意図しない妊娠の可能性に直面した際、選択肢の一つとなるのが緊急避妊薬(アフターピル)です。
中でも「エラワン」は、性交後120時間以内という比較的長い時間まで服用が可能であることから注目されています。
しかし、具体的にどのような効果があるのか、避妊率はどのくらいなのか、副作用は心配ないのかなど、多くの疑問があるかと思います。
この記事では、エラワンについて、その効果や避妊率、気になる値段や副作用、そして国内で広く用いられているノルレボとの違いについて詳しく解説します。
緊急避妊について正確な情報を得たいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
エラワンとはどのような薬?
エラワン(EllaOne)は、ウリプリスタル酢酸エステルを有効成分とする緊急避妊薬(アフターピル)です。
性交後に服用することで、妊娠の可能性を低減させる目的で使用されます。
この薬は、欧米では広く使用されており、日本国内でも厚生労働省の承認を経て処方されています。
エラワンは、妊娠を望まない性交が行われた場合に、緊急的に用いられる医薬品であり、日常的に使用する避妊薬ではありません。
計画的な避妊には、低用量ピルや子宮内避妊器具(IUD)など、他の避妊法を選択することが重要です。
また、エラワンは性感染症を予防する効果はありません。
日本においてエラワンは、医師による処方箋が必要な医療用医薬品に分類されます。
したがって、薬局やドラッグストアなどで市販されているものではなく、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けた上で処方してもらう必要があります。
オンライン診療でも処方を受けることが可能です。
有効成分であるウリプリスタル酢酸エステルは、プロゲステロンという女性ホルモンの働きを調節する作用を持ちます。
この作用によって、排卵を遅らせたり、子宮内膜の変化を促したりすることで、妊娠の成立を防ぎます。
緊急避妊薬にはいくつかの種類がありますが、エラワンは性交後120時間(5日間)以内という、比較的長い時間まで服用できることが大きな特徴の一つです。
これは、国内で以前から使用されているレボノルゲストレルを成分とする緊急避妊薬(例: ノルレボ)が、性交後72時間以内の服用が推奨されているのと比較すると、より長い時間的猶予があることを意味します。
ただし、効果は服用が早いほど高いとされており、できるだけ速やかに服用することが推奨されます。
エラワンの効果と避妊率(成功率)
エラワンの主な目的は、望まない妊娠を防ぐことです。
では、具体的にどのように作用し、どの程度の避妊率が期待できるのでしょうか。
エラワンの避妊の仕組み
エラワンの有効成分であるウリプリスタル酢酸エステルは、プロゲステロン受容体調節薬(SPRM)という種類の薬剤です。
プロゲステロンは女性の体内で排卵や妊娠の維持に重要な役割を果たしています。
エラワンが体内に吸収されると、このプロゲステロンの働きを阻害するように作用します。
主な避妊の仕組みは以下の通りと考えられています。
- 排卵の抑制または遅延: 排卵直前の段階で服用した場合、排卵を抑制したり、排卵を遅らせたりする効果が期待できます。
これにより、受精が起こる可能性のある期間を回避します。
これがエラワンの最も重要な作用と考えられています。 - 子宮内膜への影響: 受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げる可能性も指摘されています。
ただし、この作用については排卵抑制効果ほど明確ではありません。 - 卵管の運動への影響: 卵管の運動を変化させることで、受精卵や精子の移動に影響を与える可能性も考えられます。
これらの作用を通じて、エラワンは性交後に服用することで妊娠の成立を防ぎます。
ただし、すでに着床が完了している、つまり妊娠が成立している状態では効果はありません。
あくまで、妊娠が成立する前の段階で作用する薬です。
服用タイミングと効果の関係(72時間後・120時間以内)
エラワンの大きな特徴は、性交後120時間(5日間)以内という比較的長い時間まで服用が推奨されている点です。
