眠りが浅い状態が続くと、「十分に寝た気がしない」「疲れが取れない」と感じるだけでなく、日中の集中力が低下したり、イライラしやすくなったりと、心身に様々な影響を及ぼします。
もしかしたら、あなたも「横になってもなかなか眠りにつけない」「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝早くに目が覚めて、そこから眠れない」といった経験をお持ちかもしれません。
眠りが浅くなる原因は一つではなく、生活習慣、心理状態、身体的な問題など、実に多岐にわたります。
また、一見関係なさそうに思える症状が、実は眠りの浅さとつながっていることも少なくありません。
この記事では、「眠りが浅い」と感じる背景にある睡眠の仕組みから、考えられる具体的な原因、よくある症状や特徴、そして今日から始められる改善策まで、幅広くご紹介します。
さらに、自己改善が難しい場合に専門家の助けを借りる目安についても解説します。
この記事を参考に、ご自身の眠りの質を見直すきっかけとし、より質の高い睡眠を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
眠りが浅いとは?睡眠の仕組みを解説
「眠りが浅い」とは、具体的には睡眠の質が低い状態を指します。
十分な時間眠っていても、深い休息感が得られず、疲れが取れない感覚がある場合、眠りが浅い状態にあると言えるでしょう。
私たちの睡眠は、一晩を通してレム睡眠とノンレム睡眠という異なる種類の睡眠が約90分周期で繰り返されています。
- ノンレム睡眠: 脳も体も深く休んでいる状態です。
眠りの深さによってさらに段階が分かれ、最も深いノンレム睡眠では、成長ホルモンが分泌されたり、体の修復が行われたりします。 - レム睡眠: 体は休息している一方、脳は活発に活動している状態です。
夢をよく見ると言われるのはこのレム睡眠中です。
記憶の整理や定着が行われると考えられています。
健康的な睡眠では、このレム睡眠とノンレム睡眠のサイクルがスムーズに繰り返され、特に睡眠前半に深いノンレム睡眠が多く現れることで、脳と体がしっかりと休息できます。
しかし、眠りが浅い状態では、ノンレム睡眠の深い段階が少なくなったり、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりがうまくいかなかったりします。
これにより、睡眠時間が確保できていても、脳や体の回復が十分に行われず、「眠った気がしない」「朝から疲れている」といった感覚につながるのです。
また、睡眠が浅い状態が続くと、ちょっとした物音や光でも目が覚めやすくなり、中途覚醒の原因にもなります。
眠りが浅い主な原因とは
眠りが浅くなる原因は一つに特定できるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。
ここでは、考えられる主な原因をカテゴリー別に詳しく見ていきましょう。
生活習慣・環境が影響する原因
日々の生活習慣や睡眠環境は、睡眠の質に直接的な影響を与えます。
無意識のうちに行っている習慣や、過ごしている環境が、あなたの眠りを浅くしている可能性があります。
食事や飲酒、カフェインの影響
- 寝る前の食事: 就寝直前の食事は、消化活動のために体が覚醒状態になり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする原因となります。
特に脂っこいものや消化に時間のかかるものは避けるべきです。 - カフェイン: コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。
個人差はありますが、摂取後数時間は効果が持続するため、夕食後や寝る前の摂取は眠りを妨げます。 - アルコール: 「寝酒」としてアルコールを飲む方もいますが、アルコールは一時的に寝つきを良くする効果がある一方で、睡眠後半には代謝される過程で眠りを浅くし、中途覚醒を増やしてしまうことが知られています。
アルコールは睡眠の質を低下させる大きな要因の一つです。
項目 | 影響の概要 | 就寝前摂取の注意点 |
---|---|---|
食事 | 消化活動で体が覚醒 | 就寝2〜3時間前までに済ませるのが理想。消化の良いものを選ぶ。 |
カフェイン | 脳を覚醒させる | 午後以降の摂取は控える。特に夕食後は避ける。 |
アルコール | 一時的に寝つきを良くするが、睡眠後半の質を低下 | 寝酒は習慣化しない。少量でも睡眠の質を下げる可能性。 |
