MENU

クラミジアの原因は?意外と知らない感染経路を徹底解説

クラミジアは日本で最も報告数が多い性感染症(STD)の一つであり、その多くは自覚症状がないまま進行します。
そのため、「特に心当たりがないのにクラミジアだと診断された」と戸惑う方も少なくありません。
この記事では、クラミジアに感染する主な原因や様々な感染経路、そして心当たりがない場合に考えられる理由について詳しく解説します。
正しい知識を身につけ、ご自身の健康を守るための第一歩としましょう。

性的な接触が最も多い感染経路

性交(膣性交、アナルセックス)

コンドームを使用しない膣性交やアナルセックスは、感染の最も高いリスクを伴います。感染しているパートナーの性器の粘膜から、ご自身の性器や直腸の粘膜へと細菌が移行することで感染が成立します。

オーラルセックス

オーラルセックスによっても、クラミジアは感染します。感染者の性器からパートナーの咽頭(のど)へ、あるいは感染者の咽頭からパートナーの性器へと感染する可能性があります。咽頭への感染は症状が出にくいため、気づかないうちに感染源となってしまうケースも少なくありません。

性行為以外の感染経路の可能性(限定的)

クラミジアの原因は主に性行為ですが、非常に限定的ながら他の経路で感染する可能性もゼロではありません。

手指や性具を介した感染

感染部位(性器など)を触った手指で、目や他の粘膜を触ることで感染が広がる可能性があります。また、感染者が使用した性具(セックストイなど)を洗浄せずに共有した場合も、感染リスクとなります。

母子感染(産道感染)

クラミジアに感染している母親が出産する際に、赤ちゃんが産道を通ることで感染するケースがあります。これを母子感染(産道感染)と呼びます。赤ちゃんが感染すると、新生児結膜炎や肺炎を引き起こす可能性があるため、妊娠中の検査と治療が非常に重要です。

目次

クラミジアに心当たりがないケースとその理由

「性行為の経験が少ない」「特定のパートナーとしか関係がない」など、クラミジアに感染する原因に心当たりがないと感じる方は多くいます。その背景には、クラミジア特有の性質が関係しています。

無症状の感染者が多いため

クラミジア感染の最大の特徴は、症状がほとんど現れないことです。

  • 女性の場合:約80%が無症状
  • 男性の場合:約50%が無症状

このように、感染していても自覚症状がないため、本人が感染に気づかないまま日常生活を送り、無自覚のうちにパートナーに感染させてしまうケースが非常に多いのです。

過去の感染が原因である可能性

クラミジアは感染してから症状が出るまでの潜伏期間が1~3週間とされていますが、個人差があります。また、無症状のまま何ヶ月、あるいは何年も経過することも珍しくありません。そのため、現在のパートナーではなく、過去の性行為が原因で感染していた可能性も十分に考えられます。

パートナーからの感染(夫婦・恋人など)

たとえ特定のパートナーとしか関係がなくても、そのパートナーが過去の性行為によって無症状のままクラミジアに感染していた可能性があります。パートナー自身も感染に気づいていないため、「まさか自分が」と思ってしまうのです。夫婦やカップル間での感染は、こうしたケースがほとんどです。

間接的な接触(トイレ・風呂など)での感染は極めて稀

「公衆浴場のお風呂や椅子、トイレの便座などから感染するのでは?」と心配される方がいますが、その可能性は極めて低いと言えます。クラミジアの病原体は、人の体から離れると長くは生きられません。乾燥や温度変化に弱いため、日常生活における間接的な接触で感染することは、まずないと考えてよいでしょう。

クラミジアが感染する体の部位

クラミジアは主に粘膜に感染します。感染部位によって引き起こされる病気や症状が異なります。

男性の場合(尿道炎、精巣上体炎など)

男性では、主に尿道に感染します。放置すると炎症が奥へ進み、精子を運ぶ管である精巣上体にまで達して精巣上体炎を引き起こし、男性不妊の原因になることがあります。

女性の場合(子宮頸管炎、卵管炎など)

