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精神障害者手帳3級は意味ない?知られざるメリットと支援を解説

「精神障害者手帳3級は意味ないのでは?」
そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。インターネットやSNSなどでは、1級や2級と比較して受けられるサービスが少ないといった声を見かけることもあります。確かに、手帳の等級によって受けられる支援内容には違いがあります。しかし、精神障害者手帳の3級にも、知っておくべき様々なメリットが存在します。

手帳の取得を検討されている方にとって、「意味があるのか」「どんな支援を受けられるのか」は非常に重要な判断材料となります。この記事では、精神障害者手帳3級について、「意味ない」と言われる理由であるデメリットにも触れつつ、具体的なメリットや活用方法、よくある疑問について詳しく解説します。この記事をお読みいただくことで、精神障害者手帳3級の取得がご自身の状況にとってどのような意味を持つのか、判断する一助となれば幸いです。

精神障害者手帳の概要

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患のある方が一定の基準を満たした場合に交付される手帳です。この手帳を持つことで、様々なサービスや支援を受けやすくなります。手帳の目的は、精神障害のある方の自立と社会参加の促進を図ることにあります。

対象となる精神疾患は、統合失調症、うつ病、双極性障害、てんかん、発達障害(ADHD、ASDなど)、高次脳機能障害、依存症など多岐にわたります。重要なのは、疾患名だけでなく、その疾患によって日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかという「精神障害の状態」によって等級が判定されるという点です。

手帳の申請は、お住まいの市区町村の担当窓口(福祉課など)に行います。申請には、医師の診断書やマイナンバーに関する書類などが必要です。手帳には有効期間(原則2年間)があり、継続して利用するには更新手続きが必要となります。

精神障害者手帳の等級ごとの基準(1級・2級・3級)

精神障害者手帳の等級は、精神疾患の状態とその病状による生活への支障の程度に応じて、1級、2級、3級の3段階で定められています。基準の詳細は厚生労働省が定める「精神障害者等級判定基準」に基づき、医師の診断書の内容や申請者の生活状況などを総合的に判断して決定されます。

  • 1級: 精神疾患により、日常生活において常時援助が必要な程度の状態です。病状が非常に重く、身の回りのことや外出などが一人では困難な場合などが該当し得ます。
  • 2級: 精神疾患により、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の状態です。働くことが難しかったり、家事や対人関係において大きな困難を抱える場合などが該当し得ます。
  • 3級: 精神疾患により、日常生活または社会生活に制限を受けるか、または日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度の状態です。病状はあるものの、援助があれば日常生活を送れたり、簡単な作業であればこなせる場合などが該当し得ます。

このように、3級は1級や2級に比べて症状や生活への支障の程度が比較的軽度な場合に認定される等級です。この等級の違いが、後述するサービス内容の差につながり、「意味ない」と感じる一因となることがあります。

目次

「意味ない」と感じる理由?精神障害者手帳3級のデメリット

精神障害者手帳3級を取得しても「意味ない」と感じてしまうのは、どのような点からなのでしょうか。ここでは、3級手帳のデメリットとして挙げられやすい側面について解説します。

1級・2級と比較して受けられるサービスが少ない

「意味ない」と感じる最大の理由は、1級や2級の手帳所持者と比較して、受けられるサービスや経済的な優遇措置の種類や程度が限定される場合が多いことです。

例えば、公共交通機関の運賃割引や、NHK受信料の免除などは、1級・2級では本人及び介助者が割引・免除の対象となることが多いのに対し、3級では本人のみが対象であったり、割引率が異なったりする場合があります。また、一部の制度や自治体独自のサービスでは、対象が1級・2級に限定されていることもあります。

これは、等級が精神疾患の重症度と生活への支障の程度を反映しているため、より支援の必要性が高いと判断される等級ほど、手厚いサービスが用意されている傾向があるからです。この差を知らずに手帳を取得すると、「思っていたよりメリットが少なかった」と感じてしまう可能性があります。