寝室の温度や湿度、明るさ
- 温度: 睡眠に適した室温は、一般的に夏場で25〜28℃、冬場で20〜23℃程度と言われています。
暑すぎたり寒すぎたりすると、体が快適に休息できず、寝返り増えたり、途中で目が覚めたりしやすくなります。 - 湿度: 湿度は50%前後が理想的です。
乾燥しすぎると喉や鼻の粘膜が乾いて不快感が生じたり、咳が出やすくなったりします。
逆に湿度が高すぎると寝苦しさを感じます。 - 明るさ: 睡眠中に光を浴びると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。
寝室はできるだけ暗くすることが重要です。
街灯の光や電子機器の待機電力ランプなども影響することがあります。
昼寝や活動量
- 不適切な昼寝: 長時間(1時間以上)の昼寝や、夕方以降の遅い時間の昼寝は、夜の睡眠に影響を与え、寝つきを悪くしたり、睡眠を浅くしたりする可能性があります。
- 運動不足: 適度な運動は睡眠の質を高める効果がありますが、運動不足は体の疲れが少なくなり、深い睡眠が得られにくくなることがあります。
- 過度な運動: 就寝直前の激しい運動は、体を興奮させてしまい、かえって寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりします。
心理的要因による原因
心の状態は、私たちの睡眠に深く関わっています。
ストレスや悩み、不安などは、自律神経のバランスを崩し、脳をリラックスさせにくくすることで、眠りを浅くしてしまいます。
ストレスや悩み事
仕事や人間関係、将来への不安など、様々なストレスや悩みは、脳を緊張状態に保ちます。
これにより、布団に入っても考え事が止まらなかったり、心が落ち着かずに寝付けなかったりします。
また、眠っていても脳の一部が活動し続けてしまい、眠りが浅くなることがあります。
不安や緊張
「今日も眠れないかもしれない」という睡眠に対する不安や、「明日は重要な会議があるから早く寝なければ」といったプレッシャーも、心理的な緊張を高め、かえって眠りを妨げる要因となります。
このような予期不安は、不眠を慢性化させる悪循環を生み出すことがあります。
身体的要因や病気による原因
体の状態や隠れた病気が原因で眠りが浅くなることもあります。
特に、加齢による変化や、睡眠中に起こる特定の症状を伴う疾患は、睡眠の質を著しく低下させます。
加齢による変化
年齢を重ねると、睡眠の構造が変化し、深いノンレム睡眠が減少し、睡眠全体が浅くなる傾向があります。
また、体内時計のリズムも変化し、夜中に目が覚めやすくなったり、朝早くに目が覚めることが増えたりします。
これは生理的な変化の一部ですが、不快な症状として現れることもあります。
痛みやかゆみ
慢性的な痛み(腰痛、関節痛、頭痛など)や、皮膚のかゆみ(アトピー性皮膚炎など)は、寝ている間に体を動かしたり、目が覚めたりする原因となります。
これにより、睡眠が中断され、深い眠りが妨げられ、眠りが浅くなります。
睡眠時無呼吸症候群などの疾患
眠りを浅くする代表的な疾患として、以下のものがあります。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS): 睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。
これにより、体は酸素不足となり、脳が覚醒して呼吸を再開させようとするため、睡眠が分断され、深い眠りが得られません。
大きないびきや日中の強い眠気、熟睡感のなさなどが主な症状です。 - むずむず脚症候群: 寝ている間に脚に不快な感覚(むずむず、かゆみ、虫が這うような感じなど)が生じ、じっとしていられなくなる病気です。
脚を動かさずにはいられなくなり、睡眠が妨げられます。 - 周期性四肢運動障害: 睡眠中に手足が周期的にピクピクと勝手に動いてしまう病気です。
本人や一緒に寝ている人が気づかないこともありますが、この動きによって睡眠が中断され、眠りが浅くなります。
これらの睡眠障害は、単に眠りが浅いだけでなく、日中の活動にも大きな影響を与えるため、疑われる場合は専門家への相談が非常に重要です。
睡眠のリズムに関わる原因
私たちの睡眠は、脳内の様々なメカニズムによってコントロールされています。
これらのメカニズムが乱れることでも、眠りが浅くなることがあります。
レム睡眠とノンレム睡眠のバランス
