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トリキュラーのすべて|避妊・生理への効果、副作用、正しい飲み方

低用量ピル「トリキュラー」について、「避妊」「生理」など様々な側面から知りたい情報があると思います。
このページでは、トリキュラーの基本的な特徴から、期待できる効果、正しい飲み方、気になる副作用やリスク、そして入手方法まで、詳しく解説していきます。
トリキュラーは、多くの女性にとって有用な選択肢となり得ますが、正しく理解し、安全に使用するためには、専門家からの正確な情報が不可欠です。
服用を検討している方、現在服用中の方、あるいはトリキュラーについて漠然と知りたいと思っている方も、ぜひ最後まで読んで、トリキュラーについての理解を深めてください。

トリキュラーはどんな薬ですか?ピルとの違い

ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンを配合した薬剤です。低用量ピルとは、これらのホルモン量が比較的少量に抑えられているものを指します。トリキュラーは、この低用量ピルに分類されます。

ピルにはいくつかの分類方法がありますが、ホルモンの配合量によって「一相性」「二相性」「三相性」に分けられます。トリキュラーは「三相性ピル」と呼ばれるタイプです。これは、シート内の錠剤に含まれるホルモン量が、服用時期に合わせて3段階に変化するように調整されていることを意味します。自然なホルモン分泌のリズムに近づけることで、より生理的な変化を促し、不正出血などの副作用を軽減することを目的として開発されました。

他の一般的な低用量ピル、特に一相性ピル(シート内の実薬に含まれるホルモン量が全て同じ)と比較すると、三相性であるトリキュラーは飲み進めるにつれてホルモンバランスが段階的に変化します。これにより、個々の体質によって合う・合わないが生じることがあります。どのピルが自分に合うかは、医師と相談の上で決定することが重要です。

主な成分と作用機序

トリキュラーに含まれる主な有効成分は、卵胞ホルモンとして「エチニルエストラジオール」と、黄体ホルモンとして「レボノルゲストレル」です。これらのホルモンが協力して、以下の3つの主要な作用機序によって効果を発揮します。

  • 排卵の抑制: これが最も重要な作用です。脳下垂体からの性腺刺激ホルモン(FSH、LH)の分泌を抑制することで、卵巣からの排卵を強力に抑えます。これにより、卵子と精子が出会うことを防ぎ、妊娠を成立させなくします。
  • 子宮内膜の変化: ホルモンの影響で、子宮内膜が厚くならないように変化させます。もし排卵が起こり受精が成立したとしても、受精卵が子宮内膜に着床しにくい状態を作り出します。
  • 頸管粘液の変化: 子宮の入り口にある頸管の粘液を変化させ、精子が子宮内へ進入しにくい状態にします。粘液の粘度が高まり、精子の動きを妨げます。

トリキュラーが三相性であることは、これらの作用機序にも影響します。シートの最初の段階ではホルモン量が比較的少なく、徐々に増やしていくことで、体のホルモンバランスを自然な周期に近づけつつ、上記の避妊作用を維持します。この段階的なホルモン量の変化が、トリキュラー独自の作用機序と言えます。

目次

トリキュラーで期待できる効果

トリキュラーの主な目的は避妊ですが、それ以外にも様々な副効用が知られています。多くの女性が避妊以外の目的でトリキュラーを服用することもあり、その効果は多岐にわたります。

避妊効果とそのメカニズム

トリキュラーは、正しく服用すれば非常に高い避妊効果を発揮します。そのメカニズムは前述の通り、主に排卵抑制、子宮内膜の変化、頸管粘液の変化の3つです。これらの作用が複合的に働くことで、妊娠を防ぎます。

ピルの避妊効果は、主にその排卵抑制作用によるものです。ピルを服用することで、卵巣は休息状態に入り、新しい卵子の成熟と放出が行われなくなります。これにより、たとえ性行為があっても、妊娠する可能性は極めて低くなります。子宮内膜や頸管粘液の変化も、避妊効果をさらに確実にするための補助的な役割を果たしています。

トリキュラーの妊娠率は?

