性器伝染性軟属腫は、「水いぼ」とも呼ばれるウイルス性の皮膚疾患です。子供によく見られますが、大人にも感染し、特に性器周辺にできる場合は性行為による感染が主な原因となります。性器にできた水いぼは、見た目の不安だけでなく、パートナーへの感染リスクや他の性感染症との区別も重要です。この記事では、性器伝染性軟属腫の原因、症状、感染経路、他の疾患との鑑別、そして適切な治療法について詳しく解説します。性器周辺に気になるいぼや湿疹がある方は、この記事を参考に、適切な医療機関への受診を検討してください。
伝染性軟属腫ウイルスの正体
伝染性軟属腫を引き起こすのは、「伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus, MCV)」というウイルスです。このウイルスは、ポックスウイルス科という、比較的大きなDNAウイルスに分類されます。ヒトに感染するのは主にMCV-1、MCV-2、MCV-3、MCV-4の4種類で、子供に多いのはMCV-1、大人の性器病変に多いのはMCV-2とされています。
MCVは皮膚の細胞内で増殖し、特徴的ないぼ状の病変を形成します。感染力は比較的弱いとされていますが、直接的な接触(皮膚と皮膚の接触)によって容易に感染が広がります。特に、皮膚のバリア機能が低下している状態(アトピー性皮膚炎など)では感染しやすくなると考えられています。ウイルスは感染した人の皮膚の病変内に存在しており、病変が破れたり掻きむしられたりすることで、ウイルスが周囲に飛び散り、他の場所や他の人へ感染を広げる可能性があります。
ウイルスが皮膚に侵入してからいぼが見えるようになるまでには、通常2週間から7週間程度の潜伏期間があります。場合によっては数ヶ月経ってから現れることもあります。一度感染しても、体内に免疫ができるとは限らず、再感染することもあります。また、治療によっていぼがなくなっても、ウイルスが完全に排除されたわけではないため、免疫力が低下した時などに再発する可能性もゼロではありません。
子供の水いぼと大人の性器伝染性軟属腫の違い
伝染性軟属腫は子供に多い病気として知られていますが、大人と子供ではいくつか違いが見られます。これらの違いを理解することは、大人の性器伝染性軟属腫への適切な対応に繋がります。
- 感染経路の違い:
子供の場合、伝染性軟属腫の主な感染経路は、プールの水、タオル、衣類、おもちゃなどの共用による間接的な接触感染や、感染した子供との直接的な皮膚接触です。幼稚園や学校などの集団生活で広がりやすい傾向があります。
一方、大人の場合、性器やその周囲にできる伝染性軟属腫の最も一般的な感染経路は性行為です。性的な接触によって感染者の病変部と皮膚が直接触れることでウイルスがうつります。もちろん、大人でも家族内でのタオル共用などによる感染の可能性はゼロではありませんが、性器病変の場合は性行為が主な原因と考えられます。 - 好発部位の違い:
子供の場合、伝染性軟属腫は全身のどこにでもできますが、特にわきの下、ひじの内側、ひざの裏側、体幹など、皮膚が擦れやすい部位に多く見られます。
大人の場合、性器伝染性軟属腫は文字通り性器とその周囲に集中して発生します。具体的には、男性では陰茎、陰嚢、恥丘、大腿部の内側、肛門周囲など。女性では大陰唇、小陰唇、会陰部、肛門周囲などに多く見られます。 - 免疫状態と経過の違い:
子供はまだ免疫機能が発達段階にあるため、伝染性軟属腫にかかりやすい傾向があります。しかし、多くの場合、自然に免疫ができて数ヶ月から数年で自然治癒することが期待できます。
大人の場合、通常は免疫機能が成熟しているため、子供ほど簡単には感染しません。感染する場合、特に性器に多数できるようなケースでは、性行為による感染に加えて、以下のような要因が関係していることがあります。- 免疫力の低下: ストレス、疲労、病気(HIV感染症など)、免疫抑制剤の使用などによって免疫力が低下していると、ウイルスに対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなったり、一度できた病変が拡大・多発しやすくなったりします。
- 皮膚の状態: 乾燥肌やアトピー性皮膚炎など、皮膚のバリア機能が低下している状態も感染リスクを高めます。
- 他の性感染症との合併: 大人の性器伝染性軟属腫は、他の性感染症(STD)と合併しているケースも少なくありません。これは、性行為という同じ感染経路を持つためや、免疫力が低下していると複数の感染症にかかりやすいためです。
これらの違いから、大人の性器伝染性軟属腫は、単なる皮膚の疾患としてだけでなく、性感染症の一つとして捉え、必要に応じて他のSTDの検査も検討することが重要になります。また、子供のように自然治癒が期待しにくく、放置すると拡大したりパートナーに感染させたりするリスクが高いため、早期の診断と治療が推奨されます。
性器伝染性軟属腫の症状と見た目(画像所見)
性器伝染性軟属腫の最も特徴的な症状は、皮膚に現れるいぼ状の病変です。これらの病変の見た目を正確に知ることは、他の性器のいぼや湿疹と区別するために非常に重要です。
