MENU

うつ病 なりかけ?初期サインと今日からできる対処法

「なんだか調子が出ない」「以前は楽しめていたことが億劫に感じる」。もしあなたが最近、そうした心身の変化に気づき、「うつ病になりかけかも…」と不安を感じているなら、それは大切なサインかもしれません。うつ病は、早期に気づき、適切な対処をすることで、重症化を防ぎ、回復を早めることが可能です。この記事では、うつ病になりかけの状態で見られるサインや症状、そしてご自身でできる具体的な対処法について詳しく解説します。つらい時に頼れる専門家への相談先についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みいただき、心の健康を取り戻すための一歩を踏み出してください。

うつ病は、気分が落ち込むだけでなく、様々な心や体のサインを伴います。「なりかけ」の状態では、まだ症状が軽かったり、一時的だと感じられたりするため、見過ごされがちです。しかし、これらのサインに早期に気づくことが、その後の対処において非常に重要になります。

こんな心身の症状に注意

うつ病になりかけのサインは人によって様々ですが、代表的な心身の症状をいくつかご紹介します。

心のサイン

  • 気分の落ち込み: 以前より憂鬱な気分が続く、楽しいと感じることが減る。
  • 興味や関心の喪失: 趣味や好きなことに対して興味が持てなくなる、何に対してもやる気が出ない。
  • 集中力や判断力の低下: 仕事や勉強に集中できない、物事を決められない。
  • 焦燥感やイライラ: なぜか落ち着かない、些細なことでイライラする。
  • 自分を責める: 自分には価値がないと感じる、過去の失敗を繰り返し思い出す。
  • 将来への悲観: どうせうまくいかないと考えてしまう、将来に希望が持てない。
  • 不安感: 特定の理由はないのに漠然とした不安を感じる。

体のサイン

  • 睡眠の質の変化: 寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、あるいは眠りすぎる。
  • 食欲の変化: 食欲がなくなる、または逆に過剰に食べてしまう。それに伴う体重の増減。
  • 疲労感や倦怠感: 十分休息しても疲れが取れない、体がだるい、重い。
  • 体の痛みや不調: 頭痛、肩こり、腰痛、胃の不快感など、体の痛みや不調が続くが、病院で検査しても異常が見つからない。
  • 動悸や息苦しさ: ストレスを感じたときに動悸がしたり、息苦しくなったりする。
  • 性の関心の低下: 性欲がなくなる。

これらのサインは、日常生活で誰にでも起こりうる一時的なものかもしれません。しかし、「いつもと違うな」と感じたり、複数のサインが同時に現れたりする場合は注意が必要です。特に、以前は気にならなかったことや、簡単に乗り越えられていたはずの出来事に対して、過剰に反応したり、回復に時間がかかったりする場合は、心のバランスが崩れ始めている可能性があります。

症状が続く期間の目安

うつ病の診断基準では、これらの症状が「2週間以上ほとんど毎日続き、日常生活や社会生活に支障をきたしている」ことが一つの目安とされています。

「なりかけ」の状態では、まだ症状が2週間続いていなかったり、日常生活への支障が軽度だったりすることがあります。しかし、1週間程度であっても、上記のような心身の不調が続き、それがご自身にとって「いつもと違う」「つらい」と感じられる場合は、うつ病に移行するサインかもしれません。

特に、以下のような場合は、症状が続く期間に関わらず、早期の対処を検討することが望ましいです。

  • 以前はなかったような、明らかな変化を感じる
  • 休息を取っても回復しない疲労感がある
  • 仕事や学業、家事などに明らかに支障が出始めている
  • 友人や家族から「大丈夫?」と心配されることが増えた
  • つらい気持ちを誰にも話せず、一人で抱え込んでいる

症状が長引けば長引くほど、回復に時間がかかる傾向があります。早い段階でサインに気づき、適切な対処を始めることが、心の健康を守る上で非常に重要です。

目次

うつ病になりかけたら?自分でできる具体的な対処法

うつ病になりかけの状態であれば、ご自身の力で回復の方向へ導くことができる可能性も十分にあります。ここでは、日常生活で取り入れられる具体的な対処法をご紹介します。これらは、特別なことではなく、普段の生活を見直すことから始められます。

