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陰部のかゆみ、これって何?原因と今日からできる対策|受診目安も解説

陰部のかゆみは、誰にでも起こりうるデリケートな悩みです。「もしかして病気?」「どうしたら治るの?」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、陰部のかゆみが起こる様々な原因から、ご自身でできる対処法、適切な市販薬の選び方、そして「こんな時は病院に行くべき」という目安までを詳しく解説します。
一人で悩まず、正しい知識を持って適切に対処しましょう。

陰部のかゆみは、単純な肌への刺激から、感染症、アレルギー、さらには別の病気が隠れている可能性まで、様々な原因によって引き起こされます。
原因を正しく知ることが、適切な対処や治療の第一歩となります。

【原因1】かぶれ・肌への刺激

陰部の皮膚は非常にデリケートで敏感です。些細な刺激でも簡単にかぶれたり、かゆみが生じたりすることがあります。

生理用ナプキンや下着による摩擦・蒸れ

生理用ナプキンは、経血を吸収するために通気性が悪くなりがちです。特に吸収力の高いタイプや長時間交換しない場合、デリケートゾーンが蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。
また、ナプキンやおりものシート、体にフィットする化繊の下着などによる摩擦も、皮膚に刺激を与え、かゆみの原因となります。
化学繊維や合成素材は湿気を閉じ込めやすく、肌が呼吸しにくいため、蒸れやかぶれを引き起こしやすいと言えます。

石鹸や洗いすぎによる乾燥・刺激

デリケートゾーンを清潔に保つことは大切ですが、洗いすぎは逆効果になることがあります。一般的なボディソープや石鹸は洗浄力が強く、必要な皮脂まで洗い流してしまうことがあります。
これにより皮膚が乾燥し、バリア機能が低下して外部からの刺激に弱くなり、かゆみを感じやすくなります。
また、刺激の強い成分が含まれている製品や、強くこすり洗いをすることも、皮膚を傷つけかゆみを悪化させる原因となります。

ムダ毛処理による刺激

カミソリや除毛クリームなどを使ったムダ毛処理も、肌に大きな負担をかけます。カミソリの刃は肌表面をわずかに傷つけ、炎症やかぶれを引き起こすことがあります。
また、除毛クリームに含まれる成分が肌に合わず、化学的な刺激でかゆみや赤みが生じることもあります。
処理後の毛が再び生えてくるときに、チクチクとしたかゆみを感じることもよくあります。

【原因2】感染症

陰部のかゆみで最も多い原因の一つが感染症です。真菌(カビ)や細菌、ウイルスなどが原因となり、独特の症状を伴うことが多いです。

カンジダ症(真菌)

カンジダ症は、カンジダという真菌(カビの一種)が増殖することで起こる感染症です。カンジダ菌は健康な人の皮膚や粘膜にも存在していますが、体の免疫力が低下したり、湿度が高く蒸れたりすると異常に増殖して症状を引き起こします。
女性に多く見られますが、男性にも起こります。
女性の場合は、白いカッテージチーズ状のおりものが増え、外陰部や腟に強いかゆみやヒリヒリ感が生じることが特徴です。
男性の場合は、亀頭や包皮が赤く腫れたり、白いカスのようなものが付着したり、かゆみを感じたりします。
抗生物質の服用や、体調不良、妊娠などもカンジダ症のリスクを高めます。

性感染症(ヘルペス、コンジローマ、トリコモナスなど)