性器にできる水いぼの具体的な症状
性器にできる伝染性軟属腫の病変は、以下のような特徴を持つことが一般的です。
- 形状: ドーム状に盛り上がっており、表面は滑らかで光沢があります。大きさは1mm~数mm程度が一般的ですが、稀に1cmを超える巨大な病変ができることもあります。中心部には、へそ状の小さなくぼみ(臍窩:さいか)が見られることが多いです。この臍窩が、伝染性軟属腫を診断する上での重要なポイントの一つとなります。病変を押すと、中心部から白い粥状の物質(軟属腫小体)が出てくることがありますが、これはウイルスを含んだ細胞の塊であり、無理に出そうとすると出血したり炎症を起こしたり、感染を広げたりする可能性があるため避けるべきです。
- 色: 周囲の皮膚と同じ肌色をしていることが多いですが、稀にややピンク色や白色、黄色みがかった色に見えることもあります。炎症を起こしている場合は赤みを帯びることもあります。
- 数と分布: 1個だけできることもありますが、多くの場合、複数の病変がまとまって、あるいは散らばって発生します。一度掻きむしると、ウイルスのついた指で触った他の場所に感染が広がり(自己接種)、病変の数が増えたり、線状に並んでできたりすることがあります。性器やその周囲の皮膚(陰茎、陰嚢、恥丘、大腿内側、大陰唇、小陰唇、会陰部、肛門周囲など)に好発しますが、稀に腹部や臀部など、性器から離れた部位にも見られることがあります。
- 自覚症状: 多くの場合、かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。しかし、炎症を伴う場合や、下着などによる刺激がある場合は、かゆみや軽い痛みを伴うことがあります。また、見た目の問題から精神的な負担を感じる方も少なくありません。
これらの特徴に当てはまる性器のいぼや湿疹を見つけた場合は、伝染性軟属腫を疑って専門医に相談することが重要です。
水いぼ以外の性器のいぼ・湿疹(尖圭コンジローマ、尋常性疣贅、軟性線維腫など)との鑑別
性器周辺には、伝染性軟属腫以外にも、見た目が似ているさまざまな「いぼ」や「湿疹」ができることがあります。これらを正確に鑑別することは、適切な診断と治療を行う上で非常に重要です。自己判断は危険であり、必ず専門医による診察が必要です。ここでは、伝染性軟属腫と間違えやすい代表的な疾患について、その特徴を比較してみましょう。
疾患名 | 原因ウイルス/要因 | 主な見た目の特徴 | 主な発生部位 | 感染経路 | 治療法(代表例) | 伝染性軟属腫との主な違い |
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伝染性軟属腫 | 伝染性軟属腫ウイルス (MCV) | 光沢のあるドーム状の盛り上がり、中心にへそ状のくぼみ(臍窩)、肌色~ピンク色、数mm程度、複数個できることが多い。 | 性器、陰部、大腿内側、肛門周囲 | 直接接触(特に性行為) | 摘出術(ピンセット)、外用薬(サリチル酸など)、冷凍凝固療法 | 中心部の臍窩、光沢のある表面、原因ウイルス(MCV) |
尖圭コンジローマ | ヒトパピローマウイルス (HPV) | 小さな突起が集まってカリフラワー状や鶏冠状になる、ピンク色や白色、数mm~数cmになることも、表面はザラザラしていることが多い。 | 性器、肛門周囲、尿道口、膣内 | 性行為(主な原因) | 外用薬(イミキモド、ポドフィリンなど)、液体窒素による冷凍凝固療法、電気焼灼、レーザー蒸散、手術 | カリフラワー状や鶏冠状の見た目、ザラザラした表面、原因ウイルス(HPV)、感染経路(性行為がほぼ全て) |
尋常性疣贅 | ヒトパピローマウイルス (HPV) | 表面が角化してザラザラしている、硬い、灰色や褐色に見えることも、数mm~1cm以上になることも。 | 手足に多いが、性器にもできる | 直接接触 | 液体窒素による冷凍凝固療法、サリチル酸含有外用薬、レーザー治療 | ザラザラして硬い表面、中心に黒い点(点状出血)が見られることがある、原因ウイルス(HPV)、通常手足に多い |
軟性線維腫 | 原因不明(加齢、摩擦などが関連) | 柔らかい、茎のような細い部分で皮膚と繋がっている、肌色~褐色、数mm~1cm程度、多発することもある。 | 首、わきの下に多いが、性器にもできる | 非感染性 | ハサミでの切除、液体窒素による冷凍凝固療法、電気焼灼、レーザー治療 | 柔らかく茎状、非感染性、中心に臍窩がない、原因がウイルスではない |
フォアダイス | 脂腺の異常(病気ではない) | 白っぽい、小さな点状の隆起、集合してできることが多い。 | 陰茎、陰嚢、口唇、頬粘膜など | 非感染性 | 治療不要(美容目的でレーザーなど) | 非感染性、非常に小さく点状、病気ではない |
真珠様陰茎小丘疹 | 原因不明(生理的なもの、病気ではない) | 透明感のある、真珠のような光沢を持つ小さな丘疹が、陰茎の亀頭のカリ首に沿って一列に並んでできる。 | 陰茎亀頭のカリ首 | 非感染性 | 治療不要(美容目的でレーザーなど) | 非感染性、一列に並んでできる、病気ではない、原因がウイルスではない |