トリキュラーを含む低用量ピルの避妊効果は、その「正しく使用された場合」の妊娠率(理論上の失敗率)と、「一般的な使用」における妊娠率(実際の失敗率)で評価されます。

  • 理論上の失敗率(パール指数): 100人の女性が1年間、完全に指示通りに正しくピルを服用した場合に妊娠する人数を示す指数です。低用量ピルを完全に正しく服用した場合のパール指数は、0.1〜0.3と報告されており、これは非常に高い避妊効果を示しています。トリキュラーもこの範囲に含まれます。
  • 一般的な使用における失敗率: 実際には、飲み忘れや体調不良による吸収不良などがあり、理論通りに服用できない場合があります。この場合の妊娠率は、報告によって差がありますが、6〜9程度とされています。これは、飲み忘れがピルの避妊効果を低下させる最大の要因であることを示唆しています。

つまり、トリキュラーは正しく毎日服用することで、ほぼ確実に避妊できると言えますが、飲み忘れてしまうと避妊効果が低下し、妊娠のリスクが高まるということです。最大限の避妊効果を得るためには、医師や薬剤師の指示に従い、毎日決まった時間に服用することが非常に重要です。

生理に関する効果(生理痛・PMS改善など)

トリキュラーは避妊目的以外にも、様々な婦人科系疾患の治療や症状緩和に用いられます。特に「生理に関するトラブル」に対して大きな効果を発揮します。

  • 生理周期の安定: トリキュラーを服用すると、ホルモンバランスが一定に保たれるため、生理(消退出血)がピルシートの偽薬期間中または休薬期間中に規則正しく起こるようになります。これにより、生理不順が改善され、生理日の予測が容易になります。
  • 生理痛(月経困難症)の軽減: トリキュラーは、子宮内膜の増殖を抑える作用があるため、生理時の出血量が減少します。また、子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質の生成も抑制するため、生理痛の原因となる子宮の過度な収縮が緩和されます。これにより、生理痛が和らぎ、日常生活への影響が軽減されることが期待できます。月経困難症の治療薬(LEP製剤)として処方されるピルも、同様のメカニズムで効果を発揮します。
  • 月経量の減少: 前述の通り、子宮内膜の増殖が抑えられるため、生理時の出血量が減少します。これは特に過多月経に悩む女性にとって大きなメリットとなります。貧血の改善にもつながる可能性があります。
  • PMS(月経前症候群)/PMDD(月経前不快気分障害)の症状緩和: 排卵が抑制されることで、生理周期に伴うホルモン変動が抑えられます。このホルモン変動がPMSやPMDDの原因の一つと考えられているため、変動を抑えることでイライラ、気分の落ち込み、むくみ、肌荒れなどの症状が軽減されることがあります。

これらの生理に関する効果は、多くの女性にとって生活の質の向上につながるため、トリキュラーが避妊目的以外でも広く利用される理由となっています。

その他の効果

トリキュラーには、避妊や生理関連のトラブル改善以外にも、いくつかの副効用が報告されています。

  • 機能性嚢胞の抑制: 卵巣にできる機能性嚢胞(排卵に関連して一時的にできる良性の嚢胞)の発生を抑制する効果があると言われています。
  • 子宮外妊娠のリスク低下: 排卵が抑制されるため、そもそも妊娠する機会が減り、それに伴って子宮外妊娠のリスクも低下します。
  • 骨盤内炎症性疾患(PID)のリスク低下: ピル服用によって頸管粘液の粘度が高まるため、細菌が子宮内へ侵入しにくくなり、骨盤内炎症性疾患のリスクを低下させる可能性があるという報告があります。
  • ニキビ・肌荒れの改善: ピルに含まれる黄体ホルモンの一部には、男性ホルモン様作用を持つものがありますが、トリキュラーに含まれるレボノルゲストレルは、比較的この作用が少ないとされています。また、ピル全体の作用として、卵巣からの男性ホルモン分泌を抑制する効果があるため、アンドロゲン(男性ホルモン)が原因で起こるニキビや多毛の改善に効果が期待できる場合があります。ただし、この効果はピルの種類によって差があり、トリキュラーで全ての人のニキビが改善するわけではありません。
  • 一部の癌のリスク低下: 長期間(10年以上など)ピルを服用することで、卵巣癌や子宮体癌のリスクが低下するという報告があります。ただし、乳癌や子宮頸癌のリスクとの関連性については、慎重な検討が必要です。

