生理前に水っぽいおりものが大量に出て、不安を感じている方もいるかもしれません。「もしかして何か異常?」「病気かもしれない…」と心配になりますよね。
生理前のおりものの変化は、体の自然なサイクルによるものもあれば、注意が必要なサインである可能性もゼロではありません。
この記事では、生理前に水っぽいおりものが大量に出る原因について、正常な生理的な変化から病気の可能性、そして医療機関を受診する目安まで詳しく解説します。
この記事を読むことで、ご自身の体の状態を理解し、適切に対処するためのヒントが得られるでしょう。
女性の体は生理周期に合わせて、ホルモンバランスがダイナミックに変化しています。
このホルモンの変化は、排卵や妊娠、そして生理に備えるために起こりますが、同時におりものの状態にも影響を与えます。
おりものの量や性状は、生理周期のどの時期にあるかによって自然に変化するのが正常です。
生理周期とホルモンバランスによるおりものの変化
生理周期は大きく分けて「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「生理期」の4つの時期に分けられます。
それぞれを司る主要な女性ホルモンは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」です。
- 卵胞期(生理終了後〜排卵まで): エストロゲンの分泌が増加します。
これにより、子宮内膜が厚くなり、おりものの量も徐々に増えてきます。
性状はサラサラとして、透明から少し白っぽいものが一般的です。 - 排卵期(卵胞期の終わり頃): エストロゲンの分泌がピークを迎えます。
この時期は、精子が子宮に入りやすくするために、おりものが最も多くなり、まるで生卵の白身のように透明でとろみがあり、よく伸びる性状になります。
これは「頚管粘液」と呼ばれ、受精を助ける役割があります。
排卵期を過ぎるとエストロゲンは減少します。 - 黄体期(排卵後〜生理まで): プロゲステロンの分泌が増加し、エストロゲンは減少します。
プロゲステロンは妊娠を維持するためのホルモンで、子宮内膜を着床しやすい状態に整えたり、体温を上げたりする作用があります。
このプロゲステロンの影響で、おりものの量は排卵期に比べて減少し、性状も白っぽく濁り、粘り気が増してベタベタしたり、クリーム状になったりします。
外部からの細菌侵入を防ぐために、子宮頸管の粘液が固くなるためです。 - 生理期: 子宮内膜が剥がれ落ち、経血として排出される期間です。
おりものは経血に混ざり、判別しにくくなります。
生理の終わりかけには、古い経血が混じって茶色っぽくなることもあります。
生理前の時期のおりものの特徴
生理前の時期は、上記の「黄体期」にあたります。
この時期はプロゲステロンの分泌が優位になるため、一般的にはおりものの量は排卵期に比べて減少し、白っぽく濁った、粘り気のある性状になるのが典型的です。
しかし、個人差が非常に大きく、中には生理前にも関わらず、一時的に水っぽいおりものが増えると感じる方も少なくありません。
これは、黄体期の終わり頃にプロゲステロンとエストロゲンのバランスが再び変化したり、骨盤内の血行が良くなったりすることで、子宮頸管や腟からの分泌が増えるために起こると考えられています。
特に、生理が近づくにつれて体がむくみやすくなるのと同様に、粘膜の水分量が増えることも影響する可能性があります。
したがって、生理前に「水っぽい」と感じるおりものが「大量」に出たとしても、それが無色透明~乳白色で、かゆみや悪臭などの不快な症状を伴わない場合は、多くの場合、正常な生理的な変化の範囲内と言えます。
ご自身の普段の生理周期におけるおりものの変化パターンを把握しておくことが大切です。
生理前に水っぽいおりものが大量に出る原因
生理前に水っぽいおりものが一時的に増える現象は、多くの女性が経験する可能性のある自然な体の変化です。
しかし、その「大量」という感覚や、他の症状の有無によっては、様々な原因が考えられます。
ここでは、生理前に水っぽいおりものが大量に出る主な原因について掘り下げて解説します。
ホルモンバランスの変化による生理的な増加
