フリウェルは、主に月経困難症や子宮内膜症といった女性特有の疾患の治療に用いられる配合錠です。
これらの疾患によるつらい症状を緩和し、生活の質の向上を目指すために開発されました。
低用量の女性ホルモンをバランス良く配合しており、正しく服用することで期待される効果が得られます。
この記事では、フリウェルの効果、種類、副作用、正しい飲み方、避妊効果など、皆さんが知りたい情報を詳しく解説します。
フリウェルについて深く理解し、安心して治療に取り組むためにお役立てください。
フリウェルとはどんな薬?基本情報
フリウェルは、有効成分として2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)を配合した薬剤です。
「低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合錠」という種類に分類され、月経困難症や子宮内膜症の治療目的で保険適用が認められています。
これらの疾患は、日常生活に支障を来すほどの強い生理痛や、生理期間以外での下腹部痛などを引き起こすことがあり、フリウェルはそのような症状の緩和を目指します。
医師の処方箋が必要な医療用医薬品であり、ドラッグストアなどで市販されていません。
フリウェル配合錠の成分と作用機序
フリウェル配合錠に含まれる有効成分は、「エチニルエストラジオール(卵胞ホルモンの一種)」と「ノルゲストレル(黄体ホルモンの一種)」の2種類です。
これらの女性ホルモンは、それぞれ異なる働きをすることで、月経困難症や子宮内膜症の症状を改善に導きます。
フリウェルの主な作用機序は以下の通りです。
- 排卵の抑制: 脳の視床下部や下垂体に作用し、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制します。
これにより卵胞の発育と排卵が抑えられます。 - 子宮内膜の増殖抑制: ホルモンバランスを調整することで、子宮内膜の過剰な増殖を抑えます。
月経痛の原因の一つであるプロスタグランジンの産生も抑制されるため、生理痛の軽減につながります。 - 子宮の収縮抑制: 生理痛を引き起こす子宮の過度な収縮を抑える効果も期待できます。
これらの作用により、フリウェルは月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みや不快な症状を和らげ、規則正しい月経周期をもたらします。
フリウェルの主な効果・効能
フリウェルは、添付文書において「月経困難症」および「子宮内膜症」の治療薬として承認されています。
それぞれの疾患に対して、具体的にどのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。
月経困難症に対する効果
月経困難症は、生理期間中に日常生活を送るのが困難になるほどの、下腹部痛や腰痛、吐き気、頭痛、疲労感などのつらい症状が現れる状態です。
フリウェルを服用することで、以下のような効果が期待できます。
- 生理痛(月経痛)の軽減: 排卵を抑え、子宮内膜の増殖を抑制することで、生理痛の主な原因である子宮内膜からのプロスタグランジン産生を減らします。
これにより、子宮の収縮が抑えられ、痛みが和らぎます。
多くの人が、服用開始後数ヶ月で生理痛の顕著な改善を実感すると言われています。 - その他の症状の緩和: 吐き気、頭痛、むくみ、精神的な不調(イライラ、気分の落ち込み)など、生理前に現れるPMS(月経前症候群)や、生理期間中に伴う様々な不快な症状の緩和にもつながる場合があります。
- 出血量の減少: 子宮内膜が厚くならないため、経血量が減少し、貧血の改善にも役立つことがあります。
子宮内膜症に対する効果
子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜様の組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜、腸など)で増殖・剥離を繰り返す病気です。
これにより、強い生理痛、性交痛、排便痛、不妊などの症状が現れます。
フリウェルは子宮内膜症に対しても効果が期待できます。
- 病態の進行抑制: 子宮内膜症の病巣は、女性ホルモンの影響を受けて増殖します。
フリウェルによってホルモンバランスを調整し、排卵を抑制することで、病巣の増殖や活動を抑え、病気の進行を遅らせることが期待できます。 - 痛みの緩和: 子宮内膜症に伴う生理痛や、生理期間以外での慢性的な骨盤痛などの痛みを軽減する効果があります。
