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【医師監修】毎日続く頭痛の原因とは?危険なサインと対策を解説

毎日頭痛が続くことで、日常生活に支障が出たり、つらい思いをされている方は少なくありません。もしかしたら、何か重い病気が隠れているのではないかと不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。頭痛は誰にでも起こりうる症状ですが、その原因は様々です。特に毎日続く頭痛は、原因を正しく理解し、適切な対処をすることが非常に大切です。
この記事では、毎日続く頭痛の主な原因や、注意すべき危険なサイン、そしてご自身でできるセルフケアや専門医による診断・治療法について詳しく解説します。

毎日、あるいは非常に高頻度に頭痛が起こる場合、その原因は大きく分けて二つのタイプが考えられます。一つは、特定の病気が原因ではない「一次性頭痛(慢性頭痛)」、もう一つは、何らかの病気が原因で起こる「二次性頭痛」です。毎日続く頭痛の多くは一次性頭痛ですが、中には命に関わる病気が隠れている二次性頭痛の可能性もゼロではありません。まずは、それぞれの頭痛について理解を深めましょう。

一次性頭痛(慢性頭痛)

一次性頭痛は、頭痛そのものが病気であると考えられているものです。画像検査などで異常が見つからないにも関わらず、繰り返しまたは持続的に起こります。毎日続く頭痛の原因としては、この一次性頭痛が最も一般的です。代表的な一次性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがありますが、毎日続くという点で特に問題となるのは、片頭痛緊張型頭痛です。また、これらの頭痛に市販薬などを使いすぎることが原因で起こる薬剤乱用性頭痛も、毎日続く頭痛の重要な原因となります。

片頭痛が毎日続く・頻繁に起こる原因

片頭痛は、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが特徴で、多くは頭の片側に起こりますが、両側に起こることもあります。吐き気や嘔吐を伴ったり、光や音に過敏になったりすることも特徴的です。通常、数時間から数日続きますが、これが毎日のように、または月に15日以上起こる場合、「慢性片頭痛」と呼ばれます。

慢性片頭痛の原因は一つではありませんが、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。

  • 誘発因子への過敏性: 特定の食品(チョコレート、チーズ、ワインなど)、カフェイン、気候変動(気圧の変化)、強い光や音、特定の匂いなどが片頭痛の引き金となることがあります。慢性片頭痛の場合、これらの誘発因子に対する脳の感受性が非常に高まっている可能性があります。
  • 生活習慣の乱れ: 睡眠不足や寝すぎ、不規則な食事時間、食事を抜くこと、過度なストレスや疲労、運動不足などが片頭痛を誘発・悪化させることが知られています。特に、ストレスから解放されたときに頭痛が起こることもあります(週末頭痛)。
  • ホルモンバランスの変動: 女性の場合、月経周期に伴うエストロゲンの変動が片頭痛の大きな原因となることがあります。毎日、あるいは頻繁に頭痛が続く場合、このホルモン変動の影響が常に存在している可能性があります。
  • 遺伝的要因: 片頭痛は遺伝する傾向があり、家族に片頭痛を持つ人がいる場合、自身も発症しやすいと言われています。
  • 頭痛薬の使いすぎ: 後述する薬剤乱用性頭痛を合併しているケースも少なくありません。片頭痛発作時に飲む薬を使いすぎると、かえって頭痛を慢性化させてしまいます。

慢性片頭痛では、脳の痛みを感じるシステムが過剰に興奮した状態が続いていると考えられており、軽度な片頭痛のような痛みが毎日続くこともあれば、緊張型頭痛のような鈍い痛みがベースにあって、時々強い片頭痛発作が起こる、といったように症状が変動することもあります。

緊張型頭痛が毎日続く・軽い痛みが続く原因

緊張型頭痛は、頭全体や後頭部、首筋にかけて、締め付けられるような、または圧迫されるような鈍い痛みが特徴です。片頭痛のようにズキンズキンと脈打つ痛みや吐き気は伴わないことがほとんどです。痛みの程度は比較的軽度から中等度で、日常生活への影響は片頭痛ほど大きくない場合が多いですが、毎日、または頻繁に続くことでQOL(生活の質)を著しく低下させます。これが毎日のように起こる場合、「慢性緊張型頭痛」と呼ばれます。

