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無症状でも要注意!クラミジアの正しい知識と検査・治療法

日本で最も多く診断される性感染症の一つがクラミジア感染症です。
自覚症状がないことも多く、気づかないうちにパートナーへ感染させてしまったり、放置することで深刻な合併症を引き起こしたりするリスクがあります。
クラミジアについて正しい知識を持つことは、自分自身と大切な人を守るために非常に重要です。
この記事では、クラミジアの症状、原因、検査方法、治療法、そして放置した場合のリスクや予防策について詳しく解説します。

目次

クラミジアの症状

クラミジア感染症の厄介な点は、症状が出にくい、あるいは非常に軽い場合が多いことです。
特に女性では無症状のことが多く、感染に気づかないまま進行してしまうケースが一般的です。
しかし、症状が出現する場合、感染部位や性別によって異なります。

男性の場合の症状

男性がクラミジアに感染した場合、最も多いのは尿道炎です。
感染から1週間〜3週間程度の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れることがあります。

  • 尿道の違和感やかゆみ: 排尿時に軽い痛みや不快感を覚えることがあります。
  • 透明または白色の分泌物(膿): 下着に付着する程度の少量であることが多く、気づきにくい場合があります。
  • 排尿痛: 軽い焼けつくような痛みを感じることがあります。

これらの症状は他の尿道炎の原因(淋菌など)と似ていることもありますが、クラミジアによるものは比較的軽度な傾向があります。
しかし、症状が軽いからといって放置すると、後述するような合併症のリスクが高まります。

女性の場合の症状

女性の場合、約70%〜80%が無症状と言われています。
症状が出たとしても非常に軽いことが多く、以下のようなものが挙げられます。

  • おりものの変化: 量が増えたり、色やにおいがいつもと違ったりすることがあります。
  • 不正出血: 性行為の後に少量出血したり、生理とは関係なく出血したりすることがあります。
  • 下腹部痛: 軽い鈍痛を感じることがあります。
  • 性交時の痛み: 性器の奥の方に痛みを感じることがあります。

これらの症状はクラミジアに特異的なものではないため、他の病気や体調の変化と区別がつきにくく、見過ごされがちです。
しかし、症状がないからといって感染していないわけではないため、感染機会があった場合は検査を受けることが重要です。

感染部位による症状

クラミジアは性器以外にも感染することがあり、感染部位によって異なる症状を引き起こします。

  • 咽頭クラミジア: オーラルセックスによって喉に感染した場合です。
    多くの場合は無症状ですが、まれに軽い喉の痛みや腫れ、声枯れなどを感じることがあります。
    風邪や扁桃炎と間違えられやすく、気づかないうちにパートナーに感染させてしまうリスクがあります。
  • 直腸クラミジア: アナルセックスによって直腸に感染した場合です。
    こちらも無症状が多いですが、まれに肛門のかゆみや違和感、少量の出血、粘液の排出などを伴うことがあります。
  • 眼クラミジア: 感染した手指で目を触るなどして、性器のクラミジアが目に感染した場合(自己感染)や、母子感染によって新生児の目に感染した場合に起こります。
    結膜炎の症状(目の充血、かゆみ、目やに)が現れます。

これらの性器外感染も、放置すると慢性化したり、全身に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

無症状の場合が多い?

前述の通り、クラミジア感染者の多く、特に女性では無症状です。
男性でも約半数は無症状か、あってもごく軽い症状しか現れません。
この無症状であることこそが、クラミジアが「サイレント感染症」と呼ばれ、気づかずに感染を広げてしまう最大の理由です。

症状がないからといって感染していないとは限りません。
過去に性感染症の既往がある、パートナーが感染していた、新しいパートナーと性的関係を持ったなど、少しでも感染の不安がある場合は、症状の有無にかかわらず検査を受けることが強く推奨されます。
早期発見・早期治療が、自分自身だけでなくパートナーの健康を守るためにも非常に大切です。