フリウェルは、月経困難症と子宮内膜症の両方に対して、症状の緩和と病態の管理に役立つ薬剤と言えます。
ただし、効果の現れ方には個人差があります。
フリウェルの種類|LDとULDの違い
フリウェルには、「フリウェル配合錠LD」と「フリウェル配合錠ULD」の2種類があります。
どちらも同じ有効成分(エチニルエストラジオールとノルゲストレル)を含んでいますが、ホルモン量が異なります。
フリウェルLDについて
フリウェル配合錠LDの「LD」は「Low Dose(低用量)」を意味します。
1錠あたりのエチニルエストラジオール含有量が50μg未満であり、低用量ピルに分類されるホルモン量です。
フリウェルLDは、主に月経困難症の治療薬として承認されています。
ホルモン量がULDに比べてやや多いため、ULDが合わない場合や、ULDで十分な効果が得られない場合などに使用されることがあります。
フリウェルULDについて
フリウェル配合錠ULDの「ULD」は「Ultra Low Dose(超低用量)」を意味します。
1錠あたりのエチニルエストラジオール含有量が30μg未満であり、LDよりもさらにホルモン量が少ない超低用量ピルに分類されます。
フリウェルULDは、月経困難症および子宮内膜症の両方の治療薬として承認されています。
ホルモン量が少ないため、LDに比べて副作用(特に吐き気や血栓症のリスク)が軽減されると考えられており、現在はこちらのULDが第一選択として処方されることが多い傾向にあります。
製造販売元(あすか・モチダ)による違い
フリウェル配合錠LDおよびULDは、あすか製薬株式会社と持田製薬株式会社がそれぞれ製造販売しています。
- あすか製薬株式会社: フリウェル配合錠LD、フリウェル配合錠ULDを製造販売しています。
これらはオリジナルの製品です。 - 持田製薬株式会社: フリウェル配合錠LD、フリウェル配合錠ULDを製造販売しています。
こちらもオリジナルの製品であり、あすか製薬のものとは同じ成分・同じ規格ですが、厳密には製造元が異なります。
患者さんにとって、あすか製薬製造のものか、持田製薬製造のものかによる効果や副作用の違いは基本的にありません。
医師や薬局によって取り扱っているメーカーが異なることがありますが、どちらのメーカーのものでも問題なく使用できます。
ジェネリック医薬品(後発品)という関係ではなく、同じ成分・同じ規格の製品を異なるメーカーが製造販売しているという関係です。
フリウェルの副作用について
フリウェルは適切に服用することで多くのメリットがありますが、他の医薬品と同様に副作用のリスクも存在します。
副作用には比較的起こりやすい軽度なものから、頻度は低いものの注意が必要な重大なものまであります。
よくある副作用(吐き気・頭痛など)
フリウェルを服用し始めた初期に比較的多く見られる副作用は、ホルモンバランスの変化によるものが多いです。
多くの場合は体が慣れるにつれて症状は軽減または消失します。
- 吐き気、嘔吐: 特に服用開始直後に起こりやすい症状です。
食事と一緒に服用したり、就寝前に服用したりすることで軽減されることがあります。 - 頭痛: 軽度な頭痛を感じることがあります。
- 不正出血: 服用初期や飲み忘れがあった際に、月経期間以外の出血(不正出血)が見られることがあります。
通常は体が慣れるにつれて落ち着きますが、長期間続く場合や量が多い場合は医師に相談が必要です。 - 乳房の張り・痛み: 胸が張ったり、痛むことがあります。
- むくみ: 体に水分が溜まりやすくなることで、むくみを感じることがあります。
- 腹痛、胃の不快感: 消化器系の不調を感じることがあります。
- 気分の変動: 精神的に不安定になったり、イライラしたり、落ち込んだりすることがあります。
これらの副作用は、ULDの方がLDよりも発現頻度が低い傾向にあります。
症状がつらい場合は、我慢せずに医師や薬剤師に相談しましょう。
重大な副作用(血栓症など)
頻度は低いですが、フリウェルを含むすべての経口避妊薬やホルモン剤には、血栓症などの重大な副作用のリスクがあります。
- 血栓症: 血管の中に血液の塊(血栓)ができ、血管を詰まらせてしまう病気です。
足の血管にできる深部静脈血栓症、肺の血管にできる肺塞栓症、脳の血管にできる脳梗塞、心臓の血管にできる心筋梗塞などがあります。
血栓症は命に関わることもあるため、初期症状を見逃さないことが非常に重要です。- 血栓症の初期症状(SOAPに注意!)
