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【双極性障害】実はあの人も?公表している有名人一覧

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)は、気分が著しく高ぶる「躁状態」と、気分が落ち込む「抑うつ状態」を繰り返す病気です。「躁うつ病」とも呼ばれ、かつては単なる気分の波と見過ごされがちでしたが、脳の機能障害が関わる精神疾患の一つとして、現在では適切な診断と治療が必要であると広く認識されています。この病気は特別な人がかかるものではなく、社会の様々な分野で活躍している人々も向き合っています。中には、自身の経験を公表し、同じように悩む人々やその周囲の人々に向けてメッセージを送っている有名人もいます。彼らの言葉は、病気への理解を深め、孤立しがちな当事者やその家族に希望をもたらす光となります。この記事では、双極性障害の基礎知識から、病気を公表した国内外の有名人の事例、そしてカミングアウトが社会にもたらす影響について解説します。

目次

双極性障害とは?躁うつ病の基礎知識

双極性障害は、感情や活動性のレベルが通常とはかけ離れた状態(躁状態または軽躁状態)と、うつ状態との間を変動することを特徴とする気分障害です。この変動は、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

躁状態と抑うつ状態を繰り返す特徴

双極性障害の最大の特徴は、躁状態(あるいは軽躁状態)と抑うつ状態という対極にある気分の波を繰り返すことです。これらの気分の波の間には、比較的安定した期間(寛解期)が存在することもあります。

躁状態では、気分が異常に高揚したり、怒りっぽくなったりします。ほとんど眠らなくても平気で、エネルギーに満ち溢れているように感じます。次々にアイデアが浮かび、多弁になり、衝動的な行動(例えば、浪費、無謀な投資、性的逸脱など)が見られることがあります。自分は偉大な人間だと過大評価したり、非現実的な計画を立てたりすることもあります。重度の躁状態では、現実検討能力が失われ、幻覚や妄想を伴うこともあります。

抑うつ状態は、一般的なうつ病の症状とよく似ています。気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、疲れやすさ、集中力の低下、不眠または過眠、食欲の変化(増進または低下)、体の痛みや不調、そして自分を責める気持ちや希死念慮が現れることがあります。特に双極性障害の抑うつ状態は、うつ病よりも気分反応性が保たれている(楽しい出来事に対して一時的に気分が上向く)場合や、過眠、過食、体が重く感じるなどの症状が目立つことがあるとされますが、個人差が大きいです。

これらの状態が明確に現れるものを双極性I型障害、躁状態ほどはっきりしない「軽躁状態」と抑うつ状態を繰り返すものを双極性II型障害と呼びます。双極性II型障害は、軽躁状態が見過ごされがちであるため、うつ病と誤診されやすい傾向があります。

双極性障害の診断と主な治療法

双極性障害の診断は、専門医による詳細な問診や症状の観察に基づいて行われます。特に、過去の躁状態や軽躁状態のエピソードを聞き取ることが重要になります。問診の際には、本人だけでなく、家族など近しい人からの情報も診断の助けになることがあります。気分変動のパターンを記録する「気分グラフ」なども診断や治療経過の把握に役立ちます。

双極性障害の主な治療法は、薬物療法と精神療法、そして心理社会的アプローチを組み合わせた包括的なものとなります。

薬物療法は、気分の波を安定させ、躁状態や抑うつ状態を予防・軽減するために非常に重要です。

  • 気分安定薬: リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、ラモトリギンなどが代表的です。気分の高ぶりも落ち込みも抑える効果があり、双極性障害治療の中心となります。
  • 非定型抗精神病薬: オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールなどが使用されることがあります。躁状態や抑うつ状態の改善、気分の安定に効果が期待されます。
  • 抗うつ薬: 抑うつ状態に対して使用されることがありますが、単独で使用すると躁転(うつ状態から躁状態に移行すること)のリスクを高める可能性があるため、気分安定薬などと併用し、慎重に使用されます。

薬物療法は、症状が改善した後も、再発予防のために継続することが多いです。自己判断で服薬を中止したり、量を調整したりすることは、症状の悪化や再発につながる危険があるため、必ず医師の指示に従うことが重要です。

精神療法としては、認知行動療法(CBT)や対人関係・社会リズム療法(IPSRT)などが有効とされています。これらの療法は、気分の波のパターンを理解し、ストレスへの対処法を学び、生活リズムを整えることによって、再発予防や社会機能の向上を目指します。

また、病気について学び、対処スキルを身につける心理教育も非常に重要です。本人だけでなく、家族や周囲の人々が病気への理解を深めることで、適切なサポートや再発の早期発見につながります。

