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あなたの勃起不全、原因は?タイプ別・隠れた病気の可能性を解説

勃起不全の原因|EDタイプ別・年齢別の主な要因と改善策

勃起不全(ED:Erectile Dysfunction)は、「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは勃起を維持できないために、満足な性交を行うことができない状態」と定義され、多くの男性が経験する可能性のあるデリケートな悩みです。
EDの原因は一つではなく、多様な要因が複雑に絡み合って生じることが少なくありません。
この状態は、単に性の問題に留まらず、心身の健康状態を示すサインであることもあります。
原因を正しく理解することは、適切な対処や改善、さらには隠れた病気の早期発見にもつながります。
この記事では、勃起不全の主な原因をタイプ別、年齢別に詳しく解説し、EDになりやすい人の特徴や、原因を特定するための診断・検査方法、そして原因に応じた改善策や治療法について掘り下げていきます。
EDの症状にお悩みの方は、ぜひこの記事を参考に、専門医への相談を検討してみてください。

目次

勃起不全(ED)の主な原因タイプ

勃起は、脳からの刺激が神経を伝わり、陰茎の血管が拡張して血液が流れ込むことで起こる複雑な生理現象です。
この過程のどこかに問題が生じると、勃起不全となります。
EDの主な原因は、大きく分けて「器質性」「心因性」「混合性」の3つのタイプに分類されます。
それぞれのタイプについて詳しく見ていきましょう。

器質性EDの原因

器質性EDは、身体的な病気や状態が原因で勃起機能そのものに障害が生じるタイプです。
勃起に関わる血管、神経、ホルモン、あるいは薬の影響などが該当します。

血管性の原因

勃起には大量の血液が陰茎海綿体に流れ込む必要があります。
この血流が阻害されると勃起は困難になります。
血管性の原因で最も多いのは、動脈硬化です。

  • 動脈硬化: 糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などによって血管が硬くなったり、内側が狭くなったりすると、陰茎への血流が悪化します。
    陰茎の血管は体の血管の中でも比較的細いため、動脈硬化の影響が早期に現れやすい部位と言われています。
    EDが、心筋梗塞や脳卒中といった全身の血管疾患の初期サインである可能性も指摘されています。

  • 血管の損傷: 骨盤や陰茎周辺の手術(前立腺がん手術など)や外傷によって、勃起に必要な血管が損傷した場合も器質性EDの原因となります。

神経性の原因

脳から陰茎への勃起の指令を伝えたり、陰茎からの感覚を脳へ送ったりする神経に障害があると、勃起反応が適切に起こりません。

  • 神経疾患: 脳卒中、パーキンソン病、多発性硬化症、アルツハイマー病などの神経系の病気は、勃起に関わる神経回路に影響を与える可能性があります。

  • 末梢神経障害: 糖尿病による神経障害(糖尿病性神経障害)は、陰茎の神経にも影響を及ぼし、勃起不全の大きな原因となります。
    また、脊髄損傷や椎間板ヘルニアなども神経性のEDを引き起こすことがあります。

  • 手術による神経損傷: 前立腺がん、直腸がんなどの骨盤内の手術では、勃起に関わる神経を損傷するリスクがあり、術後EDの原因となることがあります。
    近年は神経温存手術も行われていますが、完全にリスクをなくすことは難しい場合があります。

ホルモン性の原因

勃起機能には男性ホルモン(テストステロン)が深く関わっています。
男性ホルモンの分泌が低下したり、ホルモンバランスが崩れたりすることもEDの原因となります。

  • 男性ホルモン低下症(LOH症候群): 加齢やストレス、特定の疾患などによって、男性ホルモンの分泌量が減少し、勃起力の低下や性欲の減退を引き起こすことがあります。

  • その他のホルモン異常: 甲状腺機能の異常(亢進症または低下症)や、脳下垂体の異常によるホルモン分泌異常(プロラクチン過多症など)も、性欲や勃起機能に影響を与える可能性があります。

薬剤性の原因

服用している薬の副作用として、勃起機能に影響が出ることがあります。
思いがけない原因として見落とされがちですが、特定の種類の薬がEDを引き起こすことは比較的よく知られています。

  • 降圧薬: 特に一部の種類の降圧薬(例:β遮断薬、利尿薬)は、血管収縮作用や血流への影響によりEDを引き起こす可能性があります。
    ただし、全ての降圧薬がEDの原因となるわけではなく、また薬の種類を変更することで改善することも多いです。

