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生理がきそうでこない原因と対処法 | 自力でこさせる方法・受診目安

生理がきそうでこないとき、もしかして妊娠かも?それとも何か別の原因?どうにかして生理をこさせたい、と不安に思っていませんか。生理周期は女性の体のバロメーター。いつもと違う状況に戸惑うのは自然なことです。生理が遅れる原因は様々ですが、多くの場合、適切な対処法があります。この記事では、生理がきそうでこない原因から、自分でできるとされるケア、そして専門家へ相談すべき目安まで、あなたの疑問に寄り添いながら詳しく解説します。この記事を読めば、生理の遅れに対する不安が和らぎ、次に取るべき行動が見えてくるでしょう。

目次

生理がきそうでこない、その原因は何?

生理は、約1ヶ月の周期で起こる体の変化です。脳の視床下部、下垂体、卵巣という3つの器官が連携し、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを適切に分泌することで、子宮内膜が厚くなり、妊娠が成立しなかった場合に剥がれ落ちて出血(生理)が起こります。この複雑なホルモンバランスが崩れると、生理周期が乱れたり、生理がきそうでこないという状況が起こりやすくなります。

生理がきそうでこない、または遅れる原因としては、以下のようなものが考えられます。複数の要因が重なっていることも少なくありません。

妊娠の可能性

生理の遅れで最も最初に考えるべき、そして最も重要な原因です。性交渉の機会があった場合、生理予定日を過ぎても生理がこない場合は、妊娠の可能性を疑う必要があります。

妊娠が成立すると、受精卵が子宮に着床し、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され始めます。このhCGホルモンは、生理を起こすための黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を維持させ、子宮内膜が剥がれ落ちるのを防ぐ働きがあります。そのため、生理はこなくなります。

妊娠検査薬は、このhCGホルモンを尿から検出することで妊娠しているかどうかを判定します。妊娠検査薬が正しく反応するのは、一般的に生理予定日の1週間後からとされています。これは、妊娠していればこの時期にはhCGホルモンの量が十分に増えているためです。生理予定日直前に使用すると、まだhCGホルモンの量が少なく、正確な判定ができない場合があります(フライング検査)。ただし、最近では生理予定日当日から使える高感度の検査薬も市販されています。

陽性反応が出た場合は、速やかに産婦人科を受診し、医師による確定診断を受けることが重要です。陰性反応が出た場合でも、生理の遅れが続いたり、不安が続く場合は、数日後に再度検査するか、医療機関を受診することをおすすめします。

ホルモンバランスの乱れ

生理周期は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンによって厳密にコントロールされています。これらのホルモンの分泌量が適切でなかったり、分泌されるタイミングがずれたりすると、生理周期が乱れ、生理がきそうでこないという状況につながります。

ホルモンバランスが乱れる原因は多岐にわたります。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • ストレス: 精神的なストレスは、脳の視床下部という部分に大きな影響を与えます。視床下部は、生理周期をコントロールするホルモン分泌の司令塔のような役割を果たしています。過度なストレスがかかると、この司令塔の機能が低下し、ホルモン分泌の指令がうまく出せなくなり、結果として生理周期が乱れます。仕事の忙しさ、人間関係の悩み、環境の変化など、様々な要因がストレス源となり得ます。
  • 過度なダイエットや急激な体重変化: 極端な食事制限や運動による急激な体重減少は、体が飢餓状態にあると誤認し、生殖機能を一時的にストップさせることがあります。これは、妊娠・出産に適さない状況だと体が判断するためです。特に体脂肪率が極端に低下すると、女性ホルモンの分泌が低下しやすくなります。逆に、急激な体重増加もホルモンバランスに影響を与えることがあります。
  • 不規則な生活習慣: 睡眠不足、夜勤などの生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩し、それがホルモン分泌にも影響を及ぼします。自律神経とホルモンバランスは密接に関連しているため、規則正しい生活はホルモンバランスを整える上で非常に重要です。
  • 年齢: 思春期や更年期は、女性ホルモンの分泌が大きく変動する時期です。思春期はまだホルモンバランスが安定しておらず、生理周期が不規則になりがちです。更年期に近づくと、卵巣機能が低下し始め、生理周期が乱れたり、間隔が長くなったり、やがて閉経を迎えます。

