性器クラミジア感染症は、国内で最も多く報告されている性感染症の一つです。
特に若い世代での感染が多く見られますが、年齢に関わらず誰にでも感染する可能性があります。
この病気は、感染しても自覚症状がない「無症状」の場合が非常に多いため、気づかないうちにパートナーへ感染させてしまったり、病状が進行して重い合併症を引き起こしたりすることが少なくありません。
心当たりがないと思っている方でも感染しているケースがあるため、少しでも不安を感じたら、早期の検査と適切な対応が非常に重要になります。
性器クラミジア感染症は、細菌の一種であるクラミジア・トラコマティスという病原体によって引き起こされる性感染症(STI:Sexually Transmitted Infection)です。
この菌は主に性器の粘膜に感染しますが、咽頭(のど)や直腸、目の結膜に感染することもあります。
クラミジア感染症は日本国内で年間を通じて多数報告されており、その数は他の性感染症と比較しても突出して多い状況が続いています。
特に10代後半から20代の若い世代に感染が広がっている傾向がありますが、近年は30代以上の感染も増加しており、幅広い年齢層で注意が必要です。
クラミジア感染症の最大の特徴は、感染しても多くの場合、自覚できる症状がほとんど現れない「無症状」であることです。
症状が出たとしても軽微で、自然に治まったように感じられることもあります。
このため、感染に気づかないまま過ごしてしまい、知らず知らずのうちにパートナーに感染を広げてしまったり、感染が長期間続いて体の奥へ進行してしまったりするリスクが高くなります。
クラミジアに感染しても、約8割の女性、約5割の男性は無症状と言われています。
症状が現れる場合も、非常に軽微で、他の病気と間違えやすかったり、見過ごしてしまったりすることがあります。
症状は、感染した部位や性別によって異なります。
ここでは、性器クラミジア感染症における主な症状を男女別に解説します。
男性に見られる症状
男性の場合、クラミジア菌は主に尿道に感染して尿道炎を引き起こすことが多いです。
症状が出たとしても、比較的軽いことが多い傾向があります。
- 排尿時の軽い痛みや不快感
- 尿道のかゆみ
- 透明または白色の少量の分泌物(膿)
これらの症状は、淋病などの他の尿道炎と比較すると軽いことが特徴です。
症状が数日で改善したように感じられても、菌が完全に消滅したわけではなく、体内に残っていることがほとんどです。
尿道から体の奥へ菌が進行すると、副睾丸炎(精巣上体炎)を引き起こすことがあります。
この場合、陰嚢(睾丸が入っている袋)が腫れたり、痛みを伴ったりすることがあります。
発熱を伴うこともあります。
また、オーラルセックスによって咽頭に感染した場合、咽頭炎を起こすことがありますが、これも自覚症状がほとんどないことが多いです。
直腸に感染した場合は、軽い痛みや分泌物が見られることがありますが、無症状の場合も多いです。
女性に見られる症状
女性の場合、クラミジア菌は主に子宮頸管に感染して子宮頸管炎を引き起こすことが多いです。
男性以上に無症状の割合が高く、症状が出たとしても軽微であることが多いため、感染に気づきにくい傾向があります。
症状が出た場合、以下のようなものが見られます。
- おりものの増加や変化(色や臭い)
- 不正出血(性行為の際や、生理以外の時期の出血)
- 下腹部の軽い痛みや違和感
- 性行為の際の軽い痛み
これらの症状は、他の婦人科系の病気と間違えやすいため、クラミジア感染症だと疑うきっかけになりにくいことが、発見を遅らせる一因となります。
感染が子宮頸管からさらに上行して、卵管や骨盤内にまで及ぶと、卵管炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、強い下腹部痛や発熱を伴うことがあります。
この段階まで進行すると、入院治療が必要になることもあります。
男性と同様に、オーラルセックスによる咽頭炎や、アナルセックスによる直腸炎を引き起こすこともありますが、やはり無症状の場合が多いです。
目の結膜に感染すると、結膜炎を起こすこともあります。
男女ともに注意!無症状が多いケース
繰り返しますが、クラミジア感染症の最も危険な点は、男女ともに自覚症状がほとんど現れない無症状のケースが非常に多いことです。