これは、国内で広く用いられているレボノルゲストレルを成分とする緊急避妊薬(ノルレボなど)が性交後72時間以内の服用が基本とされているのと比較して、時間的な猶予が大きいことを意味します。
エラワンは、性交後24時間以内、24~48時間、48~72時間、72~120時間のどのタイミングで服用しても、一定の避妊効果が期待できるとされています。
しかし、他の緊急避妊薬と同様に、服用が早いほど避妊効果は高まる傾向があります。
可能な限り速やかに、遅くとも120時間以内に服用することが重要です。
特に注目すべきは、エラワンが性交後72時間を過ぎた場合でも効果を示す可能性がある点です。
ノルレボの効果が72時間を過ぎると急激に低下するとされているのに対し、エラワンは120時間以内であれば有効性が維持されることが臨床試験で示唆されています。
これは、何らかの理由で72時間以内の服用が難しかった場合において、エラワンが有効な選択肢となりうることを意味します。
ただし、時間が経過するほど妊娠の可能性が高まるため、「120時間以内ならいつでも同じ効果」というわけではありません。
性交後、妊娠の可能性が懸念される場合は、できるだけ早く医療機関に相談し、緊急避妊薬を服用することが最善です。
エラワンの妊娠阻止率データ
緊急避妊薬の効果は、「妊娠阻止率」という指標で示されることが一般的です。
これは、緊急避妊薬を服用しなかった場合に予測される妊娠数に対して、実際に妊娠しなかった割合を示すものです。
完全に妊娠を防げる確率(避妊成功率)とは少し意味合いが異なりますが、薬の有効性を評価する上で重要なデータとなります。
エラワンの臨床試験データによると、性交後120時間以内に服用した場合の妊娠阻止率は、およそ60%~80%程度と報告されています。
これは、エラワンを服用しなかった場合に予測される妊娠数のうち、6割から8割程度が服用によって回避されたことを意味します。
服用タイミング別のデータでは、性交後24時間以内の服用で最も高い効果が期待でき、時間が経過するにつれて効果はわずかに低下する傾向が見られます。
しかし、性交後72時間を超え、120時間以内の服用においても、ノルレボと比較して高い妊娠阻止率を示すことが報告されています。
例えば、ある臨床試験では、性交後72時間以内の服用でエラワン群の妊娠率が1.8%、ノルレボ群が2.6%でした。
また、性交後72~120時間以内の服用では、エラワン群の妊娠率が2.2%であったのに対し、ノルレボ群では有効性が確認されていませんでした(ただし、この時間帯のノルレボに関するデータは限られています)。
これらのデータは、エラワンがノルレボと比較して、より広範な時間窓で有効性を示す可能性を示唆しています。
重要なのは、エラワンを含め、いかなる緊急避妊薬も100%妊娠を防ぐことはできないという点です。
約20%~40%程度の確率で妊娠が成立する可能性があります。
そのため、服用後も妊娠の兆候がないか注意深く観察し、生理が予定日から1週間以上遅れるなど異常があった場合は、妊娠検査を行うか、医療機関を受診することが不可欠です。
エラワンとノルレボの違いを比較
日本国内で緊急避妊薬として主に処方されているのは、エラワン(有効成分: ウリプリスタル酢酸エステル)とノルレボ(有効成分: レボノルゲストレル)です。
これらは同じ「緊急避妊薬」に分類されますが、いくつかの重要な違いがあります。
どちらの薬を選択するかは、性交からの経過時間や個人の体質、医師との相談によって決定されます。
主な違いを比較してみましょう。
服用できる時間の違い
これはエラワンとノルレボの最も大きな違いの一つです。
- エラワン: 性交後120時間(5日間)以内に服用が推奨されています。
- ノルレボ: 性交後72時間(3日間)以内に服用が推奨されています。
エラワンは、ノルレボと比較して約2日分、服用できる時間に猶予があります。
これは、何らかの理由で医療機関への受診が遅れてしまった場合などに、エラワンが有効な選択肢となる可能性を高めます。
ただし、繰り返しになりますが、どちらの薬も服用が早いほど効果が高い傾向にあります。
有効成分・作用機序の違い
両者の有効成分と作用機序も異なります。
- エラワン:
- 有効成分: ウリプリスタル酢酸エステル