これらのホルモンバランスの乱れは、一時的なものであることも多いですが、長期間続く場合や、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科系の疾患が隠れている可能性もあります。自己判断せず、必要に応じて医療機関を受診することが大切です。

ストレスや生活習慣の乱れ

前述のホルモンバランスの乱れと密接に関係していますが、ストレスや生活習慣の乱れは、生理がきそうでこないという状況を引き起こす、現代女性にとって非常に身近な原因です。

ストレスが生理に与える影響は無視できません。脳の視床下部-下垂体-卵巣系は、ストレス反応にも敏感に反応します。強いストレスがかかると、視床下部から分泌される生理周期の指令ホルモン(GnRH)の分泌が抑制されることがあります。その結果、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)の分泌が低下し、卵巣からのエストロゲンやプロゲステロンの分泌も減少してしまいます。これにより、排卵が遅れたり、排卵が起こらなかったり、子宮内膜が十分に厚くならなかったりして、生理が遅れる、またはこないという状況が発生します。仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、将来への不安、引っ越しや転職といった環境の変化など、心や体に負担がかかる出来事は全てストレスとなり得ます。

また、生活習慣の乱れも生理周期に大きな影響を与えます。

  • 睡眠不足: 十分な睡眠は、ホルモンバランスや自律神経を整えるために不可欠です。睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪かったりすると、体のリズムが崩れ、ホルモン分泌にも悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 不規則な食事: 欠食、偏った食事、夜遅い食事などは、体に必要な栄養が行き渡らなくなったり、体内時計を狂わせたりして、生理周期に影響を与えることがあります。特に、極端な糖質制限や脂質制限などは、女性ホルモンの材料不足につながることもあります。
  • 運動不足または過度な運動: 適度な運動は血行を促進し、心身のリフレッシュにもつながるため、生理周期を整えるのに役立ちます。しかし、運動不足で血行が悪かったり、逆にプロのアスリートのように体脂肪率が極端に低い過度な運動を行ったりすると、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
  • 喫煙や過度な飲酒: タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ血行を悪くし、女性ホルモンの働きを妨げる可能性があります。過度なアルコール摂取もホルモンバランスに影響を与えることが知られています。

これらのストレスや生活習慣の乱れは、自分では気づきにくい無意識のうちに進んでいることもあります。「生理がきそうでこない」と感じたら、最近の自分の生活を振り返ってみることも有効です。

体調不良や冷え

風邪をひいたり、体調を崩したりすることも、一時的に生理周期に影響を与えることがあります。体が病気と闘っている間は、生殖機能へのエネルギー供給が後回しになることがあるためです。特に高熱が出たり、体力が著しく低下したりするような病気の後には、生理が遅れることがあります。

また、「冷え」も生理の遅れや不順の原因としてよく挙げられます。冷えは血行不良を招き、骨盤内の血流を悪化させます。子宮や卵巣への血流が悪くなると、ホルモンや栄養が十分に運ばれにくくなり、機能が低下する可能性があります。子宮内膜が十分に厚くならない、剥がれ落ちる際の収縮がうまくいかない、といったことにもつながり、生理がきそうでこない、あるいは生理痛が重くなるなどの症状が出やすくなります。

特に現代の生活では、エアコンによる体の冷え、薄着、冷たい飲食物の摂りすぎなど、体が冷えやすい要因が多くあります。体が冷えていると、体は熱を逃がさないように血管を収縮させるため、さらに血行が悪くなるという悪循環に陥ることもあります。