- S udden onset of S evere leg pain (突然の激しい脚の痛み、ふくらはぎの痛み・腫れ)
- O ptical disturbance (Ocular symptoms) (急な視力低下、視野狭窄)
- A cute chest pain (Abdominal pain) (突然の胸の痛み、息切れ、締め付けられるような痛み、ひどい腹痛)
- P ulmonary embolism (Peristent cough) (突然の息切れ、胸の痛み、深呼吸時の痛み、持続する咳)
これら以外にも、手足のしびれ、脱力、言語障害なども脳梗塞のサインである可能性があります。
特に喫煙者、肥満の方、高齢の方、長時間の座位・臥位が続く方(飛行機での移動など)、高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある方、血栓症の家族歴がある方などは、血栓症のリスクが高いとされています。
フリウェル服用中は、これらのリスク因子に注意し、必要に応じて医師に相談しましょう。 - その他の重大な副作用: 頻度は非常に稀ですが、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)、肝機能障害、高血圧、膵炎などが起こる可能性もゼロではありません。
副作用が出た場合の対処法
フリウェルを服用中に副作用が疑われる症状が出た場合は、まず服用を中止し、速やかに処方医または薬剤師に相談してください。
特に血栓症の初期症状(上記のSOAP)を少しでも感じたら、すぐに医療機関を受診し、フリウェルを服用中であることを伝えてください。
早期発見・早期治療が非常に重要です。
軽度な副作用(吐き気、頭痛など)であれば、体が慣れるまで様子を見たり、飲み方を工夫(食後、就寝前など)したりすることで改善することが多いです。
しかし、症状がつらくて我慢できない場合や、症状が続く場合も医師に相談し、必要に応じて他の薬剤への変更などを検討してもらいましょう。
自己判断で服用量を調整したり、中止したりすることは危険です。
フリウェルに避妊効果はある?
フリウェルは、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として承認されていますが、その作用機序(排卵抑制など)から、結果的に高い避妊効果も期待できます。
避妊目的での処方について
日本の健康保険制度において、フリウェルは月経困難症や子宮内膜症の「治療」目的の場合にのみ保険が適用されます。
避妊目的で使用する場合は、保険適用外となり、全額自己負担での購入となります。
避妊目的で保険適用されるのは、基本的に「経口避妊薬(OC)」として承認されている種類のピルです。
したがって、フリウェルを避妊目的のみで希望しても、保険診療としては処方されません。
しかし、月経困難症などの治療でフリウェルを服用している場合は、その治療効果に加えて、結果的に避妊効果も得られるということになります。
フリウェルによる避妊効果のメカニズム
フリウェルによる避妊効果は、主に以下の3つのメカニズムによってもたらされます。
- 排卵の抑制: フリウェルに含まれる女性ホルモンが脳に働きかけ、卵胞の成熟と排卵を促すホルモンの分泌を抑えます。
これにより、排卵が起こらなくなり、妊娠が成立する機会が失われます。
これが最も主要な避妊メカニズムです。 - 子宮頸管粘液の変化: 子宮の入り口にある頸管の粘液を変化させ、精子が子宮内に侵入しにくい状態にします。
粘液が粘り気を増し、精子の動きを妨げます。 - 子宮内膜の変化: 受精卵が着床するために必要な子宮内膜の増殖を抑制します。
もし万が一排卵が起こり受精したとしても、子宮内膜が十分に着床に適した状態になっていないため、妊娠が成立しにくくなります。
これらの複合的な作用により、正しく継続して服用することで、フリウェルは非常に高い確率で妊娠を防ぐことが期待できます。
ただし、飲み忘れなどがあった場合は、避妊効果が低下する可能性があります。
フリウェルが生理に与える影響
フリウェルは月経困難症や子宮内膜症といった月経に関連する疾患の治療薬であるため、生理の状態に様々な影響を与えます。
生理痛・月経痛の軽減
