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更年期なのに生理が終わらない鮮血…原因は?病気の可能性と対策

更年期にさしかかり、これまでとは違う体の変化に戸惑う方は少なくありません。特に、「生理が終わらない」「鮮血が続く」といった症状は、大きな不安を感じる原因の一つではないでしょうか。

「いつもの生理と違うけれど、更年期だから仕方ないのかな?」「もしかして、何か悪い病気だったらどうしよう…」

そんなふうに一人で悩んでいませんか?更年期に生理が長引いたり、鮮血が出たりすることは、実は珍しいことではありません。しかし、その背景には注意すべき病気が隠れている可能性もあります。

この記事では、更年期になぜ生理が終わらない・鮮血が続くといったトラブルが起こるのか、その原因と、病院を受診すべき危険なサインについて詳しく解説します。ご自身の体と向き合うための参考にしてください。

目次

「生理が終わらない鮮血」更年期によくある症状?

結論から言うと、更年期に生理が終わらなかったり、鮮血が続いたりすることは、多くの女性が経験する症状の一つです。

更年期(一般的に45〜55歳頃)は、卵巣の機能が徐々に低下し、女性ホルモンの分泌が大きく揺らぎながら減少していく時期です。このホルモンバランスの乱れが、月経周期や経血の量、色、期間にさまざまな変化をもたらします。

そのため、生理が長引いたり、逆に短くなったり、量が極端に増えたり減ったりすることは、更年期における「生理的な変化」の範囲内であることも多いのです。

ただし、「更年期だから」と自己判断してしまうのは危険です。中には治療が必要な病気が原因となっているケースもあるため、いつもと違う症状が続く場合は、その原因を正しく知ることが大切です。

更年期の生理トラブル:なぜ出血が長引く・鮮血が出る?

では、なぜ更年期には出血が長引いたり、鮮血が出たりするのでしょうか。そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。

ホルモンバランスの不安定さが引き起こす変化

生理は、主に「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンの働きによってコントロールされています。

  • エストロゲン:子宮内膜を厚くする働き
  • プロゲステロン:厚くなった子宮内膜を維持し、妊娠に適した状態に整える働き

妊娠が成立しないと、両方のホルモン分泌が減少し、不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて血液とともに排出されます。これが生理です。

更年期になると、このホルモン分泌が不安定になります。特に排卵が正常に行われない「無排卵周期」が増えることで、プロゲステロンが十分に分泌されず、エストロゲンの影響だけが続いてしまうことがあります。その結果、子宮内膜が異常に厚くなったり、不安定な状態になったりして、出血の仕方に変化が現れるのです。

子宮内膜が剥がれきらない?過長月経の原因

ホルモンバランスが乱れると、通常であれば一度にきれいに剥がれ落ちるはずの子宮内膜が、少しずつ、だらだらと剥がれ続けることがあります。これが、生理が8日以上続く「過長月経」の主な原因です。なかなか生理が終わらないと感じるのは、このためです。

少量出血が続くケース

生理期間以外に、茶色っぽいおりものや少量の出血がだらだらと続く「不正出血」も、更年期によく見られる症状です。これも、ホルモンバランスの乱れによって子宮内膜が不安定になり、少しずつ剥がれ落ちることで起こります。

大量出血やサラサラした鮮血の場合

一方で、エストロゲンの作用で子宮内膜が異常に厚くなり、それが一気に剥がれ落ちることで、出血量が急激に増える「過多月経」が起こることもあります。レバーのような大きな血の塊が出たり、サラサラとした鮮血が大量に出たりするのが特徴です。

生理が終わらない鮮血…病気の可能性は?

更年期の生理トラブルの多くはホルモンバランスの乱れによるものですが、中には以下のような病気が隠れている可能性もあります。

病気の可能性 主な症状・特徴
子宮筋腫・子宮内膜ポリープ 過多月経、過長月経、不正出血、生理痛。良性の腫瘍だが症状が強い場合がある。
子宮腺筋症 強い生理痛、過多月経、腰痛。子宮が硬く大きくなる。
卵巣機能の低下 生理周期の乱れ、無排卵周期。更年期における生理的な変化。
子宮体がん・子宮頸がん 不正出血(特に閉経後の出血)、おりものの異常。最も注意すべき病気。
萎縮性膣炎 接触による出血、性交時痛、おりものの変化。エストロゲン減少が原因。

子宮筋腫・子宮内膜ポリープ

子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性のこぶ、子宮内膜ポリープは子宮内膜にできる良性のキノコ状のできものです。これらがあると子宮内膜の面積が広くなったり、収縮がうまくいかなくなったりして、生理の出血量が増えたり、期間が長引いたりすることがあります。

子宮腺筋症

子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中にできてしまい、子宮全体が厚く硬くなる病気です。強い生理痛とともに、過多月経や過長月経を引き起こすことがあります。

卵巣機能の低下

これは病気というより、更年期における生理的な体の変化です。卵巣の機能が低下し、ホルモンバランスが乱れることで、さまざまな月経異常が起こります。

悪性腫瘍(子宮体がん・子宮頸がん)の可能性

最も注意しなければならないのが、子宮のがんです。特に、不正出血は子宮体がんの最も多い自覚症状です。更年期以降にリスクが高まるため、「生理が終わらない」「閉経したはずなのに出血した」という場合は、必ず検査を受ける必要があります。

