「生理中 情緒不安定 泣く」といった症状は、多くの女性が経験する可能性のあるものです。
生理前や生理中に、普段は気にならないことでもひどく落ち込んだり、イライラしたり、涙が止まらなくなったりすることは珍しくありません。
これは決してあなたが弱いからでも、精神的に問題があるからでもありません。体のメカニズムが関係している場合が多いのです。
この記事では、生理中の情緒不安定や涙が止まらないといった症状の原因を詳しく解説し、つらい時期を少しでも楽に過ごすための具体的な対処法や、医療機関に相談する目安についてもお伝えします。
一人で抱え込まず、自分に合った方法を見つけるヒントにしてください。
生理中に情緒不安定で泣いてしまう原因
生理前や生理中に感情のコントロールが難しくなり、落ち込みやすくなったり、涙もろくなったりする背景には、いくつかの原因が考えられます。
これらの原因を理解することで、自分自身の症状を受け入れやすくなり、適切な対処法を見つける第一歩となるでしょう。
ホルモンバランスの急激な変動が感情に影響
女性の体では、生理周期を通じてエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが大きく変動しています。
特に、生理前にはプロゲステロンの分泌が増加し、生理が始まる直前になると、それまで多かったエストロゲンとプロゲステロンの両方が急激に減少します。
この急激なホルモンレベルの変動が、脳の感情を司る部分に影響を与えると考えられています。
ホルモンバランスの変化が、感情の波や不安定さを引き起こす主な要因の一つと言えるでしょう。
まるでシーソーのように上がったり下がったりするホルモンの影響を受け、心も揺れ動きやすくなるのです。
神経伝達物質(セロトニン)の分泌低下
女性ホルモン、特にエストロゲンの減少は、脳内の神経伝達物質の量にも影響を与えることがわかっています。
中でも「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、気分を安定させたり、幸福感や安心感をもたらしたりする働きがあります。
生理前にエストロゲンが減少すると、セロトニンの合成や働きが悪くなる可能性があります。
セロトニンが不足すると、気分の落ち込み、不安感、イライラ、集中力の低下といった症状が現れやすくなります。
涙が止まらなくなるのも、このセロトニンレベルの低下が一因となっていると考えられます。
脳内の化学物質のバランスが崩れることで、感情のブレーキが効きにくくなるような状態になりやすいのです。
身体的な不調が精神状態を悪化させる
生理前や生理中には、情緒不安定だけでなく、様々な身体的な不調も同時に現れることがよくあります。
例えば、下腹部痛、腰痛、頭痛、むくみ、だるさ、眠気、肌荒れ、食欲の変化などが挙げられます。
これらの身体的な症状自体がストレスとなり、精神状態をさらに悪化させる悪循環を生むことがあります。
体がだるくて何もする気が起きない、痛みがつらくて集中できないといった状態では、普段よりもネガティブな感情にとらわれやすくなります。
身体的な苦痛が心の余裕を奪い、ちょっとしたことでも落ち込んだり、涙が出てきたりすることにつながるのです。
PMS(月経前症候群)やPMDDの可能性
生理前や生理中に現れる心身の不調は、「PMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)」と呼ばれます。
PMSの症状は多岐にわたり、情緒不安定やイライラ、腹痛、頭痛など、人によって現れる症状やその程度は様々です。
PMSの中でも、特に精神的な症状(抑うつ、不安、感情の起伏、イライラなど)が重く、日常生活に大きな支障をきたす場合は、「PMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)」と呼ばれる疾患の可能性があります。
PMSとPMDDは原因や症状の現れ方が似ていますが、PMDDの方が精神症状がより深刻で、診断基準もより厳格です。