前述の通り、生理前の黄体期は主にプロゲステロンの影響を受け、通常はおりものが少なく粘り気があるのが一般的です。
しかし、黄体期の終わり頃、つまり生理が近づくにつれて、プロゲステロンが減少し始め、次の周期に向けてエストロゲンの分泌がわずかに増加に転じることがあります。
このホルモンバランスの微妙な変化が、一時的に子宮頸管からの粘液分泌を促進し、おりものを水っぽい性状に変え、量が増える原因となることがあります。
また、生理前は骨盤内の血行がうっ滞しやすくなるため、腟や子宮頸管の粘膜からの分泌が増加することも考えられます。
これは、体が生理の準備を進めている過程で起こる生理的な反応の一つです。
これらの生理的な変化による水っぽい大量のおりものは、以下のような特徴を持つことが多いです。
- 性状: サラサラとした水っぽい、または少しとろみのある透明~乳白色の液体。
- 量: 普段より多いと感じるが、持続的ではなく一時的なことが多い。
- 匂い: 無臭、または少し酸っぱい程度の正常な匂い。
- その他の症状: かゆみ、痛み、悪臭、出血などを伴わない。
このような特徴を持つ場合は、生理的なものである可能性が高く、過度な心配は不要です。
ただし、普段のおりものの量や性状には個人差があり、「大量」と感じる程度も人それぞれです。
ご自身の通常のおりものと比較して判断することが重要です。
妊娠超初期症状としての水っぽいおりもの
生理予定日が近づくにつれて水っぽいおりものが増えた場合、それが妊娠超初期症状である可能性も考えられます。
妊娠が成立すると、黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌が生理が来ないように維持・増加されます。
また、妊娠を維持するためにエストロゲンの分泌も続きます。
妊娠初期には、受精卵が着床し、妊娠を維持するためにホルモンバランスが大きく変化します。
このホルモン、特にエストロゲンの影響で、子宮頸管からの粘液分泌が活発になり、水っぽい、サラサラとした透明~乳白色のおりものが増えることがあります。
これは、子宮内への細菌の侵入を防ぎ、子宮内を清潔に保つための体の防御反応とも言われています。
妊娠超初期のおりものの特徴は、生理前の生理的な増加によるものと似ていることが多いですが、生理予定日を過ぎても生理が来ないことや、以下のような他の妊娠超初期症状を伴うことが区別のポイントになります。
- 生理が予定日を過ぎても来ない(最も重要なサイン)
- 着床出血(少量で短期間の出血)
- 体がだるい、眠い
- 胸の張りや痛み
- 吐き気や食欲不振
- 頻尿
- 軽い下腹部痛(生理痛のようなチクチク感)
- 基礎体温が高いまま続く
もし、生理予定日を過ぎておりものの量が増え、上記のような症状もいくつか当てはまる場合は、妊娠の可能性を考慮し、妊娠検査薬を試したり、医療機関を受診したりすることを検討しましょう。
生理前以外に水っぽいおりものが大量に出る場合
水っぽいおりものが大量に出る状況は、生理前に限ったことではありません。
生理周期の他の時期や、体調、生活習慣などによってもおりものは変化します。
- 排卵期: 前述の通り、排卵期はエストロゲンがピークになり、おりものが最も多く、水っぽく(卵白状に)なります。
生理前ではなく、生理と生理の中間あたりに水っぽいおりものが大量に出る場合は、排卵期である可能性が高いです。 - 性的興奮: 性的興奮時には、腟やバルトリン腺からの分泌液が増加し、水っぽいサラサラとした液体が出ます。
これは潤滑液としての役割があり、おりものとは異なりますが、濡れた感覚や量が増えたと感じる原因になります。 - ストレスや疲労: 過度なストレスや疲労はホルモンバランスを乱し、生理周期だけでなくおりものの状態にも影響を与えることがあります。
一時的に量が増えたり、性状が変化したりすることがあります。 - 体の冷え: 体が冷えることで血行が悪くなり、骨盤内のうっ滞が起こり、おりものの性状や量に影響が出る可能性も指摘されています。
- 特定の医薬品の使用: ピルなどのホルモン剤を使用している場合、ホルモンの影響でおりものの量や性状が変化することがあります。