生理がきそうでこない状況に加え、手足が冷たい、お腹が冷える、肩こりや腰痛がある、などの症状がある場合は、冷えが生理に影響している可能性が考えられます。体を内側からも外側からも温めるケアを取り入れることが有効な場合があります。

自分でできる?生理を「こさせる」とされる方法(ピル以外)

生理がきそうでこないとき、多くの人が「どうにかして生理をこさせたい」と考え、インターネットなどで情報を探すことがあるでしょう。ピルなどの医療的な方法以外にも、様々なセルフケアや民間療法が「生理をこさせる」方法として語られています。

しかし、ここで重要な注意点があります。これらの方法は、医学的に「生理を確実にこさせる」と証明されたものではありません。 あくまで、体の状態を整えたり、血行を促進したり、リラックス効果をもたらしたりすることで、結果的に生理周期の乱れが改善される可能性がある、という程度のものです。効果は個人差が大きく、遅れている原因によっては全く効果がないこともあります。

「生理をこさせる」ためにこれらの方法を試すこと自体は、健康を害さない範囲であれば問題ありません。 しかし、これらの方法に過度に期待したり、試している間に医療機関の受診が遅れたりすることがないように十分注意が必要です。特に、妊娠の可能性が否定できない場合や、生理の遅れが長期間続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

以下に、一般的に「生理をこさせる」とされるセルフケアや民間療法の一部をご紹介します。

生理をこさせるといわれるツボ

東洋医学の考え方では、体の特定の「ツボ」を押すことで、特定の臓器や機能に働きかけ、体のバランスを整えることができるとされています。生理周期の乱れや不順に対して、血行促進や婦人科系の不調に良いとされるツボがいくつかあります。「生理をこさせる」目的で使われることもありますが、これは体全体の巡りを良くすることで、生理がスムーズに来るように促す、という考えに基づいています。

「生理をこさせる」とされる代表的なツボには以下のようなものがあります。

  • 三陰交(さんいんこう): 内くるぶしの骨の最も高いところから指4本分上に上がった、骨の後ろ側のくぼみにあるツボです。婦人科系の万能ツボとして知られ、生理痛、生理不順、冷え、むくみなどに効果があるとされています。指の腹で優しく押したり、お灸で温めたりする方法があります。妊娠中の三陰交への強い刺激は避けるべきとされる場合があるため注意が必要です。
  • 合谷(ごうこく): 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる部分の手前にあるツボです。万能のツボとして知られ、血行促進、自律神経の調整、頭痛、肩こり、ストレス緩和などに効果があるとされています。リラックス効果も期待できるため、ストレスによる生理の遅れに試してみる価値はあるかもしれません。
  • 血海(けっかい): 膝のお皿の内側から指3本分上に上がったところにあるツボです。名前の通り「血」に関係するツボとされ、血液の巡りを良くする効果が期待できます。生理痛や生理不順など、血行不良が原因と考えられる婦人科系の不調に良いとされています。

これらのツボを押す際は、強い力で無理に押すのではなく、心地よいと感じる程度の強さで、ゆっくりと息を吐きながら数秒間押し、これを数回繰り返しましょう。ツボ押しは血行促進やリラックス効果が期待できますが、前述の通り、生理を確実にこさせる医学的根拠は限定的です。あくまでセルフケアの一つとして試すようにしてください。

体を温めるケア

「冷えは万病のもと」と言われるように、体が冷えると血行が悪くなり、様々な不調の原因となります。特に骨盤内の血流が悪化すると、子宮や卵巣の機能が低下し、生理周期に影響を与えることがあります。生理がきそうでこないと感じている場合、体を温めるケアを取り入れることは、血行促進やリラックス効果の点から有効な場合があります。