クラミジアの原因と感染経路

クラミジア感染症の原因は、クラミジア・トラコマチスという細菌への感染です。
この細菌は、主に粘膜同士の接触によって人から人へとうつります。

主な感染経路は性行為

クラミジアの最も一般的な感染経路は、性行為(性的な接触)です。
具体的には、以下の行為によって感染する可能性があります。

  • 膣性交: 性器同士の接触による感染です。
    最も頻繁に見られる感染経路です。
  • オーラルセックス: 口と性器、あるいは口と肛門の接触による感染です。
    咽頭クラミジアの原因となります。
  • アナルセックス: 肛門と性器の接触による感染です。
    直腸クラミジアの原因となります。

これらの性行為において、感染者の粘膜に含まれるクラミジア・トラコマチスが、パートナーの粘膜(性器、咽頭、直腸など)に直接付着することで感染が成立します。

性行為以外の感染リスク

基本的には性行為による感染が大部分を占めますが、ごくまれに性行為以外の経路での感染リスクが指摘されることがあります。

  • 母子感染: 妊娠中に母親がクラミジアに感染している場合、出産時に産道を通る際に赤ちゃんに感染することがあります。
    これにより、新生児肺炎や新生児結膜炎を引き起こす可能性があります。
  • 自己感染: 性器に感染したクラミジアが、手指などを介して自身の目に感染し、眼クラミジア(結膜炎)を引き起こすことがあります。
  • まれな経路: 極めてリスクは低いですが、感染者の性器分泌物や体液が付着したタオルや下着をすぐに共有するなど、非常に濃厚な接触があった場合に感染の可能性がゼロとは言えません。
    しかし、クラミジア菌は乾燥に弱いため、日常生活での軽い接触(トイレ、温泉、プールなど)で感染することはほとんどありません。

したがって、「日常生活でうつったのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、ほとんどのケースでは性行為が原因と考えられます。

「旦那としかしてないのに」感染する?

「特定のパートナー(例えば旦那さん)以外と性的な関係はないのに、クラミジアに感染していた」という状況は、非常にショックなものです。
このような場合、考えられる可能性はいくつかあります。

  1. 過去の感染: 症状がなかった、あるいは軽くて気づかなかっただけで、現在のパートナーと関係を持つ前にすでに感染していた。
    クラミジアは何年も症状なく体内に潜伏していることがあります。
  2. パートナーの感染: パートナー(旦那さん)が別の相手から感染し、あなたにうつしてしまった可能性です。
    パートナーが無症状であることも多いため、パートナー自身も感染に気づいていないことがあります。
  3. 性行為以外の極めてまれな感染: 前述の通り可能性は非常に低いですが、全くゼロではありません。
    しかし、ほとんどのケースでは性行為が原因です。

「旦那としかしてないのに」感染が判明した場合、まずは冷静に、上記のような可能性を考えましょう。
感情的になる前に、パートナーと一緒に検査を受けることが非常に重要です。
パートナーも感染していれば、同時に治療を受けることで再感染を防ぎ、お互いの健康を守ることができます。
信頼できる医療機関で相談することをお勧めします。

クラミジアの検査・診断

クラミジアは症状が出にくいことから、感染に気づかずに放置してしまうリスクが高い性感染症です。
そのため、感染の不安がある場合は、症状の有無にかかわらず積極的に検査を受けることが早期発見・早期治療につながります。

クラミジアの検査方法

クラミジアの検査は、感染が疑われる部位から検体を採取し、クラミジア・トラコマチスが存在するかどうかを調べる方法が一般的です。
最も高感度で推奨されているのは、NAT法(核酸増幅法)という検査法です。

採取する検体は、感染が疑われる部位によって異なります。

  • 男性: 主に尿検査を行います。
    朝一番の尿、または最後に排尿してから2時間以上経った尿(初尿)を少量採取します。
    尿道に感染しているクラミジア菌は、尿と一緒に排出されるため、初尿が適しています。
  • 女性: 主に子宮頸部からの分泌液や擦過物を採取します。
    医療機関では、内診台で専用の綿棒などを使って子宮頸部を軽くこすって検体を採取します。
  • 咽頭: うがい液(特定の指示に従ってうがいした後の液)や、咽頭の粘膜を拭き取った検体を用います。
  • 直腸: 直腸の粘膜を拭き取った検体を用います。
  • : 目の分泌物や結膜を拭き取った検体を用います。

