様々な対策があります。

潤滑剤の活用

最も手軽で効果的な対策の一つが、潤滑剤の活用です。
市販されている潤滑剤には様々な種類があります。

潤滑剤の種類と特徴

種類 特徴 メリット デメリット
水溶性 水を主成分とし、最も一般的。さらっとした感触。コン○ームとの併用可。 自然な潤いに近い。洗い流しやすい。様々な製品がある。 乾きやすい。重ね付けが必要な場合がある。
シリコン性 シリコンを主成分とし、なめらかな感触が長続き。コン○ームとの併用可。 非常に長持ちする。水に強い(水中での使用も可能)。 油脂性の素材を傷める可能性がある。洗い流しにくい。
油脂性 オイルやワセリンなどを主成分とする。保湿力が高い。 保湿力が高く、乾燥予防にも。 コン○ームの素材を傷める可能性がある。ベタつきやすい。

性交時には水溶性またはシリコン性の潤滑剤が適しています。
普段のケアとして膣の乾燥が気になる場合は、油脂性のものや保湿成分が配合された専用の保湿ジェルなども有効です。
潤滑剤は、性交前にデリケートゾーンや挿入部にたっぷり使用することで、摩擦を軽減し、痛みを和らげることができます。
パートナーにも使用してもらうと、より効果的です。
様々な製品を試してみて、自分に合ったものを見つけることが大切です。

潤滑剤の使用は、性交痛を軽減する即効性のある方法ですが、これは対症療法であり、膣の萎縮そのものを改善するものではありません。
しかし、痛みが和らぐことで性行為への抵抗感が減り、性生活を続けることが可能になるため、その後の膣の健康維持にも間接的に繋がる可能性があります。

医療機関での相談(ホルモン補充療法など)

潤滑剤の使用だけでは性交痛が改善しない場合や、膣の乾燥・萎縮が日常生活にも影響を与えている場合には、医療機関(婦人科など)に相談することを強くお勧めします。
医師に相談することで、症状の原因を正確に診断し、より根本的な治療を受けることができます。

医療機関で提案される可能性のある治療法には、以下のようなものがあります。

医療機関での主な治療法

治療法 内容 特徴・効果 注意点
ホルモン補充療法(HRT) エストロゲン製剤などを補充する全身療法。内服薬、貼り薬、塗り薬などがある。 全身の更年期症状(ホットフラッシュ、骨密度低下など)に効果的。膣の乾燥・萎縮も改善。 血栓症、乳がんなどのリスク上昇の可能性について医師と相談が必要。すべての人に適応されるわけではない。
局所エストロゲン療法 エストロゲンを含む腟錠、腟クリーム、腟リングなどを膣内に直接投与する。 膣や外陰部の乾燥・萎縮に特化した治療。全身への影響は少ない。 全身療法に比べると全身症状への効果は限定的。定期的な使用が必要。
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) 骨や血管など、特定の組織のエストロゲン受容体に選択的に作用する薬剤。 膣の乾燥・萎縮の改善にも効果があるものがある。HRTが適さない場合などに検討されることがある。 全身への影響はゼロではなく、副作用の可能性もある。
レーザー治療(炭酸ガスレーザーなど) 膣壁にレーザーを照射し、組織の再生を促す。 膣の弾力性や潤いを改善し、性交痛や尿漏れに効果が期待できる。非ホルモン療法。 自費診療となる場合が多い。複数回の治療が必要なことがある。
骨盤底筋トレーニング 骨盤底筋を意識的に収縮・弛緩させる運動。 骨盤底筋の筋力や柔軟性を向上させ、膣の締まりや尿漏れ、性交痛の改善に繋がる可能性がある。セルフケアとして始められる。 効果が現れるまでに時間がかかる場合がある。正しい方法で行うことが重要。

これらの治療法は、症状の程度や全身の健康状態、他の病気の有無などを考慮して、医師が総合的に判断し提案します。
特に局所エストロゲン療法は、全身への影響が少ないため、膣の乾燥・萎縮に対する第一選択肢となることが多いです。
これらの治療によって膣の状態が改善すれば、性交痛が軽減または消失し、性生活を再開・継続することが可能になります。