- 作用機序: プロゲステロン受容体調節薬(SPRM)。主にプロゲステロンの働きを阻害し、排卵を抑制・遅延させます。
特に排卵直前の段階にある卵胞の成熟や破裂(排卵)を効果的に抑制すると考えられています。
- ノルレボ:
- 有効成分: レボノルゲストレル
- 作用機序: 合成プロゲスチン(黄体ホルモン)。主に排卵を抑制・遅延させる作用を持ちます。
排卵後の黄体期に服用しても効果がないとされています。
作用機序の違いから、エラワンは排卵直前という、比較的排卵が差し迫った状況でも効果が期待できるとされています。
一方、ノルレボは排卵がすでに起こってしまった後には効果がない可能性が高いと考えられています。
効果・避妊率の比較
服用タイミングによる効果や妊娠阻止率にも違いが見られます。
- 性交後72時間以内の服用では、両者ともに高い効果が期待できますが、エラワンの方がわずかに高い妊娠阻止率を示すという報告があります。
- 性交後72時間を超え、120時間以内の服用では、エラワンは有効性が示されていますが、ノルレボはこの時間帯での有効性は確認されていません(あるいは効果が著しく低下すると考えられています)。
妊娠阻止率の具体的な数値は研究によって多少異なりますが、一般的に、性交後24時間以内では両者ともに9割以上の妊娠を阻止できる可能性があり、72時間以内ではノルレボが約85%程度、エラワンがそれと同等かやや高い効果(例えば9割前後)が期待できるとされます。
そして、エラワンは120時間以内でも約60~80%の妊娠阻止率が報告されています。
副作用の種類と頻度の比較
緊急避妊薬には副作用が起こる可能性がありますが、その種類や頻度にも違いが見られます。
両者で報告される主な副作用は、頭痛、吐き気、腹痛、疲労感、めまいなどです。
- ノルレボ: 特に吐き気の副作用が比較的高い頻度で報告される傾向があります。
そのため、吐き気止めの薬が一緒に処方されることもあります。 - エラワン: ノルレボと比較して、吐き気の副作用の報告頻度が低い傾向があるという研究結果があります。
その他の副作用については、両者で大きく変わらないこともあれば、エラワンで腹痛や生理周期の乱れがやや多く報告されるというデータもあります。
副作用の現れ方には個人差が大きいため、一概にどちらが「より副作用が少ない」とは断言できませんが、統計的にはエラワンの方が吐き気のリスクは低いと考えられています。
費用・値段の比較
緊急避妊薬は保険適用外の自由診療となるため、医療機関によって費用が異なります。
一般的な価格帯には違いが見られます。
- ノルレボ: 先発品であるノルレボ錠と、そのジェネリック医薬品(レボノルゲストレル錠)があります。
ジェネリック医薬品が登場したことにより、比較的安価に入手できるようになりました。
医療機関によって異なりますが、先発品で1万円~1.5万円程度、ジェネリックで7千円~1.2万円程度が相場です。 - エラワン: 現在、エラワンには日本国内で承認されたジェネリック医薬品はありません。
そのため、先発品のみの取り扱いとなり、価格はノルレボの先発品と同等か、やや高めの設定になっていることが多いです。
医療機関によって異なりますが、1万円~1.8万円程度が相場と考えられます。
比較項目 | エラワン(EllaOne) | ノルレボ(NorLevo) |
---|---|---|
有効成分 | ウリプリスタル酢酸エステル | レボノルゲストレル |
服用可能時間 | 性交後 120時間(5日間)以内 | 性交後 72時間(3日間)以内 |
主な作用 | 排卵抑制・遅延、子宮内膜への影響など | 排卵抑制・遅延 |
排卵直前への効果 | 効果が期待できる | 効果がない可能性が高い |
妊娠阻止率 | 72時間以内: ノルレボと同等かやや高い 120時間以内: 有効性を示す (約60-80%) |
72時間以内: 約85%程度 72時間以降: 有効性確認なし(効果低下) |
主な副作用 | 頭痛、吐き気(比較的少ない傾向)など | 吐き気(比較的多い傾向)、頭痛など |
価格相場 | 1万円~1.8万円程度(先発品のみ) | 7千円~1.5万円程度(先発品・ジェネリックあり) |
エラワンとノルレボ、どちらを選ぶべきか?