医療機関での検査は、医師の診察とともに行われるため、他の性感染症の検査や、合併症のチェックなども合わせて行うことが可能です。

検査を受けるタイミング

クラミジアは感染から症状が出るまでに1週間〜3週間程度の潜伏期間があります。
NAT法は比較的早い段階でも検出可能ですが、感染直後は菌の量が少なく、正確な結果が出ない可能性があります。

最も確実な検査タイミングは、感染機会(心当たりのある性行為など)から1週間〜1ヶ月後と言われています。
特に男性の尿検査では、感染から24時間以上(理想的には2〜3日後以降)経過していることが望ましいとされています。

無症状の場合や、パートナーの感染が判明した場合など、感染時期が特定できない場合は、気づいた時点ですぐに検査を受けることが大切です。
不安な場合は、医療機関で相談し、適切なタイミングで検査を受けましょう。

検査費用と期間

クラミジアの検査費用は、医療機関によって異なります。

  • 保険適用: 医師が症状や他の感染症の可能性などを考慮して、医学的に必要と判断した場合(例:淋菌検査などと同時に行う、症状がある場合など)には保険が適用されることがあります。
    保険適用の場合、費用は比較的安くなります。
  • 自費診療: 症状がない場合や、検診目的で検査を受ける場合は、自費診療となることがほとんどです。
    この場合、費用は医療機関が自由に設定できるため、数千円〜1万円程度と幅があります。

検査結果が出るまでの期間も、医療機関や検査機関によりますが、一般的には検体を提出してから数日〜1週間程度かかることが多いです。
最近では、院内で迅速検査を行っている医療機関もあり、その場合は当日〜翌日に結果が出ることもあります。

正確な費用と期間については、事前に受診を希望する医療機関に確認することをお勧めします。

自宅でできる検査キットについて

近年、郵送で検体を送って検査できる自宅用検査キットも普及しています。

メリット デメリット
医療機関に行かずに検査できる(手軽さ) 医療機関での検査に比べて精度が劣る可能性がある
プライバシーが保たれる 陽性の場合、改めて医療機関を受診する必要がある(二度手間、追加費用)
時間や場所を選ばない 偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出る)のリスクがある
感染が全身に広がっていないか、合併症がないかなどの医学的な判断はできない

自宅検査キットは手軽ですが、あくまでもスクリーニング検査として捉えるべきです。
検査キットで陽性だった場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断のもとで治療を受けてください。
また、陰性だった場合でも、症状が続く場合や不安がある場合は、医療機関での精密検査を検討しましょう。

クラミジアの治療法

クラミジア感染症は、適切な抗菌薬(抗生物質)による治療で完治が可能です。
放置すると様々な合併症を引き起こすため、検査で陽性となった場合は、速やかに治療を開始することが重要です。

クラミジア治療に用いられる薬

クラミジア治療には、主に以下の種類の抗菌薬が用いられます。
医師の診断に基づき、患者さんの状態やアレルギーの有無などを考慮して適切な薬剤が選択されます。

  • マクロライド系抗菌薬: アジスロマイシン(商品名:ジスロマックなど)が代表的です。
    通常、1回の服用で治療が完了するため、服用しやすいのが特徴です。
    ただし、近年アジスロマイシンに対する耐性クラミジアが増加傾向にあることが報告されており、治療効果が十分でない場合もあります。
  • テトラサイクリン系抗菌薬: ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシンなど)が代表的です。
    通常、1日2回、7日間〜14日間服用します。
    アジスロマイシン耐性クラミジアにも効果が期待できますが、服用期間が長いこと、胃腸障害などの副作用が出やすいこと、妊娠中に服用できないことなどの注意点があります。
  • ニューキノロン系抗菌薬: レボフロキサシンなど。
    マクロライド系やテトラサイクリン系が使用できない場合などに検討されることがあります。