具体的な体を温めるケアとしては、以下のようなものがあります。

  • 入浴: シャワーだけでなく、ゆっくり湯船に浸かる時間を持ちましょう。38~40℃くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かることで、体の芯から温まり、血行が促進されます。リラックス効果も高く、ストレス軽減にもつながります。
  • 半身浴・足湯: 全身浴が難しい場合や、のぼせやすい場合は、半身浴や足湯も効果的です。半身浴はみぞおちあたりまでお湯に浸かり、足湯はくるぶしより上までお湯に浸かります。どちらも手足の末端から温まり、全身の血行を促進します。
  • 温かい飲み物・食べ物: 冷たい飲み物や体を冷やす性質のある食材を避け、温かい飲み物や体を温める性質のある食材(生姜、根菜類、香辛料など)を積極的に摂るようにしましょう。特に生理前や生理中は、ハーブティー(カモミールやラズベリーリーフなど)もリラックス効果が期待できます。
  • 腹巻や厚手の靴下: お腹や腰回り、足首など、冷えやすい部分を衣類でしっかり温めることも大切です。特に寝ている間は体が冷えやすいので、腹巻などを活用すると良いでしょう。
  • 使い捨てカイロ: 貼るタイプの使い捨てカイロをお腹や腰に貼るのも手軽な方法です。ただし、低温やけどに注意し、直接肌に貼らないようにしましょう。

体を温めるケアは、血行を改善し、リラックス効果を高めることで、生理周期の乱れを引き起こす要因の一部(冷えやストレスなど)にアプローチすることができます。しかし、これも生理を「強制的にこさせる」方法ではなく、あくまで体調を整えるためのセルフケアであることを理解しておくことが重要です。

リラックスして過ごす工夫

ストレスが生理周期に大きな影響を与えることは前述の通りです。生理がきそうでこない状況そのものもストレスになることがあります。このようなときこそ、意識的にリラックスできる時間を作り、心身の緊張を和らげることが大切です。

リラックス効果を高めるための具体的な工夫としては、以下のようなものがあります。

  • 十分な睡眠: 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるようにするなど、規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのを避け、リラックスできる環境を整えることも大切です。
  • 軽い運動やストレッチ: ウォーキング、ヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことは、血行促進や気分転換になり、ストレス解消に役立ちます。
  • 趣味や好きなことに没頭する: 自分が心から楽しめる時間を持つことは、精神的なリフレッシュにつながります。音楽を聴く、本を読む、映画を見る、絵を描く、手芸をするなど、何でも構いません。
  • アロマテラピー: ラベンダー、カモミール、オレンジスイートなど、リラックス効果のあるアロマオイルを焚いたり、お風呂に入れたりするのもおすすめです。心地よい香りは、自律神経を整える助けとなります。
  • マッサージ: 首、肩、背中など、凝り固まった部分を優しくマッサージしたり、家族や友人にマッサージしてもらったりすることも、体の緊張を和らげ、リラックス効果を高めます。
  • 瞑想や深呼吸: 静かな場所で座り、自分の呼吸に意識を集中する瞑想や、ゆっくりと深い呼吸を繰り返すことは、心を落ち着かせ、リラックスするのに非常に効果的です。
  • デジタルデトックス: スマートフォンやパソコンから離れて過ごす時間を作ることも、脳を休ませ、リラックスするのに役立ちます。

生理がきそうでこない状況は不安を伴いますが、その不安自体がさらにストレスとなり、状況を悪化させる可能性もあります。「生理をこさせなければ」と焦るのではなく、「心身を休ませてあげよう」という気持ちで、これらのリラックスできる工夫を試してみてください。体がリラックスすることで、本来の機能が回復し、生理周期が整うこともあります。

食生活の見直し

バランスの取れた健康的な食事は、体の機能を正常に保つ上で非常に重要です。生理周期も例外ではありません。生理がきそうでこない場合、最近の食生活を振り返り、必要な栄養が十分に摂れているか、体を冷やすような食事になっていないかなどを見直してみることも有効です。