健康な睡眠では、ノンレム睡眠の深い段階が重要ですが、前述のように、ストレスや生活習慣の乱れ、特定の疾患などにより、深いノンレム睡眠が減少し、浅い睡眠の割合が増加することがあります。
これにより、睡眠時間があっても脳や体が十分に休息できなくなります。
中途覚醒のメカニズム
夜中に目が覚めてしまう中途覚醒は、眠りが浅いことの典型的な症状の一つです。
覚醒の背景には、様々な要因が考えられます。
例えば、浅いノンレム睡眠中やレム睡眠中に、外部からの刺激(音、光)や内部からの刺激(痛み、かゆみ、尿意、体の動き、呼吸停止など)によって覚醒レベルが上昇し、完全に目が覚めてしまうことがあります。
一度目が覚めると、再び寝付くまでに時間がかかったり、「また目が覚めたらどうしよう」といった不安からさらに眠りが浅くなったりする悪循環に陥ることがあります。
眠りが浅い人が感じやすい症状や特徴
眠りが浅い状態が続くと、様々な症状や特徴が現れることがあります。
これらのサインに気づくことが、改善への第一歩となります。
夢ばかり見る
「毎晩のように鮮明な夢を見る」「夢の内容をよく覚えている」と感じる場合、睡眠が浅い状態にある可能性があります。
夢を見るのは主にレム睡眠中ですが、通常、レム睡眠は比較的短時間で、朝方に近づくにつれて長くなります。
しかし、睡眠全体が浅い状態では、レム睡眠の割合が増えたり、浅いノンレム睡眠から覚醒しやすくなり、夢を見ている最中に目が覚めることが増えるため、夢の内容を覚えやすくなるのです。
これは、深いノンレム睡眠が十分に取れていないサインかもしれません。
すぐに目が覚める・何度も起きてしまう
夜中に一度目が覚めると、そこからなかなか寝付けない、あるいは夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)は、眠りが浅い人が最も感じやすい症状の一つです。
前述の通り、これは睡眠の維持がうまくいっていない状態であり、深い睡眠が妨げられていることを示唆します。
特に、夜中に何度もトイレに行きたくなる(夜間頻尿)も、高齢者を中心に中途覚醒の原因となることが多いです。
疲れているのに眠れない
体はへとへとに疲れているのに、いざ布団に入ると目が冴えてしまったり、眠りにつけなかったりするのも、眠りが浅い人が経験しやすい特徴です。
これは、肉体的な疲労とは別に、脳や心が興奮状態にあったり、ストレスや不安でリラックスできていなかったりするために起こります。
特に、日中に強いストレスを感じた日や、悩み事がある場合に起こりやすいです。
日中の眠気や倦怠感
夜間の睡眠が浅く、質の高い休息が得られないと、当然ながら日中に強い眠気や倦怠感を感じやすくなります。
午前中から眠かったり、集中力が続かなかったり、だるさを感じたりします。
重度の場合、仕事や学業の効率が著しく低下したり、運転中に眠気に襲われるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
また、イライラしやすくなる、気分の落ち込み、判断力の低下といった精神的な症状が現れることもあります。
眠りが浅いを改善するための具体的な方法(治し方)
眠りの浅さを改善するためには、原因に応じたアプローチが必要ですが、まずは日常生活の中でできることから始めてみましょう。
ここでは、今日から実践できる具体的な改善策をご紹介します。
今日からできる生活習慣の改善策
まずは、日々の生活習慣を見直すことから始めましょう。
小さな変化でも、継続することで睡眠の質に良い影響を与えることがあります。
就寝前のリラックス習慣
寝る前にリラックスできる時間を作ることは、脳を休息モードに切り替えるために非常に重要です。
- ぬるめのお湯での入浴: 就寝1~2時間前に38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、体の内部の温度(深部体温)がいったん上がり、その後下がる過程で眠気を誘います。
リラックス効果も高いです。 - 軽いストレッチやヨガ: 体の緊張をほぐし、リラックス効果を高めます。
激しい運動は避けましょう。 - 静かな音楽を聴く: 心地よいと感じるヒーリング音楽などを聴くのは効果的です。
- 読書: 内容の難しくない、心が落ち着くような本を読む。
ただし、電子書籍は画面の光が刺激になることがあるため、紙媒体がおすすめです。 - アロマテラピー: ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のあるアロマオイルを焚くのも良いでしょう。
入浴のタイミングと温度