特に女性ではその割合が高く、気づかずに感染を放置してしまうことで、将来的に深刻な健康被害につながるリスクが高まります。
なぜ無症状が多いのかというと、クラミジア菌は体の免疫システムから逃れるのが比較的得意な性質を持っているため、初期の感染段階では炎症反応が起きにくく、自覚症状につながりにくいと考えられています。
また、症状が出ても非常に軽微なため、「疲れているのかな」「一時的なものだろう」などと見過ごされてしまうことも原因の一つです。
症状がないからといって、病気が存在しないわけではありません。
菌は体内で活動を続け、時間とともに体の奥へと侵入し、合併症を引き起こす可能性があります。
また、無症状であっても、性行為によってパートナーに感染を広げるリスクは十分にあります。
そのため、「性器クラミジアに感染しているかもしれない」と少しでも不安がある場合、症状の有無にかかわらず、検査を受けることが最も重要です。
特に新しいパートナーとの関係が始まった時や、複数のパートナーがいる、過去に性感染症にかかったことがある、といった方は定期的な検査を検討しましょう。
性器クラミジア感染症の原因は、クラミジア・トラコマティスという細菌への感染です。
この菌が主に体の粘膜に付着し、増殖することで炎症などの症状を引き起こします。
主な感染経路:性行為
クラミジア・トラコマティスは、感染している人の粘膜の分泌物に含まれています。
この分泌物が、性行為を通じて別の人の粘膜に接触することで感染が成立します。
主な感染経路は、以下の通りです。
- 性器と性器の接触(膣性交):最も一般的な感染経路です。
- 性器と口の接触(オーラルセックス):感染者の性器から口腔や咽頭へ、または感染者の口腔・咽頭から性器へ感染します。咽頭クラミジアの原因となります。
- 性器と肛門の接触(アナルセックス):直腸への感染の原因となります。
性行為の形態に関わらず、粘膜が接触することで感染する可能性があるということを理解しておくことが重要です。
特にオーラルセックスによる咽頭への感染は自覚症状がほとんどないため、気づきにくい感染経路の一つです。
性行為以外での感染は?心当たりがない場合
「性行為以外でクラミジアに感染することはあるのか?」「全く心当たりがないのに感染していたのはなぜ?」といった疑問を持つ方もいらっしゃいます。
クラミジア菌は、人の体外では長く生存できません。
そのため、衣類、タオル、便器、浴槽などを介して感染することは、まずないと考えられています。
日常生活の中で、例えば公衆浴場やプールで感染するという可能性も、医学的には極めて低いとされています。
では、なぜ心当たりがないのに感染が見つかることがあるのでしょうか?
考えられる理由としては、以下のようなものがあります。
- 無症状のパートナーからの感染:自分は症状がなくても、過去または現在のパートナーが無症状のクラミジア感染者だった場合、性行為によって感染した可能性があります。相手も無症状だったため、お互いに気づかずに感染が成立していたというケースは少なくありません。
- 過去のパートナーからの感染:クラミジアには潜伏期間があり、また無症状で経過することが多いため、数ヶ月前やそれ以前のパートナーから感染していた可能性も考えられます。特に、以前に性感染症の検査を受けたことがない場合や、無症状だった期間がある場合は注意が必要です。
- 再感染:一度クラミジアを治療しても、性行為によって再び感染することがあります。これは、クラミジアに対する免疫が獲得されにくいためです。治療後に新しいパートナーとの性行為があったり、完治していなかったパートナーと再び性行為をしたりした場合に起こり得ます。
- 非典型的な感染経路の可能性:ごく稀なケースとして、感染者が使用した性具などをすぐに別の人が使用した場合など、性行為に準ずる濃厚な粘膜接触があった場合に感染する可能性は否定できませんが、これも非常に特殊なケースです。
「心当たりがない」と感じていても、実際には過去の性的な接触によって感染している可能性が最も高いと考えられます。
無症状で経過していた期間が長かったために、感染源が特定できないと感じてしまうことが多いのです。
ストレスが原因で感染する?