陰部のかゆみは、性感染症(STI)のサインである可能性も十分に考えられます。
性感染症はパートナーとの性行為によって感染し、かゆみ以外にも様々な症状を伴います。

  • 性器ヘルペス: ヘルペスウイルスによって引き起こされます。陰部やその周囲に小さな水ぶくれができ、それが破れて潰瘍になると強い痛みやかゆみを伴います。一度感染するとウイルスが体内に潜伏し、体の抵抗力が落ちた時に再発を繰り返しやすいのが特徴です。
  • 尖圭コンジローマ: ヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされます。陰部や肛門の周囲にカリフラワー状や鶏冠状のイボができます。かゆみを感じることもありますが、痛みがないことも多いです。
  • トリコモナス症: トリコモナスという原虫によって引き起こされます。女性の場合、泡立った黄色っぽい、悪臭の強いおりものが増え、外陰部や腟に強いかゆみや炎症が生じます。男性は無症状のことが多いですが、尿道にかゆみや違和感を感じることもあります。
  • クラミジア感染症、淋菌感染症: これらも性感染症の代表例ですが、かゆみよりも不正出血(女性)、排尿痛、尿道のかゆみや違和感(男性)などの症状が多い傾向があります。しかし、無症状の場合も多いため注意が必要です。

細菌性腟症などの細菌感染

腟の自浄作用を保つ乳酸菌が減少し、代わりに様々な種類の細菌が増殖して起こるのが細菌性腟症です。かゆみを感じることもありますが、カンジダ症ほど強くない場合が多いです。
特徴的なのは、生臭いような、魚のような悪臭を伴う灰色っぽいおりものが増えることです。
その他の細菌感染としては、毛穴に細菌が入って炎症を起こす毛嚢炎なども、かゆみや痛みを伴う原因となります。

【原因3】その他の病気や理由

肌への刺激や感染症以外にも、陰部のかゆみは様々な要因で起こりえます。

アレルギー反応(洗剤、柔軟剤など)

下着を洗う際に使用する洗剤や柔軟剤、あるいはトイレットペーパー、生理用品に含まれる香料や化学物質などが、肌に触れることでアレルギー反応を起こし、かゆみやかぶれを引き起こすことがあります。特定の製品を使い始めてからかゆみが出た場合は、それが原因かもしれません。

更年期による乾燥

女性の場合、更年期になると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します。エストロゲンは腟や外陰部の粘膜をふっくらと潤いを保つ働きがあるため、減少すると粘膜が薄く乾燥しやすくなります。
乾燥は皮膚のバリア機能を低下させるため、些細な刺激にも敏感になり、かゆみやヒリヒリ感を感じやすくなります。
性交時の痛み(性交痛)を伴うこともあります。

湿疹・皮膚炎

アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎(かぶれ)、脂漏性皮膚炎など、全身の皮膚に起こりうる湿疹や皮膚炎が陰部にできることもあります。
これらの皮膚疾患は、赤み、腫れ、小さなブツブツ、そして強いかゆみを特徴とします。
掻き壊すとさらに悪化したり、細菌による二次感染を起こしたりすることもあります。

ストレスや疲れ

精神的なストレスや過労、睡眠不足などで体の免疫力が低下すると、普段は悪さをしない常在菌(カンジダ菌など)が増殖しやすくなったり、皮膚のバリア機能が低下したりすることがあります。
また、かゆみ自体がストレスの原因となり、さらに症状を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
心身の不調は、かゆみの原因となることがあるのです。

原因が特定できない場合

様々な検査をしても、かゆみの明確な原因が特定できないケースもあります。このような場合、精神的な要因や体質的なもの、あるいは非常に軽微な刺激が複合的に影響している可能性などが考えられます。
原因不明のかゆみでも、適切に対処することで症状を和らげることができます。

目次

陰部のかゆみ、自分でできる対処法・セルフケア

陰部のかゆみは不快ですが、原因によってはご自宅でできるセルフケアや市販薬で症状を和らげることが可能です。
ただし、症状が重い場合や長引く場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

清潔に保つポイント

デリケートゾーンを清潔に保つことは重要ですが、「洗いすぎない」ことが肝心です。

  • 専用洗浄剤の使用を検討: 弱酸性で、デリケートゾーンのpHバランスを崩しにくい専用の洗浄剤の使用がおすすめです。一般的なボディソープや石鹸はアルカリ性で洗浄力が強く、常在菌のバランスを乱す可能性があります。
  • 優しく洗う: 指の腹で優しくなでるように洗いましょう。スポンジやタオルでゴシゴシこすり洗いは禁物です。外陰部を中心に洗い、腟の中は原則として洗う必要はありません(腟には自浄作用があります)。
  • よくすすぐ: 洗浄成分が残らないように、ぬるま湯でしっかりと洗い流しましょう。
  • 清潔なタオルで拭く: 清潔で吸水性の良いタオルで、押さえるように水分を拭き取ります。擦るように拭くのは避けましょう。