申請の手間や個人情報の開示に対する懸念

手帳を取得するためには、医師に診断書を作成してもらい、市区町村の窓口に申請書類を提出するといった一連の手続きが必要です。これらの申請手続きには時間や手間がかかります。特に体調が優れない時期には、この手続き自体が負担に感じられることもあります。診断書作成にかかる費用も自己負担となります。

また、精神障害者手帳を取得するということは、公的な記録として自身の精神疾患に関する情報が登録されるということです。この個人情報がどのように扱われるのか、誰に見られる可能性があるのかといった点に不安を感じる方もいらっしゃいます。情報管理には十分な配慮がされていますが、心理的な抵抗感を抱く方もいるでしょう。

会社への申告義務や周囲への影響

精神障害者手帳を取得した場合、特に障害者雇用枠での就職・転職を希望する際には、企業に手帳の情報を開示し、障害者であることを申告する必要があります。これにより、病状に応じた合理的配慮を受けやすくなるというメリットがある一方で、自身の病状や手帳の存在を職場に知られることになります。

また、障害者雇用枠ではなく一般雇用で働く場合でも、手帳を取得したことを職場や周囲の友人、家族に伝えるかどうかは悩ましい問題です。手帳の存在を知られることで、偏見を持たれたり、腫れ物扱いされたりするのではないかといった懸念を抱く方も少なくありません。これは、手帳を取得することによって生じる可能性のある、心理的な負担や人間関係への影響としてデメリットに感じられることがあります。

ただし、一般雇用で働く場合、手帳を取得したことを会社に申告する法的な義務はありません(特定の職種や資格を除く)。「クローズ就労」といって、障害を明かさずに働く選択肢もあります。しかし、この場合は手帳による合理的配慮や障害者雇用枠ならではのメリットは受けられません。

これらのデメリットを理解した上で、手帳取得によるメリットと比較検討することが重要です。

精神障害者手帳3級を取得する具体的なメリット

デメリットを理解した上で、では精神障害者手帳3級を取得することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。「意味ない」どころか、日々の生活や将来設計において大きな助けとなる可能性のある様々なメリットを詳しく見ていきましょう。

税金に関する優遇措置(所得税・住民税など)

精神障害者手帳を取得すると、税金に関する様々な控除や優遇措置を受けることができます。これは、手帳を持つことによる経済的なメリットの中でも特に大きいものです。

  • 所得税・住民税の障害者控除: 精神障害者手帳を持っている本人、または同一生計配偶者や扶養親族が手帳を持っている場合、所得税や住民税において障害者控除を受けることができます。控除額は以下の通りです(令和6年度の税制に基づく)。
区分 所得税の控除額 住民税の控除額
一般の障害者(3級) 27万円 26万円
特別障害者(1級・2級) 40万円 30万円
同居特別障害者 75万円 40万円

精神障害者手帳3級は「一般の障害者」に該当します。ご自身が手帳を持っていれば、ご自身の所得から27万円(住民税は26万円)の控除が受けられます。また、ご家族(配偶者や扶養親族)が3級手帳を持っていれば、その方の代わりにあなたが控除を受けることも可能です。

この控除によって課税所得が減るため、納めるべき所得税や住民税の額が軽減されます。所得が多い方ほど、節税効果を大きく感じられるでしょう。年末調整や確定申告の際に手帳の情報を申告することで適用されます。

  • その他の税金に関する優遇: 相続税や贈与税、自動車税などについても、障害の等級や自治体によっては控除や減免を受けられる場合があります。詳細はお住まいの自治体にご確認ください。

公共料金等の割引(NHK・交通機関・施設利用など)

日々の生活の中で利用する様々なサービスにおいて、割引や減免が受けられる場合があります。

  • NHK受信料の減免: 精神障害者手帳を持っている世帯は、NHK受信料の全額免除または半額免除を受けられる場合があります。
    • 全額免除: 世帯構成員に1級または2級の手帳所持者がおり、かつ世帯全員が市町村民税非課税の場合など。
    • 半額免除: 世帯主が契約者であり、かつ世帯構成員に1級、2級、または3級の手帳所持者がいる場合など(所得制限がある場合があります)。