前述のように、就寝1~2時間前に、38~40℃のぬるめのお湯に15~20分程度浸かるのが理想的です。
熱すぎるお湯はかえって体を興奮させてしまう可能性があります。
寝る前に控えるべきもの(スマホ、カフェイン、アルコール)
これらは睡眠の質を低下させる代表的なものです。
- スマホやPCの画面: 画面から発せられるブルーライトは脳を覚醒させ、メラトニンの分泌を抑制します。
就寝1時間前からは使用を控えましょう。 - カフェイン: 就寝前はもちろん、午後以降の摂取も控えるのが無難です。
- アルコール: 寝酒の習慣はやめましょう。
少量でも睡眠の質を悪化させる可能性があります。 - 喫煙: ニコチンには覚醒作用があるため、就寝前の喫煙は避けましょう。
適度な運動
定期的な運動は、ストレス解消にもなり、深い睡眠を増やす効果が期待できます。
ただし、就寝直前の激しい運動は逆効果です。
- タイミング: 夕方から就寝3時間前くらいまでに、ウォーキングやジョギング、軽い筋トレなどの有酸素運動を行うのがおすすめです。
- 強度: 息が弾む程度の「ややきつい」と感じる運動を、毎日続けられる範囲で行いましょう。
日光を浴びる習慣
私たちの体内時計は、朝に太陽の光を浴びることでリセットされます。
- 朝起きたら: カーテンを開けて日の光を浴びましょう。
約15分〜30分程度が目安です。
これにより、体内時計が整い、夜に向けて自然な眠気が生じやすくなります。 - セロトニンとメラトニン: 日光を浴びることで「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。
このセロトニンは、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンに変化します。
メラトニンが十分に分泌されることで、質の高い睡眠が得られやすくなります。
快適な睡眠環境の見直し
寝室環境は、快眠にとって非常に重要です。
ご自身の寝室を見直してみましょう。
寝具の選び方
自分に合った寝具は、体の負担を減らし、快適な睡眠をサポートします。
- マットレス: 体圧を分散し、寝姿勢を適切に保つものが理想です。
硬すぎず柔らかすぎず、ご自身の体格や寝方に合ったものを選びましょう。 - 枕: 首の自然なカーブをサポートし、快適な高さのものを選びましょう。
高すぎたり低すぎたりすると、首や肩に負担がかかり、リラックスして眠れません。 - 掛け布団: 寝床内の温度と湿度を適切に保つ、吸湿性・放湿性・保温性に優れた素材を選びましょう。
季節に合わせて調節できるものが便利です。
寝室の温度・湿度・遮光
前述した理想的な条件に近づけるための具体的な工夫です。
- 温度・湿度調整: エアコンや加湿器、除湿機などを活用して、快適な温度(夏25-28℃、冬20-23℃)と湿度(50%前後)を保ちましょう。
寝具での調整も重要です。 - 遮光: 厚手のカーテンを使ったり、アイマスクを利用したりして、寝室をできるだけ暗くしましょう。
窓から漏れる光だけでなく、電子機器の小さな光にも注意が必要です。 - 静音: 騒音も睡眠を妨げます。
耳栓を使ったり、防音カーテンを利用したりするのも一つの方法です。
ストレスを軽減する方法
心理的な要因による眠りの浅さには、ストレスマネジメントが有効です。
リラクゼーションを取り入れる
日中に溜まったストレスを解消し、心身をリラックスさせる習慣を取り入れましょう。
- 深呼吸や瞑想: ゆっくりと深い呼吸をすることで、副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られます。
寝る前に数分行うだけでも効果があります。 - 趣味や好きなことに時間を費やす: 自分が楽しいと感じることや夢中になれる時間を持つことは、ストレス解消に繋がります。
- ぬるめのお風呂: 体を温め、リラックス効果を高めます。
悩み事との向き合い方
悩み事が頭から離れずに眠れない場合は、以下の方法を試してみましょう。
- ジャーナリング: 寝る前に、頭の中で考えていることや悩み事を紙に書き出すことで、頭の中を整理し、気持ちを落ち着かせることができます。
- 悩む時間を限定する: 「この時間になったら悩むのをやめる」と決め、それ以外の時間は意識的に考えないように努めるのも一つの方法です。
- 人に話す: 信頼できる友人や家族に話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることがあります。
