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ヤーズフレックスの効果を解説|生理痛・避妊・副作用まで

ヤーズフレックスは、月経困難症や子宮内膜症に伴う痛みの改善に用いられる超低用量ピルです。
これらの症状に悩む多くの方にとって、QOL(生活の質)の向上に役立つ選択肢の一つとなります。
しかし、その効果や正しい飲み方、起こりうる副作用、そして避妊効果の有無については、正確な情報を得ることが非常に重要です。

この記事では、ヤーズフレックスについて、どのような効果が期待できるのか、どのように服用すればよいのか、また気になる副作用や避妊効果について詳しく解説します。
服用を検討されている方や、現在服用中の方の疑問解消に役立てば幸いです。
ただし、ヤーズフレックスは医師の処方が必要な薬であり、服用にあたっては必ず医師の診察を受ける必要があります。

ヤーズフレックスは、黄体ホルモンであるドロスピレノンと卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオールベタデクスを配合した配合剤(ピル)です。
特に、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛の治療を目的として開発された「超低用量ピル」に分類されます。
従来のピルに比べてホルモン量が非常に少なく抑えられているのが特徴です。

ヤーズフレックスの最大の利点は、最長120日間(4シート)連続で服用できる点にあります。
これにより、生理の回数を減らすことが可能となり、月経困難症や子宮内膜症による症状に長期間アプローチできます。

月経困難症の治療

月経困難症とは、生理期間中に下腹部や腰の痛み、吐き気、頭痛、疲労感など、日常生活に支障をきたすほどの症状が現れる状態です。
生理痛の主な原因の一つに、子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質の過剰な分泌があります。

ヤーズフレックスを服用することで、排卵が抑制され、子宮内膜の増殖が抑えられます。
これにより、プロスタグランジンの産生が減少し、生理痛の原因にアプローチすることができます。
その結果、下腹部痛や腰痛といった痛みを和らげる効果が期待できます。
また、子宮内膜が厚くならないため、生理の経血量が減少することも多く、生理期間中の不快感を軽減する効果もあります。

子宮内膜症に伴う疼痛の改善

子宮内膜症は、本来子宮の内側にあるはずの子宮内膜組織が、卵巣や腹膜など子宮以外の場所にできてしまう病気です。
この異所性子宮内膜組織も生理周期に合わせて増殖と剥離を繰り返すため、炎症や癒着を引き起こし、激しい生理痛や慢性的な骨盤痛、性交痛などの原因となります。

ヤーズフレックスは、ホルモンバランスを調整することで、異所性子宮内膜組織の増殖を抑え、活動を鎮静化させる働きがあります。
これにより、子宮内膜症に伴う疼痛(生理痛や慢性骨盤痛など)の改善が期待できます。
連続服用により生理の回数を減らすことで、病巣への刺激を減らし、症状のコントロールにつながります。

目次

ヤーズフレックスの飲み方と休薬期間

ヤーズフレックスは、正しく服用することが非常に重要です。
一般的なOC(経口避妊薬)とは異なる独自の服用方法があります。

基本的な服用方法

ヤーズフレックスは、通常、1日1錠を毎日決まった時間に服用します。
これを最大120日間(4シート)連続で服用します。
これは、従来の21錠+7日間休薬や24錠+4日間偽薬といったタイプのピルとは異なる点です。

服用開始日は、通常生理が始まった日(生理周期の1日目)から始めます。
1シートは28錠入りで、全て実薬(ホルモンが含まれている錠剤)です。

出血時の対応と休薬ルール

ヤーズフレックスを連続服用している間に、不正出血が起こることがあります。
これは、ホルモン量が少ない超低用量ピルでは比較的よく見られる現象です。
出血の量や日数によって対応が変わります。

  • 出血が少ない場合(軽微な出血): 飲み続けられる範囲であれば、そのまま服用を継続します。
  • 出血がある程度続く場合(休薬を検討): 出血が4日間連続して続いた場合、またはそれよりも早くても出血量が気になる場合は、3日間または4日間休薬します。
    休薬期間中に消退出血(生理のような出血)が起こることがあります。
  • 休薬期間の終了: 3日または4日の休薬期間が終わったら、出血が続いていてもいなくても、新しいシートの錠剤を続けて服用します。
  • 120日間の連続服用後: 不正出血の有無にかかわらず、120日間連続で服用した後は、4日間休薬します。
    休薬後、新しいシートの服用を開始します。