生理前に水っぽいおりものが大量に出ていると感じても、それが一時的で他の気になる症状を伴わない場合は、これらの生理的な要因や体調による変化である可能性が高いです。
しかし、気になる症状がある場合や、生理周期の他の時期にも異常なおりものが続く場合は、病気の可能性も考慮する必要があります。
大量で水っぽいおりものに潜む病気の可能性
水っぽいおりものが「大量」であることに加え、悪臭、かゆみ、痛み、色の変化(黄色、緑色など)、出血を伴う場合は、何らかの病気が原因である可能性が高くなります。
特に、腟や子宮頸管の感染症や炎症、稀に婦人科系の疾患が考えられます。
ここでは、水っぽい大量のおりものを症状として伴う可能性のある主な病気について解説します。
細菌性腟症
細菌性腟症は、腟内の常在菌である乳酸菌が減少し、代わりにガードネレラ菌などの嫌気性菌が増殖することで起こる腟の感染症です。
性感染症ではありませんが、性行為が誘因となることもあります。
主な症状は、魚が腐ったような、生臭い悪臭を伴う灰白色〜乳白色のサラサラとした水っぽいおりものです。
おりものの量は増えることが多いです。
かゆみや痛みは伴わないことも多いですが、症状の程度には個人差があります。
細菌性腟症は、放置すると骨盤内炎症性疾患などの他の感染症を引き起こすリスクがあるため、疑われる場合は婦人科を受診して適切な診断と治療(主に抗菌薬の使用)を受けることが重要です。
クラミジア感染症など性感染症
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症です。
女性の場合、自覚症状がないことが多い「サイレントディジーズ」として知られていますが、症状が現れる場合、サラサラとした水っぽい、または黄色っぽい膿性のおりものが増えることがあります。
クラミジア感染症の他の症状としては、不正出血(特に性交時)、下腹部痛、排尿時の痛みなどがあります。
しかし、これらの症状も軽いことが多く、気づかないまま感染が進行することが問題です。
クラミジア以外にも、淋病やトリコモナス腟炎などの性感染症がおりものの異常を引き起こすことがあります。
トリコモナス腟炎では、泡立った黄色や緑色のおりものが特徴的ですが、水っぽいと感じることもあります。
これらの性感染症は、放置すると不妊症や子宮外妊娠、骨盤内炎症性疾患など重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、疑いがある場合はパートナーと共に検査・治療を受けることが非常に重要です。
卵巣のう腫
卵巣のう腫は、卵巣にできる袋状のできもので、中に液体や脂肪などが溜まります。
良性の場合が多いですが、大きくなると茎捻転(卵巣のう腫がねじれること)を起こして激しい痛みを引き起こしたり、稀に悪性化したりすることもあります。
卵巣のう腫自体が直接的に水っぽいおりものを「大量」に引き起こすわけではありません。
しかし、卵巣のう腫の種類(特にホルモン産生腫瘍の場合)によっては、女性ホルモンのバランスが乱れることがあります。
このホルモンバランスの乱れが間接的におりものの性状や量に影響を与え、普段とは違うおりものが出たと感じる可能性はあります。
また、卵巣が腫大することで骨盤内が圧迫され、血行が悪くなることが、おりものに変化をもたらす可能性もゼロではありません。
卵巣のう腫の主な症状は、下腹部の張りや痛み、腰痛、頻尿、便秘などです。
おりものの異常は、卵巣のう腫の典型的な症状ではありませんが、他の症状と合わせて気になる場合は婦人科で相談することをおすすめします。
特に、超音波検査で卵巣の腫れが指摘されている場合は注意が必要です。
その他の可能性
水っぽいおりもの以外にも、以下のような原因が考えられます。
- 萎縮性腟炎: 閉経後など、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することで腟の粘膜が薄く乾燥し、炎症を起こしやすくなる状態です。
かゆみや痛みが主症状ですが、炎症に伴って水っぽい、あるいは黄色っぽいおりものが出ることがあります。 - 子宮頸管ポリープ: 子宮頸管にできる良性の腫瘍です。