エラワンとノルレボのどちらを選択するかは、個々の状況によって異なります。
- 性交から72時間以内である場合: エラワンでもノルレボでも高い避妊効果が期待できます。
医師と相談し、価格や副作用の傾向(特に吐き気が心配かどうか)などを考慮して選択できます。
ジェネリックがあるため、ノルレボの方が費用を抑えられる可能性があります。 - 性交から72時間を経過し、120時間以内である場合: この時間帯では、ノルレボは有効性が確認されていません。
したがって、エラワンが唯一の選択肢となります。
どちらの薬を服用する場合でも、できるだけ早く医療機関を受診し、医師の診察を受けることが最も重要です。
医師は、最終的な性交からの経過時間、生理周期、既往歴、現在服用している薬などを総合的に判断し、最適な緊急避妊薬の種類と服用方法についてアドバイスしてくれます。
自己判断せず、必ず専門家である医師に相談しましょう。
エラワンの値段と購入方法
緊急避妊薬であるエラワンを入手するには、必ず医師の処方箋が必要です。
これは日本国内の法律で定められています。
したがって、ドラッグストアや薬局で自由に購入することはできません。
購入方法は主に医療機関での処方となりますが、対面診療だけでなくオンライン診療も利用できます。
クリニックでの価格相場
エラワンは保険適用外の自由診療となるため、医療機関によって価格設定が異なります。
地域やクリニックの規模、提供されるサービス内容(診察料、再診料、処方料など)によって費用は変動します。
一般的な価格相場としては、1万円から1万8千円程度を見込んでおくと良いでしょう。
この価格には、薬代だけでなく、診察料や処方料が含まれている場合と、薬代のみで別途診察料がかかる場合があります。
受診を検討しているクリニックのウェブサイトなどで、事前に料金体系を確認しておくことをお勧めします。
なお、エラワンは現在、日本国内で承認されたジェネリック医薬品がありません。
そのため、先発品のみの取り扱いとなり、価格はノルレボのジェネリックと比較すると高くなる傾向があります。
オンライン診療での購入
近年、オンライン診療による緊急避妊薬の処方が普及しています。
エラワンもオンライン診療で処方を受けることが可能です。
オンライン診療は、以下のようなメリットがあります。
- 時間や場所を選ばない: スマートフォンやPCがあれば、自宅やプライベートな空間から診察を受けることができます。
クリニックへ移動する時間や手間が省けます。 - 迅速な対応: 予約がスムーズに取れれば、比較的早く診察を受けることができます。
特に、緊急性の高い緊急避妊においては、この迅速さが重要となる場合があります。 - プライバシーへの配慮: 待合室で他の患者さんと顔を合わせる心配がなく、デリケートな相談もしやすいと感じる方が多いようです。
- 夜間や休日にも対応: 一部のオンライン診療クリニックでは、夜間や土日祝日にも対応している場合があります。
オンライン診療の流れは一般的に以下のようになります。
- 予約: オンライン診療に対応しているクリニックのウェブサイトから予約を行います。
問診票を事前にオンラインで入力する場合もあります。 - オンライン診察: 予約時間になると、医師から電話がかかってくるか、ビデオ通話ツールを使用して診察が行われます。
最終性交日、生理周期、既往歴、アレルギー、現在服用中の薬などについて正確に伝えます。 - 決済: 診察後、クレジットカードなどで薬代や送料などを決済します。
- 薬の配送: 決済確認後、薬が指定した住所に配送されます。
早ければ当日発送、翌日到着となる場合もあります。
配送方法や時間帯はクリニックによって異なります。
中身が分からないように配慮された梱包で送られるのが一般的です。
オンライン診療の場合も、価格帯はクリニックによって異なりますが、対面診療と大きな差はないか、場合によっては送料が加算されることがあります。
オンライン診療を検討する際は、複数のクリニックの料金体系や診療時間、配送方法などを比較検討すると良いでしょう。
個人輸入のリスクと危険性
インターネット上には、海外の個人輸入代行サイトを通じて緊急避妊薬を入手できると謳っているサイトが数多く存在します。
しかし、個人輸入による緊急避妊薬の入手は、非常に危険であり、絶対におすすめできません。