このように、ヤーズフレックスは、出血パターンを見ながら休薬期間を設ける「フレキシブル服用」と、120日間きっちり連続服用する「定周期服用」を組み合わせて使用することが可能です。
医師の指示に従って、ご自身の出血パターンや症状に合わせて服用方法を調整することがあります。

飲み忘れた場合の対処法

ヤーズフレックスを飲み忘れた場合の対処法は、飲み忘れたタイミングや錠数によって異なります。
添付文書や医師・薬剤師の指示をよく確認することが重要です。
一般的な目安は以下の通りですが、必ずご自身の処方内容と照らし合わせてください。

  • 1錠飲み忘れに気づいた場合:
    • 気づいた時点で、すぐに飲み忘れた1錠を服用します。
    • その日の本来の服用時間になったら、通常通り1錠を服用します。
    • つまり、1日に2錠服用することになります。
    • 以降は通常通り服用を継続します。
  • 2錠以上飲み忘れに気づいた場合:
    • 飲み忘れた期間が長いほど、ホルモン量が低下し、出血が起こったり、期待される効果が弱まる可能性があります。
    • 気づいた時点で、直近の飲み忘れ1錠を服用し、それ以前の飲み忘れ分は服用しません。
    • その日の本来の服用時間になったら、通常通り1錠を服用します。
    • 以降は通常通り服用を継続しますが、出血が起こる可能性が高まります。
    • 連続服用を中断し、医師に相談して今後の服用について指示を仰ぐ必要がある場合もあります。
      特に、休薬期間を設けるべきか、このまま服用を続けるべきかなどを相談しましょう。

飲み忘れが頻繁に起こると、ホルモンバランスが不安定になり、不正出血が増えたり、月経困難症や子宮内膜症の症状が再燃する可能性があります。
毎日決まった時間に服用することを習慣づけることが大切です。
服用時間が不規則になりがちな場合は、スマートフォンのアラーム機能などを活用するのも良い方法です。

ヤーズフレックスの副作用・不正出血について

ヤーズフレックスを含むピルには、いくつかの副作用が報告されています。
多くは軽度で一時的なものですが、中には注意が必要な副作用もあります。

起こりうる主な副作用

ヤーズフレックスの主な副作用としては、以下のような症状が報告されています。

  • 不正出血(消退出血以外の出血): 最もよく見られる副作用です。
    特に服用開始から数ヶ月の間や、連続服用を続けている期間に起こりやすい傾向があります。
  • 頭痛
  • 乳房の張りや痛み
  • 吐き気、腹痛
  • 下痢
  • 感情の不安定さ、抑うつ気分
  • ニキビ
  • 体重増加

これらの副作用は、体が薬剤に慣れるにつれて軽減していくことが多いですが、症状が重い場合や長く続く場合は、医師に相談してください。

不正出血の原因と対応

ヤーズフレックスで最も頻繁に報告されるのが不正出血です。
これは病的な出血ではなく、薬剤のホルモン作用によって子宮内膜が不安定になるために起こると考えられています。
特に、ヤーズフレックスは生理の回数を減らすために連続服用を基本としているため、従来のピルよりも不正出血を経験する割合が高い傾向があります。

不正出血は、主に以下のような場合に起こりやすいです。

  • 服用開始初期(最初の数シート): 体がホルモンバランスの変化に慣れていないため。
  • 連続服用中: 子宮内膜が薄くなりすぎたり、部分的にもろくなることで出血しやすくなる。
  • 飲み忘れや不規則な服用: ホルモン量の変動が大きくなるため。

不正出血があっても、出血量が少ない場合や、すぐに止まるようであれば、服用を継続して問題ないことがほとんどです。
前述したように、出血が4日間連続して続く場合や、出血量が多い・気になる場合は、医師の指示に従って休薬期間を設けることで出血をコントロールできる場合があります。