生理周期を整えるために、特に意識したい栄養素や食生活のポイントは以下の通りです。

  • バランスの取れた食事: 炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂ることが基本です。特定の食品に偏ったり、極端な食事制限をしたりすることは避けましょう。
  • 女性ホルモンに似た働きをする食品: 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た化学構造を持ち、体内でエストロゲン様の働きをすることが知られています。積極的に摂ることで、ホルモンバランスをサポートする効果が期待できると言われています。ただし、過剰摂取は推奨されていません。
  • 血行促進効果のある食品: 生姜、ニンニク、ネギ、ニラなどの香味野菜や、サバ、イワシなどの青魚に含まれるDHA・EPAは血行を良くする効果が期待できます。体を温める根菜類(ごぼう、レンコンなど)や、ビタミンEを多く含む食品(ナッツ類、アボカドなど)も血行促進に役立つとされています。
  • 良質なたんぱく質: ホルモンの材料となるたんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品などからバランス良く摂りましょう。
  • ミネラルやビタミン: 特に、生理周期に関わる亜鉛、鉄分、マグネシウム、ビタミンB群、ビタミンEなどを意識して摂ると良いでしょう。レバー、貝類、海藻類、緑黄色野菜などに多く含まれます。
  • 体を冷やす食品を控える: 冷たい飲み物やアイスクリームなどの摂りすぎ、夏野菜や果物(トマト、キュウリ、スイカなど、体を冷やす性質のもの)の過剰摂取は、体を内側から冷やす原因となることがあります。特に冷えを感じやすい時期や体質の方は注意が必要です。
  • 規則正しい食事時間: 毎日決まった時間に食事をすることで、体内時計が整い、ホルモンバランスの安定にもつながります。

食生活の改善は、すぐに生理をこさせる即効性のある方法ではありませんが、長期的に体の調子を整え、生理周期を安定させるためには非常に重要です。一時的な改善だけでなく、継続して健康的な食生活を心がけることが大切です。

生理がきそうなサインと間違えやすい症状

「生理がきそう」と感じているのに、なかなか生理が始まらない場合、そのサインが本当に生理前兆なのか、あるいは他の症状と混同しているのかを確認してみることも大切です。生理前に多くの女性が経験する心身の変化は、他の体の変化や病気のサインと似ていることがあります。

特に、以下の症状は生理がくるサインとして知られていますが、他の原因でも起こり得ます。

おりもの変化

生理前になると、おりものの量が増えたり、色が白っぽく濁ったり、粘り気が出たりすることがあります。これは、生理に向けてホルモンバランスが変化することによるものです。しかし、おりものの変化は妊娠初期にも見られることがあります。妊娠初期には、受精卵が着床する際に少量のおりものや出血(着床出血)があったり、ホルモンの影響でおりものの性状が変わったりすることがあります。また、膣炎などの感染症や、子宮頚管ポリープなど、病気が原因でおりものの量や色、匂いに変化が生じることもあります。

「生理がきそう」と思っていても、いつもと違うおりものの変化がある場合は、安易に自己判断せず、状態をよく観察したり、医療機関に相談したりすることが推奨されます。

下腹部痛や腰痛

生理前や生理中には、子宮が収縮するために下腹部痛(生理痛)や腰痛を感じる女性が多くいます。「生理がきそう」という感覚は、このような痛みが始まることで感じることもあります。しかし、下腹部痛や腰痛は、生理以外にも様々な原因で起こります。

例えば、

  • 妊娠初期: 着床痛としてチクチクとした下腹部痛を感じることがあります。また、子宮が大きくなるにつれて下腹部が張るような感覚や、腰痛を感じることもあります。
  • 排卵痛: 生理周期の真ん中あたりに、卵巣から卵子が放出される際に下腹部(左右どちらか)に痛みを感じることがあります。生理予定日がずれて排卵が遅れている場合に、この排卵痛を生理がくる痛みと間違える可能性もあります。
  • 子宮内膜症や子宮筋腫: これらの婦人科疾患があると、生理痛がひどくなったり、生理期間以外にも慢性的な下腹部痛や腰痛を感じたりすることがあります。
  • 便秘や膀胱炎: 婦人科系以外の原因でも下腹部痛は起こります。