慢性緊張型頭痛の主な原因は、心身のストレスであると考えられています。

  • 精神的ストレス: 不安、悩み、緊張、抑うつなどが持続することで、脳の痛みを調整する機能がうまく働かなくなり、痛みに過敏になってしまいます。
  • 身体的ストレス: 長時間同じ姿勢での作業(デスクワーク、スマホ操作)、首や肩の筋肉の緊張、眼精疲労、噛み合わせの問題、睡眠不足などが挙げられます。これらの身体的な負担が、首や肩、頭部の筋肉を持続的に緊張させ、それが痛みを引き起こしたり、痛みの閾値を下げたりします。
  • 不良姿勢: 猫背や前かがみなど、首や肩に負担のかかる姿勢を長時間続けることも、筋肉の緊張を招き、緊張型頭痛の原因となります。
  • 眼精疲労: パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることによる目の疲れも、首や肩の緊張を招き、頭痛を引き起こすことがあります。
  • 冷え: 首や肩周りの冷えも筋肉を緊張させ、頭痛の原因となることがあります。

慢性緊張型頭痛では、これらの精神的・身体的ストレスが複合的に作用し、痛みの悪循環を生み出していることが多いです。痛みが続くと、さらにストレスを感じ、それが筋肉の緊張を招き、痛みを悪化させるというサイクルに陥りやすいのが特徴です。痛みの程度は軽いことが多いですが、毎日続くため、慢性的な不快感や疲労感につながります。

毎日続く頭痛は薬剤乱用性頭痛の可能性も

毎日続く頭痛の原因として、薬剤乱用性頭痛(Medication Overuse Headache: MOH)は非常に重要です。これは、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛を持つ人が、頭痛発作を抑えるために市販薬や処方された鎮痛薬を飲みすぎることで、かえって毎日頭痛が起こるようになってしまう状態です。

薬剤乱用性頭痛は、月に10日以上または15日以上、特定の種類の頭痛薬(トリプタン、エルゴタミン、オピオイド、または複合鎮痛薬)を3ヶ月以上服用している人に起こる、慢性の頭痛として定義されます。市販されているアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)でも起こり得るとされています。

薬剤乱用性頭痛が発生するメカニズムは完全に解明されていませんが、薬を頻繁に服用することで脳の痛みを調整するシステムに変調が生じ、痛みの閾値が低下し、薬が切れるタイミングで頭痛が起こる(反跳性頭痛)ようになるためと考えられています。そして、この頭痛を抑えるためにさらに薬を服用するという悪循環に陥り、毎日頭痛が続く状態になります。

薬剤乱用性頭痛の特徴は、

  • ほぼ毎日、または非常に高頻度に頭痛が起こる。
  • 頭痛のパターンや強さが日によって変動する。
  • 薬を飲むと一時的に楽になるが、効果が切れると再び頭痛が起こる。
  • 以前は効果があった薬が効きにくくなる。
  • 朝起きた時に頭痛が強いことが多い。

などが挙げられます。もし、毎日続く頭痛があり、月に10日以上頭痛薬を服用している場合は、薬剤乱用性頭痛の可能性を疑う必要があります。このタイプの頭痛は、原因となっている薬を中止しない限り改善が難しいため、専門医の指導のもと、計画的に薬を減量・中止する必要があります。

頭痛のタイプ 特徴 毎日続くケース(慢性〇〇頭痛) 主な原因
片頭痛 ズキンズキンと脈打つ痛み、片側(時に両側)、吐き気、光・音過敏を伴う 慢性片頭痛(月15日以上) 誘発因子、生活習慣、ホルモン変動、遺伝、ストレス、薬剤乱用
緊張型頭痛 締め付けられるような鈍い痛み、両側、首・肩のこりを伴うことが多い 慢性緊張型頭痛(ほぼ毎日または高頻度) 精神的ストレス、身体的ストレス(姿勢、眼精疲労)、冷え、薬剤乱用
薬剤乱用性頭痛 毎日または高頻度、薬の効果が切れ際に悪化 薬剤乱用性頭痛(月に10-15日以上薬を服用) 頭痛薬の使いすぎ(鎮痛剤、トリプタンなど)

命に関わる危険な頭痛(二次性頭痛)

二次性頭痛は、脳や全身の病気が原因で起こる頭痛です。中には、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、髄膜炎など、命に関わる病気が原因となっている場合があり、迅速な診断と治療が必要です。毎日続く頭痛の多くは一次性頭痛ですが、危険なサインを見逃さないことが非常に重要です。