十分な休息を確保する

心身の不調は、休息不足が大きく影響していることがあります。「なりかけ」の状態であれば、まずは徹底的に休息をとることを優先しましょう。

  • 意識的に休憩時間を設ける: 仕事中や家事の合間に、短い休憩をこまめに挟む。1時間に一度は席を立つ、ストレッチをする、窓の外を見るなど、心身をリフレッシュさせましょう。
  • 休日をしっかり休む: 休日も仕事のことばかり考えてしまったり、予定を詰め込みすぎたりしていませんか?休日は意識的に「何もしない時間」を作り、心身を休ませることに専念しましょう。旅行やイベントも楽しいですが、今の状態ではかえって負担になることもあります。
  • 休息の質を高める: ただ横になっているだけでなく、心が安らぐような休息を心がけましょう。好きな音楽を聴く、読書をする、ぼーっとするなど、ご自身にとって心地よいと感じる時間を持つことが大切です。
  • 有給休暇などを活用する: 必要であれば、思い切って数日間の休みを取り、心身をリセットする時間を確保することも有効です。

休息は単に体を休めるだけでなく、疲弊した脳や心を回復させるために不可欠です。頑張りすぎず、自分を甘やかすつもりで、意識的に休息の時間を確保しましょう。

規則正しい生活と睡眠

生活リズムの乱れは、心身の不調を招きやすく、うつ病のリスクを高めると言われています。特に、睡眠は心の健康と密接に関わっています。

  • 毎日同じ時間に寝起きする: 休日も含め、できるだけ毎日同じ時間に寝て起きるように心がけましょう。これにより体内時計が整い、睡眠の質が向上します。
  • 寝る前の習慣を見直す: 寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用、カフェインやアルコールの摂取は避けましょう。ぬるめのお風呂に入る、軽いストレッチをする、リラックスできる音楽を聴くなど、眠りに入りやすい習慣を取り入れましょう。
  • 日中に適度な日光を浴びる: 朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる、日中に外に出て散歩するなど、日光を浴びることで体内時計がリセットされ、睡眠の質が向上します。
  • 寝室環境を整える: 寝室は暗く、静かで、快適な温度に保ちましょう。寝具も自分に合ったものを選び、心地よく眠れる環境を整えることが重要です。
  • 食事の時間を規則正しくする: 毎日同じ時間に食事を摂ることも、生活リズムを整える上で役立ちます。

規則正しい生活は、心身の安定につながります。特に睡眠に関しては、量を確保するだけでなく、質を高める工夫も大切です。

バランスの取れた食事

食事は体だけでなく、心の健康にも影響を与えます。うつ病になりかけの状態では、食欲が落ちたり偏った食事になったりしがちですが、意識してバランスの取れた食事を摂ることが大切です。

  • 3食規則正しく食べる: 食欲がない時でも、少量でも良いので3食きちんと食べるように心がけましょう。特に朝食は、体を目覚めさせ、生活リズムを整えるために重要です。
  • 様々な食品群から栄養を摂る: 炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、バランス良く摂取することが大切です。特に、脳の機能に関わるビタミンB群、オメガ3脂肪酸、トリプトファン(セロトニンの材料になるアミノ酸)などを含む食品を意識して摂ると良いでしょう。
    • ビタミンB群: 豚肉、レバー、魚、大豆製品、緑黄色野菜など
    • オメガ3脂肪酸: 青魚(サバ、イワシなど)、亜麻仁油、えごま油など
    • トリプトファン: 乳製品、大豆製品、ナッツ、バナナなど
  • カフェインやアルコールを控える: 過剰なカフェイン摂取は不安感を増大させたり、睡眠を妨げたりすることがあります。アルコールは一時的に気分を高揚させることもありますが、結果的に気分を落ち込ませたり、睡眠の質を低下させたりするため、控えることが望ましいです。
  • 甘いものやジャンクフードを摂りすぎない: これらは血糖値を急激に変動させ、気分の波を作り出すことがあります。