  • 抗うつ薬・精神安定剤: 脳内の神経伝達物質に作用するこれらの薬の一部は、性欲の低下や勃起・射精障害を引き起こすことがあります。

  • 前立腺肥大症治療薬: 一部のα遮断薬や5α還元酵素阻害薬は、EDや性欲低下の副作用が報告されています。

  • H2ブロッカー(胃酸抑制薬): 長期間の使用でホルモンバランスに影響を与える可能性が指摘されています。

  • ステロイド薬: 長期間の使用でホルモンバランスに影響を及ぼす可能性があります。

  • 抗がん剤、ホルモン療法薬: 特定の種類は性機能に深刻な影響を与えることがあります。

薬が原因と思われる場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師に相談することが重要です。
原因となっている薬の種類や用量を変更したり、他の薬に切り替えたりすることで、EDが改善される可能性があります。

心因性EDの原因

心因性EDは、精神的なストレスや心理的な要因によって勃起が妨げられるタイプです。
身体的には勃起する能力があるにも関わらず、特定の状況下で勃起が得られなかったり、維持できなかったりします。
若い世代のEDで最も多い原因とされていますが、壮年期以降でも器質性EDに合併して起こることがあります。

ストレスや心理的要因

日常生活や仕事でのストレス、パートナーとの関係性の問題、過去の失敗体験などが勃起にネガティブな影響を与えることがあります。

  • 慢性的なストレス: 仕事の重圧、人間関係の悩み、経済的な不安など、継続的なストレスは自律神経のバランスを崩し、勃起に必要なリラックス状態を妨げます。

  • うつ病や不安障害: これらの精神疾患自体が性欲の低下や勃起障害を引き起こすことがあります。
    また、これらの治療に用いられる薬が薬剤性EDの原因となることもあります。

  • パートナーとの関係性の問題: コミュニケーション不足、不仲、パートナーへの不満、過去のトラウマなどが心理的なブロックとなり、性行為への意欲や自信を失わせ、EDにつながることがあります。

  • 性的なトラウマ: 過去の性的な失敗や嫌な経験が、今後の性行為に対する強い不安や恐怖心を生み出し、EDの原因となることがあります。

パフォーマンス不安

「うまくできるだろうか」「また失敗するのではないか」といった性行為に対する過度な心配やプレッシャーも、心因性EDの大きな原因です。

  • 過去の失敗経験: 一度でも勃起が得られなかったり、途中で萎えてしまったりする経験があると、「次も同じようになるのではないか」という不安が募り、それが性行為中にさらに緊張を高め、勃起を妨げる悪循環に陥りやすくなります。

  • 性知識の不足や誤解: 性に関する誤った情報や過度な期待もプレッシャーとなり得ます。

  • パートナーの期待に対するプレッシャー: パートナーを満足させなければならないという意識が強すぎると、それがプレッシャーとなり、リラックスできずに勃起が得られないことがあります。

混合性EDの原因

実際には、器質性EDと心因性EDの原因が両方関わっている「混合性ED」が最も多いとされています。
例えば、加齢や生活習慣病で血管機能が少し低下しているところに、仕事のストレスやパートナーとの関係性の問題が加わることでEDが顕在化したり、器質的な原因で一度EDを経験したことがきっかけでパフォーマンス不安が生じ、心因性の要素が加わったりするケースなどです。

混合性EDの場合、どちらか一方の原因だけに対処しても十分に改善しないことが多く、両方の側面からのアプローチが必要となります。
そのため、EDの原因を特定する際には、身体的な状態だけでなく、心理的な状態や生活環境も含めて総合的に評価することが重要です。