これらの疾患は、見た目だけで正確に区別することが非常に難しい場合があります。特に尖圭コンジローマは、伝染性軟属腫と同様に性感染症であり、治療法も異なります。誤った自己判断や市販薬の使用は、症状を悪化させたり、診断を遅らせたりするリスクがあります。性器周辺に異常を見つけたら、「いぼだから大丈夫だろう」「きっと水いぼだろう」などと自己判断せず、必ず泌尿器科、皮膚科、または性病科などの専門医を受診し、正確な診断を受けてください。医師は病変の視診に加えて、ダーモスコピー(拡大鏡)を使ったり、病変の一部を採取して顕微鏡で調べたり(病理組織検査)、場合によってはウイルス検査を行ったりして診断を確定します。他の性感染症の可能性も考慮し、必要な検査を提案されることもあります。
性器伝染性軟属腫の感染経路と予防
性器伝染性軟属腫の主な感染経路を理解することは、自分自身の感染を防ぐだけでなく、パートナーや周囲の人への感染拡大を防ぐためにも非常に重要です。
性行為による感染リスク
大人の性器伝染性軟属腫の最も一般的な感染経路は、感染者との性的な接触です。性行為中に、感染者の性器周辺にある伝染性軟属腫の病変部と、パートナーの性器やその周囲の皮膚が直接触れることでウイルスがうつります。ウイルスは病変の表面に存在しているため、病変が擦れたり破れたりすることで感染力が強まります。
興味深い点として、伝染性軟属腫ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)やヘルペスウイルスなどの他の性感染症ウイルスと比較すると、感染力が比較的弱いと言われています。しかし、皮膚に小さな傷があったり、乾燥などで皮膚のバリア機能が低下していたりする状態では、ウイルスが侵入しやすくなり、感染リスクが高まります。
性行為における感染リスクを完全にゼロにすることは難しいですが、以下の点に注意することでリスクを低減することができます。
- 病変がある場合の性行為を控える: 自分自身またはパートナーに伝染性軟属腫の病変がある場合は、治療が完了するまで性行為を控えることが最も確実な予防策です。
- コンドームの使用: コンドームは、装着部位の皮膚の接触を防ぐため、ある程度の感染予防効果は期待できます。しかし、伝染性軟属腫の病変はコンドームで覆われない陰嚢や大腿内側、肛門周囲などにもできるため、コンドームだけでは感染を完全に防ぐことはできません。補助的な予防策として捉えるべきです。
- 皮膚の状態を良好に保つ: 乾燥肌や湿疹などがある場合は、適切に保湿ケアを行うなどして皮膚のバリア機能を健康に保つように心がけましょう。
パートナーに感染させないためには、自分が感染している可能性に気づいたら、正直にパートナーに伝え、二人で一緒に検査を受けたり、必要に応じて治療を行ったりすることが重要です。これは、お互いの健康を守るために非常に大切なことです。
日常生活での感染を防ぐには
大人の性器伝染性軟属腫は主に性行為で感染しますが、性行為以外の日常生活での接触によって感染する可能性もゼロではありません。特に、免疫力が低下している場合や、皮膚のバリア機能が弱い状態では、わずかな接触でも感染するリスクがあります。
日常生活で伝染性軟属腫の感染を防ぐ(または感染を広げない)ためには、以下の点に注意しましょう。
- タオルや衣類の共用を避ける: 感染者の皮膚の病変に触れたタオルや衣類を共用することで感染する可能性があります。家族間でも、特に性器周辺に病変がある場合は、専用のタオルを用意するなどして使い分けましょう。
- カミソリやスポンジなどの共用を避ける: 皮膚に直接触れるカミソリ、ボディブラシ、スポンジなども共用は避けましょう。これらを共用することで、病変を傷つけてウイルスをまき散らしたり、健康な皮膚にウイルスを付着させたりするリスクがあります。
- プールや温泉の利用: プールの水自体から感染することは稀ですが、プールサイドのタオルやビート板、浮き輪などの共用、また浴室の椅子や桶の共用、脱衣所の床などからの感染リスクは考えられます。病変がある場合は、他の方への感染を防ぐためにも、完治するまでプールや温泉の利用は控えるべきです。
- 皮膚を清潔に保つ: 日頃から皮膚を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を健康に維持することが感染予防につながります。ただし、洗いすぎはかえって皮膚の乾燥を招くことがあるため、優しく丁寧に洗うようにしましょう。
- 病変を掻きむしらない: 伝染性軟属腫の病変を掻きむしると、病変が破れてウイルスが周囲に飛び散り、自己接種による感染拡大や、他の場所への感染、そして他者への感染リスクが高まります。かゆみがある場合は、冷やしたり、掻きむしり防止用のカバーをつけたりするなどの対策を検討しましょう。
これらの日常生活での予防策は、子供の伝染性軟属腫の予防としても有効です。特に免疫力が低下している大人や、パートナーに感染者がいる場合は、これらの対策をより意識的に行うことが大切です。
伝染性軟属腫の感染力はどのくらい?