性欲の変化への向き合い方

性欲の低下や変化は、更年期に多くの女性が直面する問題ですが、これも向き合い方によって状況を改善できる可能性があります。

まず大切なのは、性欲の変化は自然なこととして受け入れることです。
「昔と違って当たり前」「私だけじゃない」と理解することで、自分を責める気持ちが和らぎます。
性欲の低下は、決して女性としての魅力が失われたことを意味しません。

パートナーがいる場合は、性欲のペースや関心度に違いが生じることがあります。
この時、パートナーに自分の変化を理解してもらうことが非常に重要です。
後述するパートナーとのコミュニケーションが鍵となります。
無理に以前と同じようにしようとせず、お互いの気持ちや体の変化に寄り添う姿勢が大切です。

性欲が低下しても、性的な親密さを保つ方法は性交だけではありません。
ハグやキス、マッサージ、手をつなぐといったスキンシップも、パートナーとの絆を深め、安心感を得る上で非常に有効です。
これらの行為も、オキシトシンなどの分泌を促し、精神的な安定に繋がります。
性的な活動を「性交」という狭い範囲で捉えず、「性的な親密さ」という広い概念で捉え直すことで、新しい楽しみ方が見つかることもあります。

また、自身の心身の健康状態を整えることも性欲に良い影響を与えます。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、ホルモンバランスを整え、体調を改善する上で基本となります。
趣味や社会的な活動に積極的に参加し、生活にハリを持たせることも、精神的な充実感につながり、性的な関心を取り戻すきっかけとなることがあります。
ストレスを溜め込まないように、リラックスできる時間を作ることも重要です。

性欲の変化があっても、それを悩みすぎず、自分自身の心と体、そしてパートナーシップと丁寧に向き合う姿勢が、より豊かな更年期の性生活を送るために大切です。

パートナーとのコミュニケーションの重要性

更年期における性生活の変化は、しばしばパートナーシップに影響を与えます。
特に、女性側の体の変化や性欲の変化に対して、パートナーが戸惑ったり、誤解したりすることがあります。
このような状況で最も重要となるのが、パートナーとのオープンなコミュニケーションです。

自分の体に起こっている変化(膣の乾燥、性交痛、性欲の低下など)について、正直にパートナーに伝えましょう。
恥ずかしさを感じるかもしれませんが、曖昧な態度をとるよりも、具体的に何が不快なのか、何に悩んでいるのかを伝える方が、パートナーの理解を得やすくなります。
例えば、「最近、膣が乾燥しやすくて、性交の時に痛みを感じることがあるの」「以前より性的な気分になることが減った気がするんだけど、あなたのことが嫌いになったわけじゃないの」など、具体的な言葉で伝えると良いでしょう。

パートナーは、女性の体の変化について知らないことが多いです。
更年期が体にどのような影響を与えるのか、性生活にどう関わるのかを、一緒に学んだり、情報共有したりすることも有効です。
二人で更年期に関する書籍を読んだり、信頼できる情報源を探したりすることも、互いの理解を深める助けになります。

性生活について話し合う際は、非難めいた言葉を使わず、お互いの気持ちやニーズを尊重する姿勢が大切です。
「~してくれない」ではなく、「~してくれると嬉しいな」「私は今、~という状態なんだ」と、「私(I)」を主語にした話し方を心がけると、相手も受け入れやすくなります。

また、性交だけにこだわらず、お互いが心地よいと感じるスキンシップや、性的な親密さを保つための新しい方法について話し合ってみましょう。
週に何回性交するかといった目標を立てるよりも、お互いが満たされる関係性を築くことを目指す方が、精神的な負担が少ないかもしれません。

コミュニケーションは一方的なものではありません。
パートナーの性的なニーズや気持ちも丁寧に聞き、理解しようと努めることも大切です。
更年期は女性だけの問題ではなく、パートナーシップの問題として捉え、二人で協力して乗り越えていく姿勢が、より豊かな性生活を続けるための鍵となります。
話し合うことが難しい場合は、夫婦カウンセリングや性カウンセリングといった専門家のサポートを借りることも有効です。

専門家への相談を検討しましょう

更年期における性生活の悩みは、自分一人で抱え込まず、専門家に相談することが非常に重要です。
特に、性交痛が続く場合や、性欲の低下が精神的な負担になっている場合、パートナーとの関係に影響が出ている場合などは、早めに専門家の意見を聞くことをお勧めします。