いずれの薬剤も、クラミジア・トラコマチス菌を死滅させることで効果を発揮します。

治療期間と治療上の注意点

治療期間は、使用する薬剤によって異なります。

  • アジスロマイシン(ジスロマックなど):1回服用
  • ドキシサイクリン(ビブラマイシンなど):1日2回、7日間〜14日間

治療上の重要な注意点は以下の通りです。

  • 医師の指示通りに服用する: 症状が改善しても、処方された薬剤は最後までしっかり服用することが重要です。
    自己判断で服用を中止すると、菌が完全に死滅せず再発したり、薬剤耐性菌が出現したりするリスクがあります。
  • 治療期間中の性行為を控える: 治療中に性行為を行うと、パートナーへ感染させてしまったり、自身が再感染したりする可能性があります。
    治療が終了し、医師から許可が出るまでは性行為を控えるようにしましょう。
  • 「治癒確認検査」の実施: 治療後、菌が完全に排除されたかを確認するために、医療機関によっては「治癒確認検査」(テストキュア)を推奨しています。
    特にアジスロマイシンを使用した場合は、耐性菌の可能性もあるため、治療から2週間〜3週間後に再度検査を受けることが推奨されます。
    陰性であれば完治と判断できます。

パートナーも一緒に治療が必要?

クラミジア感染症の治療において、パートナー(性的な関係のある相手)も同時に検査を受け、感染が確認された場合は一緒に治療を行うことが非常に重要です。

その理由は以下の通りです。

  • ピンポン感染の防止: あなただけが治療を受けても、パートナーが感染していれば、治療後に再度パートナーから感染してしまう「ピンポン感染」が起こります。
    これにより、いつまでも感染を繰り返すことになってしまいます。
  • パートナーの健康を守る: パートナーが無症状の場合でも、クラミジアは進行すると不妊などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
    パートナーの健康を守るためにも、検査と治療は必須です。
  • 感染拡大の防止: パートナーが感染に気づかずにいると、さらに他の人へ感染を広げてしまう可能性があります。

したがって、クラミジアと診断された場合は、現在のすべてのパートナーに検査と治療を勧める責任があります。
どのように伝えるか悩む場合は、医療機関に相談してみましょう。

クラミジアを放置するとどうなる?合併症のリスク

クラミジアは無症状の場合が多いため、感染に気づかずに放置してしまうケースが多く見られます。
しかし、治療せずに放置すると、クラミジア菌が体内で繁殖し、性器周辺だけでなく全身に広がり、深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。

男性の場合の合併症

男性がクラミジアを放置した場合、以下のような合併症が起こる可能性があります。

  • 精巣上体炎: 尿道からクラミジア菌が上行し、精巣上体(精子を貯蔵・成熟させる器官)に感染する炎症です。
    陰嚢の強い痛み、腫れ、発熱などの症状が現れます。
  • 前立腺炎: 前立腺に炎症が起こり、排尿時の痛みや不快感、頻尿、下腹部や会陰部の痛みを引き起こすことがあります。
  • 不妊症: 精巣上体炎が慢性化したり、繰り返し起こったりすると、精子の通り道である精管が閉塞したり、精子の質が低下したりして、男性不妊の原因となることがあります。
  • 尿道狭窄: 尿道炎が慢性化すると、尿道が線維化して狭くなり、排尿困難を引き起こすことがあります。
  • Reiter症候群(反応性関節炎): まれに、クラミジア感染後に全身性の免疫反応が起こり、関節炎、尿道炎、結膜炎の3つを主徴とする病気を発症することがあります。
    関節の痛みや腫れ、目の充血、排尿時の痛みなどが見られます。