これらの効果は、トリキュラーが単なる避妊薬ではなく、女性の全体的な健康管理に役立つ薬剤であることを示しています。しかし、これらの効果を期待して服用する場合も、必ず医師の診察を受けて、自分に合ったピルを選択し、定期的な検診を受けることが大切です。

トリキュラーの種類と正しい飲み方

トリキュラーには主に2つのタイプがあり、それぞれ飲み方が異なります。正しい飲み方を理解し、実践することが、効果を最大限に引き出し、リスクを最小限に抑えるために不可欠です。

トリキュラー21とトリキュラー28の違い

トリキュラーには「トリキュラー21」と「トリキュラー28」という2種類の製品があります。有効成分の種類や量は同じですが、シートに含まれる錠剤の数が異なります。

特徴 トリキュラー21 トリキュラー28
錠剤数 21錠 28錠
内容 全て有効成分を含む「実薬」 実薬21錠 + 有効成分を含まない「偽薬(プラセボ)」7錠
飲み方 21日間実薬を服用後、7日間休薬期間を設ける 28日間毎日連続して服用する(休薬期間は偽薬で代替)
メリット 実薬のみなので、シートの管理が比較的シンプル 休薬期間も毎日飲む習慣がつくため、飲み忘れにくい
デメリット 7日間の休薬期間中は飲む習慣が途切れるため、再開時に飲み忘れのリスクがある 偽薬を飲む意味を理解する必要がある

どちらのタイプも、実薬に含まれるホルモン量は同じであり、正しく服用すれば得られる効果やリスクに大きな違いはありません。個人の好みや飲み忘れのリスクなどを考慮して、医師と相談して選択できます。初めてピルを服用する方や、毎日飲む習慣をつけたい方には、トリキュラー28が推奨されることが多いようです。

飲み始め方とスケジュール

トリキュラーの飲み始め方にはいくつか方法がありますが、最も一般的なのは「月経開始日」から服用を開始する方法です。

  • 月経開始日からの飲み始め: 生理が始まった日を1日目として、その日のうちにトリキュラーの1錠目を服用します。シートには通常、曜日が印字されているので、生理が始まった曜日の錠剤から始めます。この方法で開始した場合、通常、最初の1周期目から高い避妊効果が得られます。
  • 月経開始5日以内の飲み始め: 生理が始まってから5日以内に服用を開始する方法です。この場合、服用開始から最初の7日間は、コンドームなどの他の避妊法を併用することが推奨されます。
  • クイックスタート: 生理周期に関わらず、医師の指示のもと、都合の良い日から服用を開始する方法です。この場合も、服用開始から最初の7日間は他の避妊法を併用する必要があります。

飲み始めたら、毎日決まった時間に1錠ずつ服用することが非常に重要です。体内でホルモン濃度を一定に保つことで、最大限の効果を得られます。服用時間は、生活リズムに合わせて、忘れにくい時間帯(例:夕食後、就寝前など)を選ぶと良いでしょう。