主なリスクと危険性は以下の通りです。
- 偽造薬の可能性: 個人輸入で流通している医薬品の中には、有効成分が全く含まれていない、あるいは不純物や有害物質が混入している偽造薬が多数存在します。
このような薬を服用しても効果がないばかりか、健康被害を引き起こす可能性があります。
厚生労働省の調査でも、インターネットを通じて入手した医薬品の約半分が偽造品であったという報告があります。 - 品質・保管状況の不明確さ: 正規ルートではないため、製造された場所、品質管理、適切な保管状況などが一切不明です。
成分が劣化していたり、想定外の物質が混入していたりするリスクがあります。 - 自己判断による誤った服用: 医師の診察を受けずに自己判断で服用すると、正しい服用方法が分からなかったり、自身の体質や健康状態に適さない薬を服用してしまったりするリスクがあります。
既往症がある場合や、他の薬を服用している場合、重篤な健康被害につながる可能性があります。 - 医薬品副作用被害救済制度の対象外: 万が一、個人輸入した医薬品によって健康被害が生じた場合、日本の公的な医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
適切な補償を受けることができません。 - 効果が得られず妊娠した場合: 偽造薬や品質の悪い薬だった場合、効果が得られずに妊娠してしまうリスクが非常に高まります。
また、妊娠検査やその後の対応も遅れてしまう可能性があります。
緊急避妊薬は、妊娠という人生に大きな影響を与える可能性のある状況で使用される薬であり、その効果と安全性が非常に重要です。
必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けた上で、国内で承認された正規の医薬品を処方してもらいましょう。
個人輸入には絶対に手を出さないでください。
エラワンの副作用と注意点
エラワンは、適切に服用すれば安全性が高いとされていますが、他の医薬品と同様に副作用が起こる可能性があります。
また、服用する上でいくつかの注意点があります。
服用後に起こりうる副作用
エラワンの臨床試験や市販後調査で報告されている主な副作用は、以下の通りです。
これらは一時的なものがほとんどであり、通常は数日で改善します。
- 頭痛: 最も頻繁に報告される副作用の一つです。
- 吐き気: ノルレボと比較すると頻度は低い傾向がありますが、起こる可能性があります。
- 腹痛: 下腹部の痛みや不快感が生じることがあります。
- 疲労感: 体がだるく感じる場合があります。
- めまい: 立ちくらみやふらつきを感じることがあります。
- 乳房の張り・痛み: 胸が張ったり痛んだりすることがあります。
- 生理周期の乱れ: 服用後の生理のタイミングがずれることがあります。
- 不正出血: 生理予定日以外の時期に出血が見られることがあります。
これらの副作用は、ホルモンバランスの一時的な変化によって引き起こされると考えられています。
通常は軽度であり、特別な治療を必要としない場合が多いです。
副作用が起きた時の対処法
服用後に副作用が出た場合、症状に応じて以下のように対処します。
- 軽度の副作用(頭痛、腹痛、疲労感など): 多くの場合、一時的なものであり、数時間から数日で自然に軽快します。
安静にして様子を見ましょう。
頭痛や腹痛が辛い場合は、医師に相談の上で市販の鎮痛剤を服用できることもあります。
ただし、自己判断せず必ず医師の指示を仰いでください。 - 吐き気: 吐き気が強い場合は、服用した薬を吐き出してしまう可能性があります。
もし服用後3時間以内に嘔吐してしまった場合は、薬が十分に吸収されていない可能性があるため、医師に相談して再度服用が必要か判断してもらう必要があります。
吐き気止めを処方してもらえる場合もありますので、医師に相談してみましょう。
ノルレボと比較するとエラワンは吐き気が少ない傾向がありますが、個人差はあります。 - 症状が重い、長く続く場合: 副作用が重い場合や、数日経過しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、必ず医療機関を受診し、医師に相談してください。
稀ではありますが、他の原因による体調不良である可能性も考慮する必要があります。