このように、下腹部痛や腰痛が生理がきそうなサインだと思っていても、実際は他の原因である可能性も十分にあります。痛みの種類(チクチク、ズキズキ、鈍痛など)、強さ、痛む場所、痛みが続く期間、他の症状(発熱、不正出血、排尿時の痛みなど)の有無を注意深く観察することが大切です。もし痛みが強かったり、いつもと様子が違ったりする場合は、医療機関を受診しましょう。

医学的なアプローチ:病院で生理を起こす・調整する方法

生理がきそうでこない状況が続き、妊娠の可能性がなく、セルフケアでも改善が見られない場合、医療機関(主に婦人科)を受診することで、医学的な診断に基づいた治療を受けることができます。医師はまず、生理が遅れている正確な原因を特定するために、問診、内診、超音波検査、血液検査(ホルモン値を調べる)などを行います。原因に応じて、生理を起こしたり、今後の生理周期を整えたりするための治療が行われます。

「生理を起こす」目的で最も一般的に行われるのは、ホルモン剤(主にピル)の投与です。

ピル(中用量ピルなど)を使った月経移動・調整

生理不順の治療や、旅行・イベントなどの予定に合わせて生理日を移動させる「月経移動」に、ピルがよく用いられます。生理を遅らせたい場合や、予定外に生理が来てしまった場合に生理を早く終わらせたい場合、そして今回のように生理がなかなか来ない場合に「生理を起こす」目的で使用されます。

生理がなかなか来ない場合に使われることが多いのは、中用量ピルです。中用量ピルには、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが一定量含まれています。これを一定期間(通常5日~10日程度)服用し、服用を中止すると、数日後(通常2日~5日程度)に消退出血と呼ばれる出血が起こります。この消退出血が、生理に相当する出血です。

なぜこれで生理が来るのかというと、ピルによって外部からホルモンが供給されることで、体が「妊娠していない」と判断し、子宮内膜が厚く維持されます。ピルの服用を中止すると、急にホルモン供給がストップするため、子宮内膜が剥がれ落ち、出血が起こるのです。これは、生理が来るメカニズムをホルモン剤によって人工的に再現していると言えます。

ただし、この方法で生理を起こすことができるのは、子宮や卵巣に器質的な問題がない場合です。もし無排卵周期症など、ホルモンバランスの根本的な問題がある場合は、この方法で一時的に出血を起こせても、根本的な解決にはなりません。そのため、医師はまず生理が遅れている原因を詳しく調べた上で、中用量ピルを使用するかどうかを判断します。

中用量ピルによる月経調整には、吐き気、頭痛、乳房の張りなどの副作用が出ることがあります。また、血栓症のリスクもゼロではないため、医師の指示に従って正しく服用することが非常に重要です。

長期的な生理不順の治療には、中用量ピルよりもホルモン量が少ない低用量ピルが使われることもあります。低用量ピルを周期的に服用することで、ホルモンバランスを整え、規則正しい生理周期を確立していくことを目指します。

中用量ピルと低用量ピルの比較(月経調整・治療目的の場合)

項目 中用量ピル 低用量ピル
主な用途 月経移動、生理を早く起こす(生理不順時)、
重い生理症状の緩和(一時的)
月経周期の調整、避妊、
生理痛・PMSの緩和、ニキビ治療など
ホルモン量 多い 少ない
生理を起こす場合 服用期間終了後に数日して出血(消退出血) 21日間の服用後、7日間の休薬期間中に月経様の出血
服用期間 短期間(例: 5日~10日程度) 長期間(周期的に服用)
副作用のリスク 低用量ピルよりやや高い可能性 中用量ピルより一般的に低い
健康保険の適用 月経移動は自費診療。生理不順治療は保険適用あり 治療目的の場合は保険適用あり