もし、生理前になると毎回のようにひどく落ち込んだり、強い不安感に襲われたり、涙が止まらなくなったりして、それが原因で学校や仕事に行けなくなったり、人間関係に影響が出ている場合は、PMSやPMDDの可能性があるため、一度医療機関に相談してみることをお勧めします。
PMDD(月経前不快気分障害)がひどい人の特徴
PMDDの診断は専門医によって行われますが、一般的にPMDDが疑われる症状の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 生理前の特定の期間(通常は排卵後から生理開始まで)に症状が現れ、生理が始まると数日以内に症状が軽快または消失するパターンが繰り返し見られる。
- 顕著な抑うつ気分、絶望感、自己否定感。
- 強い不安感、緊張、神経の高ぶり。
- 著しい感情の不安定さ(突然悲しくなったり、涙もろくなったり、怒り出したりする)。
- 持続的で強い怒りやイライラ感、対人関係における摩擦の増加。
- 普段の興味や関心が著しく低下する。
- 集中力や注意力の低下。
- ひどく疲れた感じやエネルギーの低下。
- 食欲の変化(過食または食欲不振)、特定の食べ物への渇望。
- 睡眠の変化(不眠または過眠)。
- 自分をコントロールできない、圧倒されていると感じる。
- 胸の張り、むくみ、体重増加、関節痛や筋肉痛といった身体的な症状も伴うことがある。
これらの精神症状が特に強く現れ、学校、仕事、社会活動、対人関係といった日常生活や機能に明らかな障害を引き起こしている場合に、PMDDの可能性が高まります。
単なる「生理前だから気分が優れない」というレベルを超えて、自分自身でも「いつもと違う」「これはおかしい」と感じるほどつらい症状が毎月繰り返されることが特徴です。
生理中の情緒不安定・涙に対する具体的な対処法
生理中の情緒不安定や涙にどう向き合えば良いのでしょうか。
ここでは、自分でできるセルフケアから、周囲に理解を求める方法まで、具体的な対処法をご紹介します。
すべての方法がすべての人に合うわけではありませんが、いくつか試してみて、自分に合ったものを見つけていきましょう。
自分でできるセルフケア
まずは、自分でできる身近なことから始めてみましょう。
無理なく続けられる範囲で取り入れることが大切です。
感情を抑え込まず思いっきり泣く
つらい時、悲しい時、涙が出てくるのは自然な感情の表現です。
「泣いてはいけない」と我慢するよりも、安全な場所で思いっきり泣いてみることも有効なセルフケアの一つです。
涙を流すことで、体内のストレス物質が排出されるという説や、自律神経のバランスが整いリラックス効果が得られるという説があります。
泣くこと自体がカタルシス(感情の浄化)効果をもたらし、心が少し軽くなることがあります。
ただし、泣きすぎて頭痛や疲労感が増す場合は注意が必要です。
無理に絞り出すのではなく、自然に出てくる涙を受け止め、泣きたいだけ泣いたら、その後は温かい飲み物を飲むなどしてクールダウンする時間を持ちましょう。
リラックスできる時間を作る(音楽・アロマなど)
心身の緊張をほぐし、リラックスすることは、情緒不安定な時期を乗り越える上で非常に重要です。
- 音楽: 好きな音楽を聴くことは、気分転換になり、心を落ち着かせる効果があります。クラシックやヒーリング音楽など、ゆったりとした曲調のものを選ぶとよりリラックスできます。
- アロマテラピー: ラベンダー、カモミール、ベルガモットなどのリラックス効果のあるアロマオイルを、アロマディフューザーで香らせたり、お風呂に数滴垂らしたりするのも良いでしょう。香りは脳に直接働きかけ、気分を穏やかにする効果が期待できます。
- 入浴: ぬるめのお湯(38℃~40℃程度)にゆっくり浸かることは、血行を促進し、体の緊張をほぐすだけでなく、精神的なリラックス効果も高いです。お気に入りの入浴剤を使ったり、キャンドルを灯したりして、特別なリラックスタイムを演出するのも良いでしょう。