かきむしらない工夫

かゆい部分を掻いてしまう気持ちは非常によく分かりますが、掻きむしると皮膚が傷つき、炎症が悪化したり、細菌が入り込んでさらにひどい感染症(二次感染)を引き起こしたりするリスクが高まります。

  • 冷やす: 清潔なタオルで包んだ保冷剤や、濡らした清潔なタオルなどで冷やすと、かゆみが一時的に和らぐことがあります。
  • 市販薬を使う: 適切な市販薬(かゆみ止め成分配合のものなど)を使うことで、かゆみの元を抑え、掻きむしる衝動を抑えられます。市販薬については後述します。
  • 爪を短く切る: 無意識に掻いてしまっても、皮膚へのダメージを最小限にするために、爪は短く清潔に保ちましょう。
  • 下着の上から押さえる: どうしても我慢できないときは、下着の上から軽く押さえたり、叩いたりする程度にしましょう。

保湿ケアの重要性

乾燥はかゆみの大きな原因の一つです。特に洗いすぎや更年期による乾燥が気になる場合は、適切な保湿ケアが有効です。

  • デリケートゾーン用保湿剤: デリケートゾーン専用の保湿クリームやジェル、ローションなどを使用します。顔や体用の製品は刺激が強い場合があるので避けましょう。
  • ワセリン: シンプルな保湿剤として、ワセリンも有効です。肌に油膜を張り、水分の蒸発を防いで乾燥を防ぎます。ただし、塗布量が多すぎると蒸れの原因になることもあるので注意が必要です。
  • 入浴後など: 入浴後の清潔な肌に塗布するのが効果的です。

陰部のかゆみに効く市販薬(軟膏・クリーム)の選び方

陰部のかゆみに使える市販薬には様々な種類があり、原因によって選ぶべきものが異なります。ご自身の症状に合わせて適切な薬を選ぶことが重要です。

原因別のおすすめ市販薬の種類

考えられる原因 主な症状 選び方のポイント 主な有効成分の例
かぶれ、乾燥、軽度の湿疹 赤み、かゆみ、乾燥、ヒリヒリ感 抗炎症作用とかゆみ止め作用を併せ持つもの。ステロイドは弱いランクのものから試すか、非ステロイド性のものを選ぶ。 ステロイド(弱いランク)、ジフェンヒドラミン(かゆみ止め)、リドカイン(局所麻酔)
カンジダ症(女性) 白いカッテージチーズ状のおりもの、強いかゆみ、ヒリヒリ感 抗真菌成分が配合された外用薬(軟膏・クリーム)または腟錠。必ず「カンジダ治療薬」と明記されたものを選ぶ。 ミコナゾール、クロトリマゾール
カンジダ症(男性) 亀頭・包皮の赤み、白いカス、かゆみ 抗真菌成分が配合された外用薬(軟膏・クリーム)。「カンジダ治療薬」と明記されたもの。 ミコナゾール、クロトリマゾール
かゆみが強く、原因不明の場合 我慢できないかゆみ かゆみ止め成分や局所麻酔成分、軽度の抗炎症成分配合のもの。カンジダを疑う症状がない場合。 ジフェンヒドラミン、リドカイン、グリチルリチン酸(抗炎症)

注意点:

  • カンジダ治療薬は専用品を選ぶ: カンジダは真菌なので、通常の細菌やかぶれに効く薬では効果がありません。必ずパッケージや説明書に「カンジダ治療薬」と明記されている製品を選びましょう。
  • ステロイドの強さ: ステロイドは炎症を抑える効果が高いですが、長期連用や強いランクのものは皮膚を薄くするなどの副作用のリスクがあります。デリケートゾーンには弱いランクのステロイドが配合された製品を選ぶか、医師に相談しましょう。市販薬に含まれるステロイドは比較的弱いものが中心です。
  • 複合成分: かゆみ止め、抗炎症、殺菌成分などが複数配合された製品もあります。