トリキュラー21の場合、21日間実薬を服用したら、次のシートに移るまでに7日間の休薬期間を設けます。この休薬期間中に生理のような出血(消退出血)が起こります。休薬期間が終わったら、出血が終わっているかに関わらず、8日目から新しいシートの服用を開始します。
トリキュラー28の場合、実薬21錠を服用した後、偽薬7錠を連続して服用します。偽薬を飲んでいる期間中に消退出血が起こります。偽薬を全て飲み終えたら、休薬期間を設けずに、次のシートの実薬の1錠目をすぐに飲み始めます。

飲み忘れた場合の対処法

トリキュラーは毎日決まった時間に服用することで最大の効果を発揮するため、飲み忘れは避妊効果を低下させるリスクを高めます。飲み忘れてしまった場合の対処法は、飲み忘れた錠剤数やタイミングによって異なります。必ず添付文書を確認するか、医師や薬剤師に相談してください。一般的な対処法を以下に示しますが、これはあくまで一般的な目安であり、個別の状況によっては対応が異なる場合があります。

飲み忘れた錠剤数 対処法 避妊効果への影響と推奨される対応
1錠 飲み忘れに気づいた時点で、すぐに飲み忘れた錠剤を服用します。その日の分の錠剤も、通常通りの時間に服用します。つまり、その日は2錠飲むことになります。 避妊効果は維持されます。他の避妊法の併用は不要です。
2錠以上 飲み忘れた期間によって対応が異なります。 避妊効果が低下している可能性があります。
(シート前半) 飲み忘れに気づいた時点で直ちに最も早く飲み忘れた錠剤を1錠服用します。その日の分の錠剤も通常通りの時間に服用します。それ以降は通常通り服用を続けます。 飲み忘れから7日間連続してピルを服用するまで、コンドームなどの他の避妊法を併用する必要があります。飲み忘れた期間に性行為があった場合は、緊急避妊を検討する必要がありますので、速やかに医師に相談してください。
(シート後半) 飲み忘れに気づいた時点で直ちに最も早く飲み忘れた錠剤を1錠服用します。その日の分の錠剤も通常通りの時間に服用します。残りの実薬を全て服用し終えたら、偽薬(トリキュラー28の場合)または休薬期間を飛ばして、次のシートの実薬の1錠目をすぐに飲み始めます。 避妊効果が低下している可能性があります。次のシートの実薬を7日間連続して服用するまで、他の避妊法を併用する必要があります。

重要な注意点:

  • 飲み忘れた錠剤が何錠であっても、一度に3錠以上服用してはいけません。
  • 不安な場合や、飲み忘れの状況が上記のどれに当てはまるか分からない場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
  • 飲み忘れによる避妊効果の低下が懸念される場合は、医師の指示に従い、緊急避妊薬の使用を検討することも必要です。

飲み忘れを防ぐために、アラームを設定したり、毎日同じ場所に保管するなど、工夫することが大切です。

服用中の注意点

トリキュラーを安全かつ効果的に服用するためには、いくつかの注意点があります。

  • 毎日決まった時間に服用する: これが最も重要です。飲み忘れは避妊効果を低下させます。
  • 嘔吐や激しい下痢: 服用後2〜3時間以内に嘔吐したり、激しい下痢が続く場合は、ピルの成分が十分に吸収されていない可能性があります。この場合、飲み忘れた時と同様の対処(追加で1錠服用するなど)が必要になることがあります。状況に応じて医師に相談してください。
  • 飲み合わせ: トリキュラーの効果に影響を与える可能性のある薬剤(特定の抗生物質、抗てんかん薬、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品など)があります。また、トリキュラーが他の薬剤の効果に影響を与えることもあります。現在服用している全ての薬剤やサプリメントについて、必ず医師または薬剤師に伝えてください。
  • 喫煙: ピル服用中の喫煙は、血栓症のリスクを著しく高めます。特に35歳以上で1日15本以上喫煙する方は、ピルを服用できません。ピルを服用する際は、禁煙することが強く推奨されます。
  • 定期検診: ピル服用中は、半年に一度程度の定期検診(問診、血圧測定、体重測定、必要に応じて血液検査など)を受けることが推奨されています。これにより、血栓症などの副作用の早期発見や、体の状態に合わせてピルの種類を見直すことができます。
  • 手術: 大きな手術を受ける場合や、長期間寝たきりになる可能性がある場合は、血栓症のリスクが高まるため、手術の数週間前からピルの服用を一時中止する必要がある場合があります。手術を受ける際は、必ず医師にピルを服用していることを伝えてください。