    精神障害者手帳3級の場合、世帯状況によっては半額免除の対象となります。手続きはお住まいの市区町村役場で行います。

  • 公共交通機関の運賃割引: 鉄道、バス、タクシーなどの運賃割引があります。割引内容は交通事業者や自治体によって異なりますが、精神障害者手帳3級の場合、以下の例があります。
    • 鉄道: 一部の民営鉄道や地下鉄、路面電車など。3級の場合は、本人割引のみ(5割引きなど)となることが多いです。JRは、精神障害者手帳による運賃割引の制度はありません(ただし、地域によっては自治体がJRの回数券購入費用などを助成する独自の制度を設けている場合があります)。
    • バス: 多くのバス会社で本人割引(5割引きなど)が適用されます。
    • タクシー: 一部のタクシー会社で割引(1割引きなど)が適用される場合があります。

    利用する交通機関に確認が必要です。多くの場合、乗車券購入時や運賃支払いの際に手帳を提示することで割引が適用されます。

  • 有料道路割引: 精神障害者手帳3級の場合、有料道路の通行料金割引の対象にはなりませんが、障害の種類や等級によっては対象となる制度があります。
  • 施設利用割引: 公営の美術館、博物館、動物園、植物園、公園、体育施設などにおいて、入場料や利用料が減免または割引される場合があります。これも施設や自治体によって対象となる等級や割引率が異なりますが、3級でも割引を受けられる施設は多くあります。事前に施設のウェブサイトや窓口で確認することをお勧めします。

このように、毎月の固定費であるNHK受信料や、日々の交通費、休日のレジャーなど、様々な場面で費用負担を軽減できる可能性があります。これらの割引は小さな額に思えるかもしれませんが、積み重なると経済的なメリットは無視できません。

障害者雇用枠での就職・転職の可能性

精神障害者手帳を取得する大きなメリットの一つに、障害者雇用枠での就職や転職の選択肢が広がることが挙げられます。

  • 障害者雇用枠とは: 障害者雇用促進法に基づき、企業が一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用することが義務付けられています。障害者雇用枠は、この法定雇用率の算定対象となる雇用形態であり、一般の求人とは別に募集されます。
  • メリット: 障害者雇用枠で働く場合、企業は障害のある社員が働きやすいように、病状や特性に応じた合理的配慮を提供することが求められます。例えば、通院のための休暇を取りやすくしたり、業務内容や勤務時間を調整したり、業務上の指示を分かりやすく伝えるなどの配慮が期待できます。また、同じような障害を持つ社員がいたり、支援体制が整っているなど、病気への理解がある環境で働きやすいというメリットもあります。長期的に安定して働く上で、大きな安心材料となります。
  • 3級の場合: 精神障害者手帳3級でも、もちろん障害者雇用枠に応募できます。企業の障害者雇用における募集は、多くの場合、等級を問わず精神障害者手帳所持者を対象としています。ただし、具体的な業務内容や求められるスキル、病状への理解度などは企業によって異なります。

「意味ない」と感じて一般雇用で無理をして働き続けるよりも、手帳を取得して障害者雇用枠も視野に入れることで、ご自身のペースで、病状と折り合いをつけながら働ける環境を見つけやすくなる可能性があります。これは、経済的な自立や社会参加を目指す上で非常に重要なメリットです。

医療費の助成(自立支援医療制度との連携)

精神障害者手帳そのものに直接的な医療費助成の機能はありませんが、手帳を取得することで、自立支援医療制度(精神通院医療)の申請手続きがスムーズになる場合があります。