市販薬を使う際の注意点

市販薬は手軽で便利ですが、正しく使わないと効果が得られなかったり、かえって症状を悪化させたりすることがあります。

  • 必ず添付文書を読む: 用法・用量、使用期間、注意点、副作用などをしっかり確認し、記載された通りに使用してください。
  • 清潔な手で塗布する: 患部に塗る前に、手は清潔に洗いましょう。
  • 適切な量を塗る: 少量すぎると効果がなく、多すぎると蒸れの原因になることがあります。患部全体に薄く伸ばすように塗りましょう。
  • 使用期間を守る: 症状が改善しない場合や、一定期間(通常は1週間程度)使用しても効果がない場合は、自己判断で漫然と使い続けず、医療機関を受診してください。特にカンジダ治療薬の場合、再発しやすい特性があるため、症状が改善しても指示された期間は使い続けることが重要です。
  • 他の薬との併用は注意: 他に常用している薬がある場合は、薬剤師に相談しましょう。
  • 症状が悪化したら中止: 市販薬を使い始めてからかゆみや赤みがひどくなった場合は、使用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。薬の成分が合わない(かぶれ)可能性があります。
  • 自己判断での原因特定は難しい場合がある: 市販薬は原因別に選びますが、ご自身で正確な原因を判断するのは難しい場合があります。判断に迷う場合は、安易に市販薬に頼らず専門家(薬剤師や医師)に相談しましょう。

こんな症状は要注意!病院に行くべき目安

単なるかぶれや乾燥による軽度のかゆみであれば、セルフケアや市販薬で改善することも多いです。しかし、以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。
原因が感染症や他の疾患の可能性があり、適切な検査や治療が必要になります。

市販薬を使っても改善しない・悪化する

市販薬を数日〜1週間程度使ってもかゆみが改善しない、あるいはかえって赤みや痛みが強くなった場合は、薬が合っていないか、原因が市販薬では対処できないものである可能性が高いです。特にカンジダ以外の感染症や皮膚疾患の場合は、専門的な治療が必要になります。

症状が繰り返し起こる

一度症状が改善しても、短期間で同じようなかゆみが繰り返し起こる場合は、体質的な要因や、根本的な原因(例えばパートナーからの再感染、生活習慣の偏り、基礎疾患など)が解決されていない可能性があります。再発を繰り返す場合は、医療機関で詳しく調べてもらうことをお勧めします。

おりものや見た目に異常がある(色、臭い、量、ぶつぶつ、ただれ)

かゆみと同時に、以下のような症状が見られる場合は、感染症(カンジダ、細菌性腟症、性感染症など)の可能性が非常に高いです。

  • おりものの異常:
    • 量が増えた
    • 色がいつもと違う(白く濁ったカッテージチーズ状、黄色っぽい、灰色っぽいなど)
    • 変な臭いがする(生臭い、悪臭など)
    • 泡立っている
  • 外陰部の見た目の異常:
    • 赤く腫れている
    • 小さなぶつぶつや水ぶくれができている
    • 皮膚がただれている、爛れている
    • イボができている
    • 皮がむけている

これらの症状は、原因によって特徴が異なります(例:カンジダなら白いおりもの、トリコモナスなら泡立ったおりもの、ヘルペスなら水ぶくれ)。ご自身の症状をよく観察し、医療機関で伝えるようにしましょう。

強い痛みや発熱を伴う

かゆみだけでなく、強い痛み(特に排尿時や性交時)や、外陰部の熱感、さらには発熱を伴う場合は、炎症が強く、細菌感染などが体内に広がっている可能性も考えられます。速やかに医療機関を受診する必要があります。