年齢別のEDの原因

EDの原因は、年齢によって傾向が異なります。
これは、加齢に伴う身体の変化や、年代ごとのライフスタイルの特徴が影響するためです。

20代・30代の若い世代のED原因

若い世代(20代、30代)のEDは、心因性EDが最も多い原因とされています。

  • 心因性: 性的経験が少ないことによるプレッシャーや不安(パフォーマンス不安)、パートナーとの関係性の悩み、仕事や学業、人間関係のストレスなどが主な要因です。

  • 生活習慣: 不規則な生活、睡眠不足、過度の飲酒や喫煙、ジャンクフード中心の食生活といった生活習慣の乱れも、若いながらもEDのリスクを高めることがあります。

  • 稀なケース: 先天的な異常や、外傷(例:交通事故による骨盤骨折)など、器質的な原因が関わることもありますが、比較的稀です。

  • 薬剤性: 抗うつ薬や精神安定剤などを服用している場合、薬剤性EDの可能性も考慮されます。

若いからといってEDにならないわけではありません。
特にストレスが多い現代社会では、心因性のEDは決して珍しいものではありません。

40代・50代のED原因

壮年期にあたる40代、50代になると、器質性の原因が増加し始め、混合性EDが predominant(優勢)となる傾向があります。

  • 生活習慣病の進行: 糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病が進行し、動脈硬化が進み始める年代です。
    これが血管性EDの大きな原因となります。

  • 男性ホルモン低下: 加齢に伴い、男性ホルモンの分泌が緩やかに低下し始めることも影響します。

  • ストレスの蓄積: 仕事や家庭での責任が増し、ストレスが蓄積しやすい年代でもあります。
    これにより心因性の要素も加わり、混合性EDとなるケースが多く見られます。

  • 薬剤性: 生活習慣病などの治療のために服用している薬の副作用としてEDが現れることもあります。

この年代のEDは、生活習慣病のサインである可能性も高いため、単なる性の問題として捉えずに、全身の健康状態を見直すきっかけとすることが重要です。

60代以上の高齢者のED原因

60代以上の高齢者では、器質性EDが主な原因となります。

  • 加齢による身体機能の低下: 血管や神経の機能が全体的に低下し、勃起機能も自然に衰えやすくなります。

  • 基礎疾患: 心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症、腎臓病、前立腺肥大症など、EDの原因となりうる様々な基礎疾患を複数抱えていることが多くなります。

  • 薬剤性: 複数の基礎疾患の治療のために多くの種類の薬を服用していることが多く、薬剤性EDのリスクが高まります。

  • 手術の影響: 前立腺がんなどの手術歴もEDの原因となり得ます。

高齢者のEDは、加齢による自然な変化と、基礎疾患や薬剤の影響が複雑に絡み合っていることがほとんどです。
しかし、年齢のせいだと諦める必要はありません。
適切な診断と治療によって改善する可能性は十分にあります。

年齢別の原因傾向を表にまとめると以下のようになります。

年代 主なED原因の傾向
20代・30代 心因性EDが最も多い。生活習慣の乱れも影響。稀に器質性。
40代・50代 混合性EDが predominant。生活習慣病の進行、加齢による男性ホルモン低下、ストレス。
60代以上 器質性EDが主体。加齢による機能低下、基礎疾患、薬剤性。

※これは一般的な傾向であり、個人差があります。

EDになりやすい人の特徴と生活習慣

特定の生活習慣や身体的な特徴を持つ人は、EDになるリスクが高いと考えられます。
ご自身の生活習慣を見直してみることで、EDの予防や改善につながるかもしれません。

生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症)

生活習慣病は、EDの最も主要な器質的な原因の一つである動脈硬化を進行させます。

  • 糖尿病: 高血糖が血管や神経を損傷し、EDを引き起こします。
    特に糖尿病性神経障害は勃起に関わる神経に影響を与えます。

  • 高血圧: 高血圧は血管に持続的な負担をかけ、動脈硬化を促進します。
    また、一部の降圧薬もEDの原因となり得ます。

  • 脂質異常症(高コレステロール血症など): 血液中の悪玉(LDL)コレステロールが増加すると、血管の内壁に付着して動脈硬化を進行させます。

これらの生活習慣病は、EDだけでなく、心筋梗塞や脳卒中といったさらに重篤な病気のリスクを高めるため、適切な管理が非常に重要です。

喫煙や過度の飲酒

喫煙と過度の飲酒は、血管機能に悪影響を及ぼし、EDのリスクを大幅に高めます。

  • 喫煙: タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、血管を収縮させ、動脈硬化を促進します。
    また、勃起に必要な一酸化窒素(NO)の産生を妨げることも知られています。
    喫煙者は非喫煙者に比べてEDになるリスクが数倍高いという報告もあります。

  • 過度の飲酒: 適量のアルコールはリラックス効果をもたらすことがありますが、慢性的な過度の飲酒は、神経系やホルモンバランスに悪影響を与え、EDを引き起こす可能性があります。
    また、飲酒量が多いと肝臓に負担がかかり、男性ホルモンの代謝にも影響が出る可能性があります。