  • 自立支援医療制度(精神通院医療)とは: 精神疾患の治療のために医療機関に継続して通院する必要がある方が、医療費の自己負担額を軽減できる公費負担医療制度です。この制度を利用すると、医療費(通院、デイケア、訪問看護、薬代など)の自己負担額が原則1割になります(所得に応じて月額の自己負担上限額が設定されます)。
  • 手帳との連携: 自立支援医療制度を申請する際には、精神疾患に関する診断書が必要です。精神障害者手帳の申請時に作成した診断書を、自立支援医療制度の申請にも利用できる場合があります。これにより、改めて診断書を作成してもらう手間や費用が省けることがあります。また、手帳を持っていることが、精神疾患の治療を継続していることの証明となり、申請がスムーズに進む傾向があります。

精神疾患の治療には、通院や服薬が継続的に必要となる場合が多く、医療費の負担は少なくありません。自立支援医療制度を利用することで、この経済的な負担を大きく軽減できます。手帳取得が、この重要な医療費助成制度を利用しやすくするというのは、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

その他受けられる可能性のあるサービス・支援

上記以外にも、精神障害者手帳3級で受けられる可能性のあるサービスや支援があります。

  • 生活福祉資金貸付制度: 低所得者、高齢者、障害者の世帯に対し、生活費や療養費、災害救援費などを貸し付ける制度です。精神障害者手帳を持っていることで、この制度における「障害者世帯」として、資金の借り入れに関する要件を満たしやすくなる場合があります。
  • 携帯電話料金の割引: 各キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンクなど)が、障害者手帳を持っている方向けに特別な割引プランを提供しています。精神障害者手帳も対象となる場合が多く、通信費の負担を軽減できます。
  • その他自治体独自のサービス: お住まいの市区町村によっては、精神障害者手帳所持者向けの独自のサービスや助成制度(例:公共施設の利用料割引、相談支援事業の利用促進など)を設けている場合があります。詳細はお住まいの自治体のウェブサイトや福祉担当窓口で確認することをお勧めします。

これらのサービスは、個々のニーズに応じて活用することで、生活の質の向上や経済的な安定につながります。手帳を取得することで、これらの様々な情報にアクセスしやすくなるという側面もあります。

メリットの種類 主な内容(3級の場合) 1級・2級との比較(一般的な例)
税金に関する優遇 所得税・住民税の障害者控除(一般の障害者) 控除額が大きい(特別障害者)
公共料金等割引 NHK受信料の半額免除(条件あり)
公共交通機関(一部)の本人割引
公営施設利用割引
NHK受信料の全額免除(条件あり)
公共交通機関の本人・介助者割引が適用される場合が多い
対象施設・割引率が広い場合がある
障害者雇用枠 障害者雇用枠での就職・転職が可能
合理的配慮を受けやすい
等級による差は基本的にはない
医療費の助成(連携) 自立支援医療制度(精神通院医療)の申請がスムーズになる場合がある
医療費自己負担額が原則1割に軽減
等級による差は基本的にはない
その他サービス 生活福祉資金貸付の要件緩和
携帯電話料金割引
自治体独自のサービスなど
等級による差がある場合がある(対象が上位等級のみなど)

この表からも分かる通り、1級や2級と比較すると利用できるサービスに違いはありますが、3級でも税金や医療費、雇用、日常生活に関する様々なメリットが存在します。これらのメリットを一つずつ見ていくと、「意味ない」とは決して言い切れないことが分かります。

精神障害者手帳3級に関するよくある疑問

精神障害者手帳3級に関して、多くの方が抱く疑問とその回答をまとめました。

精神障害者手帳3級で障害年金はもらえる?

精神障害者手帳の等級と障害年金の等級は、直接的に連動するものではありません。

精神障害者手帳は、精神疾患による日常生活や社会生活への支障の程度を総合的に評価して等級が判定されます。一方、障害年金は、病気やけがによって生活や仕事にどの程度の支障が出ているかを評価し、国民年金・厚生年金の加入状況や保険料の納付状況などを踏まえて支給が決定される制度です。

障害年金の認定基準(1級、2級、3級)は、主に「労働能力の制限」の程度が重視されます。障害年金3級は、「労働に著しい制限を受ける」程度の状態が基準となります。精神障害者手帳3級の基準は「日常生活または社会生活に制限を受ける」であり、労働能力の制限という観点では、必ずしも障害年金3級の基準を満たすとは限りません。

ただし、精神障害者手帳の申請時に作成した診断書は、障害年金の申請を行う際に参考にすることができます。手帳の診断書が、障害の状態を証明する書類として役立つ可能性はありますが、手帳を持っているからといって自動的に障害年金が支給されるわけではありません。障害年金については、別途、年金事務所や専門家(社会保険労務士)に相談し、申請手続きを行う必要があります。

精神障害者手帳3級でも一般雇用で働ける?