性行為後に症状が出た

性行為後に陰部のかゆみや不快感が現れた場合は、性感染症(トリコモナス、ヘルペス、クラミジアなど)の可能性が考えられます。ご自身だけでなくパートナーも感染している可能性があるため、共に検査・治療が必要になることがあります。過去のパートナーから感染している可能性もあるため、最近の性行為の状況を医師に正直に伝えることが重要です。

夜だけかゆみが強い場合

特定の時間帯、特に寝る前や夜間にだけかゆみが強くなる場合、皮膚の病気(湿疹、アトピーなど)や、精神的な要因、あるいは特定の虫(疥癬など、稀ですが)などが原因の可能性も考えられます。夜間に掻き壊してしまうと、日中の活動時間よりも症状が悪化しやすい傾向があります。

これらの「病院に行くべき目安」に当てはまる症状が一つでも見られる場合は、自己判断で放置したり、市販薬で済ませようとしたりせず、早めに専門医の診察を受けることを強くお勧めします。

陰部のかゆみで病院を受診するなら何科?

陰部のかゆみで病院を受診する場合、いくつかの選択肢があります。症状やご自身の状況に合わせて、適切な科を選びましょう。迷う場合は、かかりつけ医に相談したり、症状を具体的に伝えて病院の受付で相談したりするのも良いでしょう。

婦人科

女性の場合、陰部のかゆみの原因の多くは、女性器に関連する感染症(カンジダ症、細菌性腟症、トリコモナス症など)や、女性ホルモンの変化によるもの(更年期など)です。これらの診断・治療は婦人科の専門分野です。おりものの異常や生理不順など、他の婦人科系の症状も伴う場合は、迷わず婦人科を受診しましょう。内診台での診察や、おりもの検査(培養検査、顕微鏡検査など)が行われることが多いです。

皮膚科

かゆみや赤み、湿疹、ぶつぶつなど、皮膚の症状が中心で、おりものに大きな異常がない場合や、かぶれ、アレルギー、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患が疑われる場合は、皮膚科も適切な選択肢です。男性の陰部のかゆみも、感染症が疑われる場合以外は皮膚科で対応可能なことが多いです。視診を中心に、必要に応じて皮膚の一部を採取して検査(真菌検査など)が行われることもあります。

泌尿器科

男性の陰部のかゆみで、排尿時の痛みや違和感、尿道の分泌物なども伴う場合は、泌尿器科を受診しましょう。尿道炎や膀胱炎など、尿路系の感染症や問題が原因である可能性があります。尿検査や尿道からの分泌物の検査などが行われます。女性でも、排尿痛や頻尿などがある場合は、泌尿器科の受診を検討することもあります。

性病科

性行為による感染症(性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス症、クラミジア感染症、淋菌感染症など)が強く疑われる場合や、複数の感染症の可能性が考えられる場合は、性病科(性感染症内科など、医療機関によって名称は異なります)を専門とする医療機関を受診するのも良いでしょう。性病科では、性感染症の検査(血液検査、分泌物検査、尿検査など)や治療に特化しており、パートナーの治療についても相談しやすい場合があります。性感染症は早期発見・早期治療が重要です。

どこを受診すべきか判断に迷う場合:

  • 女性で、おりもの異常を伴う場合はまず婦人科
  • 男性で、皮膚症状(赤み、かぶれなど)のみの場合はまず皮膚科
  • 男性で、尿道症状(排尿痛、かゆみ、分泌物)を伴う場合はまず泌尿器科
  • 性行為による感染が強く疑われる場合は性病科または上記のいずれかの科で「性感染症の検査を希望する」と伝えても良いでしょう。