頭痛が危険なサインとは?すぐに病院へ行くべき症状

普段から頭痛持ちの方でも、いつもと違う頭痛や、特定の症状を伴う頭痛の場合は、二次性頭痛の可能性を疑い、すぐに医療機関を受診する必要があります。特に以下のような症状がある場合は、緊急性が高いと考えられます。

  • 突然起こった、これまでに経験したことのない、人生最悪の激しい頭痛: まるでバットで殴られたような、突然始まる耐え難い痛みは、くも膜下出血の典型的な症状です。
  • いつもと頭痛の性質が変わった、徐々に悪化している頭痛: 普段の頭痛とは異なり、痛みが増していく場合や、日に日に悪化していく場合は注意が必要です。脳腫瘍などが原因の可能性があります。
  • 発熱、首の硬直(首を前に倒せない)、意識障害を伴う頭痛: これらの症状は、髄膜炎や脳炎などの炎症性疾患の可能性を示唆します。
  • 手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、視野が欠けるなどの神経症状を伴う頭痛: 脳出血や脳梗塞、脳腫瘍などによって脳神経が障害されている可能性があります。
  • 体を動かすと悪化する頭痛: 特に、咳やくしゃみ、力むなどで痛みが強くなる場合は、脳圧の上昇などを示すことがあります。
  • 頭を強く打った後の頭痛: 頭部外傷後、数時間〜数週間経ってから頭痛が悪化する場合、硬膜下血腫などの可能性があります。
  • がんや免疫不全(HIVなど)の既往がある人の新しい頭痛: これらの病気がある人は、脳への転移や感染症による頭痛のリスクが高いため注意が必要です。
  • 50歳以降で初めて発症した頭痛: これまで頭痛持ちでなかった人が、50歳を超えてから初めて頭痛が起こった場合、二次性頭痛の可能性を考慮する必要があります。
  • 体位によって変化する頭痛: 寝ているときは楽だが起き上がると痛い、あるいはその逆など、体位によって痛みが大きく変化する場合は、髄液の異常などを示すことがあります。

これらの危険なサインは、「Warning Signs(警告サイン)」や「Red Flags(赤信号)」と呼ばれ、二次性頭痛を見分ける上で非常に重要です。毎日続く頭痛であっても、これらのサインが一つでも見られる場合は、自己判断せずにすぐに医療機関を受診してください。特に突然の激しい頭痛の場合は、救急車を呼ぶことも検討が必要です。

毎日続く頭痛は、つらい一方で「いつまで様子を見ていいのだろう」「何日続いたら病院に行くべき?」と迷う方も多いでしょう。危険なサインがない場合でも、頭痛が続く場合は医療機関を受診することが推奨されます。

病院受診が必要なケース・頭痛外来を受診する目安

先述した危険なサインが一つでも見られる場合は、迷わずすぐに医療機関(救急外来を含む)を受診してください。これは、命に関わる病気の可能性を否定するためです。

危険なサインが見られない場合でも、以下のような場合は医療機関、特に頭痛診療に詳しい医師(神経内科や頭痛外来など)に相談することをお勧めします。

  • 頭痛がほぼ毎日、または週に数日以上など、頻繁に起こるようになった。
  • 痛みの程度が強くなってきた、あるいは日常生活に支障が出ている。
  • 市販の頭痛薬を飲んでもあまり効かなくなった、または飲む量が増えている。
  • 市販薬をほぼ毎日、または週に3日以上飲んでいる。(薬剤乱用性頭痛の可能性)
  • 頭痛の原因が自分で全く分からない、不安が大きい。
  • 頭痛のために仕事や学業、家事などが手につかない。
  • 頭痛に伴って、手足のしびれやめまい、気分が落ち込むなどの他の症状がある。

何日続いたらという明確な線引きは難しいですが、「毎日続く」「週の半分以上続く」といった場合は、すでに頻繁な頭痛といえ、専門的な診断と治療が必要な可能性が高いです。

頭痛外来を受診する目安

頭痛外来は、頭痛に特化した専門的な診断・治療を行う医療機関です。以下のような場合は、頭痛外来の受診を検討すると良いでしょう。

  • 慢性的な頭痛で悩んでおり、専門的なアプローチを受けたい。
  • 片頭痛や緊張型頭痛と診断されたが、なかなか症状が改善しない。
  • 月に何度も頭痛発作があり、日常生活に大きな影響が出ている。
  • 頭痛薬を使いすぎている自覚がある、あるいは薬剤乱用性頭痛の可能性を指摘された。
  • 通常の診療では満足のいく診断や治療を受けられなかった。
  • 新しい頭痛治療法(CGRP関連抗体薬など)について相談したい。