フリウェルを服用する最大の目的の一つが、生理痛の軽減です。
前述の通り、フリウェルは排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えることで、生理痛の原因となるプロスタグランジンの産生を減らします。
これにより、子宮の過度な収縮が抑えられ、生理痛が和らぎます。
多くの人が、服用開始後1~3ヶ月で生理痛の改善を実感します。
長年つらい生理痛に悩まされていた方にとって、フリウェルは症状を劇的に改善させる可能性のある薬剤です。
生理周期の調整と不正出血
フリウェルは、服用中にホルモンの変動をコントロールすることで、生理周期を非常に規則正しくします。
通常、21日間実薬を服用し、7日間の休薬期間(または偽薬を服用)を設けるサイクルで服用します。
休薬期間中に生理(正確には消退出血)が起こるように設計されているため、生理のタイミングを予測しやすくなります。
ただし、服用開始初期や、飲み忘れがあった場合には、予定外の時期に少量の出血が見られることがあります。
これを「不正出血」または「破綻出血」と呼びます。
これは体がホルモンバランスの変化に慣れていないために起こることが多く、多くの場合、服用を続けるうちに落ち着きます。
通常、量が少量で短期間であれば大きな心配はありませんが、出血量が多い場合や長期間続く場合は、他の原因も考えられるため、必ず医師に相談してください。
また、フリウェル服用中は子宮内膜が十分に厚くならないため、休薬期間中の出血量が生理前に比べて少なくなることが一般的です。
これもフリウェルによる正常な反応です。
フリウェルにジェネリックはある?
医薬品には、最初に開発・販売された「先発医薬品(新薬)」と、その特許期間満了後に同等の有効成分・効能効果で製造される「後発医薬品(ジェネリック)」があります。
ジェネリック医薬品は、開発コストがかからないため、先発医薬品よりも安価であることが多いです。
ジェネリック医薬品の現状
2024年6月現在、フリウェル配合錠LDおよびフリウェル配合錠ULDに相当するジェネリック医薬品(後発品)は、日本国内ではまだ承認・販売されていません。
したがって、現在日本でフリウェル配合錠LDまたはULDを処方される場合、製造販売元があすか製薬または持田製薬のオリジナル製品となります。
これらの製品は、先発品のような位置づけとなりますが、厳密には同じ成分・規格のものを複数社が製造販売している状況です。
今後、特許などの状況によりジェネリック医薬品が承認される可能性はありますが、現時点では選択肢としてジェネリックは存在しないことを理解しておきましょう。
そのため、フリウェルを服用する際の薬剤費は、オリジナル製品の価格に基づきます。
フリウェルの正しい飲み方・服用方法
フリウェルの効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限にするためには、正しい飲み方を守ることが非常に重要です。
必ず医師や薬剤師の指示に従って服用してください。
服用開始日とタイミング
フリウェルの服用は、通常、生理が始まった日(月経第1日目)から開始します。
これが標準的な飲み方です。
生理が始まった日から服用を開始することで、その周期から排卵を抑制し、早期に効果を得やすくなります。
ただし、医師の判断によっては、生理開始日以外の特定の日から服用を開始する場合もあります。
必ず医師から指示された開始日から飲み始めてください。
服用するタイミングは、毎日一定の時間を決めて服用することが推奨されます。
例えば、毎日夕食後や就寝前など、忘れにくい時間帯を選びましょう。
体内でのホルモン濃度を一定に保つことで、効果を安定させ、不正出血などの副作用を減らすことにつながります。
食前・食後どちらでも構いません。
水またはぬるま湯で服用してください。
お茶やジュース、アルコールなどで服用すると、薬の吸収に影響が出る可能性があるため避けた方が無難です。
フリウェルLD/ULDは、21錠の実薬(ホルモンを含む錠剤)と7錠の偽薬(プラセボ、ホルモンを含まない錠剤)または休薬期間を合わせた28日周期のシートになっています。
実薬を21日間連続して服用し、その後に7日間の偽薬または休薬期間を設けます。