多くの場合は、上記のいずれかの科で適切に対応してもらえます。初診時に症状を詳しく伝えれば、必要に応じて他の専門科を紹介してもらえることもあります。

陰部のかゆみを予防するには

陰部のかゆみは、日頃のケアや生活習慣を見直すことで予防できる場合があります。再発を防ぎ、快適な毎日を送るために、以下のポイントを心がけてみましょう。

通気性の良い下着を選ぶ

体にフィットしすぎる下着や、ナイロンなどの化学繊維素材の下着は、デリケートゾーンの通気性を悪くし、蒸れやすい環境を作ります。蒸れは雑菌や真菌(カンジダなど)が繁殖しやすい原因となります。綿100%など、吸湿性・通気性に優れた天然素材の下着を選ぶようにしましょう。寝るときは、締め付けの少ないゆったりとした下着や、下着をつけないのも通気性を確保する方法の一つです。

デリケートゾーン専用の洗浄剤を使う

前述のセルフケアの項目でも触れましたが、一般的なボディソープや石鹸はデリケートゾーンには洗浄力が強すぎる場合があります。デリケートゾーンの自然なバリア機能や常在菌バランスを保つためには、弱酸性で低刺激のデリケートゾーン専用洗浄剤を使用するのがおすすめです。過度な洗浄は避け、優しく洗うことを心がけましょう。

生理用品をこまめに交換する

生理用ナプキンやおりものシートは、長時間使用すると経血や分泌物が肌に付着して雑菌が繁殖しやすくなり、蒸れやかぶれの原因となります。生理中は、経血量に関わらずこまめに(2〜3時間ごとを目安に)交換するようにしましょう。通気性の良い素材の生理用品を選ぶことも有効です。

ストレスを溜めない

過度なストレスや疲労は、体の免疫力を低下させます。免疫力が落ちると、普段は症状を引き起こさない常在菌が悪さをしたり、皮膚のバリア機能が低下したりして、かゆみが生じやすくなります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、リラックスできる時間を持つなど、ストレスを上手に解消し、心身ともに健康な状態を保つことが、かゆみの予防にもつながります。

その他

  • 濡れた下着や水着を長時間着用しない: プールや温泉、海水浴などで濡れた下着や水着を長時間着用していると、蒸れて雑菌が繁殖しやすくなります。早めに着替えましょう。
  • 衣類洗剤・柔軟剤の見直し: 肌に合わない洗剤や柔軟剤を使用している場合は、低刺激性のものに変更したり、使用量を減らしたり、すすぎをしっかり行ったりすることで改善することがあります。
  • 規則正しい生活: 生活リズムを整え、体調管理をしっかり行うことも、免疫力を保ち、かゆみを予防するために重要です。
  • パートナーとのケア: 性行為による感染症を予防するためには、お互いに清潔を心がけること、必要に応じてコンドームを使用すること、そしてもし感染症が疑われる場合はパートナーと共に検査・治療を受けることが非常に大切です。

まとめ:陰部のかゆみで不安な時は医療機関へ相談を

陰部のかゆみは多くの女性、男性が経験する症状であり、その原因は多岐にわたります。単純なかぶれや乾燥から、カンジダ症、性感染症、その他の皮膚疾患まで、様々な可能性が考えられます。

セルフケアや市販薬で症状が改善する場合もありますが、おりものの異常、強い痛み、発熱、繰り返し症状が出る、市販薬を使っても改善しない・悪化するといった兆候が見られる場合は、必ず医療機関を受診してください。原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが、症状の改善と再発予防につながります。

女性であれば婦人科、男性であれば皮膚科や泌尿器科、性感染症が疑われる場合は性病科など、症状に合わせて適切な科を受診しましょう。デリケートな部位の相談は恥ずかしいと感じるかもしれませんが、専門医は多くの患者さんの相談を受けています。一人で悩まず、勇気を出して相談することが、かゆみから解放されるための第一歩です。

日頃から通気性の良い下着を選んだり、デリケートゾーン専用の洗浄剤を使ったり、ストレスを溜めない生活を心がけたりすることも、かゆみの予防に繋がります。

この記事が、陰部のかゆみに悩む方々の一助となれば幸いです。もし不安を感じているのであれば、まずは専門家である医療機関に相談することを強くお勧めします。

免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。陰部のかゆみでお悩みの場合は、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。市販薬を使用する際は、薬剤師に相談の上、添付文書をよく読んで正しく使用してください。

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