通常は無症状ですが、大きくなったり刺激されたりすると、少量の不正出血や、水っぽいおりものが出ることがあります。 - 子宮体がん/子宮頸がん: 非常に稀ですが、進行した子宮体がんや子宮頸がんでは、悪臭を伴う水っぽい、あるいは血液が混じったおりものが出ることがあります。
通常は不正出血を伴うことが多いです。
これらの病気の中には、水っぽいおりもの以外の特徴的な症状を伴うものが多いです。
おりものの性状、量、匂い、色の変化に加え、かゆみ、痛み、出血、下腹部症状など、他の症状がないか注意深く観察することが大切です。
危険なサイン?こんなおりもの・症状なら要注意
生理前に水っぽいおりものが大量に出た場合、それが正常な生理的な変化なのか、それとも病気のサインなのかを見分けることが重要です。
ここでは、特に注意が必要な「危険なサイン」について具体的に解説します。
一つでも当てはまる場合は、自己判断せず医療機関を受診することをおすすめします。
悪臭や普段と違う色がある
正常なおりものは、無臭またはかすかに酸っぱい匂いがする程度です。
生理的な水っぽいおりものも、基本的には悪臭を伴いません。
- 生臭い匂い(魚が腐ったような匂い): 細菌性腟症の典型的な症状です。
- 強い不快な匂い: 細菌感染や性感染症の可能性があります。
- 色の変化:
- 黄色〜緑色: 炎症や感染症(細菌性腟症、クラミジア感染症、トリコモナス腟炎など)の可能性を示唆します。
膿が混じっている場合や、泡立っている場合(トリコモナス腟炎)もあります。 - 灰色〜灰白色: 細菌性腟症の特徴的な色です。
- 茶色: 古い血液が混じっている可能性があります。
生理の終わりかけや排卵期に見られることもありますが、生理周期に関係なく続く場合は不正出血を伴う病気のサインかもしれません。
- 黄色〜緑色: 炎症や感染症(細菌性腟症、クラミジア感染症、トリコモナス腟炎など)の可能性を示唆します。
透明〜乳白色の範囲内であれば正常なことが多いですが、普段と明らかに違う色や匂いを感じる場合は注意が必要です。
かゆみや痛みを伴う
生理的なおりものの増加は、通常かゆみや痛みを伴いません。
おりものと一緒に、外陰部にかゆみを感じたり、腟の入り口がヒリヒリしたり、排尿時や性交時に痛みを感じたりする場合は、腟や外陰部に炎症が起きているサインです。
- 強いかゆみ: カンジダ腟炎やトリコモナス腟炎、アレルギー反応(下着やおりものシート、石鹸などへの接触性皮膚炎)などが考えられます。
カンジダ腟炎ではカッテージチーズ状のおりものが特徴的ですが、水っぽいおりものと混合していると感じる場合もあります。 - 排尿時や性交時の痛み: 性感染症(クラミジア、淋病など)や、腟・外陰部の炎症が原因である可能性があります。
出血が混じる
おりものに血が混じることを「不正出血」と呼びます。
生理期間以外に出血がある場合は、注意が必要です。
- ピンク色や茶色のおりもの: 微量の血液が混じっている状態です。
生理の直前や直後、排卵期に一時的に見られることもありますが、生理周期と関係なく起こる場合や、量が多かったり持続したりする場合は、子宮頸管ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸部の炎症、子宮体がん・子宮頸がんなどの病気が原因である可能性があります。 - 鮮血が混じる: 活動性の出血を示唆します。
すぐに医療機関を受診する必要があります。
特に、性交後に少量の出血がある場合は、子宮頸部の異常(炎症、ポリープ、がんなど)のサインである可能性があります。
おりものシートで間に合わないほどの大量
「大量」の感じ方は人それぞれですが、普段のおりものの量と比較して明らかに多く、おりものシートを頻繁に交換する必要がある、下着まで濡れてしまう、といった状態が続く場合は、単なる生理的な増加ではない可能性も考慮する必要があります。
病気によるおりものの増加は、持続的であることや、上で述べた悪臭、かゆみ、痛み、色の変化、出血などの他の症状を伴うことが多いです。
量が多いことに加えて、これらの危険なサインがないかを確認しましょう。