「ストレスで性病になるって聞いたけど、本当?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論から言うと、ストレスそのものが直接クラミジア菌に感染させる原因となることはありません。
クラミジアは細菌感染症であり、原因となるのはクラミジア・トラコマティス菌のみです。
ただし、強いストレスが長期間続くと、体の免疫力が低下することが知られています。
免疫力が低下すると、クラミジア菌のような病原体が体内に侵入した際に、通常よりも感染しやすくなったり、感染後の症状が強く出たり、治りにくくなったりする可能性はあります。
しかし、これはクラミジアに特有のことではなく、他の多くの感染症にも言えることです。
あくまでクラミジア感染の原因は細菌への曝露であり、ストレスは感染のしやすさや症状の出方に間接的な影響を与える可能性がゼロではない、という程度に理解しておきましょう。
性器クラミジアの潜伏期間には個人差がありますが、一般的には感染機会から1週間〜3週間程度とされています。
この期間にクラミジア菌は体の粘膜で増殖します。
潜伏期間中はまだ自覚症状が現れないことがほとんどです。
潜伏期間を経て症状が出始める人もいますが、前述の通り無症状のまま経過する人も多くいます。
検査を受けるタイミングとしては、感染の可能性がある性行為から2週間以上経ってからが良いとされています。
これは、菌が十分に増殖し、検査で検出できる量になるまでに時間がかかるためです。
潜伏期間中に早期に検査を受けても、まだ菌が検出されずに「偽陰性(実際は感染しているのに陰性と判定されること)」となる可能性があるため、注意が必要です。
性器クラミジア感染症は、問診や診察で症状を確認するだけでなく、病原体であるクラミジア・トラコマティス菌の存在を確認する検査を行って診断されます。
無症状の場合でも、検査によって診断が可能です。
主な検査方法は、以下の通りです。
- 核酸増幅法(NAT: Nucleic Acid Amplification Test):最も一般的に行われる高感度の検査方法です。
検体に含まれるクラミジア菌の遺伝子(DNAやRNA)を増幅して検出します。
精度の高い検査方法として推奨されています。- 男性の場合:主に尿を採取して検査します。
尿検査は比較的簡単で体の負担も少ないため、広く行われています。
尿道の分泌物を直接綿棒で採取して検査することもあります。 - 女性の場合:主に子宮頸管の分泌物を綿棒でぬぐって採取し、検査します。
経膣エコー検査の際に一緒に採取できることもあります。
尿検査で検出することも可能ですが、子宮頸管からの検体に比べると感度がやや劣る場合があります。 - 咽頭・直腸の検査:オーラルセックスやアナルセックスによる感染が疑われる場合は、うがい液や咽頭のぬぐい液、直腸のぬぐい液を採取して核酸増幅法で検査を行います。
- 男性の場合:主に尿を採取して検査します。
- 抗体検査:血液中のクラミジアに対する抗体(体が菌と戦った痕跡)を調べる検査です。
過去の感染を示す場合や、感染部位によっては核酸増幅法で検体が採取しにくい場合(例えば卵管炎など体の奥に感染が進行している場合)に補助的に行われることがあります。
ただし、この検査だけでは現在の感染か過去の感染かを区別することが難しいため、単独で診断に用いられることは少ないです。
検査を受ける際は、以下の点に注意しましょう。
- 適切なタイミング:感染の可能性がある性行為から2週間以上経過してから検査を受けましょう。
男性の尿検査の場合は、朝一番の尿(可能であれば2時間以上排尿していない尿)が最も菌が検出されやすいとされています。 - 複数の部位:性行為の形態によっては、性器だけでなく咽頭や直腸にも感染している可能性があります。
医師と相談し、感染が疑われるすべての部位の検査を受けることが重要です。 - パートナーとの同時検査:自分自身が感染していた場合、パートナーも感染している可能性が非常に高いです。
パートナーにも検査を勧め、一緒に検査を受けることが再感染を防ぐ上で極めて重要です。
検査結果が出るまでには、数日から1週間程度かかるのが一般的です。
検査でクラミジア陽性と診断された場合は、速やかに治療を開始する必要があります。
性器クラミジア感染症は、抗菌薬(抗生物質)の内服によって治療することが可能です。
適切な抗菌薬を、医師の指示通りに服用することで、比較的簡単に完治を目指せる病気です。
クラミジア・トラコマティスに有効な抗菌薬にはいくつかの種類がありますが、一般的には以下の薬剤が用いられます。
薬剤の種類 | 特徴 | 服用方法(一般的な例) |
---|---|---|
マクロライド系 | 比較的広く使用される。副作用が少ない。 | 1日1回、7日間程度内服。または、アジスロマイシンは1回で治療完了。 |