ただし、以下のような場合は、不正出血の原因がヤーズフレックスによるものではない可能性も考えられるため、必ず医師に相談が必要です。

  • 服用開始から長期間経っても不正出血が頻繁に、または大量に続く場合
  • 出血と同時に強い腹痛がある場合
  • 性交後の出血がある場合

これらの症状は、他の婦人科疾患(子宮頸がん、子宮体がん、子宮筋腫など)の可能性も否定できないため、医師による診断が必要です。
自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。

血栓症のリスクと注意すべき症状

ヤーズフレックスを含むピルの最も重要な副作用の一つに、血栓症(血の塊が血管を詰まらせる病気)のリスク上昇があります。
特に、ヤーズフレックスに含まれる黄体ホルモンであるドロスピレノンは、他の黄体ホルモンを含むピルと比較して、血栓症のリスクがやや高い可能性が指摘されています(ただし、その差は小さいとも言われています)。
超低用量製剤であるため、従来の低用量ピルや中用量ピルよりはリスクは低いとされていますが、ゼロではありません。

血栓症は、体の様々な場所に起こりうる命に関わる病気です。
特に、以下のような症状が現れた場合は、血栓症の初期症状(SOSサイン)である可能性があるため、すぐに服用を中止し、救急医療機関を受診してください。

  • ふくらはぎの痛み・腫れ・赤み:深部静脈血栓症の可能性
  • 突然の息切れ、胸の痛み:肺血栓塞栓症の可能性
  • 手足のしびれ・麻痺、ろれつが回らない、視力・視野の異常:脳血栓症(脳梗塞)の可能性
  • 突然の激しい頭痛:脳出血の可能性(血栓症とはメカニズムが異なりますが、ピル服用中は注意が必要です)
  • 胸部の痛み:心筋梗塞の可能性
  • 意識障害

これらの症状は、血栓症が急速に進行しているサインかもしれません。
ためらわずにすぐに医療機関に連絡し、ピルを服用していることを伝えてください。

血栓症のリスクは、ピルの服用だけでなく、以下のような因子によっても高まります。

  • 喫煙:特に35歳以上で1日15本以上喫煙する方は、ピル服用による血栓症のリスクが著しく高まるため、ヤーズフレックスは原則として禁忌となります。
  • 肥満(BMI 30以上)
  • 血栓症の家族歴
  • 長時間同じ姿勢でいること(旅行、デスクワークなど)
  • 手術
  • 特定の疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症、特定の血液疾患など)

ヤーズフレックスを服用する際は、医師に自身の既往歴や家族歴、生活習慣などを正確に伝えることが非常に重要です。
医師はこれらの情報をもとに、ヤーズフレックスが適しているかどうかを判断し、血栓症のリスクについて十分に説明を行います。
服用中も、定期的に診察を受け、体の状態をチェックしてもらうことが大切です。

ヤーズフレックスに避妊効果はある?他のピルとの違い

ヤーズフレックスを服用する上で、多くの方が疑問に思われるのが「避妊効果」についてです。
結論から言うと、ヤーズフレックスは日本の添付文書上、避妊目的の薬剤としては承認されていません

ヤーズフレックスは避妊目的の薬剤ではない

ヤーズフレックスの日本の添付文書に記載されている効能・効果は「月経困難症」および「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」です。
低用量・超低用量ピルに含まれるホルモンには排卵を抑制する作用があるため、結果として避妊効果も期待できますが、ヤーズフレックスはあくまで治療薬として開発・承認されています。

これは、ヤーズフレックスのホルモン量が超低用量であること、そして柔軟な服用方法(最大120日間連続服用や、出血パターンによる休薬調整)が、避妊目的で使われるOC(経口避妊薬)とは異なるためです。
OCは通常、厳密な周期で服用し、飲み忘れなく服用することで高い避妊効果が得られますが、ヤーズフレックスの服用方法では避妊効果がOCほど確実ではないと考えられています。

したがって、ヤーズフレックスを服用している間も、避妊を希望する場合は、コンドームを使用するなど、別の避妊法を併用する必要があります。
避妊を主目的とする場合は、避妊薬として承認されているOCについて医師に相談してください。

ヤーズ(従来のピル)との違い

ヤーズフレックスの名前が似ているピルに「ヤーズ」があります。
ヤーズフレックスは、このヤーズを改良した薬剤です。
主な違いは、1シートに含まれる実薬の錠数と、それに伴う服用方法、そして連続服用できる期間にあります。