これらの注意点を守ることで、トリキュラーをより安全に服用し、期待する効果を得ることができます。

トリキュラーの副作用とリスク

トリキュラーは、正しく服用すれば多くのメリットがある薬剤ですが、副作用やリスクも存在します。全ての人が副作用を経験するわけではありませんが、可能性のある症状を知っておくことは、安心して服用するために重要です。

よくある初期症状

トリキュラーの服用を開始して最初の数ヶ月間は、体がホルモン環境の変化に慣れるまで、以下のような比較的軽い初期症状が現れることがあります。これらの症状は一時的なものが多く、通常は服用を続けるうちに軽減または消失します。

  • 吐き気・嘔吐: 特に服用開始初期に起こりやすい症状です。吐き気を感じやすい場合は、就寝前に服用するなど時間を工夫すると良い場合があります。
  • 頭痛: ホルモンバランスの変化が原因と考えられます。
  • 不正出血(破綻出血・点状出血): 生理期間以外に出血が見られることがあります。特に三相性ピルであるトリキュラーは、ホルモン量が段階的に変化するため、飲み始めや飲み忘れ、あるいはシートの切り替え時期に不正出血が起こることがあります。これは通常、体が慣れるにつれて落ち着きますが、量が多い場合や続く場合は医師に相談してください。
  • 乳房の張り・痛み: ホルモンの影響で乳腺が刺激されることによって起こることがあります。
  • 気分の変化・抑うつ: ホルモンの影響が精神面に現れることがあります。
  • むくみ・体重増加: 体内に水分が溜まりやすくなることによって起こることがありますが、一時的なことが多いです。食欲増進による体重増加も考えられますが、ピル自体が直接的に大きな体重増加を引き起こすという明確なエビデンスは少ないです。

これらの初期症状は、多くの場合心配する必要はありませんが、症状が重い場合や長く続く場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。ピルの種類を変更することで改善することもあります。

重大な副作用(血栓症など)

低用量ピル服用による最も重要なリスクは、血栓症です。血栓症とは、血管の中に血の塊(血栓)ができ、血管が詰まってしまう病気です。脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症などを引き起こす可能性があります。

低用量ピルを服用している女性が血栓症を発症する頻度は、服用していない女性と比較するとわずかに高くなります。しかし、妊娠中や出産後の期間と比較すると、ピル服用中の血栓症のリスクは低いとされています。例えば、ピルを服用していない健康な女性における年間血栓症発症率は1万人に1〜5人程度ですが、低用量ピル服用中の女性では3〜9人程度と報告されています。一方、妊娠中は5〜20人、出産後12週以内は40〜65人という報告があります。
トリキュラーに含まれる黄体ホルモンであるレボノルゲストレルは、比較的血栓症のリスクが低いと言われています。しかし、全くリスクがないわけではありません。特に以下のような因子がある場合、血栓症のリスクはさらに高まります。

  • 喫煙(特に35歳以上で1日15本以上)
  • 肥満(BMIが高い)
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 血栓症の家族歴(特に若年での発症)
  • 長時間のフライトやデスクワークなど、体を動かさない状態が続くこと
  • 大きな手術や怪我
  • 特定の遺伝的要因

これらのリスク因子を持っている方は、ピル服用についてより慎重な検討が必要です。

血栓症の初期症状を知っておくことが、早期発見と重症化予防のために非常に重要です。以下のような症状が現れた場合は、すぐにピルの服用を中止し、救急医療機関を受診してください(「Emergency Doctor Time」の頭文字をとって「EDTCS」と呼ばれることもあります)。