手軽に済ませがちですが、意識して栄養バランスの良い食事を心がけることが、心身の回復をサポートします。

適度な運動を取り入れる

運動は、ストレス解消効果や気分を高める効果があることが科学的に証明されています。うつ病になりかけの状態であれば、無理のない範囲で体を動かすことが有効です。

  • 軽い有酸素運動から始める: ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳など、息が弾む程度の有酸素運動を週に数回、30分程度行うのがおすすめです。最初は短時間から始めて、徐々に時間を延ばしていきましょう。
  • ストレッチやヨガ: 体の緊張をほぐし、リラックス効果を高めるストレッチやヨガも有効です。自宅で手軽に行えるものから始めてみましょう。
  • 日常生活に運動を取り入れる: エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、一駅手前で降りて歩く、通勤や買い物の際に自転車を使うなど、意識的に体を動かす機会を増やしましょう。
  • 楽しんでできる運動を選ぶ: 「運動しなくては」と義務的に考えるのではなく、自分が楽しいと思える運動を選ぶことが継続の鍵です。友人や家族と一緒に体を動かすのも良いでしょう。

激しい運動はかえって負担になる可能性があるため、無理は禁物です。心地よいと感じる程度の運動を継続することが大切です。

ストレスの原因を特定し軽減する

うつ病になりかけの状態は、過剰なストレスが引き金となっていることが少なくありません。ご自身のストレスの原因を特定し、可能であればそれを軽減する努力が必要です。

  • ストレスの原因を書き出す: 何が自分にとってストレスになっているのか、具体的な出来事や状況を書き出してみましょう。仕事、人間関係、経済的な問題、将来への不安など、様々な要因があるかもしれません。
  • 原因に対処する: 書き出したストレス原因の中で、自分でコントロールできるものに対して対処法を考えてみましょう。例えば、仕事量が多すぎるなら上司に相談する、人間関係で悩んでいるなら適切な距離を取る、休息時間を増やすなどです。
  • 「ノー」と言う勇気を持つ: 自分にとって負担になる頼まれごとや、参加したくない誘いに対して、断ることも時には必要です。「ノー」と言うことに罪悪感を感じるかもしれませんが、自分を守るためには大切なことです。
  • 完璧主義を手放す: 全てを完璧にこなそうとすると、それが大きなストレスになります。「これくらいで大丈夫」と自分に許可を出す、人に頼ることも覚えましょう。
  • 環境を変えることも検討する: もし可能であれば、ストレスの原因となっている環境から一時的に離れることも有効です。部署異動や転職、引っ越しなども選択肢の一つとして考えられます。

ストレスを全てなくすことは難しいですが、原因を認識し、可能な範囲で軽減する努力をすることで、心の負担を減らすことができます。

リラックスできる時間を持つ

ストレスを軽減することと並行して、意識的にリラックスできる時間を持つことが重要です。心身の緊張を和らげ、気持ちを落ち着かせることで、心の回復を促します。

  • 深呼吸: ストレスを感じたり、不安になったりした時に、ゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。鼻からゆっくり息を吸い込み、口から時間をかけて吐き出すことを数回繰り返すだけでも、心が落ち着いてきます。
  • 筋弛緩法: 体の様々な部分の筋肉に意識的に力を入れて、その後一気に力を抜くことを繰り返す方法です。体の緊張を緩めることで、心の緊張も和らげることができます。
  • 瞑想やマインドフルネス: 今この瞬間の自分の呼吸や体の感覚に意識を向ける練習です。過去の後悔や未来への不安から離れ、「今」に集中することで、心を穏やかに保つことができます。
  • 心地よい香りを活用する: アロマテラピーなど、自分がリラックスできる香りを嗅ぐことも効果的です。ラベンダーやカモミールなどがおすすめです。
  • 好きな音楽や自然の音を聞く: 自分が心地よいと感じる音楽や、波の音、鳥の声といった自然の音を聞くことで、リラックス効果が得られます。
  • 温かい飲み物を飲む: ハーブティーやノンカフェインのお茶など、温かい飲み物をゆっくりと飲むことも、心を落ち着かせる効果があります。
  • 入浴: 湯船にゆっくり浸かることで、体の緊張がほぐれ、リラックスできます。好きな入浴剤を使ったり、バスピローを使ったりするのも良いでしょう。