女性の場合の合併症

女性がクラミジアを放置した場合、男性以上に重篤な合併症を引き起こすリスクが高く、特に生殖機能への影響が深刻です。

  • 骨盤内炎症性疾患(PID: Pelvic Inflammatory Disease): 子宮頸部からクラミジア菌が上行し、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎などを引き起こす病気です。
    下腹部痛、発熱、不正出血、おりものの増加などの症状が現れます。
    PIDは再発しやすく、慢性的な骨盤痛の原因となることもあります。
  • 不妊症(卵管性不妊): 卵管炎が起こると、卵管が癒着したり閉塞したりして、卵子と精子が出会えなくなったり、受精卵が子宮に移動できなくなったりします。
    これが女性不妊の最も一般的な原因の一つである卵管性不妊です。
    クラミジア感染による卵管障害は、自覚症状がないまま進行していることが多く、気づいた時にはすでに不妊状態になっていることも少なくありません。
  • 子宮外妊娠: 卵管の癒着や狭窄があると、受精卵が子宮にたどり着けずに卵管などで着床してしまう子宮外妊娠のリスクが高まります。
    子宮外妊娠は命に関わる可能性のある緊急性の高い状態です。
  • バルトリン腺炎: 外陰部にあるバルトリン腺に炎症が起こり、腫れや痛みを引き起こすことがあります。
  • Reiter症候群(反応性関節炎): 男性と同様に、まれに全身性の免疫反応として発症することがあります。

妊娠・出産への影響

妊婦さんがクラミジアに感染していると、母体だけでなく胎児や新生児にも様々なリスクが生じます。

  • 流産・早産のリスク増加: クラミジア感染が子宮内で炎症を引き起こし、流産や早産の原因となる可能性があります。
  • 低出生体重児: 赤ちゃんが十分に成長せず、低出生体重で生まれるリスクが高まります。
  • 母子感染: 出産時に産道を通る際に、赤ちゃんが母親のクラミジアに感染することがあります。
    これにより、新生児肺炎(生後数週間〜数ヶ月で発症)や、新生児結膜炎(生後数日〜数週間で発症)を引き起こす可能性があります。
    これらの感染症は、新生児の健康に深刻な影響を与えることがあります。

そのため、妊娠を希望する方や妊婦さんは、クラミジアを含む性感染症の検査を受けることが強く推奨されています。

その他の影響

男女ともに、クラミジア感染は性器ヘルペスやHIVなど、他の性感染症にかかるリスクを高めることが知られています。
クラミジアによる炎症や粘膜の損傷が、これらの病原体の侵入を容易にするためと考えられています。

このように、クラミジアを放置することは、生殖機能の障害、全身性の疾患、妊娠・出産への悪影響など、多くの深刻な健康リスクにつながります。
自覚症状がない場合でも、感染の可能性がある場合は積極的に検査を受け、早期に適切な治療を受けることが何よりも大切です。

クラミジアの予防策

クラミジア感染症は主に性行為によって感染するため、性行為の安全性を高めることが最も効果的な予防策となります。

具体的な予防方法

クラミジア感染を防ぐための具体的な方法は以下の通りです。

  • コンドームの正しい使用: 性行為の最初から最後まで、毎回正しくコンドームを使用することが、クラミジアを含む多くの性感染症の予防に有効です。
    ただし、コンドームは性器同士の接触による感染には有効ですが、オーラルセックスやアナルセックスにおける感染、あるいは性器以外の部位(咽頭、直腸など)への感染を完全に防ぐことはできません。
  • 不特定多数との性行為を避ける: 性行為のパートナーが増えるほど、性感染症に感染するリスクは高まります。
    パートナーの数を限定し、お互いの感染症の状態を把握することが重要です。
  • 定期的な性病検査: 性的に活動的な方や、複数のパートナーがいる方、新しいパートナーができた方などは、定期的にクラミジアを含む性感染症の検査を受けることを検討しましょう。
    特に無症状の場合が多いため、症状がなくても検査を受けることが早期発見につながります。
  • パートナーと一緒に検査を受ける: 新しいパートナーと関係を持つ前に、お互いに検査を受けてから関係を持つこと(セクシャルヘルスチェック)は、安心して関係を築く上で有効な方法です。
  • 粘膜の損傷を避ける: 性行為の際に無理をしたり、潤滑剤を使わなかったりして粘膜を傷つけると、そこから菌が侵入しやすくなります。
    適切な潤滑剤を使用するなどして、粘膜を保護しましょう。