テトラサイクリン系 | 古くから使用されている。効果が高い。 | 1日2回、7日間程度内服。 |
ニューキノロン系 | 他の薬剤が効きにくい場合などに使用されることがある。 | 1日1回または2回、7日間程度内服。 |
アジスロマイシンという薬剤は、1回の服用で治療が完了するという特徴があり、患者さんの負担が少ないため、広く用いられています。
ただし、特定のクラミジア株に対しては効きにくい場合もあるため、医師の判断で使用されます。
治療を受ける上で、特に重要な注意点がいくつかあります。
- 医師の指示通りの服用:症状がなくなったからといって、自己判断で薬の服用を途中でやめないでください。
菌が完全に死滅せず、再発したり耐性菌が出現したりする可能性があります。
必ず医師から指示された期間、最後まで服用しましょう。 - パートナーの治療:自分がクラミジアと診断された場合、性行為があったパートナーも必ず検査を受け、感染が確認された場合は一緒に治療を受けることが不可欠です。
どちらか一方だけが治療を受けても、性行為によってお互いに再感染させてしまい、治療が意味をなさなくなってしまいます(ピンポン感染)。 - 治療期間中の性行為を控える:治療開始から一定期間(通常は薬を飲み終わるまで、または医師の指示する期間)は、性行為を控えましょう。
これは、パートナーへの感染を防ぐためと、自分が完治していない状態での再感染を防ぐためです。 - 治癒確認検査:薬を飲み終えてから一定期間(通常は2週間〜1ヶ月後)を置いて、クラミジア菌が体から完全にいなくなったかを確認するための再検査(治癒確認検査)を受けることが推奨されます。
検査方法は治療前と同様に核酸増幅法で行われます。
この検査で陰性であることが確認できて、初めて完治と判断されます。
症状が改善しても、必ず治癒確認検査を受けましょう。
適切な治療を受ければ、クラミジア感染症は完治する病気です。
しかし、無症状のまま放置したり、不適切な治療を行ったりすると、後述するような重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。
性器クラミジア感染症は、無症状が多いからといって軽視してはいけません。
適切な時期に治療せずに放置しておくと、菌が体の奥深くまで侵入し、男女ともに様々な合併症や、将来的な健康問題を引き起こす可能性があります。
これらの合併症は、不妊症など深刻な結果につながることもあるため、早期発見と治療が非常に重要です。
男性の場合の合併症
男性がクラミジア感染を放置した場合、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 副睾丸炎(精巣上体炎):尿道から菌が上行し、精巣上体に炎症を起こす病気です。
陰嚢の腫れや痛み、発熱などの症状が出ます。
強い痛みを伴うことが多く、気づきやすい合併症の一つです。 - 前立腺炎:尿道から菌が前立腺に侵入し、炎症を起こすことがあります。
排尿時の痛み、頻尿、残尿感、会陰部(股間)の不快感や痛みなどが症状として現れることがあります。 - ライター症候群(反応性関節炎):非常に稀ですが、クラミジア感染をきっかけに、関節炎(特に膝や足首など)、尿道炎、結膜炎といった複数の症状が同時に現れる自己免疫疾患のような状態です。
- 不妊症:長期間にわたるクラミジア感染が、精巣上体や精管に炎症を起こし、精子の通り道を塞いだり、精子の質に影響を与えたりすることで、男性不妊の原因となる可能性があります。
女性の場合の合併症
女性がクラミジア感染を放置した場合、男性以上に深刻な合併症を引き起こすリスクが高いです。
特に生殖器への影響が大きく、将来的な不妊の原因となることがあります。
- 卵管炎:子宮頸管から菌が卵管に侵入し、炎症を起こす病気です。
下腹部痛、発熱などが症状として現れることがあります。
卵管は卵子と精子が出会い受精する場所であり、受精卵が子宮へ運ばれる通り道です。
卵管が炎症によって癒着したり塞がったりすると、不妊の原因となります。 - 骨盤内炎症性疾患(PID: Pelvic Inflammatory Disease):卵管炎を含む、子宮や卵巣、骨盤内の臓器に炎症が広がる病気の総称です。
強い下腹部痛、高熱、悪寒、吐き気などを伴うことが多く、重症化すると腹膜炎などを併発し、緊急手術が必要になることもあります。
PIDを繰り返すと、卵管の損傷が進行し、不妊症のリスクがさらに高まります。 - 子宮外妊娠のリスク上昇:卵管が炎症によって狭くなったり癒着したりすると、受精卵が子宮へうまく移動できず、卵管など子宮以外の場所に着床してしまう「子宮外妊娠」のリスクが高まります。