- 軽いストレッチやヨガ: 体をゆっくりと伸ばすことで、こわばった筋肉がほぐれ、心もリラックスできます。深い呼吸を意識しながら行うと、より効果的です。
十分な睡眠と休息をとる
睡眠不足は、心身のバランスを崩し、情緒不安定を悪化させる大きな要因となります。
生理前や生理中は、普段以上に休息を意識し、十分な睡眠時間を確保するように努めましょう。
- 毎日同じ時間に寝て起きるように心がけ、体内時計を整える。
- 寝る前にカフェインやアルコールの摂取を控える。
- 寝る直前のスマホやパソコンの使用を避ける。
- 寝室の環境を快適にする(温度、湿度、明るさ)。
- どうしても眠れない時は、無理に寝ようとせず、一度ベッドから出てリラックスできることをする。
また、日中にだるさを感じる場合は、短い仮眠(20〜30分程度)を取ることも有効です。
ただし、長い昼寝は夜の睡眠に影響することがあるので注意しましょう。
食生活の見直しと栄養バランス
食生活も、生理中の心身の状態に大きく影響します。
バランスの取れた食事を心がけるとともに、特定の栄養素を意識して摂取したり、避けた方が良いものを知っておくことも大切です。
生理中の情緒不安定を和らげる可能性のある食品・栄養素
栄養素・食品の種類 | 特徴・効果 | 具体例 |
---|---|---|
ビタミンB6 | 神経伝達物質の合成に関与し、精神を安定させる働きがあると言われています。 | カツオ、マグロ、バナナ、鶏肉、パプリカ、玄米 |
カルシウム・マグネシウム | 神経の興奮を抑え、精神安定やリラックス効果が期待できます。 | 牛乳、チーズ、小魚、豆腐、わかめ、アーモンド、ほうれん草 |
トリプトファン | 脳内でセロトニンに変換されるアミノ酸。 | 大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品、卵、バナナ、ナッツ類 |
オメガ3脂肪酸 | 脳機能の維持に関与し、気分の落ち込みを和らげる可能性が示唆されています。 | サバ、イワシ、サンマなどの青魚、亜麻仁油、くるみ |
全粒穀物 | 血糖値の急激な上昇を抑え、気分の変動を穏やかにするのに役立ちます。食物繊維も豊富。 | 玄米、全粒粉パン、オートミール |
温かい飲み物・スープ | 体を温め、リラックス効果があります。 | ハーブティー(カモミール、ペパーミント)、生姜湯、野菜スープ |
生理中の情緒不安定を悪化させる可能性のある食品・避けるべき食品
食品の種類 | 特徴・影響 | 具体例 |
---|---|---|
カフェイン | 精神を刺激し、不安感やイライラを増悪させる可能性があります。また、睡眠の質を低下させることも。 | コーヒー、紅茶、エナジードリンク、チョコレート |
アルコール | 一時的に気分を高揚させることもありますが、その後気分の落ち込みを招いたり、睡眠の質を悪化させたりします。利尿作用で体を冷やすことも。 | ビール、ワイン、日本酒など |
甘いもの・加工食品 | 血糖値の急激な上昇と下降を引き起こしやすく、気分の不安定さにつながる可能性があります。炎症を促進するものも。 | ケーキ、クッキー、ジュース、スナック菓子、ファストフード |
塩分の多いもの | 体内の水分バランスを崩し、むくみやだるさを引き起こしやすくします。これも不快な症状としてストレスになります。 | インスタント食品、加工肉、スナック菓子 |
生理前や生理中は、これらの情報を参考に、できる範囲で食生活を見直してみましょう。
バランスの取れた食事を意識し、特に気分の波を穏やかにするとされる栄養素を含む食品を積極的に摂り入れるのがおすすめです。
適度な運動を習慣にする
生理前のつらい時期には「体を動かす気になれない」と感じるかもしれませんが、実は適度な運動は心身の不調を和らげるのに非常に効果的です。
運動すると、脳内でエンドルフィンという物質が分泌されます。
これは「脳内麻薬」とも呼ばれ、気分の高揚や幸福感をもたらす効果があります。