早期発見・早期治療の重要性

クラミジア感染症において、早期発見・早期治療は、自分自身の健康を守るためにも、パートナーへの感染拡大を防ぐためにも、そして不妊症などの深刻な合併症を予防するためにも極めて重要です。

無症状のことが多いクラミジアは、自覚症状に頼るのではなく、「もしかしたら感染したかもしれない」という心当たりのある場合や、定期的なチェックとして検査を受けることが推奨されます。

特に以下に該当する方は、積極的に検査を検討しましょう。

  • 新しいパートナーと性的関係を持った
  • 複数のパートナーと性的関係がある
  • パートナーが性感染症に感染していたことが分かった
  • コンドームを使用しない性行為をしたことがある
  • 少しでも性器や排尿、おりものなどに違和感がある
  • 妊娠を希望している、または妊娠した

早期に発見し、適切な抗菌薬で治療を行えば、クラミジアは比較的容易に完治します。
しかし、放置して進行させてしまうと、治療が難しくなったり、不可逆的なダメージ(卵管の損傷など)が残ったりするリスクが高まります。

不安な気持ちを抱え込まず、勇気を出して医療機関や保健所で相談・検査を受けることが、明るい未来への第一歩となります。

クラミジアに関するよくある質問

クラミジアについて、よくある質問とその回答をまとめました。

性病で一番多いのはクラミジアですか?

はい、クラミジア感染症は日本で最も多く報告されている性感染症の一つです。
特に若い世代を中心に感染が広がっており、その背景には無症状の感染者が多いことや、性行為の多様化などが挙げられます。

クラミジアは自然に治りますか?

クラミジア感染症が自然に治ることは、非常にまれです。
ごく一部のケースで自然消滅する可能性が指摘されることもありますが、ほとんどの場合、菌は体内に残り続け、症状がなくても感染力を持続させます。
さらに、放置すると前述のような不妊症などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。
したがって、クラミジアと診断された場合は、自然治癒を期待せず、必ず医療機関で適切な治療を受ける必要があります。

クラミジアはうつりますか?

はい、クラミジアは主に性行為によって人から人へとうつる感染症です。
膣性交、オーラルセックス、アナルセックスなど、粘膜同士が接触する性的な行為によって感染が広がります。
ごくまれに、母子感染や自己感染なども起こり得ますが、日常生活での軽い接触でうつることはほとんどありません。

クラミジアの再感染について

クラミジアは、一度感染して治療して完治しても、免疫がつくわけではありません。
したがって、感染機会があれば何度でも再感染する可能性があります。
特に、パートナーが感染していたにもかかわらず、パートナーが検査や治療を受けなかった場合、「ピンポン感染」によって繰り返し感染してしまうリスクが高まります。
再感染を防ぐためには、あなただけでなく、パートナーも一緒に検査・治療を受けること、そして今後の性行為における予防策(コンドームの使用など)を徹底することが重要です。

クラミジアの検査や治療は専門機関へ

クラミジア感染症は、自覚症状が乏しいにもかかわらず、放置すると不妊症や子宮外妊娠、新生児への感染など、深刻な健康被害を引き起こす可能性がある病気です。
もし感染の不安がある場合や、パートナーの感染が判明した場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診して正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。

クラミジアの検査や治療は、婦人科、泌尿器科、性病科、感染症内科などで受けることができます。
最近では、プライバシーに配慮したオンライン診療を提供しているクリニックも増えています。
オンライン診療であれば、自宅など好きな場所から医師の診察を受け、薬を郵送してもらうことも可能です。

どの方法を選ぶにしても、信頼できる専門機関で相談し、正しい情報を得ることが、クラミジアを克服し、健康な生活を取り戻すための第一歩です。
不安を抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。

免責事項:本記事はクラミジア感染症に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療を保証するものではありません。
個人の症状や状況については、必ず医師の診断を受けるようにしてください。

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