女性では、子宮の入り口である子宮頸管に感染します。これも放置すると、炎症が卵管や骨盤内へと広がり、卵管炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こすことがあります。これらは不妊症や子宮外妊娠の重大な原因となります。

咽頭(のど)への感染

オーラルセックスによって咽頭に感染します。風邪のような症状しか出ないことが多く、性感染症だと気づかれにくい部位です。

結膜(目)への感染

感染部位を触った手で目をこするなどして、目の結膜に感染することがあります。結膜炎を引き起こし、「トラコーマ」と呼ばれる病気の原因にもなります。

クラミジア感染のサイン:症状と潜伏期間

クラミジアは無症状が多いですが、以下のような症状が現れることもあります。

男性に現れる症状

  • 排尿時の軽い痛みやかゆみ
  • 尿道から透明~薄い乳白色の膿(うみ)が出る
  • 睾丸(精巣)の腫れや痛み

女性に現れる症状

  • おりものの増加や変化(水っぽい、色が黄色いなど)
  • 不正出血(生理期間外の出血)
  • 下腹部痛
  • 性交時の痛み

咽頭クラミジアの症状

  • のどの痛みや腫れ、イガイガ感
  • 咳や痰
  • 発熱

これらの症状は風邪と区別がつきにくいため注意が必要です。

潜伏期間について

感染の原因となる行為から症状が現れるまでの潜伏期間は、一般的に1~3週間程度です。しかし、前述の通り無症状のまま経過することも多いため、この期間はあくまで目安となります。

クラミジア感染が引き起こす可能性のある病気

クラミジアを治療せずに放置すると、さまざまな合併症を引き起こすリスクがあります。

性別 引き起こされる可能性のある病気
男性 精巣上体炎、前立腺炎、男性不妊、反応性関節炎
女性 子宮頸管炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、不妊症、肝周囲炎

特に女性の場合、自覚症状がないまま進行し、将来の妊娠に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期発見・早期治療が極めて重要です。

クラミジアの検査と治療法

クラミジアの感染が疑われる、または不安な場合は、医療機関を受診して検査を受けましょう。

  • 検査方法: 尿検査、性器からのおりものや分泌物を綿棒で拭う検査、うがい液による検査など、感染が疑われる部位に応じて行われます。自宅でできる郵送検査キットもあります。
  • 診療科: 男性は泌尿器科性病科、女性は婦人科性病科を受診してください。咽頭の場合は耳鼻咽喉科でも対応可能な場合があります。
  • 治療法: 抗菌薬(抗生物質)の内服が基本的な治療法です。通常、1日から1週間程度の服用で治療できます。医師の指示通りに薬を飲みきることが重要です。また、パートナーが感染している場合は、再感染(ピンポン感染)を防ぐために必ず一緒に治療を受ける必要があります。

クラミジア感染の予防策

クラミジア感染を予防するためには、以下の対策が有効です。

  • コンドームを正しく使用する: 性交時やオーラルセックス時にコンドームを使用することで、粘膜の直接的な接触を防ぎ、感染リスクを大幅に減らすことができます。
  • 不特定多数との性行為を避ける: パートナーが多いほど感染リスクは高まります。
  • 定期的な検査を受ける: 特定のパートナーがいる場合でも、関係を持つ前に一度検査を受けたり、定期的に検査を受けたりすることでお互いの安心につながります。

心当たりがなくても検査が重要な理由とまとめ

クラミジアに感染する原因のほとんどは性的な接触ですが、無症状という性質上、本人もパートナーも感染に気づかないまま過ごしているケースが後を絶ちません。そのため、「心当たりがない」と感じていても、感染している可能性は誰にでもあります。

放置すれば不妊症などの深刻な事態を招くリスクもあるため、少しでも気になる症状がある方、過去にコンドームを使わない性行為があった方、パートナーが変わった方などは、症状がなくても一度検査を受けることを強く推奨します。正しい知識を持ち、自分と大切なパートナーの健康を守るために、勇気を出して行動しましょう。


免責事項:この記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療に代わるものではありません。クラミジア感染が疑われる場合は、必ず専門の医療機関を受診してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次