子宮外妊娠は、放置すると卵管破裂などを引き起こし、母体の命に関わる危険な状態です。 - 不妊症:卵管炎やPIDによって卵管が損傷することが、女性不妊の最も主要な原因の一つとなります。
クラミジアによる卵管障害は、不妊治療を必要とするケース全体の大きな割合を占めていると言われています。
自覚症状がなくても、気づかないうちに卵管がダメージを受けている可能性があります。 - 妊娠への影響:妊娠中にクラミジアに感染していると、流産や早産のリスクが高まる可能性があります。
また、出産時に産道を通して赤ちゃんに感染し、新生児肺炎や新生児結膜炎を引き起こすことがあります。
これらの赤ちゃんへの感染は、適切な抗菌薬治療によって予防または治療可能です。
パートナーへの影響
自分がクラミジアに感染している場合、無症状であっても性行為によってパートナーにクラミジアをうつしてしまう可能性があります。
パートナーもまた無症状で経過し、気づかずに感染を広げたり、前述のような合併症を引き起こしたりするリスクを抱えることになります。
また、自分が治療を受けて一度完治しても、感染していたパートナーが未治療のままだと、再び性行為によってクラミジアをうつされてしまう「ピンポン感染」を繰り返すことになります。
これは、いつまで経ってもクラミジアが治らない原因となります。
クラミジアは、感染した本人だけでなく、性的な関係を持つすべての人に関わる問題です。
パートナーの健康を守り、お互いの再感染を防ぐためにも、自分が感染した場合は必ずパートナーに伝え、一緒に検査・治療を受けることが社会的な責任でもあります。
性器クラミジア感染症は、性行為を通じて感染する病気です。
完全に感染を防ぐことは難しいですが、いくつかの対策を講じることで、感染のリスクを大幅に減らすことができます。
主な予防策は以下の通りです。
- コンドームの正しい使用:性行為の際に、最初から最後まで正しくコンドームを使用することは、クラミジアを含む多くの性感染症の予防に非常に有効です。
ただし、コンドームで覆われていない部分(例えば、オーラルセックスでの口腔粘膜など)からの感染リスクはゼロではありません。 - 性的なパートナーの数を限定する:パートナーの数が多ければ多いほど、性感染症に感染するリスクは高まります。
特定のパートナーとの関係を維持し、パートナー以外の性的な接触を避けることは、リスクを減らすための基本的な考え方です。 - 不特定多数との性行為を避ける:リスクの高い性行為(例えば、不特定多数との性的接触)を避けることは、感染リスクを低く保つ上で重要です。
- 新しいパートナーとの性行為開始前の検査:新しいパートナーとの性行為を開始する前に、お互いが性感染症の検査を受けることは、安心して関係を築く上で非常に有効な予防策です。
- 定期的な性感染症検査:性的な活動がある方は、定期的に性感染症の検査を受けることを検討しましょう。
特に、パートナーが変わった時や、複数のパートナーがいる方、過去に性感染症にかかった経験がある方は、症状がなくても年に一度など定期的な検査を受けることで、早期発見につながります。 - 性行為後のケア:性行為後に排尿したり、デリケートゾーンを清潔に保ったりすることも、感染リスクをわずかに下げる可能性はありますが、これだけで感染を完全に防ぐことはできません。
コンドームの使用が最も重要です。
クラミジア感染症は適切な治療で完治しますが、免疫がつきにくいため、何度でも再感染する可能性があります。
一度感染した経験がある方も、再感染予防のための対策を継続することが大切です。
性器クラミジア感染症に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
クラミジアはどうやって気づく?
クラミジア感染症に気づく最も一般的なきっかけは、以下の通りです。
- 性器の症状が出たとき:男性の尿道炎による排尿時の痛みやかゆみ、少量の分泌物、女性のおりものの変化や不正出血、下腹部痛など、何らかの自覚症状が現れた場合です。
ただし、症状が軽微で見過ごされることも多いです。 - パートナーが感染したとき:性的なパートナーがクラミジアに感染していることが判明し、自分も検査を受けた結果、感染が見つかるケースです。
無症状のパートナーからの感染や、自身が無症状でパートナーにうつしてしまった場合に多いです。 - 性感染症の定期検査や健康診断:性感染症の検査を自主的に受けた結果や、妊娠前の検査などで偶然発見されるケースです。
自覚症状がない無症状の感染は、このような検査で発見されることがほとんどです。
症状がない場合、自ら検査を受けない限り、感染に気づくことは非常に困難です。
そのため、性的な活動がある方は、定期的な検査が早期発見の鍵となります。
性病で一番やばいのはクラミジア?