治療の目標は、気分の波をコントロールし、安定した状態で社会生活を送ることです。完治というよりは、病気と上手く付き合いながら、自分らしい人生を歩むことを目指します。そのためには、医師との信頼関係を築き、根気強く治療を続けることが不可欠です。

双極性障害を公表した日本の有名人

日本では、精神疾患に対する偏見が根強く残っているのが現状です。そのような中で、自らの双極性障害を公表することは、大きな勇気を必要とします。しかし、公表された有名人の体験談は、同じ病気と向き合う多くの人々にとって、自分だけではないという安心感や、病気と向き合いながらも活躍できるという希望につながっています。ここでは、双極性障害であることを公表した日本の有名人の一部をご紹介します。

広末涼子さん

女優として長年第一線で活躍されている広末涼子さんは、2023年10月に、医師から双極性障害であると診断されたことを公表されました。ご自身の公式サイトで発表されたコメントの中で、現在の心境や、病気と向き合う決意、そして応援してくれる人々への感謝を述べられました。

公表後、様々なメディアで双極性障害に関する情報が取り上げられ、病気への関心が高まるきっかけの一つとなりました。広末さんご自身は、ご家族や周囲のサポートを受けながら、治療に専念される時間を過ごされています。その誠実な姿勢は、多くの人々に精神疾患に対する理解を深めることの重要性を改めて教えてくれました。有名人が病気を公表することは、とかく個人的な問題と捉えられがちな精神疾患を、社会全体で考え、支え合うべき課題として認識する一歩となり得ます。

なかやまきんに君さん

お笑い芸人でありボディビルダーとしても活躍されているなかやまきんに君さんも、双極性障害であることを公表されています。YouTubeチャンネルなどで、ご自身の経験や病気との向き合い方について、率直に語られています。

なかやまきんに君さんは、躁状態の時にはハイテンションで活動的になる一方で、抑うつ状態の時には何も手につかなくなるなど、具体的な症状の経験を語ることで、双極性障害のリアルな姿を伝えています。また、筋トレがメンタルヘルスの維持に役立っていることや、規則正しい生活、そして専門家との連携が重要であることなどを強調されています。ポジティブなイメージの強いなかやまきんに君さんが病気を公表し、その経験を語ることは、「誰でも病気になる可能性がある」「病気と向き合いながらも健康的な生活を送ることができる」という希望のメッセージを多くの人々に届けています。彼の活動は、精神疾患をオープンに話し合える社会の実現に貢献していると言えるでしょう。

田中俊介さん

俳優として活動されていた田中俊介さんも、双極性障害であることを公表されています。所属事務所を通じて、ご自身の病状と今後の活動について説明されました。

田中さんは、病気の発症から診断、そして治療への取り組みについて、真摯に語られています。特に、症状によって仕事や日常生活に支障が出ていたこと、そして病気と診断されるまでの苦悩について触れられています。そして、現在は治療に専念し、病気と向き合っていくことを決意されています。田中さんの公表は、特に若い世代や、これから社会に出ていく人々にとって、精神的な不調を感じたときに一人で抱え込まず、専門家の助けを借りることの重要性を伝える機会となりました。有名人が弱さを公表することは、同じ悩みを抱える人々が声を上げやすくなる環境を作る助けとなります。

(※上記は双極性障害を公表した方の一部です。他にも公表されている方がいらっしゃる可能性はありますが、情報源が限定的である場合や、プライバシーへの配慮から、ここでは代表的な事例に留めています。また、上記の情報は公表時点での情報に基づいています。)

双極性障害を公表した海外の有名人

精神疾患に対する意識は国によって異なりますが、海外でも多くの有名人が自身の双極性障害を公表し、啓発活動を行っています。彼らの影響力は大きく、世界中の人々に双極性障害への理解を促し、当事者に勇気を与えています。ここでは、双極性障害を公表した海外の有名人の一部をご紹介します。

マライア・キャリーさん

世界的な歌姫であるマライア・キャリーさんは、長年双極性障害II型と診断されていたことを2018年に公表しました。People誌のインタビューで、診断を受けた当初は病気を受け入れるのに時間がかかったこと、そして、治療を受ける決意をしたことについて語っています。