自分にとって「心地よい」「リラックスできる」と感じる方法をいくつか見つけて、日常生活の中に意識的に取り入れることが大切です。

考え方の癖を見直す

うつ病になりかけの状態では、ネガティブな考え方にとらわれやすくなります。悲観的に考えたり、自分を責めたりする「考え方の癖」に気づき、少しずつ見直していくことも、心の回復には有効です。

  • 自分の思考パターンを観察する: 自分がどのような状況でネガティブな考えに陥りやすいのか、どのような考え方をする傾向があるのかを客観的に観察してみましょう。
  • 自動思考に気づく: 出来事に対して、無意識に浮かんでくるネガティブな考え(自動思考)に気づく練習をしましょう。「どうせ失敗する」「自分はダメだ」といった考えです。
  • 代替的な考え方を探す: 自動思考に気づいたら、それが本当に正しいのか、他の考え方はできないかを考えてみましょう。「本当に失敗するのかな?」「成功した経験もあるし、今回は違うかもしれない」といった、より現実的でバランスの取れた代替的な考え方を探す練習をします。
  • ポジティブな側面に目を向ける: 悪い出来事ばかりに目を向けるのではなく、良かったこと、感謝できること、できたことに意識的に目を向ける練習をしましょう。小さなことでも良いので、毎日3つ良かったことを書き出すといった方法も有効です。
  • 完璧主義や白黒思考を手放す: 物事を「成功か失敗か」「良いか悪いか」のように極端に考えるのではなく、「まあまあ」「ほどほど」といった中間的な評価も受け入れるようにします。
  • 「~すべき」思考を見直す: 「~しなければならない」「~であるべき」といった考え方は、自分を追い詰めがちです。これらの考え方を「~できると良いな」「~しようかな」といった柔軟な考え方に変えてみましょう。

考え方の癖を変えることは簡単ではありませんが、意識して練習を続けることで、少しずつ心を軽くすることができます。これは認知行動療法と呼ばれるアプローチの一部であり、専門家のサポートのもとで行うことも有効です。

適応障害とうつ病「なりかけ」の状態

うつ病と似たような症状が現れるものに「適応障害」があります。特に、うつ病の「なりかけ」の状態は、適応障害と見分けがつきにくい場合があります。

適応障害とは?

特定のストレス要因(例:職場の人間関係、配置転換、ライフイベントなど)が原因で、精神的・身体的な症状が現れ、社会生活や日常生活に支障をきたしている状態です。ストレスの原因がはっきりしており、その原因から離れると症状が軽減するのが特徴です。

うつ病「なりかけ」と適応障害の違い(と関連性)

特徴 適応障害 うつ病「なりかけ」またはうつ病
原因 特定のストレス要因が明確 特定の原因が明確な場合も、不明な場合もある
症状 気分の落ち込み、不安、イライラ、不眠、体の不調など。ストレス要因に関連して症状が出やすい。 気分の落ち込み、興味の喪失、疲労感、不眠、体の不調など。ストレス要因との関連が不明確な場合も。
経過 ストレス要因から離れると症状が改善しやすい ストレス要因から離れても症状が続く場合がある
重症度 比較的軽度から中等度 軽度から中等度。放置すると重症化する可能性がある
考え方 ストレス要因に対する反応性が高い 悲観的、自己否定的な考え方が固定化しやすい

適応障害は、ストレス要因から離れることで症状が改善することが期待できますが、適切な対処をせずにストレス環境に居続けたり、症状が長引いたりすると、うつ病に移行する可能性が指摘されています。

つまり、「うつ病になりかけ」の状態は、適応障害として始まることもあれば、適応障害を経ずに直接うつ病の初期症状として現れることもあります。どちらにしても、心身の不調のサインに気づき、原因となっているストレスに対処し、休息やセルフケアを行うことが重要です。ご自身の状態が適応障害なのかうつ病なのか、あるいはその「なりかけ」なのかを自己判断するのは難しいため、症状が続く場合は専門家への相談を検討することが望ましいでしょう。

周囲がうつ病になりかけた人にできること

うつ病になりかけの人は、自分から「つらい」と声を上げることが難しい場合があります。そのため、周囲の人がサインに気づき、適切なサポートを提供することが非常に重要になります。