「一番やばい」という表現は、何をもって「やばい」とするかによって異なります。
エイズ(HIV感染症)のように命に関わる病気もあれば、梅毒のように全身に進行して重篤な障害を引き起こす病気、淋病のように急性の激しい症状が出やすい病気など、それぞれの性感染症に異なる特徴やリスクがあります。
クラミジア感染症は、感染者数が最も多いという点で「最も身近で、誰もが感染するリスクがある」性感染症と言えます。
また、無症状のまま放置されると、不妊症や子宮外妊娠など、将来の生殖機能に深刻な影響を与える可能性があるという点で「やばい」と言えるでしょう。
特に女性の場合、症状が出にくいために発見が遅れ、気がついた時には不妊の原因となる卵管のダメージが進行しているというケースも少なくありません。
命に直接関わることは稀ですが、放置による合併症の重大さを考えると、決して軽視してはいけない性感染症です。
他の性感染症と同様に、早期発見と適切な治療が非常に重要です。
旦那としか性行為がないのに感染した理由は?
「夫(妻/恋人)としか性行為がないのにクラミジアに感染していた」という状況は、非常にショックを受ける出来事だと思います。
このような場合に考えられる理由としては、以下の可能性があります。
- パートナーのクラミジア感染:最も可能性が高いのは、パートナーがクラミジアに感染しており、そのパートナーとの性行為によって感染したというケースです。
パートナー自身も無症状だった、あるいは過去の性行為で感染していたことに気づいていなかった、という可能性が考えられます。 - パートナーの過去の感染とその影響:パートナーが過去にクラミジアに感染し、自覚なく感染が続いていた(または治療したと思っていたが完治していなかった)場合に、性行為を通じて感染した可能性。
- 過去の自身の感染とその再燃/発見:非常に稀ですが、自分自身が過去にクラミジアに感染しており、無症状のまま体内に菌が潜伏していて、何らかのきっかけで活動が活発になった、または今回初めて検査で検出された、という可能性も理論上はゼロではありません。
ただし、これは一般的ではありません。 - 非貞淑:残念ながら、パートナーが自分以外の相手と性的な接触を持ち、そこでクラミジアに感染し、それをパートナーにうつしてしまったという可能性も考えざるを得ません。
多くの場合、夫婦や長年のパートナー間での感染は、お互いのどちらか(または両方)が無症状のまま感染していた、あるいは過去の感染に気づいていなかった、というケースがほとんどです。
どちらが先に感染したか、あるいはどこで感染したかを特定することは非常に難しい場合が多いです。
大切なのは、相手を責めることではなく、二人で一緒に医療機関を受診し、検査を受け、必要であれば二人同時に治療を行うことです。
これにより、お互いの再感染を防ぎ、完治を目指すことができます。
不安や疑問があれば、必ず医療機関で相談しましょう。
性器クラミジア感染症は、自覚症状がないことが多いため、感染の機会があったり、少しでも不安を感じたりした場合は、迷わず医療機関を受診して検査を受けることが大切です。
早期に発見し、適切な治療を受ければ完治する病気であり、将来の健康被害を防ぐことができます。
どこで検査を受ければ良いか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
性器クラミジアの検査・治療は、以下の医療機関で受けることができます。
- 婦人科(女性)
- 泌尿器科(男性)
- 性感染症内科
- 感染症科
- 産婦人科(妊娠中の方など)
- 一部の皮膚科
これらの医療機関で、専門的な検査と治療を受けることができます。
最近では、プライバシーに配慮したオンライン診療を提供しているクリニックも増えており、自宅から専門医に相談し、検査キットや治療薬を受け取ることも可能です。
お近くの医療機関や、ご自身の状況に合った受診方法を選びましょう。
クラミジアは「恥ずかしい病気」と思われがちですが、誰にでも感染する可能性のある、ごく一般的な感染症です。
一人で悩まず、まずは専門家である医師に相談し、適切な対応を取ることが、ご自身の、そして大切なパートナーの健康を守るためにも最も重要なステップです。
免責事項:本記事で提供する情報は、性器クラミジア感染症に関する一般的な知識の提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療法を推奨・保証するものではありません。
個々の症状や健康状態については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
本記事の情報に基づいて行った行為によって生じた損害について、当方は一切責任を負いません。