この偽薬または休薬期間中に生理(消退出血)が起こります。
28日目を終えたら、出血の有無にかかわらず、新しいシートの1日目から服用を開始します。
これを繰り返すことで、規則正しい周期を維持します。
飲み忘れ時の対処法
フリウェルを飲み忘れると、効果が低下したり、不正出血が起こりやすくなったりする可能性があります。
飲み忘れに気づいたら、速やかに以下の指示に従ってください。
飲み忘れに気づいたタイミング | 対処法 |
---|---|
1日(24時間未満)の飲み忘れ | 気づいた時点で、すぐに飲み忘れた1錠を服用してください。 そして、その日以降の錠剤は、通常の服用時間に1錠ずつ服用してください。 例えば、いつも夜に服用している方が、朝に飲み忘れたことに気づいたら、朝すぐに1錠飲み、その日の夜も通常の時間に1錠飲みます。 つまり、1日に2錠飲むことになりますが問題ありません。 避妊効果は通常維持されます。 |
2日以上(48時間以上)の飲み忘れ | 気づいた時点で、すぐに直近の飲み忘れた1錠を服用してください。 その日以降の錠剤は、通常の服用時間に1錠ずつ服用し、現在のシートを最後まで飲み切ってください。 ただし、この場合は避妊効果が低下している可能性があります。 次の生理が来るまでは、コンドームなどの他の避妊法を併用する必要があります。 また、飲み忘れがあった周期に性交渉があった場合は、妊娠の可能性がないか注意が必要です。 次回の生理が来ない場合は、必ず医師に相談してください。 |
飲み忘れの状況によって対処法が異なりますので、必ず添付文書を確認するか、医師や薬剤師に相談してください。
自己判断は危険です。
特に、飲み忘れの期間が長い場合や、シートの後半に飲み忘れた場合などは、対応が異なることがあります。
フリウェルの禁忌・飲み合わせ
フリウェルは多くの方に有効な薬剤ですが、特定の状態や疾患を持つ方、あるいは特定の薬剤を服用中の方は、フリウェルを服用してはいけません(禁忌)または注意が必要です。
服用してはいけない方(禁忌)
以下に該当する方は、フリウェルを服用することで重篤な副作用(特に血栓症)のリスクが高まるため、原則として服用できません。
- 過去に血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞、心筋梗塞など)になったことがある方
- 血栓症のリスクが高い方:
- 血栓症のリスクを上昇させる遺伝的要因(プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン欠乏症など)がある方
- 抗リン脂質抗体症候群の方
- 手術後などで長期にわたり体を動かせない方
- 重度の高血圧症の方
- 糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症を伴う重症糖尿病の方
- 重度の弁膜症など、心臓に病気がある方
- 喫煙者で35歳以上の方(特にULDの場合、喫煙によるリスクが指摘されています)
- 前兆(オーラ)を伴う片頭痛がある方
- 原因不明の不正出血がある方: 重大な病気(子宮頸がん、子宮体がんなど)の可能性を除外するため、診断が確定するまでは服用できません。
- 重篤な肝機能障害や肝腫瘍がある方: 肝臓で代謝されるため、病状を悪化させる可能性があります。
- 乳がん、子宮内膜がん、またはそれらの疑いがある方、および過去にかかったことがある方: ホルモンの影響で病状が悪化する可能性があります。
- 診断の確定していない性器出血がある方:
- 妊婦または妊娠している可能性のある方、および授乳中の方: 胎児への影響や母乳への移行の可能性があるため、服用できません。
- フリウェル配合錠の成分に対して過敏症の既往歴がある方: アレルギー反応を起こす可能性があります。
これらの他にも、医師が不適当と判断した場合は服用できません。
必ず問診の際に、既往歴や現在の健康状態を正確に伝えてください。
併用注意薬・飲み合わせ
フリウェルは、他の薬剤やサプリメントと相互作用を起こすことがあります。
相互作用によって、フリウェルの効果が弱まったり、強まりすぎたり、他の薬剤の効果に影響が出たり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。