相談できる専門家としては、主に婦人科医が挙げられます。
婦人科医は、更年期に伴う体の変化やGSMに対する医学的な知識や治療法に精通しています。
膣の乾燥や萎縮、性交痛などの症状に対して、ホルモン補充療法や局所療法、レーザー治療など、様々な選択肢の中から最適なものを提案してくれます。
恥ずかしいと感じるかもしれませんが、多くの婦人科医は更年期女性の性に関する悩みに日常的に接しており、安心して相談することができます。

性機能に関する専門的な知識を持つ医師(泌尿器科医、性機能専門医など)や、心理的な側面からのサポートが必要な場合は、性カウンセラーや臨床心理士といった専門家も選択肢となります。
これらの専門家は、性に対する不安やトラウマ、パートナーシップの問題など、精神的な側面からのアプローチやカウンセリングを通じて、悩みの解決をサポートしてくれます。

どの専門家に相談すれば良いか迷う場合は、まずはかかりつけの婦人科医に相談してみるのが良いでしょう。
症状に合わせて、適切な専門家を紹介してもらえることもあります。

専門家に相談するメリットは、医学的な根拠に基づいた正確な情報を得られること、自分に適した治療法や対策を提案してもらえること、そして何よりも、悩みを共有し、精神的なサポートを受けられることです。
インターネット上の情報や友人・知人の体験談も参考にはなりますが、個人差が大きい更年期の症状に対しては、やはり専門家のアドバイスが最も信頼できます。

相談する際は、具体的な症状(いつから、どのような痛みか、どのくらいの頻度かなど)、現在の健康状態、服用している薬、パートナーとの関係性など、できるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
これにより、より適切なアドバイスや治療を受けることができます。

更年期の性生活の悩みは、適切な知識とサポートがあれば改善できる可能性が高いものです。
一人で悩まず、専門家と二人三脚で、より快適で満たされた性生活を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。

まとめ

更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少により、体と心に様々な変化が起こる時期であり、性生活にも影響を及ぼすことが少なくありません。
特に、膣の乾燥や萎縮による性交痛、そして性欲の低下は、多くの女性が経験する悩みです。
これらの変化は自然なことですが、その程度や悩みは個人によって大きく異なります。

一方で、更年期における性生活、特にパートナーとの性的な親密さを保つことには、医学的な効果も期待できます。
性行為による血行促進は全身の健康に寄与する可能性があり、特に骨盤底筋の健康維持にも繋がることが示唆されています。
また、性行為やスキンシップを通じて分泌されるオキシトシンなどのホルモンは、精神的な安定、ストレス軽減、パートナーとの絆を深める効果をもたらします。
さらに、定期的な性的な活動は、膣の血流を保ち、組織の健康維持に役立つ可能性も考えられています。

更年期の性生活で悩んだ際には、様々な対策があります。
膣の乾燥や性交痛に対しては、市販の潤滑剤を適切に活用することが手軽な第一歩です。
それでも改善しない場合や、症状が重い場合には、医療機関での相談が不可欠です。
ホルモン補充療法(HRT)や局所エストロゲン療法、レーザー治療といった医学的なアプローチによって、膣の状態を改善し、痛みを和らげることが可能です。

性欲の変化については、それを自然なこととして受け入れ、性交だけにこだわらず、様々なスキンシップや性的な親密さの形を模索することが大切です。
自分自身の心身の健康を整えることも、性欲に良い影響を与えます。

そして何よりも重要なのは、パートナーとのオープンなコミュニケーションです。
体の変化や気持ちを正直に伝え、互いの理解を深め、二人で協力して新しい性生活の形を築いていく姿勢が、より豊かな関係性を保つために不可欠です。

更年期の性生活の悩みは、一人で抱え込まず、専門家である婦人科医などに相談することを強くお勧めします。
正確な情報と適切なサポートを得ることで、悩みを解決し、更年期をより快適に、そしてパートナーシップをより良好に保つことができます。
性生活は、年齢を重ねても心身の健康と幸福感に寄与する大切な要素であり、更年期という変化の時期を経て、自分らしい新しい性生活を見つけることは十分に可能です。


免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や助言を提供するものではありません。
個々の症状や状況については個人差が大きいため、必ず医療機関の医師や専門家の診断を受け、適切なアドバイスや治療方針をご確認ください。
本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、執筆者および運営者は一切の責任を負いかねます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次