肥満や運動不足

肥満や運動不足は、生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、それ自体がEDの原因となり得ます。

  • 肥満: 特に内臓脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性を高め、糖尿病や脂質異常症のリスクを高めます。
    また、炎症性物質の増加や男性ホルモンの低下にも関連しており、血管機能に悪影響を及ぼします。

  • 運動不足: 運動不足は肥満や生活習慣病の原因となるだけでなく、全身の血行を悪くします。
    定期的な運動は血管機能を改善し、EDの予防や改善に有効です。

ストレス過多

慢性的なストレスは、心因性EDの直接的な原因となるだけでなく、ホルモンバランスの乱れや生活習慣の悪化(過食、喫煙、飲酒量の増加など)を通じて、器質性EDのリスクも高めます。
心身ともにリラックスできる時間を持つことが重要です。

その他のリスクファクター

  • 睡眠不足: 睡眠不足はホルモンバランスや自律神経に影響を与え、EDのリスクを高める可能性があります。

  • 骨盤や陰茎周辺の外傷・手術歴: 前述の通り、血管や神経を損傷するリスクがあります。

  • 特定のスポーツ: 長時間の自転車乗車など、会陰部に圧迫が加わるスポーツは、神経や血管を圧迫し、一時的または慢性的なEDを引き起こす可能性が指摘されています。

EDの原因を特定するための診断・検査

EDの症状に悩んだら、まずは専門医(泌尿器科医、男性専門クリニックなど)に相談することが重要です。
原因を正しく特定することで、最適な治療法を選択し、効果的な改善を目指すことができます。
自己判断で市販の精力剤などに頼るのではなく、医療機関を受診しましょう。

問診による原因特定の重要性

EDの診断において、問診は非常に重要なステップです。
医師は、患者さんの話をじっくり聞き、様々な角度から原因の手がかりを探ります。

  • EDの具体的な状況: いつから、どのような状況で勃起が得られないか(特定のパートナーとだけか、自慰では可能かなど)、勃起の硬さ、持続時間、性欲の程度など、EDの症状について詳細に質問されます。

  • 既往歴: これまでにかかった病気や手術の経験(特に心血管疾患、糖尿病、神経疾患、骨盤内の手術など)について尋ねられます。

  • 服用中の薬: 現在服用している全ての薬(処方薬、市販薬、サプリメントなど)について正確に伝えることが重要です。

  • 生活習慣: 喫煙、飲酒、食生活、運動習慣、睡眠時間、ストレスの状況などについて尋ねられます。

  • 心理的な状況: 仕事や人間関係のストレス、パートナーとの関係性、性行為に対する不安やプレッシャーなど、心理的な側面についても尋ねられることがあります。

  • 家族歴: 家族に生活習慣病などの病歴があるかどうかも、体質的な要因を把握する上で参考になります。

正直に話すことは、正確な診断と適切な治療につながります。
恥ずかしがらずに、ありのままを伝えましょう。

各種検査(血液検査、勃起機能検査など)

問診で器質性EDが疑われる場合や、原因をより詳しく特定するために、様々な検査が行われることがあります。

  • 身体診察: 外性器の形状や状態、神経反射などを確認します。

  • 血液検査:

    • 男性ホルモン値: テストステロンなどの男性ホルモンの分泌状態を調べます。
      男性ホルモンの低下がEDの原因となっているかを判断します。

    • 血糖値・HbA1c: 糖尿病の有無やコントロール状態を確認します。

    • 脂質検査: コレステロールや中性脂肪の値を調べ、動脈硬化のリスクを評価します。

    • その他のホルモン: 必要に応じて、甲状腺ホルモンやプロラクチンなどの値を調べることもあります。

    • PSA(前立腺特異抗原): 前立腺疾患の可能性を調べるために測定することがあります。

  • 勃起機能検査:

    • 夜間陰茎勃起検査(NPT:Nocturnal Penile Tumescence): 睡眠中に自然に起こる勃起(夜間勃起)を記録する検査です。
      睡眠中に正常な勃起が見られるにも関わらず日中にEDがある場合は心因性EDの可能性が高く、夜間勃起も見られない場合は器質性EDの可能性が高いと判断できます。