フリウェルを服用する際は、現在服用しているすべての薬剤(処方薬、市販薬、サプリメント、健康食品を含む)を医師や薬剤師に伝えてください。
相互作用が知られている薬剤の一部を以下に挙げます。
- 一部の抗生物質: (例: リファンピシン、テトラサイクリン系、ペニシリン系の一部)腸内細菌に影響を与え、フリウェルの成分の吸収を妨げ、効果を弱める可能性があります。
- 一部の抗てんかん薬: (例: フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン)フリウェルの代謝を促進し、効果を弱める可能性があります。
- 一部の抗ウイルス薬: (例: HIV治療薬の一部)相互に影響を及ぼす可能性があります。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品やサプリメント: フリウェルの代謝を促進し、効果を弱める可能性があります。
- 糖尿病治療薬: フリウェルが血糖値に影響を与える可能性があり、糖尿病治療薬の用量調整が必要になる場合があります。
- 副腎皮質ステロイド: ステロイドの効果を増強させる可能性があります。
- 三環系抗うつ薬: 抗うつ薬の効果を増強させる可能性があります。
これらの薬剤以外にも、相互作用を起こす可能性のある薬剤は多数あります。
必ず服用中の薬剤について医師や薬剤師に確認し、安全にフリウェルを服用してください。
また、フリウェル服用中に新たに他の薬剤を服用し始める際も、必ず医師や薬剤師に相談してください。
フリウェルに関するよくある質問
フリウェルについて、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
フリウェルは低用量ピルですか?
はい、フリウェルは一般的に「低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合錠(LEP)」に分類され、広義には低用量ピルの一種と言えます。
フリウェルLDは低用量、フリウェルULDは超低用量のホルモン量です。
ただし、日本においては、経口避妊薬(OC)とLEPは区別されています。
- OC(Oral Contraceptives:経口避妊薬): 主に避妊を目的として承認されているピル。
避妊目的で服用する場合は保険適用外。 - LEP(Low dose Estrogen Progestin:低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合錠): 月経困難症や子宮内膜症など、特定の疾患の治療を目的として承認されているピル。
これらの疾患の治療目的で服用する場合は保険適用。
フリウェルは後者のLEPに該当します。
そのため、月経困難症や子宮内膜症の治療として処方される場合は保険が適用されますが、避妊目的のみで処方される場合は保険適用外となります。
構造や成分は似ていますが、保険適用の有無という点で大きな違いがあります。
フリウェルを服用すると太る?体重増加は?
「ピルを飲むと太る」という話を耳にすることがありますが、これは多くの人にとって誤解です。
フリウェルを含む低用量ピルが、直接的に脂肪を増やして体重を著しく増加させるという科学的な根拠はほとんどありません。
ただし、ホルモンの影響で体内の水分貯留が起こりやすくなり、一時的にむくみを感じたり、体重がわずかに増加したりすることはあります。
これは水分によるものであり、脂肪が増えたわけではありません。
また、ホルモンバランスの変化によって食欲が増進する人もいるため、結果的に摂取カロリーが増えて体重が増加するというケースも考えられます。
体重の変化には個人差が大きく、フリウェルとの直接的な因果関係が明らかでない場合が多いです。
生活習慣(食事、運動など)の変化の方が、体重に与える影響は大きいと考えられます。
もし、フリウェルを服用し始めてから明らかに体重が増加し、心配な場合は、自己判断せずに医師に相談してください。
むくみであれば対策できる場合もありますし、他の原因がないか調べることもできます。
フリウェルの値段・費用は?