マライアさんは、自身が経験した「破壊的なレベルの軽躁状態」と「孤独なうつ状態」について率直に明かし、病気と向き合うことがいかに困難であったかを語りました。しかし、適切な治療を受け、ポジティブな人々と共に過ごすことの重要性を強調し、同じように苦しむ人々へのメッセージを送りました。「私はもはや、これを一人で抱え込むことはできない」と語った彼女の言葉は、多くの当事者が感じる孤独感に寄り添い、助けを求めることの大切さを伝えています。彼女のカミングアウトは、特にエンターテイメント業界におけるメンタルヘルスの問題に光を当て、よりオープンな議論を促すきっかけとなりました。

カニエ・ウェストさん (Ye)

ラッパー、音楽プロデューサー、ファッションデザイナーとして絶大な影響力を持つカニエ・ウェストさん(現在はYeとして活動)も、双極性障害であることを公表しています。彼は自身の音楽やインタビュー、ソーシャルメディアなどを通じて、病気との向き合い方や、時として現れる躁状態の影響について語ってきました。

カニエさんは、自身のクリエイティビティが病気と関連している可能性について示唆したり、公の場で病気に関連すると思われる行動を見せたりすることがあります。彼のケースは、双極性障害が持つ複雑さ、特に躁状態における言動が社会的な波紋を呼ぶことがある側面を示しています。同時に、著名人がメンタルヘルスの課題を抱えながら活動することの難しさや、病気への社会的な理解の不足を浮き彫りにしました。彼の公表と、それに伴う社会的な反応は、双極性障害に対する議論を深める一方で、病気への誤解やスティグマをどのように解消していくべきかという課題も提起しています。

デミ・ロヴァートさん

歌手・俳優として活躍するデミ・ロヴァートさんは、10代の頃に双極性障害と診断されたことを公表し、以来、メンタルヘルスの啓発活動に積極的に取り組んでいます。彼女は自身の経験を綴ったドキュメンタリー番組や書籍などを通じて、病気だけでなく、摂食障害や薬物依存といった問題とも向き合ってきた道のりを赤裸々に語っています。

デミさんは、若い頃に誤診を繰り返し、適切な治療を受けるまでに時間を要した経験を語ることで、早期診断の重要性を訴えています。また、病気を受け入れ、治療を継続すること、そして信頼できる人々のサポートを得ることの大切さを強調しています。彼女のメッセージは、特に若い世代の当事者やその家族に響いており、「一人で苦しまないで」「助けを求めることは恥ずかしいことではない」という強力なメッセージを伝えています。彼女のオープンな姿勢は、メンタルヘルスの問題をタブー視しない文化を広げる上で、大きな役割を果たしています。

(※上記は双極性障害を公表した海外の方の一部です。他にも公表されている方がいらっしゃる可能性はありますが、情報源が限定的である場合や、プライバシーへの配慮から、ここでは代表的な事例に留めています。また、上記の情報は公表時点での情報に基づいています。)

有名人のカミングアウトがもたらす影響

有名人が自身の双極性障害を公表することは、単なる個人的な告白にとどまりません。彼らが持つ影響力によって、その波紋は社会全体に広がり、精神疾患に対する認識や、病気と向き合う当事者の経験に大きな変化をもたらす可能性があります。

病気に対する理解の促進

有名人が双極性障害であることを公表すると、メディアで大きく取り上げられることが増えます。これにより、双極性障害という病名だけでなく、その症状や治療法、当事者が経験する困難などについて、多くの人々が知る機会が増えます。これまで精神疾患に対して漠然とした不安や偏見を持っていた人々も、具体的な有名人の顔や声を通して病気の一端に触れることで、「自分にも起こりうるかもしれない」「特別な病気ではないのかもしれない」と感じる可能性があります。

特に、社会的に成功している有名人が病気と向き合っている姿を見ることは、「精神疾患になっても、適切なケアを受けながら活躍できる」という前向きなメッセージを伝えます。これは、精神疾患に対するスティグマ(偏見や差別)を軽減する上で非常に重要です。「病気=社会生活を送れない、劣っている」といったネガティブなイメージを払拭し、病気を持つ人も社会の一員として共に生きているという認識を広める助けとなります。

また、有名人自身の言葉で語られる経験談は、教科書的な知識だけでは得られない「生きづらさ」や「苦悩」、そして「回復への希望」といった感情的な側面を伝えます。これにより、病気に対する理解がより深まり、共感が生まれやすくなります。

当事者や周囲の人々への希望

双極性障害の当事者は、気分の波による困難だけでなく、病気への無理解や偏見から、孤独感や孤立感を抱えやすい状況に置かれることがあります。そのような中で、自分と同じ病気を持つ有名人が公表し、活躍している姿を見ることは、非常に大きな希望となり得ます。