項目 ヤーズ(従来のピル) ヤーズフレックス
有効成分 ドロスピレノン、エチニルエストラジオール ドロスピレノン、エチニルエストラジオールベタデクス
1シート構成 24錠(実薬)+4錠(偽薬) 28錠(すべて実薬)
服用方法 24日間実薬服用+4日間偽薬服用(28日周期) 最長120日間(4シート)連続実薬服用+4日間休薬(出血パターンによる調整も)
連続服用期間 最大28日間 最大120日間
生理回数 年13回程度(従来のピルと同等) 年4回程度以下に減らせる可能性がある
日本の効能・効果 月経困難症 月経困難症、子宮内膜症に伴う疼痛の改善
避妊目的 避妊目的でも使用される(承認あり) 避妊目的では承認されていない

このように、ヤーズフレックスは、特に月経困難症や子宮内膜症による症状を軽減し、生理の回数を減らしたい方に適した薬剤と言えます。
ヤーズも月経困難症の治療薬ですが、ヤーズフレックスの方がより長期間連続服用できるという点で優れています。

また、超低用量ピルには、ヤーズフレックス以外にもルナベルULD、フリウェルULD、ジェミーナなどがあります。
それぞれ含まれる黄体ホルモンの種類や配合量、連続服用できる期間などが異なります。
どの薬剤が適しているかは、症状、体質、副作用の出やすさなどを考慮して医師が判断します。

ヤーズフレックスはどんな人が服用対象?

ヤーズフレックスは、特定の疾患を持つ方や状態の方を対象とした薬剤です。
誰もが服用できるわけではありません。

服用できる方

ヤーズフレックスの服用対象となるのは、主に以下の疾患で医師がヤーズフレックスによる治療が適切と判断した方です。

  • 月経困難症
  • 子宮内膜症に伴う疼痛

これらの疾患の診断があり、症状の程度や他の治療法との比較などを踏まえて、医師がヤーズフレックスによるホルモン療法が適していると判断した場合に処方されます。
通常は、初経を迎えた後の女性で、閉経前の期間に使用されます。

服用できないケース

ヤーズフレックスは、以下に該当する方は原則として服用できません(禁忌)。
重篤な副作用が起こるリスクが高いためです。

  • 本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある方
  • 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはその既往歴のある方
  • 血栓症があらわれやすいと判断される方
    • 遺伝性または後天性の血栓性素因(プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、アンチトロンビン欠乏症、活性化プロテインC抵抗性、高ホモシステイン血症、抗リン脂質抗体症候群など)がある方
    • 手術後または産後などで、血栓症のリスクが高い期間の方
  • 35歳以上で1日15本以上の喫煙者:血栓症のリスクが著しく高まるため
  • 前兆を伴う片頭痛のある方:脳血管障害のリスクが高まるため
  • コントロールできない高血圧(収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧100mmHg以上)の方:脳血管障害のリスクが高まるため
  • 糖尿病性腎症や糖尿病網膜症などの血管病変を伴う糖尿病患者の方
  • 重篤な肝障害またはその既往歴のある方:薬剤の代謝が正常に行われないため
  • 診断が確定していない異常性器出血のある方:悪性腫瘍の可能性を否定できないため
  • 妊娠または妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方

上記以外にも、心臓病、腎臓病、脂質代謝異常、乳がんや子宮体がんの既往歴や家族歴、特定の精神疾患など、慎重な投与が必要なケース(慎重投与)があります。
これらの情報は、診察時に医師に正確に伝える必要があります。
医師はこれらの情報をもとに、ヤーズフレックスの服用が安全であるか、他に適切な薬剤はないかを総合的に判断します。

ヤーズフレックスの価格・費用目安

ヤーズフレックスは、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として承認されているため、これらの疾患で処方される場合には医療保険が適用されます。

保険適用について

ヤーズフレックスの保険適用は、医師が「月経困難症」または「子宮内膜症に伴う疼痛」の治療のために処方した場合に限られます。
これらの診断がない場合や、単に生理の回数を減らしたい、といった目的での処方には保険が適用されません。