フリウェルは月経困難症や子宮内膜症の治療目的で処方される場合、健康保険が適用されます。
そのため、薬剤費は医療保険の種類に応じた自己負担割合(通常3割)となります。
具体的な薬剤費は、フリウェルLDかULDか、処方されるシート数、そして医療機関によって異なります。
- 薬剤費: 薬の公定価格(薬価)に基づいて計算されます。
フリウェルULDの方がLDより若干薬価が高い傾向があります。
おおよその薬価は、ULDで1シート(28錠)あたり2,000円〜3,000円台前半程度です(2024年6月現在の目安であり、改定されることがあります)。
自己負担3割であれば、1シートあたり600円〜1,000円程度になる計算です。 - 診察料: 医療機関を受診するたびに、初診料または再診料がかかります。
- 検査費用: 服用開始前や定期的に、血栓症などのリスク評価のために血液検査や問診などが行われることがあり、その費用がかかる場合があります。
これらの合計が、フリウェル処方にかかる費用となります。
例えば、1ヶ月分のフリウェル(1シート)を処方してもらう場合、合計で2,000円〜4,000円程度の費用が目安となることが多いようです。
これはあくまで一般的な目安であり、医療機関の方針や行う検査によって変動します。
正確な費用については、受診する医療機関に直接お問い合わせください。
(参考:DMMオンラインクリニックのシアリス記事には料金表がありますが、フリウェルはオンライン診療で処方される場合も、疾患治療としての保険適用か、避妊目的での自費診療かによって費用体系が異なります。
今回は一般的な保険適用の場合の費用について目安を記載します。)
項目 | 費用(目安、保険適用3割の場合) | 備考 |
---|---|---|
薬剤費(1シート) | 600円 ~ 1,000円程度 | フリウェルLD/ULD、薬価によって変動。 |
診察料 | 1,000円 ~ 2,000円程度 | 初診・再診、医療機関によって変動。オンライン診療の場合は無料の場合も。 |
検査費用 | 数百円 ~ 数千円程度 | 服用開始前や定期的な検査内容によって変動。 |
合計(1ヶ月分目安) | 2,000円 ~ 4,000円程度 |
※上記はあくまで目安であり、個別の状況や医療機関によって費用は大きく異なります。
まとめ|フリウェルは医師と相談して服用を
フリウェル配合錠LDおよびULDは、月経困難症や子宮内膜症によるつらい症状を緩和し、患者さんのQOL(生活の質)を改善するために非常に有効な薬剤です。
排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑えることで、生理痛の軽減、不正出血の改善、生理周期の規則化、子宮内膜症の進行抑制といった効果が期待できます。
また、結果的に高い避妊効果も得られますが、避妊目的のみでの処方は保険適用外となります。
フリウェルには、吐き気や頭痛といった比較的軽度な副作用から、血栓症のような稀ではあるものの注意が必要な重大な副作用のリスクも存在します。
特に血栓症については、初期症状を把握しておくこと、リスク因子を持つ方は慎重に服用を検討すること、そして定期的な医師の診察を受けることが重要です。
フリウェルは医師の処方箋が必要な医療用医薬品であり、個々の健康状態や既往歴、体質などを総合的に判断した上で、服用可能かどうか、どの種類のフリウェルが適しているかなどが決定されます。
自己判断での服用や中止は危険です。
必ず専門医の診察を受け、正しい診断と適切な処方、そして服用に関する十分な説明を受けてから治療を開始してください。
服用中も、気になる症状があればすぐに医師や薬剤師に相談することが大切です。
フリウェルを正しく理解し、医師との連携のもと、安心して治療を進めていきましょう。
免責事項:
この記事は、フリウェルに関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の症状や病状の診断、治療を推奨するものではありません。
フリウェルの服用にあたっては、必ず医師の診察を受け、専門家の指示に従ってください。
記事中の情報は、医学の進歩や研究結果により変更される可能性があります。
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