  • 変化に気づく: いつもと様子が違う、元気がない、遅刻や欠勤が増えた、ミスが増えたなど、些細な変化にも注意を払いましょう。
  • 声をかける: 「最近、疲れているみたいだけど大丈夫?」「何か変わったことあった?」など、心配していることを優しく伝えましょう。ただし、責めたり、問い詰めたりするような言い方は避けましょう。
  • 話を「聞く」: 相手が話したいと思ったら、否定せずに、ただじっくりと話を聞いてあげましょう。「頑張れ」といった励ましの言葉は、かえってプレッパ―となることがあるため注意が必要です。「辛かったね」「大変だったね」と共感する姿勢が大切です。
  • 休息を促す: 「少し休んだら?」「無理しないでね」など、休息をとることを勧めましょう。必要であれば、職場であれば上司と相談して業務を調整したり、家庭であれば家事を分担したりすることも検討できます。
  • 専門家への相談を勧める: 自分で抱え込まず、専門家に相談することを優しく勧めましょう。ただし、無理強いはせず、あくまで本人の意思を尊重することが大切です。「一人で悩まずに、相談できる場所があるんだよ」と情報提供をする形でも良いでしょう。
  • 一緒にできることを提案する: 本人が興味を持てそうな軽い運動(散歩など)や、リラックスできること(カフェに行く、映画を見るなど)に一緒に付き合うことを提案してみましょう。ただし、本人が乗り気でない場合は無理強いせず、断られても気にしないようにしましょう。
  • 根気強く見守る: うつ病の回復には時間がかかる場合があります。すぐに効果が出なくても焦らず、根気強く見守り、サポートを続けましょう。
  • 自分自身も無理をしない: サポートする側も、自身の心身の健康を大切にすることが重要です。一人で抱え込まず、他の人にも協力を求めたり、自分自身の休息時間も確保したりしましょう。

周囲の理解とサポートは、うつ病になりかけた人の回復にとって大きな力となります。本人が孤立しないように、温かく寄り添う姿勢が大切です。

つらい時は専門家への相談を検討しよう

自分でできる対処法を試しても心身の不調が改善しない、あるいは症状が悪化していると感じる場合は、早めに専門家に相談することが非常に重要です。「うつ病になりかけ」の段階で相談することで、早期に適切なアドバイスや治療を受けることができ、回復への道のりがスムーズになる可能性が高まります。

どんな症状なら相談すべき?

「これくらいの症状で相談しても良いのかな?」と迷う方も多いかもしれません。以下のような症状が見られる場合は、専門家への相談を検討するタイミングと言えます。

  • 気分の落ち込みや興味・関心の喪失が2週間以上続き、日常生活(仕事、学業、家事、対人関係など)に支障が出ている
  • 不眠や過眠、食欲の減退または増加といった身体症状が続き、つらいと感じる
  • 強い疲労感や倦怠感が続き、休息しても改善しない
  • 自分を責める気持ちが強く、自己肯定感が極端に低い
  • 将来への希望が持てず、悲観的な考えにとらわれやすい
  • 死について考えたり、消えてしまいたいと感じたりすることがある
  • 不安感や焦燥感が強く、落ち着かない
  • 体の不調が続くが、内科などで検査しても異常が見つからない
  • 自分でできる対処法(休息、運動、気分転換など)を試しても効果を感じられない
  • 家族や友人から心配されている

上記のような症状が複数当てはまる場合や、ご自身にとって「つらい」「耐えられない」と感じる場合は、迷わずに専門家に相談することをお勧めします。「まだ大丈夫」と我慢しすぎると、かえって症状が悪化する可能性があります。

どこに相談すれば良い?