まずはかかりつけ医や最寄りの内科を受診し、そこで専門医への紹介を受けるという流れも一般的です。どこの科を受診すればよいか迷う場合は、まずは内科で相談してみるのも良いでしょう。

受診時に医師に伝えるべきこと

適切に診断を受けるためには、医師に正確な情報を伝えることが重要です。受診前に、以下の点を整理しておくとスムーズです。

  • 頭痛が始まった時期: いつ頃から毎日/頻繁に頭痛が起こるようになりましたか?
  • 頭痛の頻度: 週に何日、月に何日くらい頭痛がありますか?
  • 頭痛の持続時間: 一回の頭痛はどのくらい続きますか?
  • 頭痛の場所: 頭の片側ですか?両側ですか?後頭部ですか?
  • 頭痛の性質: ズキンズキンと脈打つ痛みですか?締め付けられるような痛みですか?
  • 痛みの程度: どのくらいつらいですか?(軽度、中等度、重度など)
  • 随伴症状: 吐き気、嘔吐、光過敏、音過敏、めまい、肩こりなどを伴いますか?
  • 誘発因子: 特定の食べ物、飲み物、気候、寝不足などで頭痛が誘発されますか?
  • 緩和因子: 休むと楽になりますか?温めたり冷やしたりするとどうですか?
  • 服用している薬: 市販薬、処方薬に関わらず、現在服用している全ての薬の名前、量、頻度を伝えてください。特に頭痛薬はいつから、どのくらいの頻度で飲んでいるか具体的に伝えましょう。
  • 既往歴: これまでにかかった病気や、ご家族の頭痛の有無なども重要です。
  • 日常生活への影響: 頭痛のために仕事や家事を休んだり、集中できなかったりしますか?

可能であれば、「頭痛ダイアリー」をつけて、頭痛が起こった日時、強さ、随伴症状、服用した薬の種類と量、その日の活動や食事、睡眠などを記録しておくと、診断の手助けになります。

毎日続く頭痛に対処し、その頻度や強度を減らすためには、日常生活でのセルフケアと、必要に応じて専門医による診断・治療を組み合わせることが重要です。

日常生活でできるセルフケア

医療機関を受診するまでもないような軽度の頭痛や、専門治療と並行して行うセルフケアは、頭痛の改善に大きく役立ちます。

  • 規則正しい生活: 毎日の睡眠時間を一定に保ち、寝不足や寝すぎを避けましょう。食事も三食バランス良く、決まった時間に摂るように心がけましょう。
  • 適切な運動: 適度な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、ストレス解消になり、血行を改善し、頭痛の予防に効果的です。ただし、片頭痛発作が起きている最中の激しい運動は痛みを悪化させる可能性があります。
  • ストレス管理: ストレスは頭痛の大きな原因となります。自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。リラクゼーション、趣味、軽い運動、瞑想、アロマセラピーなどが有効です。
  • 正しい姿勢を保つ: デスクワークやスマホ操作時は、長時間同じ姿勢をとらず、休憩を挟んで体を動かしましょう。背筋を伸ばし、首や肩に負担のかからない姿勢を意識することが、緊張型頭痛の予防になります。
  • 首や肩のストレッチ・マッサージ: 定期的に首や肩周りの筋肉をほぐすことで、緊張型頭痛の緩和や予防が期待できます。
  • 眼精疲労対策: パソコンやスマホの画面を見る時間を減らす、適切な休憩をとる、遠くの景色を見る、温かいタオルで目を温めるなどが有効です。
  • 水分補給: 脱水は頭痛の原因となることがあります。こまめに水分を摂るように心がけましょう。
  • カフェインとの付き合い方: カフェインは片頭痛の痛みを和らげる効果がある一方で、過剰摂取は頭痛を誘発したり、薬剤乱用性頭痛の原因になったりすることがあります。また、毎日カフェインを摂取している人が急にやめると、離脱症状として頭痛が起こることもあります。ご自身のカフェイン摂取量を把握し、適切に付き合うことが大切です。
  • 誘発因子の特定と回避: 頭痛ダイアリーなどを活用して、ご自身の頭痛の誘発因子を特定し、可能な限り回避する努力をしましょう。
  • 適切な市販薬の使用: 市販の頭痛薬を使用する場合は、添付文書の用法・用量を守りましょう。痛みが軽いうちに服用する方が効果的なことが多いですが、頻繁な使用は薬剤乱用性頭痛を招くため、月に10日以上(特に複合鎮痛薬やカフェインを含む鎮痛薬の場合はさらに少ない頻度でも)使用している場合は、専門医に相談してください。