伝染性軟属腫の感染力は、麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)といった、空気感染や飛沫感染、非常に接触感染力の強い病気と比べると、比較的弱いと言われています。これは、ウイルスが空気中を漂ったり、わずかな接触で広がるのではなく、病変部と皮膚の直接的な接触が主な感染経路であるためです。
しかし、「感染力が弱い」というのは、あくまで他の感染症と比較した場合であり、感染しないわけではありません。特に以下のような状況では、感染リスクが高まります。
- 皮膚のバリア機能の低下: アトピー性皮膚炎、乾燥肌、湿疹などがある場合、皮膚の表面が傷つきやすくなっており、ウイルスが侵入しやすくなります。
- 免疫力の低下: ストレス、疲労、不規則な生活、特定の疾患(糖尿病、HIV感染症など)、免疫抑制剤の使用などにより、体の免疫力が低下していると、感染しやすくなったり、感染後に病変が多発・拡大しやすくなったりします。
- 直接的な接触: 感染者の病変部と健康な皮膚が直接触れる機会が多いほど、感染リスクは高まります。特に性器伝染性軟属腫の場合は、性行為が最もリスクの高い接触機会となります。
- 病変の数や状態: 病変の数が多かったり、病変が破れていたり、炎症を起こしていたりする状態は、ウイルス量が多く、感染力が高いと考えられます。
伝染性軟属腫は、一度感染しても必ず発症するわけではなく、また発症しても症状の出方には個人差があります。しかし、特に性器にできた場合は、見た目の問題や性感染症であるという側面から、精神的な負担も大きくなります。感染拡大を防ぐためにも、感染が疑われる場合は早期に医療機関を受診し、適切な対応をとることが重要です。
性器伝染性軟属腫の検査と診断
性器伝染性軟属腫は、医療機関で正確な診断を受けることが非常に重要です。自己判断で他の病気と間違えてしまったり、不適切な処置をしてしまったりするリスクを避けるためです。
医師による性器伝染性軟属腫の診断は、主に病変の「視診」によって行われます。問診で症状がいつ頃から現れたか、数や大きさの変化、かゆみや痛みの有無、性行為の状況などを詳しく尋ねられます。その後、医師が性器やその周囲の病変を直接目で見て確認します。
医師は、病変の数、大きさ、形状、色、表面の状態(光沢の有無、中央のくぼみがあるかなど)、分布などを詳細に観察します。特に、伝染性軟属腫に特徴的な「中心部のへそ状のくぼみ(臍窩)」があるかどうかが、診断の決め手の一つとなります。
視診だけでは診断が難しい場合や、他の疾患との鑑別が必要な場合は、以下のような検査が行われることがあります。
- ダーモスコピー検査: ダーモスコープという拡大鏡を用いて、病変の表面構造や血管の状態などを詳しく観察する検査です。伝染性軟属腫では、ダーモスコープで観察すると特徴的な所見が見られることがあります。非侵襲的な検査であり、その場で結果が分かります。
- 病変の一部を採取して顕微鏡で調べる検査(病理組織検査): 診断が確定できない場合や、他の悪性腫瘍の可能性が疑われる場合などに、病変の一部を小さく切り取って(生検)、顕微鏡で組織の状態を詳しく調べる検査です。伝染性軟属腫ウイルスに感染した細胞に特徴的な「軟属腫小体」と呼ばれる構造が見られることで診断を確定できます。この検査は専門的な知識が必要で、結果が出るまでに数日~1週間程度かかる場合があります。
- 病変の内容物を調べる検査: 病変の中心部から白い粥状の内容物(軟属腫小体)を採取し、顕微鏡で調べることで、特徴的なウイルス感染細胞を確認できることがあります。比較的簡便に行える検査ですが、必ずしも診断が確定できるわけではありません。
- ウイルス検査: 伝染性軟属腫ウイルス(MCV)を直接検出する検査は、ルーチンでは行われません。診断は主に臨床的な見た目や病理組織検査で行われます。
- 他の性感染症(STD)の検査: 大人の性器伝染性軟属腫は、性行為による感染が疑われる場合が多く、他の性感染症(尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、淋病、クラミジア、HIVなど)と合併している可能性も考慮する必要があります。医師は、問診の内容や患者さんの希望、リスクに応じて、これらのSTD検査を提案することがあります。性器のいぼやしこり、できものは、見た目が似ていても原因となる病気が異なり、中には重篤な疾患や不妊の原因となるもの、パートナーへの感染リスクが高いものもあります。そのため、性器に異常を見つけたら、恥ずかしがらずに医療機関を受診し、原因を特定するための検査を受けることが非常に重要です。
性器伝染性軟属腫の治療法