  • E: Eye problems(急な視力低下、視野欠損など)
  • D: Dramatic increase in headache(今までにないひどい頭痛、続く頭痛)
  • T: Thrombosis/Severe pain in leg(ふくらはぎなどの足の痛み、腫れ、しびれ、赤み、熱感)
  • C: Chest pain(急な胸の痛み、圧迫感)
  • S: Shortness of breath(息切れ、呼吸困難)

これらの症状以外にも、「話しにくい」「体の片側が麻痺する、しびれる」といった脳梗塞を疑う症状や、「突然の激しい腹痛」といった腹腔内血栓症を疑う症状など、体調の異変を感じたらすぐに医療機関に相談することが大切です。

副作用が疑われる場合の対応

トリキュラー服用中に気になる症状が現れた場合、まずは自己判断せずに医師や薬剤師に相談しましょう。

  • 軽い初期症状の場合: 吐き気や頭痛、不正出血など、比較的軽い初期症状の場合は、体が慣れるまで様子を見ることもありますが、症状が辛い場合や続く場合は、必ず医師に相談してください。ピルの種類を変更することで症状が改善することもあります。
  • 重大な副作用(血栓症など)を疑う症状の場合: 前述のEDTCSのような症状が現れた場合は、迷わずすぐにピルの服用を中止し、速やかに救急医療機関を受診してください。 受診時には、ピルを服用していることを必ず医師に伝えてください。

ピル服用中に体調に異変を感じたら、「気のせいかな」と放置せず、早めに専門家に相談することが、安全にピルを服用するための最も重要なポイントです。定期検診をきちんと受けることも、副作用の早期発見につながります。

トリキュラーの入手方法

トリキュラーは医師の処方が必要な医療用医薬品です。薬局やドラッグストアで市販薬として購入することはできません。安全に入手するためには、医療機関を受診する必要があります。入手方法には主に以下の3つの方法があります。

病院・クリニックでの処方

最も一般的で推奨される入手方法です。産婦人科などの医療機関を受診し、医師の診察を受けて処方してもらいます。

メリット:

  • 医師による詳しい問診や診察を受けられる。
  • 体の状態や既往歴、現在の健康状態に合わせて、最適なピル(トリキュラーが適切か、他の種類が良いか)を選んでもらえる。
  • 副作用のリスクについて詳しい説明を受けられる。
  • 服用中の疑問や不安を直接質問できる。
  • 定期検診を受けやすい。

デメリット:

  • 受診のために医療機関に行く時間が必要。
  • 待ち時間が発生する場合がある。
  • 対面での診察に抵抗を感じる人もいるかもしれない。

初めてピルを服用する場合や、持病がある場合、あるいは副作用が心配な場合は、対面での診察が可能な病院やクリニックでの処方が最も安心できる方法と言えるでしょう。

オンライン診療での処方

近年、オンライン診療によるピルの処方が可能になり、利用者が増えています。スマートフォンやパソコンを使って、自宅などから医師の診察を受け、ピルを処方してもらう方法です。

メリット:

  • 時間や場所を選ばずに診察を受けられるため、忙しい方や近くに医療機関がない方にとって便利。
  • 移動時間や待ち時間がない。
  • プライバシーが保たれやすい。
  • ピルが自宅に配送される。

デメリット:

  • 対面での診察ができないため、医師が直接体の状態を確認できない。
  • 触診や内診などの検査ができない(これはピル処方において必須ではありませんが、婦人科疾患の合併がないかなどを確認する上では対面が有利な場合も)。
  • システム障害などのリスク。
  • オンライン診療に対応している医療機関を選ぶ必要がある。

オンライン診療でピルを処方してもらう場合も、必ず医師による問診と診察(ビデオ通話など)が必要です。安易にピルが手に入るわけではありません。信頼できるオンライン診療サービスを選ぶことが重要です。サービスのウェブサイトで、対応しているピルの種類、料金、診察時間、配送方法などを確認しましょう。