萎縮性膣炎などその他の原因

エストロゲンの減少により膣の粘膜が薄く、乾燥してもろくなる「萎縮性膣炎」も、出血の原因となることがあります。ちょっとした刺激で出血しやすくなります。

「生理が終わらない鮮血」危険なサインと病院に行くタイミング

「様子を見ていいのかな?」「病院に行くべきかな?」と迷ったときは、以下のサインを目安にしてください。

何日以上生理が続いたら受診すべき?(8日・10日目安)

一般的に、生理は3〜7日間で終わります。もし生理が8日以上続くようであれば「過長月経」と考え、一度婦人科を受診することをおすすめします。特に10日以上だらだらと出血が続く場合は、早めに相談しましょう。

出血の量や状態(大量・少量・鮮血・だらだら)

以下のような症状がある場合は、受診のサインです。

  • レバーのような大きな血の塊(500円玉大以上)が何度も出る
  • 日中でも夜用のナプキンを使わないと間に合わない
  • サラサラした鮮血が大量に出る、または止まらない
  • 生理が終わったと思ったら、またすぐに出血が始まる
  • 生理期間以外に、少量の出血がだらだらと続く

貧血や他の症状がある場合

出血が長引くと、知らず知らずのうちに貧血が進行していることがあります。

  • 立ちくらみ、めまい
  • 動悸、息切れ
  • 疲れやすい、体がだるい
  • 顔色が悪いと指摘される

このような貧血症状がある場合は、出血量がそれほど多く感じなくても、早めに婦人科を受診してください。

閉経後に出血があったら

「1年以上生理が来ていない状態(閉経)」の後に、少しでも出血があった場合は、量や色、期間にかかわらず、必ず婦人科を受診してください。 これは子宮体がんなどの重大な病気のサインである可能性が否定できないため、絶対に放置してはいけません。

婦人科での診察・検査内容

婦人科では、まず問診で最終月経日や生理周期、出血の状況、他に気になる症状などを詳しく聞かれます。その後、必要に応じて以下のような検査が行われます。

  • 内診:子宮や卵巣の状態を直接触って確認します。
  • 超音波(エコー)検査:子宮や卵巣の大きさ、子宮内膜の厚さ、筋腫やポリープの有無などを画像で確認します。
  • 子宮頸がん・体がん検診:子宮の入り口(頸部)や奥(体部)の細胞を採取し、がん細胞がないか調べます。
  • 血液検査:貧血の有無や、ホルモン値などを調べます。

更年期の「生理が終わらない鮮血」治療法

検査で原因がわかったら、それに応じた治療を行います。

  • ホルモンバランスの乱れが原因の場合:
    • ホルモン療法:不足している女性ホルモンを補う治療法(HRT)や、低用量ピル、黄体ホルモン製剤などを用いてホルモンバランスを整え、出血をコントロールします。
    • 漢方薬:体全体のバランスを整え、血流を改善する目的で処方されることもあります。
    • 止血剤:一時的に出血を止めるために使われます。
  • 子宮筋腫やポリープ、がんなどの病気が原因の場合:
    • それぞれの病気に応じた治療(薬物療法や手術など)が必要となります。

更年期の生理トラブルに関するよくある質問(PAAより)

更年期で生理が鮮血で続く原因は何ですか?

主な原因は、更年期による女性ホルモンのバランスの乱れです。これにより子宮内膜の状態が不安定になり、出血が長引いたり、鮮血が出たりします。ただし、背景に子宮筋腫や子宮体がんなどの病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず婦人科で相談することが重要です。

更年期になると生理の出血が終わらなくなるのはなぜですか?

女性ホルモンの分泌が不安定になり、特に子宮内膜の増殖を抑えるプロゲステロンが不足しがちになるためです。その結果、子宮内膜が一度にきれいに剥がれ落ちず、だらだらと剝離が続くことで、生理が終わらなくなります。

生理が10日目になっても終わらないのですが、どうしたらいいですか?

生理が8日以上続く状態を「過長月経」と呼びます。10日以上続く場合は、貧血のリスクや病気の可能性も考えられるため、早めに婦人科を受診してください。

更年期になるとだらだら出血するのはなぜ?

ホルモンバランスの乱れにより、子宮内膜がうまく維持できなくなり、少しずつ剥がれ落ちることで、少量の出血がだらだらと続くことがあります。これも不正出血の一種であり、注意が必要です。

まとめ:更年期の生理変化、一人で悩まず専門医へ

更年期に「生理が終わらない」「鮮血が続く」といった症状が現れると、不安になるのは当然です。その多くは、閉経に向けた体の自然な変化の過程で起こるホルモンバランスの乱れが原因です。

しかし、その影に子宮筋腫やポリープ、そして最も注意すべき子宮体がんなどの病気が隠れている可能性もゼロではありません。「更年期だから」と安易に自己判断せず、いつもと違う症状が続く場合は、ぜひ一度婦人科に相談してください。

専門医に診てもらうことで、原因がはっきりし、大きな安心につながります。また、もし病気が見つかったとしても、早期発見・早期治療が何よりも大切です。あなたの体を守るために、勇気を出して一歩を踏み出しましょう。


本記事は医学的な診断や治療を目的としたものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

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