また、セロトニンの分泌を促進する効果も期待できるため、気分の落ち込みや不安感の軽減につながります。
ハードな運動である必要はありません。
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳、ヨガ、ストレッチなど、自分が気持ち良いと感じる運動を無理なく続けることが大切です。
特に、外に出て太陽の光を浴びながら行うウォーキングなどは、セロトニンの分泌をさらに促すと言われています。
短い時間でも良いので、日々の生活に取り入れてみましょう。
周囲に理解を求める・相談する
一人で抱え込むのではなく、信頼できる周囲の人に今のつらい状況を話してみることも、対処法の一つです。
自分の状態を言葉にすることで、気持ちが整理されたり、相手の理解や協力を得られたりすることがあります。
パートナー(彼氏)への伝え方・理解を促す
身近な存在であるパートナーに理解してもらうことは、精神的な支えになります。
しかし、感情的に伝えるとかえって喧嘩になってしまうことも。
冷静に、具体的に伝える工夫をしましょう。
- まず、自分の状態を理解してもらう機会を作る: 生理が始まる前に、「生理前になると、ホルモンの関係で気分が落ち込んだり、イライラしやすくなったりすることがあるんだ」と、体のメカニズムについて説明する機会を持ちましょう。PMSやPMDDといった言葉を知らない人もいるので、分かりやすく伝えることが大切です。
- 具体的な症状を伝える: 「特に生理前の一週間は、急に悲しくなって涙が出てきたり、普段なら気にならない彼の言動にイライラしたりしてしまうことがある」など、具体的な症状や時期を伝えましょう。「今、まさにそういう時期なんだ」と、症状が出ている最中に伝えることも有効です。
- どうしてほしいかを具体的に伝える: ただ「つらい」と言うだけでなく、「この時期はそっとしておいてほしい時がある」「一緒にゆっくり過ごしたい」「話を聞いてほしい」など、彼にどうしてほしいかを具体的に伝えましょう。彼の方も、どう接すれば良いか分かると安心します。
- 彼の反応に過度に期待しない: パートナーに話しても、すぐに完璧な理解や対応が得られないこともあるかもしれません。一度で全てが伝わるとは限らないので、根気強く、何度か繰り返し話すことも必要です。彼も彼なりに理解しようとしてくれていること、寄り添ってくれていることを認め、感謝の気持ちも伝えることも大切です。
インターネットでPMSやPMDDに関する情報を一緒に見てみたり、女性向けの体調管理アプリを見せて周期を共有したりするのも、理解を深める助けになるでしょう。
職場(仕事)での対応と配慮
生理中の情緒不安定や身体的な不調が原因で、仕事に支障が出る場合もあります。
無理をしてパフォーマンスが低下したり、ミスが増えたりする前に、職場での対応を検討することも重要です。
- 信頼できる上司や同僚に相談する: まずは、職場で一番相談しやすい人を選んで、生理前や生理中に体調や気分に波があることを正直に話してみましょう。具体的な症状(例:集中力が続かない、些細なことで落ち込む、体がだるいなど)と、仕事にどう影響しているかを伝えます。
- 業務調整の可能性を探る: 症状が特に重い日や期間については、業務内容やスケジュールの調整が可能か相談してみましょう。例えば、重要な会議や集中力が必要な作業をその期間に集中させない、在宅勤務が可能なら利用する、休憩をこまめに取るなど、具体的な対策を話し合います。
- 社内相談窓口や産業医を利用する: 職場に産業医がいる場合や、健康相談窓口がある場合は、専門家である医師やカウンセラーに相談することもできます。ここでは、医学的な視点からのアドバイスや、職場への配慮を依頼する際のサポートを得られる可能性があります。
- 診断書が必要になる場合も: PMSやPMDDが原因で休職や配置転換が必要なほど症状が重い場合は、医療機関で診断書を取得し、会社に提出することで、より正式な配慮やサポートを得られることがあります。