保険適用の場合、自己負担額は通常、医療費の3割となります(年齢や所得によって異なる場合があります)。

診察料・処方箋料

ヤーズフレックスを処方してもらうためには、医師の診察が必要です。
診察料や処方箋料も保険適用となりますが、これらは医療機関の種類(病院かクリニックかなど)や初診か再診かによって異なります。

  • 薬剤費(1シートあたり): ヤーズフレックスの薬価(薬剤の公定価格)は定められています。
    薬価は改定されることがありますが、おおよそ1シートあたり2,000円〜3,000円程度です。
    3割負担の場合、1シートあたり600円〜900円程度が目安となります。
  • 診察料・処方箋料: 初診時は2,000円〜3,000円程度、再診時は1,000円〜2,000円程度が目安となることが多いです(全て3割負担の場合)。

したがって、ヤーズフレックスを処方してもらう際の1ヶ月あたりの総費用は、薬価+診察料・処方箋料の合計の3割負担分となります。
例えば、再診で1シート処方してもらう場合、1ヶ月あたり2,000円〜3,000円程度が目安となることが多いです。
これはあくまで目安であり、医療機関によって費用は異なります。
正確な費用については、受診する医療機関にご確認ください。

ヤーズフレックスを通販で購入できる?

ヤーズフレックスは、医師の処方が必要な「処方箋医薬品」です。
そのため、薬局やドラッグストアで自由に購入することはできません
また、インターネット通販などによる個人輸入も非常に危険であり、推奨できません

国内での入手方法

ヤーズフレックスを国内で入手するための唯一の正規ルートは、医療機関を受診し、医師の診察を受けて処方してもらうことです。
月経困難症や子宮内膜症の治療を行っている婦人科や、一部の内科などで相談できます。

最近では、オンライン診療に対応しているクリニックも増えています。
初診からオンラインで診察を受け、ヤーズフレックスが処方可能と判断されれば、自宅まで薬剤を配送してもらうことができます。
仕事などで忙しく、通院が難しい方にとっては便利な選択肢と言えます。
ただし、オンライン診療であっても、必ず医師による問診やビデオ通話などでの診察が必要です。
安易に薬が送られてくるわけではありません。

海外通販(個人輸入)の危険性

インターネット上には、ヤーズフレックスやそれに類似するピルを海外から個人輸入できるとするサイトが多数存在します。
しかし、これらのサイトを利用してヤーズフレックスを入手することは、以下のような非常に大きなリスクを伴います。

  • 偽造薬の可能性: 個人輸入された医薬品の中には、有効成分が含まれていなかったり、表示とは異なる成分が含まれていたり、不純物が混入していたりする偽造薬が多数存在します。
    このような偽造薬を服用しても効果が得られないばかりか、健康被害や重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
  • 品質の保証がない: 適切な製造・品質管理基準を満たしているか不明です。
    保管状態が悪く、品質が劣化している可能性もあります。
  • 副作用時の補償がない: 国内の医療機関で医師の処方を受けて適切に使用したにもかかわらず、重篤な副作用によって健康被害が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」によって医療費などの給付を受けることができます。
    しかし、個人輸入した医薬品による健康被害は、この制度の対象外となります。
  • 自己判断によるリスク: 医師の診断なしに自己判断で服用すると、自身の体質や既往歴、現在服用している他の薬との飲み合わせなどにより、予期しない副作用や健康被害が起こるリスクが高まります。
    特に、血栓症などの重篤な副作用を見落とす可能性があります。

これらの理由から、ヤーズフレックスを海外通販や個人輸入で入手することは絶対にやめましょう。
必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けて安全な薬剤を処方してもらってください。
ご自身の体を守るために、正規のルートで適切な医療を受けることが最も重要です。

ヤーズフレックスに関するよくある質問

ヤーズフレックスについて、よく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

ヤーズフレックスとピルの違いは何ですか?