性器伝染性軟属腫の治療法にはいくつか選択肢があります。どの方法を選択するかは、病変の数や大きさ、発生部位、患者さんの年齢や希望などを考慮して医師が判断します。大人の性器伝染性軟属腫の場合、自然治癒が期待しにくく、放置すると拡大したりパートナーに感染させたりするリスクが高いため、一般的には治療が推奨されます。
ピンセットなどによる摘出術
伝染性軟属腫の治療法の中で、最も一般的で効果が高いとされるのが、病変を一つずつピンセットなどで物理的に取り除く「摘出術(てきしゅつじゅつ)」です。特に大人の性器伝染性軟属腫では、この方法が第一選択となることが多いです。
処置の手順:
- 麻酔(局所麻酔): 性器周辺はデリケートで痛みを感じやすいため、処置の前に局所麻酔のテープやクリームを塗布したり、注射で局所麻酔を行ったりすることが多いです。麻酔が効くまで数分~数十分待ちます。
- 摘出: 麻酔が効いたことを確認した後、医師が専用のピンセット(医療用の摂子など)を用いて、病変を根元から挟んで引き抜くように摘出します。中心部の軟属腫小体を含むように完全に取り除くことが重要です。
- 止血と消毒: 病変を取り除いた後は、わずかに出血することがありますが、圧迫したり、止血剤を塗布したりすることで止まります。その後、消毒液で処置部位を清潔にします。
摘出術のメリット:
- 即効性: 処置を行ったその場で病変がなくなるため、見た目の問題がすぐに解消されます。
- 確実性: 病変を物理的に除去するため、治療効果が高い方法です。
- 一度で多数の病変に対応可能: 病変の数が多くても、時間と根気は必要ですが、一度の来院で複数の病変を処理することが可能です。
摘出術のデメリット:
- 痛み: 麻酔を使用しますが、処置中に多少の痛みや不快感を伴うことがあります。麻酔が切れた後に軽い痛みが続くこともあります。
- 出血: 処置後、わずかに出血することがあります。
- 傷痕: 病変の大きさや深さ、体質によっては、処置後に小さな傷痕が残る可能性があります。しかし、通常は目立たなくなります。
- 取り残しや再発の可能性: 小さな病変を見落としたり、まだ表面に出てきていない病変(潜伏しているウイルス)があったりする場合、後日再び病変が現れる(再発)ことがあります。そのため、数週間後に再度受診して、新しい病変がないか確認することが推奨されます。
摘出術は、伝染性軟属腫の病変を迅速かつ効果的に取り除く方法として広く行われています。特に大人の性器病変は、パートナーへの感染リスクを早期に解消するという点でも有効です。
スピール膏などの外用薬治療
伝染性軟属腫の治療には、外用薬が用いられることもあります。ただし、摘出術ほど即効性や確実性が高くない場合や、性器のようなデリケートな部位には適さない場合もあります。
主に使われるのは、サリチル酸を含む外用薬(例: スピール膏)や、角質溶解作用を持つ尿素などを含むクリームです。これらの薬剤は、皮膚の角質を柔らかくして剥がれやすくすることで、病変の消失を促します。
使用方法:
外用薬の種類によって異なりますが、通常は1日に1回または数回、病変部に塗布したり、貼り付けたりして使用します。周囲の健康な皮膚に付かないように注意が必要です。
外用薬治療のメリット:
- 痛みが少ない: 物理的な処置ではないため、痛みを伴うことが少ないです。
- 自宅で治療可能: 医師の指示のもと、自宅で治療を行うことができます。
外用薬治療のデメリット:
- 効果が出るまでに時間がかかる: 摘出術のように即効性はなく、効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかる場合があります。
- 治療効果にばらつきがある: 病変の種類や患者さんの皮膚の状態によって効果が異なります。すべての病変が完全に消失するとは限りません。
- 周囲の皮膚への刺激: 薬剤によっては、病変周囲の健康な皮膚に炎症やかぶれを引き起こすことがあります。
- 性器への使用の制限: スピール膏のような貼り薬は、性器のような凹凸のある部位や粘膜に近い部位には貼りにくく、薬剤が周囲に広がりやすいクリームタイプなども、デリケートな性器への使用は注意が必要です。医師の指示なく自己判断で使用することは危険です。
また、尖圭コンジローマの治療に使われるイミキモドクリーム(ベセルナクリームなど)が、伝染性軟属腫にも効果があるとする報告が海外ではありますが、日本では伝染性軟属腫に対する保険適用はありません。自己判断や個人輸入による使用はリスクが伴うため、必ず医師の処方に従ってください。
外用薬治療は、病変の数が少ない場合や、摘出術が難しい場合(恐怖心が強い、子供の場合など)に検討されることがありますが、大人の性器伝染性軟属腫では、摘出術の方が推奨されることが多いです。
液体窒素による冷凍凝固療法
液体窒素を用いた冷凍凝固療法は、尋常性疣贅(いわゆる「いぼ」)の治療でよく用いられる方法ですが、伝染性軟属腫にも適応される場合があります。超低温の液体窒素を病変部に瞬間的に接触させることで、病変の組織を凍結させて破壊し、剥がれ落ちるのを促す治療法です。