トリキュラーの通販(個人輸入)の危険性

インターネット上の海外サイトなどで、「トリキュラー」と称するピルが販売されていることがありますが、これは個人輸入と呼ばれる方法であり、極めて危険性が高いため絶対に避けるべきです。

個人輸入の危険性:

  • 偽造薬のリスク: インターネットで販売されている医薬品の中には、有効成分が含まれていなかったり、量が不足していたり、全く異なる成分や有害な物質が含まれている偽造薬が数多く流通しています。このような偽造薬を服用した場合、期待する効果が得られないだけでなく、健康被害を引き起こす可能性があります。
  • 品質管理の問題: 輸送中や保管中に品質が劣化している可能性があります。
  • 副作用が出た場合の救済制度の対象外: 日本で正規に承認された医薬品を、医師の処方箋に基づき服用して副作用が出た場合、医薬品副作用被害救済制度という公的な制度で医療費などの給付を受けられる場合があります。しかし、個人輸入した医薬品で健康被害が出た場合、この制度の対象外となります。
  • 自己判断による服用: 医師の診察を受けていないため、自分の体に適したピルかどうか、飲み合わせが問題ないかなどを判断できません。これにより、予期せぬ重篤な副作用を引き起こすリスクが高まります。

トリキュラーを含む医療用医薬品は、その効果が高い一方で、副作用やリスクも伴うため、医師の管理のもとで使用することが法律で定められています。安全のためにも、必ず日本の医療機関を通じて処方を受けてください。

トリキュラーのジェネリック医薬品について

トリキュラーには、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が存在します。ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)の特許期間が切れた後に、同じ有効成分、同じ量、同じ効果、同じ品質基準で製造される医薬品です。

トリキュラーの有効成分はレボノルゲストレルとエチニルエストラジオールですが、これらの成分を含む三相性ピルのジェネリック医薬品が複数存在します。例えば、「ラベルフィーユ」「アンジュ」「リマーラ」といった名前のピルが、トリキュラーのジェネリックとして処方されることがあります。

ジェネリック医薬品のメリット:

  • 価格が安い: 先発医薬品に比べて開発費用がかからないため、価格が安く設定されています。ピルを継続的に服用する場合、経済的な負担を軽減できます。

ジェネリック医薬品の注意点:

  • 有効成分は同じですが、錠剤の色や形、添加物などが先発品と異なる場合があります。
  • 人によっては、添加物の違いなどにより、先発品とは異なる副作用が出たり、効果の感じ方が違うと感じる方もいるかもしれません(ただし、有効成分が同じである限り、医学的な効果や安全性に大きな違いはないとされています)。

ジェネリック医薬品を希望する場合は、診察時に医師や薬剤師に相談してみてください。多くの医療機関でジェネリック医薬品の取り扱いがあります。

トリキュラーに関するよくある質問

トリキュラーについて、ユーザーからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

トリキュラーは避妊に効果がありますか?

はい、トリキュラーは正しく服用すれば非常に高い避妊効果を発揮します。前述の通り、排卵を強力に抑制し、子宮内膜や頸管粘液を変化させることで妊娠を防ぎます。完全に指示通りに服用した場合の理論的な失敗率は年間0.1〜0.3%と、他の避妊法と比較してもトップクラスの信頼性があります。ただし、飲み忘れや体調不良(嘔吐・下痢)、飲み合わせの悪い薬などがあると、避妊効果が低下するリスクがあります。最大限の避妊効果を得るためには、毎日決まった時間に服用し、添付文書や医師・薬剤師の指示を厳守することが不可欠です。

トリキュラーと他のピルの違いは何ですか?