すべての職場で気軽に相談できる雰囲気があるわけではないかもしれませんが、自分の健康を守り、長く仕事を続けるためには、適切なタイミングで相談し、理解や協力を得ることが重要です。
生理中の情緒不安定がつらいと感じたら?受診の目安と相談先
セルフケアを試しても改善しない、症状が重くて日常生活に支障が出ている、一人で乗り越えるのがつらいと感じたら、迷わず医療機関に相談しましょう。
生理中の情緒不安定や涙は、適切な治療で和らげることが可能です。
こんな症状は要注意:医療機関を受診する目安
以下のような症状が見られる場合は、一人で悩まずに医療機関を受診することを強くお勧めします。
- 症状が非常に重く、毎月のように日常生活(仕事、学校、家事、人間関係)に大きな支障が出ている。
- 仕事や学校に行けない、遅刻・早退が増える。
- 家族やパートナー、友人など、周囲の人との関係が悪化する。
- 集中力が著しく低下し、普段できる作業ができなくなる。
- 気分の落ち込みがひどく、何も楽しめない、興味が持てない状態が続く。
- 強い不安感や焦燥感に常に苛まれている。
- 自分を責める気持ちが強く、自己肯定感が極端に低くなる。
- 死にたい、消えてしまいたいといった希死念慮が頭をよぎる。
- セルフケア(休息、運動、食生活の見直しなど)を試しても、症状が全く改善しない、または悪化している。
- 症状が生理前だけでなく、生理中や生理後も続く、あるいは症状のパターンが安定しない。
- 生理前や生理中の症状に加え、不眠、過眠、食欲の異常な変化(過食や全く食べられない)、ひどい倦怠感などが顕著に現れる。
- 自分の感情や行動がコントロールできず、後で後悔するような言動(衝動買い、暴言など)をしてしまう。
これらの症状は、PMSやPMDDの可能性を示唆するだけでなく、別の精神的な疾患が隠れている可能性も否定できません。
早期に専門家に見てもらうことで、適切な診断と治療につながり、つらい時期をより穏やかに過ごせるようになるでしょう。
どこに相談すれば良い?婦人科や精神科など
生理中の情緒不安定や身体的な不調をどこに相談すれば良いか迷うかもしれません。
主な相談先は以下の通りです。
- 婦人科:
- PMSやPMDDは女性ホルモンの変動が大きく関わっているため、まず最初に婦人科を受診するのが一般的です。
- 婦人科では、問診や症状の記録(月経ダイアリーなど)をもとに、PMSやPMDDの診断を行います。
- 治療法としては、低用量ピル(OC/LEP)によるホルモンバランスの調整、漢方薬、痛み止め、精神症状を和らげる薬(SSRIなど)の処方などが行われます。
- かかりつけの婦人科がある場合は、まずはそこに相談してみましょう。もし初めて受診する場合は、PMSやPMDDの診療に力を入れているクリニックを探すのも良いかもしれません。
- 精神科・心療内科:
- 精神的な症状(抑うつ、不安、感情の不安定さなど)が特に重い場合や、婦人科でPMDDの可能性が高いと診断された場合、またはすでにうつ病や不安障害などの精神疾患を治療中の場合は、精神科や心療内科への受診が適しています。
- これらの科では、精神症状に特化した診断やカウンセリング、薬物療法(SSRIなど)を行います。
- 必要に応じて、婦人科と連携しながら治療を進めることもあります。
- 女性の健康相談窓口・専門機関:
- 各自治体や医療機関によっては、女性特有の健康問題に関する相談窓口を設けている場合があります。電話やオンラインでの相談が可能な場合もあり、どこに相談すれば良いか分からない場合の最初のステップとして利用できます。
- 専門的なカウンセリングを提供している機関もあります。
まずは婦人科を受診し、そこで症状に応じて精神科や心療内科を紹介してもらうという流れがスムーズな場合が多いです。
受診する際は、ご自身の症状や月経周期との関連を具体的に伝えられるように、事前にメモしておくことをお勧めします。
診断を受けるメリット