処置の手順:
綿棒などに液体窒素を浸し、病変部に数秒間押し当てて凍結させます。
冷凍凝固療法のメリット:
- 比較的短時間で処置可能: 病変の数が少なければ、比較的短時間で処置が完了します。
- 手術が不要: メスを使わないため、外科的な手術に抵抗がある方にも適応しやすいです。
冷凍凝固療法のデメリット:
- 痛みを伴う: 液体窒素で皮膚を凍結させるため、処置中に痛みを伴います。凍結後、解凍される際にズキズキとした痛みが続くことがあります。
- 水ぶくれや出血、色素沈着のリスク: 処置後に水ぶくれができたり、出血したり、一時的な色素沈着や色素脱失(皮膚の色が濃くなったり薄くなったりすること)が起こったりする可能性があります。
- 複数回の治療が必要な場合が多い: 一度の治療で全ての病変が完全に消失するとは限らず、通常は数回(1~2週間に一度程度)繰り返し治療を行う必要があります。
- 性器への使用の難しさ: 性器周辺はデリケートなため、液体窒素の使用は慎重に行う必要があります。
冷凍凝固療法は、摘出術と比較するとやや痛みが強く、繰り返し治療が必要となることが多いですが、ピンセットによる摘出に強い抵抗がある場合などに選択肢の一つとなり得ます。
自然治癒は期待できる?放置のリスク
伝染性軟属腫は、子供の場合、多くのケースで数ヶ月から数年以内に自然治癒することが知られています。これは、子供がウイルスに対する免疫を獲得するためと考えられています。
しかし、大人の性器伝染性軟属腫の場合、子供のように自然治癒を期待することは難しいとされています。その理由はいくつかあります。
- 免疫力の低下: 前述のように、大人が伝染性軟属腫に感染・発症する場合、ストレスや疲労、基礎疾患などによって免疫力が低下していることが関係している場合があります。免疫力が低下している状態では、ウイルスに対する抵抗力が弱く、自然にウイルスを排除することが難しい傾向にあります。
- 性感染症としての広がり: 性器周辺にできた場合、性行為によって繰り返し刺激を受けたり、感染を広げたりする機会が多くなります。また、自己接種(掻きむしりなど)によって周囲に広がりやすく、病変の数が増える傾向があります。
- 他の性感染症との合併: 他の性感染症と合併している場合、全身の免疫状態が低下していることも多く、自然治癒がさらに困難になります。
性器伝染性軟属腫を放置した場合のリスク:
大人の性器伝染性軟属腫を放置すると、以下のようなリスクがあります。
- 病変の増加と拡大: 治療せずに放置すると、ウイルスが増殖し続け、病変の数が徐々に増えたり、個々の病変が大きくなったり、周囲に広がったりします。見た目の問題が悪化し、精神的な負担が増大します。
- パートナーへの感染拡大: 性器に病変がある状態で性行為を行うと、パートナーにウイルスをうつしてしまうリスクが非常に高くなります。大切なパートナーを守るためにも、早期の治療が必要です。
- 自己接種による全身への広がり: 性器の病変を掻きむしるなどすると、手にウイルスが付着し、体の他の部位(脇、腹部、脚など)に自己接種してしまい、全身に病変が広がる可能性があります。
- 他の性感染症の見落とし: 性器のいぼや湿疹は、伝染性軟属腫だけでなく、尖圭コンジローマや性器ヘルペス、梅毒といった他の性感染症の症状である可能性もあります。これらの疾患は、放置すると重篤な合併症を引き起こしたり、不妊の原因になったりするものもあります。自己判断で「水いぼだろう」と放置してしまうと、本来治療すべき他の性感染症を見落としてしまう危険性があります。
これらのリスクを避けるためにも、大人の性器伝染性軟属腫は、自然治癒を期待せず、早期に医療機関を受診して診断を受け、適切な治療を開始することが強く推奨されます。
伝染性軟属腫に関するQ&A
伝染性軟属腫、特に大人の性器伝染性軟属腫について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
伝染性軟属腫は治る?
はい、適切に治療すれば治ります。伝染性軟属腫の治療法は、病変を物理的に取り除く方法(摘出術、冷凍凝固療法など)や、外用薬によるものがあります。これらの治療によって、皮膚に見えるいぼを消失させることができます。しかし、治療によって病変がなくなっても、体内にウイルスが完全にいなくなったとは限りません。特に免疫力が低下している場合などでは、再び病変が現れる(再発)可能性があります。また、治療中にまだ小さすぎて見えていなかった病変が、後から出てくることもあります。そのため、治療後も数週間~数ヶ月は注意深く観察し、新しい病変が現れたら再度受診することが重要です。
伝染性軟属腫は放置してもいいですか?