【正常なおりものと異常なおりものの比較表】
特徴 | 正常なおりもの(生理前) | 異常なおりもの(要注意サイン) | 考えられる原因(一例) |
---|---|---|---|
性状 | 白っぽい、粘り気がある(個人差で水っぽいも) | 水っぽい、膿性、泡立った、カッテージチーズ状 | 細菌性腟症、性感染症(クラミジア、トリコモナス)、カンジダ腟炎 |
量 | 排卵期より少ないが、生理前は増えることも | 普段より明らかに多く、持続的(下着まで濡れるなど) | 細菌性腟症、性感染症、炎症など |
匂い | 無臭またはかすかに酸っぱい | 生臭い(魚のような)、強い不快な匂い | 細菌性腟症、性感染症、炎症 |
色 | 透明~乳白色 | 黄色、緑色、灰色、茶色 | 炎症、感染症、出血(不正出血) |
かゆみ | なし | 強いかゆみ | カンジダ腟炎、トリコモナス腟炎、接触性皮膚炎など |
痛み | なし | 排尿時痛、性交時痛、下腹部痛 | 性感染症、腟炎、骨盤内炎症性疾患、卵巣のう腫など |
出血の混入 | 原則なし(生理直前・直後の少量茶色は除く) | 茶色、ピンク色、鮮血が混じる | 不正出血(ポリープ、炎症、がんなど)、性感染症 |
この表は一般的な目安であり、個人の症状は様々です。
少しでも不安を感じる場合は、専門医に相談することが最も確実です。
生理前の水っぽい大量おりもの、病院へ行く目安
生理前に水っぽいおりものが大量に出るという経験は多くの女性にありますが、それが正常な範囲内か、それとも医療機関を受診すべきサインなのかを判断するのは難しいことがあります。
上で述べた「危険なサイン」に気づいた場合は、迷わず病院を受診しましょう。
ここでは、受診を検討すべき具体的なチェックリストと、何科を受診すれば良いかについて解説します。
受診を検討すべきチェックリスト
以下の項目のうち、一つでも当てはまる場合は、婦人科医に相談することをおすすめします。
特に複数に当てはまる場合は、早めに受診しましょう。
- おりものの量: 普段のおりものの量と比較して、明らかに大量で、おりものシートや下着が頻繁に濡れる状態が続いている。
- おりものの性状: 透明または乳白色ではなく、黄色、緑色、灰色、泡状、カッテージチーズ状など、普段と違う性状である。
- おりものの匂い: 生臭い匂い(魚のような匂い)、あるいは強い不快な匂いがする。
- かゆみ: 外陰部や腟にかゆみを感じる。
- 痛み: 排尿時や性交時に痛みがある、下腹部が痛む、腟の入り口がヒリヒリする。
- 出血: おりものに血が混じっている(茶色、ピンク色、鮮血)。
- 症状の持続: 上記のようなおりものの異常や他の症状が、数日以上続いている。
- 生理が来ない: 生理予定日を過ぎても生理が来ず、おりものが増えている(妊娠の可能性)。
- 再発を繰り返す: 以前にも同じような症状があり、繰り返している。
- パートナーの症状: パートナーに尿道のかゆみや痛み、異常な分泌物などの症状がある(性感染症の可能性)。
- 健康診断などで異常を指摘されている: 子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮頸部の炎症などを指摘されたことがある。
- 漠然とした不安: 上記に明確には当てはまらないが、ご自身の中で「何かおかしい」「いつもと違う」という強い不安を感じている。
生理前の時期であっても、これらのチェックリストに当てはまる場合は、生理的な変化ではなく、治療が必要な病気が原因である可能性が高いです。
恥ずかしがらずに、専門医に相談することが大切です。
何科を受診すれば良いか
おりものの異常や、それに関連する症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。
婦人科では、問診、内診、おりもの検査(細菌検査、クラミジア・淋病検査など)、超音波検査などを行い、症状の原因を特定します。
【受診の際に医師に伝えるべき情報】
診察をスムーズに進めるため、以下のような情報を整理しておくと良いでしょう。
- いつ頃から、どのようなおりものが出ているか(量、性状、色、匂いの変化)