副作用の出現には個人差が大きく、全く副作用を感じない方もいれば、複数の副作用が現れる方もいます。
服用前に医師から起こりうる副作用について説明を受け、不安な点があれば事前に質問しておきましょう。
服用時の注意点・併用禁忌薬
エラワンを服用する際は、以下の点に注意が必要です。
- 必ず指示通りに服用する: エラワンは1回1錠のみを服用します。
追加で服用したり、分割したりする必要はありません。
水またはぬるま湯で服用しましょう。 - 食事の影響: 食事の前後どちらで服用しても吸収に大きな影響はないとされていますが、脂っこい食事の直後は避けた方が良いという意見もあります。
一般的には、空腹時でも満腹時でも服用可能です。 - 飲み合わせの悪い薬: 一部の薬剤は、エラワンの効果を弱めたり、副作用を強くしたりする可能性があります。
以下の種類の薬を現在服用している場合は、必ず医師に伝えてください。- CYP3A4誘導作用を持つ薬剤: リファンピシン(抗結核薬)、フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタール(抗けいれん薬)、セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウを含む健康食品)など。
これらの薬剤は、エラワンの代謝を促進し、血中濃度を低下させることで効果を弱める可能性があります。 - プロゲステロンを含む薬剤: 低用量ピルやミニピル、プロゲステロン製剤など。
エラワンの有効成分であるウリプリスタル酢酸エステルはプロゲステロン受容体に作用するため、これらの薬剤と併用すると相互作用が起こる可能性があります。
緊急避妊薬服用後、次の生理が来るまでは他のホルモン剤による避妊は開始しないのが一般的です。
- CYP3A4誘導作用を持つ薬剤: リファンピシン(抗結核薬)、フェニトイン・カルバマゼピン・フェノバルビタール(抗けいれん薬)、セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウを含む健康食品)など。
- 服用できない方: 以下のいずれかに該当する方は、エラワンを服用できません。
必ず医師に正確な情報を伝えてください。- エラワンの成分(ウリプリスタル酢酸エステル)に対して過敏症の既往歴がある方
- すでに妊娠している、または妊娠の可能性がある方(エラワンは妊娠成立後には効果がありません)
- 診断が確定していない性器出血がある方
- 重度の肝機能障害がある方
医師は、問診を通じてこれらの情報を確認し、エラワンを安全に服用できるか判断します。
自身の健康状態や服用中の薬について、正直かつ正確に伝えることが非常に重要です。
服用後に効果がなかった場合(妊娠の可能性)
エラワンは高い妊娠阻止率を示しますが、100%ではありません。
服用後も妊娠が成立する可能性があります。
- 生理が来ない場合: 通常、エラワン服用後1週間以内、あるいは通常の生理予定日頃に消退出血(生理のような出血)が起こるか、通常の生理が来ます。
もし生理が予定日から1週間以上遅れる、あるいは出血が全く見られない場合は、妊娠の可能性を考慮する必要があります。 - 妊娠検査薬の使用: 生理予定日から1週間以上経っても生理が来ない場合は、市販の妊娠検査薬を使用して確認することをお勧めします。
緊急避妊薬を服用したこと自体が、妊娠検査薬の結果に影響を与えることはありません。 - 妊娠が確認された場合: 万が一、緊急避妊薬を服用したにも関わらず妊娠が確認された場合は、速やかに医療機関(産婦人科など)を受診し、医師に相談してください。
緊急避妊薬の服用が、その後の妊娠経過や胎児に与える影響については、現時点では明確なリスク増加は確認されていませんが、必ず医師の指導を受けてください。
緊急避妊薬は、あくまで緊急時の手段です。
確実な避妊を継続するためには、医師と相談し、自身に適した計画的な避妊法(低用量ピル、IUD、避妊リングなど)を選択することが重要です。
エラワン服用後の生理や体調の変化
エラワンを服用すると、ホルモンバランスが一時的に変化するため、服用後の生理周期や体調に影響が出ることがあります。
これらの変化について知っておくことで、不要な不安を軽減できます。
服用後の生理はいつくる?