低用量ピルには様々な種類があり、トリキュラーはその中の「三相性ピル」というタイプです。他のピルとの主な違いは以下の点です。

  • ホルモン配合パターン: トリキュラーは三相性であり、シート内の実薬に含まれるホルモン量(特に黄体ホルモン)が服用時期によって3段階に変化します。一方、一相性ピルは全てのシートでホルモン量が一定です。これにより、トリキュラーは自然なホルモン周期に近い変化を促すという特徴があります。
  • 含まれる黄体ホルモンの種類: 低用量ピルには様々な種類の黄体ホルモンが使用されており、それぞれ特徴が異なります。トリキュラーに含まれるレボノルゲストレルは、第一世代と呼ばれる黄体ホルモンで、比較的血栓症リスクが低い一方で、アンドロゲン作用(男性ホルモン様作用)がややあるためニキビが悪化する方もいますが、これも個人差が大きいです。新しい世代の黄体ホルモンを含むピルは、アンドロゲン作用が少なく、ニキビ改善効果が高いとされるものもありますが、その分血栓症リスクがわずかに高まる可能性が指摘されているものもあります。

どのピルが自分に合うかは、体質、期待する効果(避妊だけでなく、生理痛やニキビなど)、副作用の出やすさなどを考慮して、医師と相談して決定することが大切です。

トリキュラー服用中に生理がこないのは正常ですか?

トリキュラー服用中に起こる出血は「消退出血」と呼ばれ、ピルに含まれるホルモン量が減ることによって子宮内膜が剥がれ落ちることで起こります。トリキュラー21の場合は休薬期間中、トリキュラー28の場合は偽薬期間中に、通常この消退出血が起こります。

しかし、ピルを正しく服用しているにも関わらず、休薬期間中または偽薬期間中に消退出血が起こらない場合もあります。 これは珍しいことではなく、特に子宮内膜が十分に厚くならない体質の方や、ピルを長く服用している方に起こり得ます。ピルによる子宮内膜の萎縮が進み、出血するほど内膜が蓄積しないためです。この場合でも、ピルの避妊効果は維持されています。

ただし、生理が来ない場合に最も注意すべきなのは「妊娠」です。飲み忘れがあった場合や、嘔吐・下痢、飲み合わせの悪い薬などの影響でピルの効果が十分に得られなかった可能性がある場合は、妊娠の可能性も考慮し、医師に相談するか、妊娠検査薬で確認することをお勧めします。

その他、ストレスや体調の変化が原因で出血が遅れることもあります。消退出血が来なくても、次のシートの服用開始時期になったら、出血の有無に関わらず新しいシートを飲み始めるのが原則です。心配な場合は、自己判断せず必ず医師に相談してください。

まとめ

トリキュラーは、避妊を目的とするだけでなく、生理痛やPMSの軽減、生理周期の安定など、多くの女性にとって生活の質を向上させる可能性を持つ低用量ピルです。三相性という特徴を持ち、自然なホルモン変動に近い形で作用します。

正しく毎日決まった時間に服用することで、非常に高い避妊効果が期待できますが、飲み忘れは効果を低下させる最大の要因となります。また、副作用として吐き気や頭痛などの初期症状が現れることがありますが、最も注意すべきは血栓症という重篤なリスクです。血栓症の初期症状を知っておき、疑われる症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診することが重要です。

トリキュラーは医師の処方が必須であり、安全性を確保するためにも、インターネットでの個人輸入は絶対に避け、日本の医療機関を通じて入手してください。対面診療だけでなく、近年はオンライン診療でも処方を受けることが可能になり、より手軽に入手できるようになっています。

トリキュラーの服用を検討している方、あるいは現在服用中で不安がある方は、必ず医師にご相談ください。ご自身の健康状態やライフスタイルに合った適切なピルを選択し、正しい知識を持って安全に服用することが、ピルの恩恵を最大限に受けるための第一歩です。

【免責事項】

本記事は、トリキュラーに関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。個人の症状や健康状態については、必ず医師や薬剤師にご相談ください。本記事の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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