- かゆみや痛み、出血など、他に伴う症状があるか
- 生理周期(最終月経開始日、周期の長さなど)
- 性行為の経験があるか、パートナーの人数や症状の有無
- 妊娠の可能性(最後に性行為をした時期、妊娠検査薬の結果など)
- 服用している薬(市販薬、サプリメント含む)やアレルギーの有無
- 既往歴(過去にかかった病気、手術など)
- 使用している下着やおりものシートの種類、デリケートゾーンのケア方法
これらの情報は、医師が正確な診断を下すために非常に役立ちます。
【受診へのハードルを下げるには】
「婦人科を受診するのは気が引ける…」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、おりものの異常は非常に一般的な症状であり、多くの女性が経験し、婦人科で相談しています。
早期に診断・治療を行うことで、症状の悪化や合併症を防ぐことができます。
- 女性医師がいるクリニックを選ぶ: 予約時に確認したり、インターネットで検索したりすることができます。
- 友人や家族に相談する: 信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になることがあります。
- オンラインでの相談: 一部の医療機関ではオンラインでの相談や診療を受け付けている場合もあります。
ただし、おりもの検査などが必要な場合は、対面での受診が必要になります。
勇気を出して一歩踏み出すことが、健康を守る上で非常に重要です。
【まとめ】生理前のおりもの、不安な場合は婦人科へ相談を
生理前に水っぽいおりものが大量に出る現象は、多くの女性にとって経験しうる自然な生理的な変化である可能性が高いです。
生理周期に伴うホルモンバランスの変動や、生理に備えた体の準備として、一時的に子宮頸管からの分泌が増えることが原因と考えられます。
特に、透明〜乳白色で、かゆみや悪臭を伴わない場合は、過度な心配は不要な場合が多いでしょう。
また、妊娠超初期症状として同様のおりものが見られることもあります。
しかし、「大量」という感覚が持続する場合や、悪臭、普段と違う色(黄色、緑、灰色など)、強いかゆみ、排尿時や性交時の痛み、出血などを伴う場合は、細菌性腟症や性感染症、その他の婦人科系疾患が原因である可能性も否定できません。
これらの異常なサインは、治療が必要な病気が潜んでいることを示唆しています。
状態 | 考えられる原因(可能性の高い順) | 受診の目安 |
---|---|---|
水っぽい、量が多い、無臭・かすかに酸っぱい、かゆみ・痛み・出血なし | 生理的な変化(ホルモン変動、骨盤内血行など) 妊娠超初期症状(他の症状も伴う場合) |
他に気になる症状がなければしばらく様子見 生理予定日を過ぎたら妊娠検査薬を試す |
水っぽい(または他の性状)、量が多い、生臭い悪臭、かゆみ・痛み・出血なし/軽度 | 細菌性腟症 | 婦人科を受診 |
水っぽい(または他の性状)、量が多い、黄色・緑色・灰色の変化、かゆみ・痛み・悪臭、出血を伴う場合 | 性感染症(クラミジア、トリコモナスなど) その他の腟炎 子宮頸部の炎症 稀に子宮がんなど |
速やかに婦人科を受診 |
生理周期に関係なく、水っぽいおりものが大量に出る、他の症状もある | 排卵期(中間期) ストレス 上記病気の可能性 |
他に気になる症状があれば婦人科を受診 |
ご自身のおりものの状態や、体調の変化を日頃から観察しておくことは、早期に体の異常に気づくために非常に大切です。
生理前に限らず、おりものに不安を感じる場合や、上記チェックリストに一つでも当てはまる項目がある場合は、自己判断せず、勇気を出して婦人科を受診しましょう。
専門医に相談することで、正確な診断が得られ、適切な治療を受けることができます。
体のサインに耳を傾け、ご自身の健康を守ってください。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
個人の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を仰いでください。