生理不順や生理の遅れで悩んでいる場合は、自己判断で市販薬などに頼るのではなく、医療機関で相談し、適切な診断と治療を受けることが最も安全で確実な方法です。

不正出血との違い

「生理がきそうでこない」と思っていた出血が、実は生理ではなく「不正出血」である可能性も考慮する必要があります。不正出血とは、生理期間以外に性器から出血することを指します。生理の遅れがあるときに少量出血があったりすると、生理が始まったと勘違いしやすいですが、生理とは原因が異なります。

生理は、妊娠が成立しなかった場合に厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちる際に起こる出血です。通常、一定の周期で始まり、4~7日程度続きます。経血量も比較的多く、独特の臭いを伴うこともあります。

一方、不正出血の原因は多岐にわたります。

  • ホルモンバランスの乱れ: ストレス、疲労、体調不良などによってホルモンバランスが一時的に崩れると、生理周期の中間期や生理予定日頃に少量の出血が見られることがあります。
  • 排卵期の出血(中間期出血): 排卵期に一時的にエストロゲンが低下することで、少量の出血が起こることがあります。
  • 妊娠初期の出血: 着床出血や、切迫流産・異所性妊娠(子宮外妊娠)による出血の可能性があります。
  • 子宮や卵巣の病気: 子宮頚管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頚管炎、膣炎、子宮頚がん、子宮体がん、卵巣腫瘍など、様々な良性・悪性の疾患が不正出血の原因となることがあります。
  • 性行為によるもの: 性交渉時の摩擦などによって、膣や子宮頚部が傷ついて出血することがあります。
  • 薬剤の影響: ピルやホルモン剤、その他一部の薬剤の影響で不正出血が起こることもあります。

不正出血は、その原因によって重症度が大きく異なります。特に、がんなどの重大な病気が原因で起こっている可能性もゼロではありません。量が少なくても、色が鮮やかでも、茶色い少量でも、生理以外の出血があった場合は、必ず婦人科を受診し、原因を調べてもらうことが非常に重要です。

「生理がきそうでこない」と思っていた出血が、いつもの生理と違う様子(量が少ない、ダラダラ続く、周期がずれているなど)である場合は、不正出血の可能性を疑い、早めに医療機関を受診しましょう。自己判断で様子を見すぎると、病気の発見が遅れてしまうことがあります。

こんな時は病院へ:生理がこない場合の受診目安

生理がきそうでこない状況が続くと不安になりますが、どんなときに病院を受診すべきか判断に迷うこともあるかもしれません。すべての生理の遅れが病気を意味するわけではありませんが、中には専門的な診断や治療が必要なケースもあります。安心して過ごすためにも、以下の受診目安を参考にしてください。

何日以上生理が遅れたら受診すべきか

一般的な目安として、生理予定日から1週間~10日以上遅れる場合は、一度医療機関(婦人科)を受診することをおすすめします。正常な生理周期は25日~38日とされていますが、個人差があります。自分の平均的な周期から大きく外れていると感じた場合は、受診を検討しましょう。

特に、

  • 性行為の機会があった場合: 妊娠の可能性が考えられます。生理予定日の1週間後以降に使用した妊娠検査薬が陰性でも、生理が来ない場合は念のため受診しましょう。異所性妊娠(子宮外妊娠)など、通常の妊娠検査薬では判断が難しいケースや、妊娠検査薬が偽陰性を示す可能性もゼロではありません。
  • 生理周期が普段から安定しているのに、今回に限って大きく遅れている場合: 急な環境の変化やストレスなど、原因がはっきりしない場合でも、体の異変を示すサインである可能性があります。
  • 生理の遅れ以外に気になる症状がある場合: 下腹部痛、不正出血、吐き気、倦怠感、微熱など、生理の遅れに加えて他の症状がある場合は、何らかの病気が隠れている可能性も考えられるため、早めに受診しましょう。