眠りが浅い時に役立つサプリメント
サプリメントは医薬品とは異なり、病気の治療を目的とするものではありませんが、特定の成分が睡眠の質をサポートすると考えられています。
あくまで「健康補助食品」として、日々の生活習慣の改善と合わせて取り入れることを検討できます。
睡眠の質に関わる成分
眠りの浅さや睡眠の質に関わる可能性のある代表的な成分には以下のようなものがあります。
- GABA(γ-アミノ酪酸): 抑制性の神経伝達物質で、リラックス効果やストレス軽減効果が期待されます。
これにより、寝つきをサポートしたり、睡眠の質を高めたりする効果が研究されています。 - L-テアニン: 緑茶などに含まれるアミノ酸の一種で、リラックス効果や集中力を高める効果が知られています。
興奮を抑え、穏やかな眠りにつながる可能性が示唆されています。 - グリシン: アミノ酸の一種で、体の深部体温をスムーズに下げる作用があると言われています。
これにより、入眠をサポートし、睡眠の質を高める効果が期待されます。 - トリプトファン: 必須アミノ酸の一つで、体内でセロトニンやメラトニンの材料となります。
牛乳やチーズなどの乳製品、大豆製品などに多く含まれます。 - ラフマ(羅布麻): 羅布麻の葉から抽出されるエキスに含まれるヒペロシドやイソクエルシトリンといった成分に、リラックス効果や睡眠の質を改善する効果が期待されています。
- クワンソウ: 沖縄に自生する植物で、「眠り草」とも呼ばれます。
古くから安眠のために利用されてきました。
特定の成分がリラックス効果や睡眠サポートに役立つと考えられています。
成分名 | 期待される効果(睡眠との関連) | 含まれる食品の例 | 特徴 |
---|---|---|---|
GABA | リラックス効果、ストレス軽減、寝つき・睡眠の質サポート | 発芽玄米、トマト、じゃがいも、チョコレートなど | 抑制性の神経伝達物質。 |
L-テアニン | リラックス効果、興奮抑制、穏やかな眠りサポート | 緑茶 | お茶の旨味成分。 |
グリシン | 深部体温低下サポート、入眠サポート、睡眠の質向上 | ホタテ、エビ、カニ、豚肉、鶏肉など | 甘みのあるアミノ酸。 |
トリプトファン | セロトニン・メラトニンの材料 | 牛乳、チーズ、大豆製品、ナッツ類、バナナなど | 必須アミノ酸。 |
ラフマ | リラックス効果、睡眠の質改善 | ラフマ茶など | ハーブ由来の成分。 |
クワンソウ | リラックス効果、安眠サポート | クワンソウ茶など | 沖縄で伝統的に利用されるハーブ。 |
※メラトニンは海外でサプリメントとして販売されていますが、日本では医薬品扱いであり、医師の処方がなければ入手できません。
個人輸入などは健康被害のリスクがあるため絶対に避けましょう。
サプリメント選びのポイント
サプリメントを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 成分と含有量: 含まれている成分の種類や量が、ご自身の目的に合っているか確認しましょう。
- 品質と安全性: GMP基準など、信頼できる製造基準を満たしている製品を選びましょう。
原材料の産地やトレーサビリティが明確なものも安心です。 - 続けやすさ: 味や形状(錠剤、カプセル、ドリンクなど)、価格などを考慮して、無理なく続けられるものを選びましょう。
- 過剰摂取に注意: 推奨されている摂取量を守りましょう。
過剰摂取は思わぬ健康被害につながる可能性があります。 - 医師や薬剤師に相談: 持病がある方や、他の薬を服用している方は、サプリメントを摂取する前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
サプリメントが薬の効果に影響を与えたり、体調を悪化させたりする可能性もゼロではありません。
サプリメントはあくまで補助的なものであり、これだけで劇的に眠りが浅い状態が改善するわけではありません。
まずは生活習慣や睡眠環境を見直し、そのサポートとしてサプリメントを検討するというスタンスが重要です。
効果には個人差があることを理解しておきましょう。
こんな時は専門家へ相談(病院受診の目安)
ご自身で生活習慣や睡眠環境の改善を試みても、眠りが浅い状態が続いたり、日中の生活に支障が出ている場合は、一人で悩まずに専門家に相談することが重要です。
隠れた病気が原因である可能性もあります。
医療機関を受診すべきサイン
以下のようなサインが見られる場合は、医療機関を受診することを強く推奨します。