エラワン服用後の生理(あるいは消退出血)のタイミングは、服用時の生理周期のどの段階にあったかによって異なります。
- 排卵前に服用した場合: エラワンによって排卵が抑制された場合、通常よりも生理が遅れる可能性があります。
多くの場合は、通常の生理予定日から数日~1週間程度遅れて生理が来ます。
服用前の生理周期が規則的であった方でも、数日から数週間程度遅れることは珍しくありません。 - 排卵後に服用した場合: 排卵後に服用した場合、薬の効果は限定的となりますが、子宮内膜への影響などにより、通常の生理周期通りに生理が来るか、あるいは数日早まることもあります。
重要なのは、服用後に一度、生理のような出血(消退出血または通常の生理)が見られることです。
この出血が確認できれば、妊娠の可能性は低いと考えられます。
ただし、出血の量や期間は通常の生理と異なる場合があります。
もし、通常の生理予定日から1週間以上経っても生理が来ない場合は、妊娠の可能性を疑い、妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診して医師に相談してください。
服用後、全く出血が見られない場合も、妊娠の可能性を否定できないため注意が必要です。
不正出血は副作用?
エラワンを服用した後、生理予定日とは関係なく性器からの出血が見られることがあります。
これを不正出血と呼びます。
不正出血は、エラワンの比較的頻繁に報告される副作用の一つです。
ホルモンバランスの一時的な変化が原因と考えられており、通常は軽度で短期間(数日程度)で治まります。
この不正出血は、必ずしも避妊に成功したことを示すものではありません。
もし不正出血が見られた場合、以下の点に注意してください。
- 出血の量や期間を観察する。
- 出血量が通常の生理より明らかに多い、痛みが強い、あるいは出血が長期間続く場合は、エラワンによる副作用以外の原因(例えば、性感染症や他の婦人科疾患など)も考えられます。
このような場合は、必ず医療機関を受診してください。 - 不正出血があったとしても、それが通常の生理であると自己判断しないことが重要です。
出血のタイミングや量、期間などがいつもと異なる場合は、緊急避妊薬の影響である可能性が高いですが、確実な妊娠の確認は、その後の生理の有無や妊娠検査薬で行う必要があります。
不正出血は、エラワンによる一時的な反応であることが多いですが、不安な場合は医師に相談しましょう。
服用後の体調変化について
エラワン服用後、生理周期の乱れや不正出血以外にも、一時的な体調の変化を感じることがあります。
これらは副作用として報告されているものと関連する場合が多いです。
例えば、
- 倦怠感や疲労感: 薬の代謝に伴う一時的な体調の変化として感じられることがあります。
- 腹痛や下腹部の違和感: 薬が子宮や卵巣に作用することによるものと考えられます。
- 気分の変化: ホルモンバランスの変化が一時的に気分に影響を与える可能性も考えられます。
これらの体調変化も、ほとんどの場合は数日以内に改善する一過性のものです。
症状が続く場合や、普段とは違う強い症状が出た場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、医師に相談してください。
服用後の体調変化は個人差が大きいため、過度に心配する必要はありませんが、自身の体の変化に注意を払い、異常を感じたら専門家に相談することが大切です。
エラワン服用後のフォローアップとして、次の生理が来たことを確認したり、必要に応じて妊娠検査を行ったりすることが推奨されます。
エラワンに関するその他の「エラワン」について
インターネットで「エラワン」と検索すると、緊急避妊薬のエラワン以外にも、同名の異なる場所や施設に関する情報が出てくることがあります。
ユーザーが混乱しないよう、ここで簡単に触れておきます。