生理中のつらい症状について医療機関で診断を受けることには、いくつかのメリットがあります。
- 症状に名前がつき、安心できる: 「これはPMS(またはPMDD)という状態なんだ」と診断されることで、自分が異常なのではなく、体や脳のメカニズムによって引き起こされている症状だと理解できます。漠然とした不安が軽減され、「病気ではないか?」といった心配から解放されることがあります。
- 適切な治療法が見つかる: 診断に基づいて、ご自身の症状に最も効果的な治療法(薬物療法、漢方、カウンセリング、生活指導など)が提案されます。セルフケアだけでは難しかった症状の改善につながる可能性があります。
- 周囲の理解を得やすくなる: 医師による診断があることで、パートナーや家族、職場の同僚や上司など、周囲の人に自分の状態を説明しやすくなります。「単なる甘えやわがままではない」ということが伝わりやすくなり、理解や協力を得られやすくなる可能性があります。
- 将来的な見通しが立てやすくなる: 症状の波や、どのような治療が有効かを知ることで、今後の生活における対策や準備がしやすくなります。例えば、症状が重くなる時期を予測して、大切な予定を入れないようにするなどの調整が可能になります。
- 精神的な健康の維持につながる: つらい症状を放置せず、専門家のサポートを得ることで、症状の悪化を防ぎ、精神的な健康を維持することができます。特にPMDDはうつ病など他の精神疾患と関連することもあるため、早期のケアが重要です。
診断を受けることは、症状に立ち向かうための強力な武器となり、自分らしい生活を取り戻すための一歩となるでしょう。
まとめ|生理中の情緒不安定・涙は病気ではない、適切なケアを
生理前や生理中に経験する情緒不安定や涙が止まらないといった症状は、多くの女性にとって身近な悩みです。
これらの症状は、決してあなたが精神的に弱いからでも、性格に問題があるからでもありません。
女性ホルモンの急激な変動や、それに伴う脳内神経伝達物質の変化、そして身体的な不調などが複雑に絡み合って引き起こされる、体の自然な反応の一つであると言えます(ただし、PMDDと診断される場合は疾患となります)。
つらいと感じる時は、まずご自身の症状を否定せず、「あ、今はこの時期だから仕方ないな」と受け入れることから始めてみましょう。
そして、ご紹介したようなセルフケアを試してみてください。
リラックスする時間を作る、体を休める、バランスの取れた食事を心がける、軽い運動をする、そして泣きたい時は我慢しないこと。
これらの小さな積み重ねが、症状を和らげる助けになることがあります。
また、一人で抱え込まず、信頼できるパートナーや家族、友人に気持ちを話してみることも大切です。
自分の状態を言葉にして伝えることで、気持ちが楽になるだけでなく、周囲の理解や協力が得られるかもしれません。
もし、セルフケアを試しても症状が改善しない、毎月のように日常生活に大きな支障が出ている、あるいは死にたいといった考えが頭をよぎるなど、つらい症状が重い場合は、迷わず医療機関(婦人科や精神科など)を受診してください。
PMSやPMDDは、適切な診断と治療によって症状をコントロールすることが十分に可能です。
専門家のサポートを得ることは、決して恥ずかしいことではなく、自分自身を大切にするための前向きな選択です。
自分の体の周期を知り、事前に準備を整え、必要なら周囲や専門家の助けを借りながら、生理中の情緒不安定とうまく付き合っていく方法を見つけていきましょう。
あなたの心と体が少しでも穏やかに過ごせるよう、この記事がその一助となれば幸いです。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。ご自身の症状については、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指導を受けてください。本記事の情報によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。