子供の伝染性軟属腫は自然治癒することが多いですが、大人の性器伝染性軟属腫の場合は、放置しない方が良いです。放置すると、病変の数が増えたり、大きくなったりして見た目が悪化するだけでなく、パートナーに感染させてしまうリスクが高まります。また、自己接種によって自分の体の他の部位に病変が広がる可能性もあります。さらに、性器のいぼや湿疹は、伝染性軟属腫以外の性感染症である可能性も考えられます。放置することで、これらの病気を見落としてしまい、治療が遅れるリスクもあります。そのため、大人の性器に伝染性軟属腫が疑われる場合は、早めに医療機関を受診して、正確な診断と治療を受けることをお勧めします。
大人が伝染性軟属腫になるのはなぜ?
大人が伝染性軟属腫になる主な原因は、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)への感染です。特に性器周辺にできる場合は、性行為による感染が最も一般的な経路です。性行為によって感染者の病変部と皮膚が直接触れることでウイルスがうつります。また、大人が伝染性軟属腫に感染・発症しやすい背景には、免疫力の低下や皮膚のバリア機能の低下が関係していることがあります。ストレス、疲労、不規則な生活、病気(HIV感染症など)、アトピー性皮膚炎などがあると、ウイルスに対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなったり、病変が拡大しやすくなったりします。
伝染性軟属腫の感染経路は?
伝染性軟属腫ウイルスの主な感染経路は「直接接触」です。
- 性行為: 大人の性器伝染性軟属腫の最も一般的な感染経路です。性的な接触によって感染者の病変部と皮膚が直接触れることで感染します。
- 直接的な皮膚接触: 感染者の病変部と健康な人の皮膚が直接触れることで感染します。子供の場合は、感染した子供同士の接触で広がることが多いです。
- 間接的な接触: タオル、衣類、おもちゃ、プールの共用品などを介して感染する可能性もゼロではありません。感染者の病変に触れたものにウイルスが付着しており、それを介して健康な人の皮膚にウイルスが付着し、小さな傷などから侵入することで感染します。
- 自己接種: 感染者自身が、病変を掻きむしるなどして手に付着したウイルスを、自分の体の他の部位に触れることで感染を広げることです。これにより、病変の数が増えたり、広範囲に広がったりします。
治療にかかる期間は?
治療にかかる期間は、病変の数、大きさ、選択する治療法によって大きく異なります。
- 摘出術: 病変がある限り、来院して処置を受ける必要があります。一度に全ての病変を取りきれる場合もあれば、数回に分けて処置が必要な場合もあります。また、治療後数週間経ってから新しい病変が出てくることもあるため、完全に治癒したと判断されるまでには数週間~数ヶ月かかることもあります。
- 冷凍凝固療法: 通常、1~2週間に一度のペースで複数回治療が必要です。完全に消失するまでに数週間~数ヶ月かかることが多いです。
- 外用薬治療: 効果が現れるまでに数週間から数ヶ月かかる場合があります。
どの治療法でも、目に見える病変が全て消失した後に、医師が完治と判断するまで定期的に経過観察を行うことが大切です。
治療は痛いですか?
治療法によって痛みの程度は異なります。
- 摘出術: 局所麻酔を使用することが多いですが、完全に無痛とはいかず、多少の痛みや不快感を伴うことがあります。麻酔が切れた後も軽い痛みが続くことがあります。
- 冷凍凝固療法: 液体窒素で皮膚を凍結させる際に強い痛みを伴います。処置後も数時間~数日間、ズキズキとした痛みが続くことがあります。
- 外用薬治療: 通常、痛みを伴うことはありませんが、薬剤によっては塗布部位に刺激感やかゆみ、ヒリヒリ感などを感じることがあります。
性器周辺は特にデリケートなため、痛みが心配な場合は事前に医師に相談し、麻酔の使用などについて確認しておきましょう。
保険は適用されますか?
皮膚科で伝染性軟属腫の治療を受ける場合、健康保険が適用されることが一般的です。性病科や泌尿器科でも、保険適用となる場合が多いです。ただし、自由診療のクリニックでは保険適用外となる場合があります。受診前に、保険適用が可能かどうかクリニックに確認しておくと安心です。治療費は、病変の数や選択する治療法によって異なります。
再発することはありますか?
はい、伝染性軟属腫は再発する可能性があります。これは、治療で目に見える病変を全て取り除いたつもりでも、まだ小さすぎて見えていなかった病変があったり、皮膚や毛穴の中にウイルスが潜伏していたりする場合があるためです。また、一度治癒しても、再びウイルスに感染して再発することもあります。特に免疫力が低下している状態では再発しやすい傾向があります。治療後も油断せず、新しい病変が現れたらすぐに医療機関を受診することが大切です。
プールや温泉に入ってもいい?