専門家への相談先はいくつかあります。ご自身の状況や利用しやすい方法に合わせて選びましょう。

  • 精神科・心療内科:
    • うつ病や適応障害などの精神疾患の診断や治療(薬物療法、精神療法など)を行います。
    • 医師が診察し、状態に応じた専門的なアプローチを提供します。
    • 心と体の両面の不調に対応しています。
    • まずはかかりつけ医に相談し、必要であれば専門医を紹介してもらうことも可能です。
    • メリット: 専門的な診断と治療を受けられる。薬物療法が必要な場合に対応できる。
    • デメリット: 初診予約が取りにくい場合がある。受診に抵抗を感じる人もいる。保険診療の場合、費用がかかる。
  • 精神保健福祉センター:
    • 各都道府県や政令指定都市に設置されている公的な相談機関です。
    • 精神保健福祉士や心理士などが、精神的な悩みに関する相談に乗ってくれます。
    • 医療機関への受診が必要かどうかの判断や、適切な相談先を紹介してくれます。
    • メリット: 無料で相談できる。地域の精神保健福祉に関する情報を提供している。
    • デメリット: 診断や治療は行わない。予約が必要な場合がある。
  • 保健所:
    • 地域住民の健康に関する相談を受け付けている公的な機関です。
    • 保健師などが健康相談に乗ってくれます。
    • 精神的な不調に関する相談も可能です。
    • メリット: 身近な相談先として利用しやすい。無料。
    • デメリット: 専門的な診断や治療は行わない。
  • カウンセリング機関(クリニック併設、独立系など):
    • 臨床心理士や公認心理師などが、面談を通して悩みや問題を整理し、解決に向けたサポートを行います(精神療法、カウンセリング)。
    • 薬物療法は行いません。
    • 医療機関と連携している場合や、独立して運営されている場合があります。
    • メリット: じっくりと話を聞いてもらえる。認知行動療法など、特定の心理療法を受けられる場合がある。
    • デメリット: 保険適用外の場合が多く、費用が高額になることがある。カウンセラーとの相性がある。
  • 職場の相談窓口・産業医:
    • 企業によっては、従業員向けの健康相談窓口や産業医との面談機会が設けられています。
    • 仕事に関するストレスや心身の不調について相談できます。
    • メリット: 職場と連携して対応を検討してもらえる可能性がある。無料で利用できる場合が多い。
    • デメリット: 相談内容によっては職場の同僚などに知られる可能性がある(プライバシーに配慮されている場合が多いが確認が必要)。
  • NPO法人や自助グループ:
    • 精神的な不調やうつ病を経験した当事者や家族が運営している団体もあります。
    • 経験者ならではの共感や情報交換ができます。
    • メリット: 同じような経験を持つ人たちと繋がれる安心感がある。
    • デメリット: 専門的な診断や治療は受けられない。

どこに相談するか迷う場合は、まずは身近な保健所や精神保健福祉センターに電話で相談してみるのも良いでしょう。専門的なアドバイスが必要だと感じたら、精神科や心療内科の受診を検討します。インターネットで地域の精神科や心療内科、相談機関を検索し、予約方法や診療内容を確認してみましょう。匿名で相談できる窓口(よりそいホットラインなど)もあります。

重要なのは、一人で抱え込まず、「つらい」という気持ちを誰かに話してみることです。早めの相談が、早期回復への鍵となります。

【まとめ】うつ病になりかけのサインに気づいたら、まずは行動を

「うつ病になりかけ」という状態は、心と体が黄色信号を灯しているサインです。このサインに気づき、適切に対処することで、うつ病への進行を防ぎ、健康な状態を保つことが可能です。

この記事では、うつ病になりかけで見られる心身のサインや、ご自身でできる具体的な対処法として、十分な休息、規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス軽減、リラックス、考え方の見直しなどを詳しく解説しました。また、適応障害とうつ病の関係性や、周囲の人ができるサポート、そしてつらい時に頼れる専門家への相談先についてもご紹介しました。

自分でできる対処法は、どれも日々の生活の中で少し意識するだけで取り入れられるものです。完璧を目指す必要はありません。できることから一つずつ始めてみましょう。

そして、最も大切なのは、「つらい」という気持ちを一人で抱え込まないことです。家族や友人、職場の同僚など、信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることがあります。もし、自分でできる対処法を試しても改善が見られない場合や、症状が重く感じられる場合は、迷わずに専門家(精神科医、心療内科医、心理士など)に相談してください。

「なりかけ」の段階での早期発見と対処は、その後の回復に大きな影響を与えます。あなたの心と体の声に耳を傾け、自分自身を大切にしてください。この記事が、あなたが心の健康を取り戻すための一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。


免責事項:

この記事は情報提供のみを目的としており、医学的な診断や治療の代わりとなるものではありません。ご自身の心身の不調について不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診断と指導を受けてください。自己判断での対応は、症状を悪化させる可能性があります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次