- 眠りが浅い状態が1ヶ月以上続き、ご自身での対処が難しい
- 日中の強い眠気や倦怠感により、仕事や学業、日常生活に明らかな支障が出ている
- 眠気で集中力が続かず、交通事故などのリスクを感じる
- 夜中に何度も目が覚める回数が多い、または一度目が覚めると長く眠れない
- 大きないびきや、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある(睡眠時無呼吸症候群の可能性)
- 寝ている間に足がむずむずしたり、ピクピクと動いたりする(むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害の可能性)
- 痛みやかゆみなど、体の不調が原因で眠れていないと感じる
- 不眠に伴って、気分の落ち込みや強い不安感がある
- 睡眠薬や導入剤なしでは全く眠れないと感じる
これらのサインは、単なる一時的な不眠ではなく、治療が必要な睡眠障害や他の疾患が隠れている可能性を示唆しています。
どのような診療科に行けば良いか
「眠りが浅い」という症状で受診する場合、最初に相談すべき診療科は原因によって異なりますが、まずはかかりつけ医に相談してみるのが良いでしょう。
かかりつけ医が適切な専門医を紹介してくれます。
症状・疑われる原因 | 診療科の例 | 特徴 |
---|---|---|
一般的な不眠、原因不明 | 心療内科、精神科、睡眠外来 | 睡眠障害全般の診断・治療を行う専門医。 |
大きないびき、呼吸停止 | 睡眠外来、耳鼻咽喉科 | 睡眠時無呼吸症候群の検査(睡眠ポリグラフ検査など)や治療を行います。 |
むずむず脚、手足の動き | 睡眠外来、神経内科 | 睡眠中に起こる体の動きや不快な感覚に関連する疾患を専門とします。 |
痛みやかゆみが原因 | 整形外科、皮膚科など | 原疾患(痛み、かゆみ)の治療を行うことで睡眠改善を目指します。 |
精神的な不調(うつ、不安) | 心療内科、精神科 | 精神疾患に伴う不眠の診断・治療を行います。 |
加齢に伴う変化、軽度の不眠 | かかりつけ医(内科など)、または専門医 | 全体的な健康状態を踏まえ、適切なアドバイスや専門医への紹介を行います。 |
睡眠外来は、睡眠障害に特化した専門医療機関であり、詳細な検査(睡眠ポリグラフ検査など)を通じて正確な診断を得ることができます。
原因が特定できれば、薬物療法だけでなく、認知行動療法などの非薬物療法も含めた専門的な治療を受けることが可能です。
受診をためらわず、専門家のサポートを得ることで、適切な診断と治療につながり、眠りの浅さから解放される可能性が高まります。
まとめ:眠りが浅いを改善して質の高い睡眠を目指しましょう
「眠りが浅い」という悩みは、多くの人が経験することですが、放置すると心身の健康に様々な影響を及ぼします。
記事でご紹介したように、眠りが浅くなる原因は、生活習慣や睡眠環境、心理的な要因、身体的な問題、そして睡眠のメカニズムの乱れなど、多岐にわたります。
ご自身の眠りが浅いと感じる原因を振り返ってみることから始めましょう。
そして、今日からでもできる生活習慣の改善策(就寝前のリラックス、適切な入浴、寝る前のNG習慣の見直し、運動、日光浴)や、快適な睡眠環境の整備(寝具、温度、湿度、明るさ)を一つずつ試してみてください。
ストレス管理も非常に重要です。
また、サプリメントはあくまで補助的な選択肢として、ご自身の体質や目的に合ったものを検討する際は、成分や品質に注意し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
もし、ご自身での改善が難しい場合や、日中の生活に支障が出ている場合は、迷わず専門の医療機関を受診してください。
隠れた病気があるかもしれませんし、専門家のアドバイスや治療によって症状が大きく改善する可能性があります。
心療内科、精神科、睡眠外来などが選択肢となります。
質の高い睡眠は、健康的な生活を送る上で欠かせません。
「眠りが浅い」という悩みを克服し、心身ともにリフレッシュできる質の高い睡眠を取り戻すことで、日々の生活がより豊かなものになるはずです。
この記事が、あなたの眠りの悩みを解決し、健康な睡眠習慣を築くための一助となれば幸いです。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断、治療を推奨するものではありません。
個々の健康状態や症状については、必ず専門の医療機関にご相談ください。