はい、精神障害者手帳3級を取得しても、一般雇用で働くことは可能です。

手帳の取得は、あくまで福祉サービスを利用するためのものであり、取得したからといって一般雇用での就労が制限されることはありません。実際に、精神障害者手帳3級を持っている方の多くが、一般雇用枠で働いています。

一般雇用で働く場合、手帳を取得したことを会社に申告する法的な義務はありません(ただし、特定の資格職などで手帳の有無が要件となる場合があります)。病状や働き方、職場の環境などを考慮し、ご自身の判断で手帳の情報を開示するかどうかを決めることができます。「クローズ就労」という形で、手帳の情報を開示せずに働くことも一般的です。

ただし、クローズ就労を選択した場合、病状が悪化したり、働きにくさを感じたりしても、会社に合理的配慮を求めることは難しくなります。オープン(手帳情報を開示)で働くかクローズで働くかは、ご自身の病状の安定度、職場の理解度、どのような働き方を希望するかなどを十分に検討して決定することが重要です。

うつ病や発達障害でも精神障害者手帳3級は取得できる?

はい、うつ病や発達障害なども、精神障害者手帳の対象となる精神疾患に含まれており、病状や生活への支障の程度によっては3級を取得できます。

精神障害者手帳の対象となる疾患は多岐にわたり、以下の例があります。

  • 統合失調症
  • 気分(感情)障害(うつ病、双極性障害など)
  • てんかん
  • 発達障害(ADHD、ASD、学習障害など)
  • 高次脳機能障害
  • アルコール依存症、薬物依存症などの精神作用物質による精神及び行動の障害
  • 神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害
  • 摂食障害
  • 重度精神発達遅滞(知的障害)を伴う精神疾患

重要なのは疾患名そのものよりも、その疾患によって日常生活や社会生活にどの程度の制限があるかです。例えば、うつ病によって意欲が著しく低下し、家事や身だしなみを整えるのが困難な場合、または外出や人付き合いが難しくなり社会生活に制限がある場合など、病状の程度に応じて等級が判定されます。発達障害の場合も、コミュニケーションや対人関係、社会適応などに困難があり、生活や仕事において具体的な支障が出ている場合に手帳の対象となり得ます。

手帳の申請が可能かどうか、また何級になるかの見込みについては、主治医に相談するのが最も確実です。病状や困りごとを具体的に伝え、診断書作成について相談してみましょう。

精神障害者手帳3級の申請方法と必要なもの

精神障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)で行います。一般的な申請の流れと必要なものは以下の通りです。

  1. 主治医への相談: 手帳の取得を希望することを主治医に伝え、申請に必要な診断書を作成してもらえるか相談します。病状や日常生活での困りごとなどを具体的に伝えることで、適切な診断書作成につながります。診断書作成には通常、文書料がかかります。
  2. 診断書・申請書の入手: 主治医から診断書を受け取ります。また、お住まいの市区町村の担当窓口で精神障害者保健福祉手帳の申請書を入手します(自治体のウェブサイトからダウンロードできる場合もあります)。
  3. 申請書類の準備: 以下の書類などを準備します。
    • 申請書
    • 診断書(手帳用)
    • 申請者の顔写真(規定サイズのもの)
    • マイナンバー(個人番号)を確認できる書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
    • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
    • 印鑑(必要な場合)
    • (自治体によっては)精神疾患の既往歴や治療状況を記載する書類など
  4. 窓口での申請: 必要書類を揃えて、お住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口に提出します。郵送での申請を受け付けている自治体もあります。
  5. 審査・交付: 提出された書類に基づき、都道府県または政令指定都市で審査が行われます。審査には通常1~3ヶ月程度かかります。審査の結果、基準を満たしていると判定されると、精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