「自分だけではない」「この病気と向き合いながらも、人生を諦めずに生きている人がいる」と感じることで、孤独感が和らぎ、病気と向き合う勇気を得られることがあります。また、有名人が語る具体的な対処法や回復への道のりは、自身の治療やセルフケアを続ける上での参考になることもあります。病気を隠さずに生きる有名人の姿は、当事者自身が病気をオープンにすることへの抵抗感を減らし、家族や友人、職場の人々に病気のことを話しやすくなる後押しにもなり得ます。

当事者の周囲の人々(家族、友人、同僚など)にとっても、有名人の公表は学びの機会となります。これまで双極性障害についてよく知らなかった人も、有名人の経験談を通して病気の特性や当事者の気持ちを理解しようとするきっかけを得られます。これにより、当事者への接し方やサポートの方法について考えるようになり、より良い支援につながる可能性があります。病気は当事者だけでなく、周囲の人々にも影響を及ぼすため、社会全体で病気への理解を深め、支え合う体制を築くことが重要です。

双極性障害についてよくある質問

双極性障害に関しては、一般の方々から様々な疑問が寄せられます。ここでは、特によくある質問とその回答をご紹介します。

うつ病だった有名人は双極性障害ですか?

うつ病と双極性障害は、どちらも気分障害に分類される精神疾患ですが、異なる病気です。うつ病は気分の落ち込み(抑うつ状態)が持続することを主な特徴としますが、双極性障害は抑うつ状態に加えて、気分の高ぶり(躁状態または軽躁状態)のエピソードがある点が決定的に異なります。

メディアなどで「うつ病を患っていた」と公表されている有名人が、実際には双極性障害であったかどうかは、ご本人がその事実を公表していない限り、外部からは分かりません。双極性障害、特に双極性II型障害は、うつ状態の期間が長く、軽躁状態が見過ごされやすいため、最初はうつ病と診断されるケースも少なくありません。しかし、その後に軽躁状態や躁状態が現れて初めて双極性障害と診断が変更されることもあります。

したがって、「うつ病だった」と公表されている有名人が、必ずしも双極性障害であるとは断定できません。正確な診断は、専門医が問診や症状の経過を詳しく把握した上で行うものであり、公表されていない個人的な病状について推測することは避けるべきです。

躁病の芸能人は双極性障害ですか?

「躁病」という言葉は、医学的には双極性I型障害における「躁状態」を指すことが多いです。したがって、もしある芸能人が「躁病である」と正式に診断され、それを公表している場合、それは双極性障害I型である可能性が非常に高いと言えます。双極性I型障害は、躁状態または混合状態のエピソードを少なくとも1回経験していることが診断基準の一つとなっているからです。

しかし、一方で「躁病」という言葉が、医学的な意味合いではなく、単に「異常にテンションが高い」「落ち着きがない」「気分が高ぶっている」といった、一時的な興奮状態や個性的なキャラクターを指して、俗語的に使われることもあります。例えば、テレビ番組などで「あの人は躁病みたいにハイテンションだね」といった表現が使われることがありますが、これは医学的な診断とは異なります。

したがって、「躁病の芸能人」という言葉を聞いた場合、それが医学的な診断に基づくものなのか、あるいは俗語的な表現なのかを区別する必要があります。医学的な診断としての「躁病」は、双極性障害の重要な特徴の一つであり、専門医による診断が必要です。俗語的な表現にとらわれず、正確な情報に基づいて病気を理解することが大切です。

双極性障害は治りますか?

双極性障害は、現在の医療では残念ながら完全に「治る(完治する)」病気と考えるよりは、慢性的な経過をたどることが多い病気であると理解されています。しかし、これは悲観的な意味合いだけではありません。適切な治療を継続し、病気と上手く付き合っていくことで、気分の波を大きく抑え、安定した日常生活や社会生活を送ることが十分に可能です。この状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。

寛解期には、ほとんど症状がない、あるいはごく軽い症状があるだけで、以前と変わらない生活を送れるようになります。しかし、治療を自己判断で中断したり、ストレスが蓄積したりすると、再発して再び躁状態や抑うつ状態が現れることがあります。

そのため、双極性障害の治療では、症状が出ている時期の治療だけでなく、症状が落ち着いた後の再発予防が非常に重要になります。薬物療法を継続することに加え、規則正しい生活リズムを保つこと、ストレスを管理すること、睡眠をしっかりと取ること、そして自分自身の気分の波のパターンを知り、早期に変化に気づくスキル(心理教育)を身につけることなどが再発予防に役立ちます。