ヤーズフレックスは「超低用量ピル」の一種です。
ピル全体の中の分類の一つと言えます。
一般的なピル(OC:経口避妊薬)との主な違いは、含まれるホルモン量が非常に少ないこと、そして最長120日間連続服用が可能である点です。
また、日本の添付文書上の効能・効果は避妊ではなく、月経困難症と子宮内膜症の治療に限定されています。

ピルには、ホルモン量の違いで高用量、中用量、低用量、超低用量があり、目的(避妊、月経困難症治療、子宮内膜症治療など)や含まれるホルモンの種類によって様々な種類があります。
ヤーズフレックスは、これらのピルの中でも特に治療に特化し、生理回数を減らすことで症状を軽減することを目指した薬剤です。

ヤーズフレックスはどんな人が飲みますか?

ヤーズフレックスは、主に月経困難症や子宮内膜症に伴うつらい生理痛や骨盤痛などに悩んでいる女性で、医師がヤーズフレックスによる治療が適切と判断した方が服用します。
特に、生理の回数を減らすことで症状をコントロールしたい方や、従来の低用量ピルで不正出血が改善しなかった方に検討されることがあります。

ただし、年齢や既往歴、喫煙習慣などにより服用できない場合や、慎重な検討が必要な場合がありますので、ご自身の状態について必ず医師に相談してください。

ヤーズフレックスを服用すると生理はどうなる?

ヤーズフレックスを連続服用している間は、基本的に生理は来ません。
従来の28日周期のピルで見られるような、定期的な消退出血(生理のような出血)は起こらなくなります。

代わりに、連続服用中に不正出血が起こることがあります。
前述したように、不正出血が続いた場合は、医師の指示に従って3日間または4日間休薬期間を設けることで、消退出血を起こさせ、子宮内膜の状態をリセットします。
120日間連続服用した後は、不正出血の有無にかかわらず必ず4日間休薬し、消退出血を起こさせます。

このように、ヤーズフレックスの服用中は、生理の回数を大幅に減らすことができ、不正出血や休薬期間に起こる消退出血が主な出血パターンとなります。
生理痛に悩む方にとっては、生理がない、または回数が少ない状態が続くことで、症状の軽減に繋がります。

ヤーズフレックスは避妊効果がある?

日本の添付文書上の効能・効果は「月経困難症」および「子宮内膜症に伴う疼痛の改善」であり、避妊目的の薬剤としては承認されていません
ヤーズフレックスに含まれるホルモンには排卵を抑制する作用があり、結果として避妊効果も期待できますが、その効果は避妊薬として承認されているOC(経口避妊薬)ほど確実ではないと考えられています。

ヤーズフレックスを服用中も、避妊を希望する場合は、コンドームなどの他の避妊法を併用する必要があります。
避妊を主目的としてピルを服用したい場合は、避妊薬として承認されているOCについて医師に相談してください。

まとめ|ヤーズフレックスの服用は医師へ相談を

ヤーズフレックスは、月経困難症や子宮内膜症に伴うつらい生理痛や骨盤痛を和らげ、生理の回数を減らすことで、これらの症状に悩む方の生活の質を改善する効果が期待できる薬剤です。
最長120日間の連続服用という独自の飲み方が特徴で、従来のピルでは症状が十分に改善しなかった方にとって、有効な選択肢となり得ます。

しかし、ヤーズフレックスはホルモン剤であり、服用には不正出血や血栓症といった副作用のリスクが伴います。
特に血栓症は重篤な副作用であるため、その初期症状を知っておくこと、そして血栓症のリスク因子がある場合は必ず医師に伝えることが重要です。
また、ヤーズフレックスは避妊目的の薬剤ではないため、避妊を希望する場合は別の避妊法を併用する必要があります。

ヤーズフレックスは医師の処方が必須の薬剤であり、ご自身の判断で服用を開始したり中止したりすることはできません。
服用を検討されている方、現在服用中で不安がある方は、必ず医療機関を受診し、医師に相談してください。
医師は、あなたの症状、体質、既往歴などを総合的に判断し、ヤーズフレックスが適しているか、安全に服用できるかを判断します。

ご自身の体の状態について正確な情報を医師に伝え、疑問点や不安な点を遠慮なく質問することが、安全かつ効果的な治療につながります。

免責事項: この記事はヤーズフレックスに関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。
薬剤の服用にあたっては、必ず医師の診断を受け、医師や薬剤師の指示に従ってください。
この記事の情報によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。

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