バンコクの「エラワン廟」や「エラワン スーパー」とは異なります
タイの首都バンコクには、「エラワン廟(Erawan Shrine)」という有名な観光スポットがあります。
四面仏(ブラフマー)が祀られており、多くの参拝客が訪れる場所です。
また、バンコクには「エラワン スーパー(Erawan Supermarket)」という名称のスーパーマーケットなども存在する可能性があります。
これらのバンコクにある「エラワン」は、緊急避妊薬である「エラワン(EllaOne)」とは全く関係がありません。
検索で情報を探す際には、緊急避妊薬について調べているのか、バンコクの観光情報や店舗について調べているのかを明確に区別して検索キーワードを入力することが重要です。
本記事で解説しているのは、あくまで性交後の緊急避妊に使用される医薬品である「エラワン(EllaOne)」に関する情報です。
混乱なきようご注意ください。
【まとめ】エラワン(アフターピル)は120時間まで対応可能な緊急避妊薬
エラワン(EllaOne)は、ウリプリスタル酢酸エステルを有効成分とする緊急避妊薬(アフターピル)です。
性交後120時間(5日間)以内という、国内で承認されている緊急避妊薬の中では比較的長い時間まで服用できる点が最大の特徴です。
排卵を抑制または遅延させることで妊娠を防ぎます。
国内で広く使われているノルレボ(レボノルゲストレル)と比較すると、エラワンは服用可能時間が長いことに加え、排卵直前の段階でも効果が期待でき、吐き気の副作用が少ない傾向があるという違いがあります。
どちらの薬を選択するかは、性交からの時間、個人の体質、医師との相談によって決まります。
性交から72時間以上経過してしまった場合は、エラワンが唯一の選択肢となります。
エラワンの妊娠阻止率は、服用タイミングにもよりますが、およそ60%~80%程度と報告されています。
しかし、100%妊娠を防げるわけではないため、服用後も妊娠の可能性に注意が必要です。
エラワンは医師の処方箋が必要な医療用医薬品です。
クリニックでの対面診療に加え、オンライン診療でも処方を受けることができます。
価格相場は1万円~1.8万円程度ですが、医療機関によって異なります。
インターネット上の個人輸入は、偽造薬や品質不明のリスクが高く、健康被害につながる可能性があるため、絶対に避けてください。
必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けて国内で承認された薬を処方してもらいましょう。
服用後には、頭痛、吐き気、腹痛、疲労感、めまいなどの副作用や、生理周期の乱れ、不正出血が見られることがあります。
これらは一時的なものがほとんどですが、症状が重い場合や長引く場合は医師に相談してください。
緊急避妊薬は、あくまで緊急時の最後の手段です。
計画的な避妊を行うためには、低用量ピルやIUDなど、他の避妊法について医師と相談し、自身に合った方法を選択することが大切です。
望まない妊娠のリスクを減らし、安心して過ごすためにも、避妊に関する正しい知識を持ち、必要に応じて専門家に相談しましょう。
免責事項
本記事は、エラワンに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の製品の推奨や医療行為を推奨するものではありません。
個人の体質、健康状態、既往歴、現在服用中の薬剤などによって、適切な対応は異なります。
具体的な診断、治療、薬剤の選択については、必ず医療機関を受診し、医師または薬剤師にご相談ください。
本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為によって生じた損害に関しても、当方は一切の責任を負いかねます。
情報は記事作成時点のものであり、法規制や医療情報は常に更新される可能性があることをご理解ください。