申請手続きは自治体によって若干異なる場合がありますので、事前に担当窓口に問い合わせて、必要な書類や手続きの流れを確認しておくことをお勧めします。

精神障害者手帳の更新手続きについて

精神障害者手帳の有効期間は交付日から2年間です(ただし、精神医療を初めて受けた日から6ヶ月未満で申請した場合は、申請日から2年間となる場合があります)。手帳を継続して利用するためには、有効期間が切れる3ヶ月前から更新手続きを行う必要があります。

更新手続きの流れは、新規申請とほぼ同様です。

  1. 主治医への相談: 更新用の診断書を作成してもらえるか主治医に相談します。前回の申請時からの病状の変化や、現在の日常生活・社会生活の状況などを具体的に伝えましょう。
  2. 診断書・更新申請書の入手: 主治医から更新用の診断書を受け取ります。市区町村の担当窓口で更新申請書を入手します。
  3. 申請書類の準備: 以下の書類などを準備します。
    • 更新申請書
    • 更新用の診断書
    • 現在お持ちの精神障害者保健福祉手帳
    • 顔写真
    • マイナンバー確認書類、本人確認書類など(新規申請時と同様に必要となることが多いですが、自治体にご確認ください)
  4. 窓口での申請: 必要書類を揃えて、有効期間が切れる前に担当窓口に提出します。
  5. 審査・新しい手帳の交付: 審査を経て、新しい手帳が交付されます。

更新手続きを忘れると、手帳が失効し、受けられていたサービスが利用できなくなってしまいます。有効期間を忘れずに確認し、計画的に更新手続きを進めることが大切です。

まとめ:精神障害者手帳3級は「意味なくない」!取得を検討しよう

精神障害者手帳3級は、1級や2級と比較すると受けられるサービスが限定される側面があるため、「意味ないのでは?」と感じる方もいらっしゃるのが実情です。申請の手間や、個人情報の開示、周囲への影響といった懸念から、取得をためらう方も少なくありません。

しかし、この記事で詳しく解説してきたように、精神障害者手帳3級にも様々な具体的なメリットが存在します。

  • 税金の負担を軽減できる障害者控除
  • NHK受信料や一部公共交通機関公営施設の利用料割引
  • 障害者雇用枠という新たな就職・転職の選択肢
  • 自立支援医療制度による医療費助成を受けやすくする連携
  • その他、生活福祉資金貸付や携帯電話料金割引など

これらのメリットは、日々の生活費を節約したり、安心して働き続けられる環境を見つけたり、治療を継続しやすくしたりと、精神疾患と共に歩む方々の生活を支える上で大きな助けとなり得ます。特に経済的なメリットや雇用の選択肢が増えることは、自立を目指す上で非常に重要です。

確かに、手帳を取得することによるデメリットや懸念事項もあります。手帳を取得するかどうかは、これらのメリットとデメリットを十分に比較検討し、ご自身の病状、生活状況、将来の希望などを踏まえて総合的に判断することが重要です。

もしあなたが「自分には手帳が必要なのか」「取得するメリットがあるのか」と迷われているのであれば、まずは主治医や、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談してみることをお勧めします。専門家から、あなたの状況に合わせたアドバイスや最新の制度情報を得ることができます。

精神障害者手帳3級は、決して「意味ない」ものではありません。活用次第で、あなたの生活をより安定させ、社会参加を促進するための有効なツールとなり得ます。この記事が、手帳取得を検討する上での参考になれば幸いです。

【免責事項】

本記事は、精神障害者手帳3級に関する一般的な情報提供を目的としています。個々の状況によって利用できる制度やサービス内容は異なります。また、制度は変更される場合があります。手帳の申請や制度の利用に関しては、必ずお住まいの市区町村の担当窓口や、関係機関にご確認ください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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