双極性障害は長期にわたる病気ですが、適切に管理すれば、多くの人が病気と共存しながら、充実した人生を送ることができます。重要なのは、病気を正しく理解し、専門医と協力して根気強く治療を続けることです。

双極性障害の可能性を感じたら

もし、ご自身やご家族、あるいは周囲の方が、双極性障害の症状(気分の波、極端なハイテンションや落ち込み、衝動的な行動、不眠や過眠、集中力の低下など)に心当たりがあり、「もしかして?」と感じているのであれば、一人で悩まずに行動を起こすことが大切です。

専門医への相談が第一歩

双極性障害は、ご自身の性格や一時的な気分の問題だと片付けてしまいがちですが、放置すると症状が悪化し、社会生活に大きな支障をきたす可能性があります。また、うつ病など他の病気と症状が似ている場合もあり、自己判断は危険です。

最も重要な第一歩は、精神科や心療内科といった精神科医療の専門医に相談することです。専門医であれば、問診や検査を通じて、症状が双極性障害によるものなのか、他の病気によるものなのかを正確に診断してくれます。そして、診断に基づいた適切な治療計画を立ててくれます。

早期に専門医の診断を受け、適切な治療を開始することは、病気の進行を抑え、予後を良くするために非常に重要です。特に双極性障害は、診断が遅れると気分の波が激しくなったり、慢性化したりするリスクが高まることが知られています。

受診する際は、これまでの気分の波や症状の経過、睡眠時間、活動量、食欲、周囲との関係性の変化などを具体的に伝えられるようにメモしておくと、診断の助けになります。もし可能であれば、ご家族やパートナーなど、ご自身の状態をよく知っている人に同席してもらうことも有効です。

専門機関や相談窓口への相談も

専門医への受診に抵抗がある場合や、どこに相談すれば良いか分からない場合は、まずはお住まいの地域の精神保健福祉センターや保健所などに相談してみるのも良いでしょう。これらの公的な機関では、精神保健福祉に関する専門家が相談に乗ってくれたり、適切な医療機関を紹介してくれたりします。

近年は、プライバシーに配慮したオンライン診療を利用できるクリニックも増えています。予約から診察、薬の配送まで自宅から行えるため、忙しい方や通院に抵抗がある方にとって、相談のハードルを下げる選択肢となります。

相談先の例 特徴
精神科・心療内科 専門医による正確な診断と治療を受けられる。
精神保健福祉センター 公的な相談機関。専門職が相談に応じ、医療機関などの情報提供も行う。
保健所 精神保健に関する相談窓口がある。地域のリソースに関する情報を提供してくれる。
オンライン診療クリニック 自宅などから専門医の診察を受けられる。時間や場所の制約が少ない。
家族相談会・患者会 病気に関する情報交換や、同じ悩みを持つ人との交流を通じて、心理的なサポートを得られる。家族向けの相談会もある。
民間のカウンセリング機関 専門家によるカウンセリングを受けられる。医療機関ではないため、診断や投薬は行われないが、心理的なサポートや相談が可能。

大切なのは、症状を一人で抱え込まず、「もしかして?」と思った時点で誰かに相談することです。早めに専門家の助けを借りることで、病気との向き合い方を学び、自分らしい生活を取り戻すための道が開けます。

【まとめ】双極性障害は理解とサポートが重要

双極性障害は、気分の極端な波を特徴とする病気であり、当事者だけでなくその周囲の人々にも影響を及ぼす可能性があります。しかし、この病気は決して特別な人がかかるものではなく、社会の様々な分野で活躍している多くの人々が向き合っています。

記事で紹介したように、国内外の有名人が自身の双極性障害を公表し、その経験を語ることは、病気に対する社会的な理解を深め、偏見を減らす上で大きな役割を果たします。彼らの言葉は、同じように病気と向き合う当事者やその家族にとって、「一人ではない」という安心感や、病気と共に生きながらも希望を持つことの大切さを教えてくれます。

双極性障害は慢性的な経過をたどることが多い病気ですが、専門医による適切な診断と治療、そして周囲の理解とサポートがあれば、気分の波をコントロールし、安定した生活を送ることが十分に可能です。

もし、ご自身や大切な方が双極性障害の可能性に悩んでいるのであれば、どうか一人で抱え込まず、専門医や信頼できる相談機関に助けを求めてください。早めの相談と適切なサポートが、病気とのより良い向き合い方を見つけ、自分らしい人生を歩むための大きな一歩となるはずです。

※本記事は双極性障害に関する一般的な情報を提供することを目的としており、医学的な診断や治療を推奨・保証するものではありません。個々の症状については必ず専門の医療機関にご相談ください。

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