生理の遅れが1週間や10日程度であれば、一時的なホルモンバランスの乱れのことも多いですが、目安としてこの期間を過ぎても生理が来ない場合は、専門家による診断を受けることで、原因を特定し、適切なアドバイスや治療を受けることができます。

繰り返す生理不順の場合

今回だけでなく、以前から生理周期が不規則である、周期が極端に長い(40日以上など)または短い(24日以内など)、生理が飛んでしまうことが多いなど、生理不順が繰り返し起こっている場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

一時的な生理の遅れは誰にでも起こりえますが、慢性的な生理不順は、ホルモンバランスの乱れが定着しているサインである可能性が高いです。原因として、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、早期閉経など、様々な疾患が隠れていることがあります。

生理不順を放置しておくと、将来的な不妊の原因になったり、骨粗しょう症のリスクが高まったり(エストロゲンが低下している場合)、子宮体がんのリスクが高まったり(排卵がなくプロゲステロンが不足している場合)するなど、様々な健康上の問題につながる可能性があります。

「体質だから」と自己判断せず、繰り返し生理不順がある場合は、一度婦人科で検査を受け、原因を特定し、必要に応じて治療を開始することが、将来の健康を守るためにも非常に重要です。適切な治療によって、生理周期を整え、関連するリスクを軽減することができます。

生理の遅れ:受診目安まとめ
生理予定日から1週間~10日以上遅れている
性行為の機会があり、妊娠の可能性が考えられる(妊娠検査薬が陰性でも念のため)
生理の遅れ以外に、下腹部痛、不正出血、吐き気、倦怠感、微熱など、他の気になる症状がある
今回だけでなく、以前から生理周期が不規則(周期が極端に長い・短い、飛んでしまうなど)である
自分でできるセルフケアを試しても、生理が来ない状況が改善しない
生理の遅れが原因で強い不安やストレスを感じている
上記に当てはまる場合は、自己判断せず、早めに婦人科を受診して相談しましょう。医師による診断を受けることで、原因が分かり、安心して過ごすことができます。

まとめ:生理の遅れが気になる場合は専門家へ相談を

生理がきそうでこないという状況は、多くの女性が一度は経験する可能性のある体の変化です。その原因は、妊娠、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活習慣の乱れ、体調不良、冷えなど、様々なものが考えられます。

自分でできるケアとして、体を温める、リラックスする、食生活を見直す、ツボを押すといった方法が「生理をこさせる」と言われることがありますが、これらは医学的に効果が証明された確実な方法ではありません。あくまで体の状態を整え、生理が来るのを待ちやすくするためのセルフケアとして捉えましょう。

最も重要なのは、不安を抱え込んだり、自己判断で様子を見すぎたりしないことです。特に、性行為の機会があった場合はまず妊娠の可能性を考慮し、妊娠検査薬を使用するか、早めに婦人科を受診しましょう。生理予定日から1週間~10日以上遅れている場合や、繰り返し生理不順が起こる場合、生理の遅れ以外に気になる症状がある場合は、必ず医療機関(婦人科)を受診して専門家へ相談してください。

医師による診察では、生理が遅れている正確な原因を調べ、必要に応じてホルモン剤(ピルなど)を用いた治療や、 underlying な疾患に対する治療が行われます。専門家へ相談することで、原因が明らかになり、適切な対処法を知ることができるため、抱えている不安を解消することにもつながります。

生理の遅れは、体があなたに何かを伝えようとしているサインかもしれません。ご自身の体と向き合い、必要に応じて専門家の力を借りながら、健康的な生理周期を目指しましょう。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を代替するものではありません。個別の症状については、必ず医療機関を受診して医師の診断を受けてください。

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