病変がある場合は、他の方への感染を防ぐためにも、完治するまでプールや温泉の利用は控えるべきです。特にプールの水自体から感染することは稀ですが、タオルやマット、浴槽、洗い場などで間接的に感染させるリスクがあります。治療によって全ての病変が消失し、医師から完治の許可が出た後であれば問題ありませんが、再感染を防ぐためにも共用タオルなどは避けるなどの注意は必要です。
パートナーにどう伝えるべき?
性器伝染性軟属腫が性行為によって感染した可能性が高い場合、パートナーにも感染している可能性があるため、正直に伝えることが重要です。伝えることは勇気がいることですが、パートナーの健康を守るため、そしてお互いに安心して過ごすために必要なステップです。「性器にいぼができて、病院で伝染性軟属腫(水いぼ)と診断された。性行為でうつることがあるらしいので、念のため一緒に病院で診てもらわないか」など、冷静に状況を伝え、一緒に検査や治療を検討することを提案しましょう。もしパートナーが感染していた場合でも、早期に治療すれば治る病気であることを伝え、過度に心配させないように努めましょう。
他の性感染症も検査すべき?
大人の性器に伝染性軟属腫が見つかった場合、性行為による感染が考えられるため、他の性感染症(STD)も同時に感染している可能性が考慮されます。特に免疫力が低下している状態では、複数のSTDに同時に感染しやすい傾向があります。尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、梅毒、淋病、クラミジア、HIVなど、性器のいぼやできもの、痛み、かゆみ、おりもの異常などの症状を引き起こす性感染症は数多くあります。医師は、問診の内容や患者さんのリスク、希望に応じて、これらのSTD検査を提案することがあります。自分自身の健康状態を正確に把握し、将来的な健康リスクやパートナーへの感染リスクを減らすためにも、必要なSTD検査を受けることを強くお勧めします。
性器のいぼや湿疹が気になる方は医療機関へ
性器にできた「いぼ」や「湿疹」は、伝染性軟属腫かもしれませんし、尖圭コンジローマや性器ヘルペス、梅毒といった他の性感染症、あるいはフォアダイスや真珠様陰茎小丘疹のような生理的なもの、単なる湿疹など、さまざまな原因が考えられます。これらの病気は、見た目が似ていても、原因、感染力、治療法、そして放置した場合のリスクが全く異なります。
自己判断で市販薬を使ったり、様子を見たりすることは、病気を悪化させたり、診断や治療が遅れてしまったりするリスクを伴います。特に性感染症の場合は、知らないうちにパートナーに感染させてしまうという深刻な問題にもつながります。
性器やその周囲に、気になる「いぼ」や「できもの」「湿疹」を見つけたら、恥ずかしがらずに、できるだけ早く専門の医療機関を受診してください。
泌尿器科・皮膚科・性病科での受診を
性器のいぼや湿疹について相談できる医療機関はいくつかあります。
- 泌尿器科: 男性の場合、性器の病気は専門分野です。伝染性軟属腫や尖圭コンジローマなどの性感染症、その他の性器の皮膚疾患まで幅広く対応しています。
- 皮膚科: 皮膚の病気の専門家です。伝染性軟属腫を含む様々な皮膚疾患に対応しています。性器の病変ももちろん診察可能です。
- 性病科: 性感染症の専門クリニックです。伝染性軟属腫を含むあらゆる性感染症の検査、診断、治療に対応しています。他の性感染症との合併が心配な場合などに適しています。
- 産婦人科(女性の場合): 女性の場合、外陰部の病変について産婦人科でも相談できます。
どの科を受診すべきか迷う場合は、まずは皮膚科か、男性なら泌尿器科、女性なら皮膚科か産婦人科を受診するのが良いでしょう。性感染症全般について詳しく調べたい場合は、性病科の受診を検討しましょう。
医療機関では、医師が病変を丁寧に診察し、必要に応じて検査を行い、正確な診断に基づいて最適な治療法を提案してくれます。治療法の選択肢やメリット・デメリットについても詳しく説明を受け、納得した上で治療を進めることができます。パートナーへの対応や、他の性感染症の検査についても相談に乗ってくれるでしょう。
近年では、オンライン診療で性感染症の相談や、一部の治療薬の処方を行っているクリニックもあります。しかし、性器伝染性軟属腫のように病変の視診が診断に不可欠な疾患では、対面での診察が必要となる場合がほとんどです。まずは医療機関に直接来院して診察を受けることをお勧めします。
性器伝染性軟属腫は、適切に診断・治療すれば治る病気です。しかし、放置することで様々なリスクを伴います。性器に気になる症状がある方は、一人で悩まず、勇気を出して専門医に相談し、安心して日常生活を送れるようにしましょう。
免責事項:
この記事は、性器伝染性軟属腫に関する一般的な情報提供を目的としています。医学的な診断や治療を代替するものではありません。個々の症状や状態については、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。この記事の情報によって生じたいかなる不利益についても、当方は責任を負いかねます。