専門医による診断と治療

医療機関では、問診や神経学的検査に加え、必要に応じて画像検査(MRIやCTなど)を行って、頭痛の原因を詳しく調べます。特に、二次性頭痛の可能性が疑われる場合は、脳の異常がないかを確認するための画像検査が重要になります。

診断に基づいて、頭痛の種類に応じた専門的な治療が行われます。

  • 一次性頭痛の治療:
    • 薬物療法: 頭痛の種類や頻度、重症度に応じて様々な薬が使用されます。
    • 片頭痛: 発作が起きたときに痛みを和らげる「急性期治療薬」(トリプタン製剤、CGRP関連薬など)と、頭痛の頻度や重症度を減らすための「予防薬」(β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、CGRP関連抗体薬など)があります。最近では、片頭痛のメカニズムに基づいた新しいタイプの注射薬(CGRP関連抗体薬)も登場しており、効果が高いと注目されています。
    • 緊張型頭痛: 痛みを和らげるための鎮痛剤が用いられますが、使いすぎは薬剤乱用性頭痛の原因となるため注意が必要です。筋弛緩薬や抗うつ薬(三環系抗うつ薬など)が予防的に用いられることもあります。
    • 薬剤乱用性頭痛: 最も重要な治療は、原因となっている薬の中止です。医師の指導のもと、計画的に薬を減量・中止します。薬の中止によって一時的に頭痛が悪化する「離脱症状」が現れることがありますが、適切なケア(入院治療を含む)を受けることで乗り越えることができます。薬物療法以外にも、理学療法や認知行動療法などが有効な場合もあります。
  • 非薬物療法: 薬物療法以外にも、理学療法(ストレッチ、マッサージ、姿勢指導)、認知行動療法(考え方や行動パターンを変えることで痛みの感じ方を変える)、バイオフィードバック療法(体の状態を意識的にコントロールする訓練)などが、特に慢性緊張型頭痛や片頭痛の予防に有効とされることがあります。
  • 二次性頭痛の治療: 二次性頭痛の場合は、原因となっている病気そのものに対する治療が優先されます。例えば、脳腫瘍であれば手術や放射線療法、髄膜炎であれば抗菌薬による治療などが行われます。原因疾患の治療が進めば、それに伴って頭痛も改善することが期待できます。

頭痛外来では、これらの治療法を組み合わせて、患者さん一人ひとりの頭痛のタイプや生活状況に合わせたオーダーメイドの治療計画を立ててくれます。また、頭痛に関する正しい知識を提供し、患者さんがご自身の頭痛を管理できるようサポートしてくれます。

専門医による診断と治療は、長年続く頭痛の悪循環を断ち切り、より良い日常生活を取り戻すために非常に有効です。一人で悩まず、ぜひ専門医に相談してみてください。

毎日続く頭痛は、単なる一時的な不調ではなく、何らかの原因があるサインです。その多くは、片頭痛や緊張型頭痛、そして薬剤乱用性頭痛といった一次性頭痛ですが、中には命に関わる病気が隠れている二次性頭痛の可能性も否定できません。

  • 特に、突然の激しい頭痛、神経症状を伴う頭痛、発熱や首の硬直を伴う頭痛などの危険なサインが見られる場合は、迷わずすぐに医療機関を受診することが重要です。

危険なサインがない場合でも、頭痛が頻繁に続き、日常生活に支障が出ている場合や、頭痛薬を使いすぎている場合は、医療機関、特に頭痛診療に詳しい神経内科や頭痛外来に相談することをお勧めします。専門医による詳しい問診や検査によって、頭痛の正確なタイプを診断してもらい、適切な治療を受けることができます。

ご自身でできるセルフケア(生活習慣の見直し、ストレス管理、適切な運動、姿勢改善など)も、頭痛の予防や症状緩和に役立ちます。セルフケアで改善が見られない場合や、より専門的なアプローチが必要な場合は、医療機関を受診して専門家のサポートを得ることが大切です。

毎日続く頭痛を一人で抱え込まず、まずはご自身の頭痛について理解を深め、必要に応じて医療機関を受診し、適切な対処を始めることで、頭痛に悩まされる日々から解放される可能性があります。


免責事項

この記事の情報は一般的な知識の提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療を推奨するものではありません。ご自身の症状に関して不安がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。

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