    • 陰茎血流検査: 超音波ドプラ法などを用いて、陰茎への血流の状態や血管の硬さを調べ、血管性EDの程度を評価します。

    • 神経機能検査: 必要に応じて、陰茎の神経反射などを調べる検査が行われることがあります。

これらの検査結果を総合的に判断し、EDの原因タイプや程度を診断します。

診断・検査項目例:

検査の種類 目的
問診 EDの症状、既往歴、服用薬、生活習慣、心理状態などを把握。原因特定の手がかりとして最も重要。
身体診察 外性器の異常、神経反射などを確認。
血液検査 男性ホルモン値、血糖値、HbA1c、脂質値などを測定。糖尿病、脂質異常症、男性ホルモン低下などの有無・程度を評価。
夜間陰茎勃起検査 睡眠中の自然勃起の有無・程度を測定。心因性か器質性かの鑑別に有用。
陰茎血流検査 陰茎への血流状態や血管の硬さを測定。血管性EDの評価。
神経機能検査 陰茎の神経反射などを測定。神経性EDの評価。

EDの原因別対処法と改善策

EDの治療法は、原因によって異なります。
診断で特定された原因に基づいて、医師と相談しながら最適な治療法を選択します。

生活習慣の改善

生活習慣病や血管性のEDに対して、生活習慣の改善は非常に重要です。
薬物療法と並行して、あるいは予防策としても効果的です。

  • 食生活の見直し: バランスの取れた食事を心がけ、高カロリー、高脂肪、高塩分の食事を控えます。
    野菜、果物、魚などを積極的に摂取し、動脈硬化の予防に努めます。

  • 適度な運動: 定期的な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、血行を促進し、血管機能を改善します。
    また、ストレス解消や体重管理にも効果的です。
    週に数回、合計150分程度の運動が推奨されます。

  • 禁煙: 喫煙はEDの最大のリスクファクターの一つです。
    禁煙することで、血管機能が改善され、EDのリスクを減らすことができます。

  • 節酒: 過度な飲酒を避け、適量にとどめます。

  • 十分な睡眠: 規則正しい生活を送り、質の良い睡眠を十分にとることは、ホルモンバランスや心身の健康を保つ上で重要です。

  • 体重管理: 適正体重を維持することで、生活習慣病のリスクを減らし、EDの改善につながります。

ストレスの軽減方法

心因性EDや、混合性EDにおける心因性の要素に対して、ストレスの軽減は不可欠です。

  • リラクゼーション: 趣味、スポーツ、瞑想、深呼吸、十分な休息など、ご自身に合った方法でリラックスする時間を作ることが大切です。

  • カウンセリング: 心理的な問題がEDの大きな原因となっている場合は、臨床心理士やカウンセラーによるカウンセリングが有効な場合があります。
    性行為に対する不安や、パートナーとの関係性の問題などについて専門家と共に整理し、対処法を見つけます。

  • パートナーとのコミュニケーション: パートナーにEDの悩みを打ち明け、一緒に解決策を考えることで、不安やプレッシャーが軽減されることがあります。
    性行為に対する期待値について話し合うことも有効です。

薬物療法(ED治療薬)について

器質性EDの治療法として最も広く用いられているのが、ED治療薬による薬物療法です。
これらの薬は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)という酵素の働きを阻害することで、勃起に必要な血管拡張を助ける作用があります。

  • PDE5阻害薬: 現在、日本国内で承認されている主なPDE5阻害薬には、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)、ステンドラ(アバナフィル)の4種類があります。
    それぞれに特徴があり、効果の発現時間、持続時間、食事の影響、副作用などが異なります。

    • バイアグラ(シルデナフィル): 世界初のED治療薬。
      効果発現が比較的早く、食事の影響を受けやすい傾向があります。

    • レビトラ(バルデナフィル): バイアグラと同様に効果発現が早いですが、食事の影響はバイアグラより少ないとされます(現在は供給停止)。

    • シアリス(タダラフィル): 効果の持続時間が非常に長い(最大36時間)のが特徴で、「ウィークエンドピル」とも呼ばれます。
      食事の影響もほとんど受けにくいとされています。

    • ステンドラ(アバナフィル): 比較的新しい薬で、効果発現が早く、副作用が少ない傾向があると言われています。

  • ジェネリック医薬品: 先発医薬品の特許期間満了後に、同じ有効成分で製造されるのがジェネリック医薬品です。
    先発品と同等の効果や安全性が確認されており、価格が安いのが特徴です。
    バイアグラ、シアリス、レビトラには、それぞれジェネリック医薬品(シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)があります。

ED治療薬は、医師の診察を受けて処方してもらう必要のある「処方箋医薬品」です。
個人輸入代行などによる購入は、偽造薬のリスクや健康被害の危険があるため絶対に避けてください。
必ず医療機関を受診し、医師の指示に従って服用しましょう。
医師は、患者さんの健康状態、併用薬、EDの原因や程度などを考慮して、最適な種類の薬や用量を判断します。

ED治療薬の種類と比較(一例):

薬剤名 有効成分 効果発現時間(目安) 効果持続時間(目安) 食事の影響 特徴
バイアグラ シルデナフィル 30分~1時間 4~5時間 受けやすい 世界初のED治療薬。
レビトラ バルデナフィル 15分~30分 4~5時間 やや受けにくい (現在供給停止)
シアリス タダラフィル 1時間~4時間 最大36時間 受けにくい 持続時間が長い。
ステンドラ アバナフィル 15分~30分 5~6時間 受けにくい 効果発現が早く、副作用が少ない傾向。

※効果の発現時間、持続時間には個人差があります。
食事の影響は、特に高脂肪食で大きくなる傾向があります。

その他の治療法

薬物療法で十分な効果が得られない場合や、特定の原因に対しては、薬物療法以外の治療法が選択されることもあります。

  • 陰茎注射療法: 勃起を促進する薬剤(パパベリン塩酸塩、プロスタグランジンE1など)を陰茎海綿体に直接注射する方法です。
    薬物療法が効かない場合や、神経性のEDなどに有効な場合があります。

  • 真空式勃起補助具(VED): 陰茎に筒をかぶせてポンプで吸引し、陰茎内に血液を溜めて勃起を促す器具です。
    根元をリングで締め付けることで勃起を維持します。

  • 陰茎プロステーシス挿入術: シリンダー状の人工物を陰茎海綿体に埋め込む手術です。
    他の治療法で効果が得られない、重度の器質性EDに対して最終手段として行われることがあります。

  • 血管手術: 動脈硬化が比較的軽い場合や、若年者の血管損傷によるEDの場合に、血管の血行を改善する手術が行われることがありますが、適応は限られます。

  • 男性ホルモン補充療法: 男性ホルモン低下症がEDの主な原因であると診断された場合、男性ホルモンを補充することで勃起機能や性欲の改善が期待できます。
    ただし、前立腺がんなど特定の疾患がある場合は適用できません。

これらの治療法についても、専門医と十分に相談し、ご自身の状態や希望に合った方法を選択することが重要です。

勃起不全の原因を知って専門医へ相談する重要性

勃起不全は、男性にとって非常にデリケートな問題であり、一人で悩みを抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、EDは適切な診断と治療によって改善が見込める状態です。

  • 正確な原因特定: 自己判断では難しいEDの原因を、専門医が正確に診断します。
    器質性、心因性、混合性など、原因によってアプローチが全く異なるため、原因を特定することが改善への第一歩となります。

  • 全身の健康状態の把握: EDは、生活習慣病や心血管疾患など、他の病気のサインである可能性があります。
    EDをきっかけに医療機関を受診することで、これらの病気が早期に発見・治療され、より深刻な健康問題を防ぐことにつながるケースも多くあります。

  • 適切な治療法の選択: 医師は、患者さんの状態や希望、原因を踏まえて、最適な治療法(薬物療法、生活習慣改善、カウンセリングなど)を提案してくれます。
    自己判断による誤った対処や、効果のない、あるいは危険な製品の使用を避けることができます。

  • 心理的なサポート: EDの悩みは、自信喪失やパートナーとの関係性の悪化につながることもあります。
    医療機関では、身体的な治療だけでなく、心理的なサポートや相談も行うことが可能です。

近年では、オンライン診療の普及により、自宅にいながら医師の診察を受け、ED治療薬を処方してもらうことも可能になりました。
これにより、医療機関への受診に抵抗がある方でも、比較的気軽に専門医に相談できるようになっています。

EDは決して恥ずかしいことではありません。
それは、あなたの身体からの大切なサインかもしれません。
勃起不全の原因を正しく知り、適切な対処を行うためにも、まずは専門医に相談することをお勧めします。


免責事項:本記事は情報提供のみを目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
EDの症状や原因については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
自己判断による治療や市販薬の使用は危険を伴う場合があります。

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