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知っておくべき!女性と男性の症状の違い【性別で病気はこう違う】

心臓病は、日本人の死因の上位を占める深刻な病気ですが、その症状は必ずしも典型的なものばかりではありません。
特に、男性と女性では、心臓病のサインが異なる傾向があることが分かっています。
この記事では、性別による心臓病の症状の違いを中心に、見過ごしやすい初期症状や注意すべきサインについて詳しく解説します。
ご自身の健康状態を把握し、早期発見・早期治療に繋げるための参考にしてください。

心臓病と聞くと、「胸が締め付けられるように痛む」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
確かにこれは代表的な症状の一つですが、特に女性の場合、男性とは異なる症状が現れることが少なくありません。
この性別による症状の違いを知っておくことは、心臓病の早期発見において非常に重要です。

女性に多く見られる心臓病の症状

女性の心臓病では、男性に比べて非典型的な症状が多く見られるとされています。
これは、女性の血管構造やホルモンバランス、さらには微小血管の機能障害などが関連していると考えられています。
典型的な胸痛が少なく、一見心臓とは関係なさそうな症状が現れることがあるため、注意が必要です。

息切れ

女性の心臓病で比較的多く見られる症状の一つに「息切れ」があります。
これは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な酸素を送れなくなるために起こります。
特に、少し体を動かしただけ、あるいは安静時でも息切れを感じるようになった場合は注意が必要です。
以前は平気だった動作で息が切れる、横になると息苦しさが増すなどもサインかもしれません。
これは、心臓が肺に送り返す血液の処理が滞り、肺に水分が溜まりやすくなる肺うっ血が原因で起こることもあります。
慢性的な息切れは、心臓だけでなく他の呼吸器系の疾患の可能性もありますが、心臓病のサインとして見過ごさないことが大切です。

吐き気や嘔吐

心臓病と聞いて吐き気や嘔吐を結びつける人は少ないかもしれませんが、特に女性の心筋梗塞などで、これらの症状が現れることがあります。
胃の不調や食あたりと間違えられやすいため、見過ごされるケースも少なくありません。
胸痛がなくても、原因不明の吐き気や嘔吐が続く場合、特に他の症状(息切れや倦怠感など)と同時に現れた場合は、心臓病の可能性も考慮する必要があります。
心臓の下部にある心臓の壁に異常が起きた場合、その痛みが迷走神経を刺激し、吐き気として感じられることがあるためです。

背中、首、顎の痛み

心臓の痛みは、胸部だけでなく、体の他の部位に放散することがあります。
特に女性では、背中、首、あるいは顎の痛みとして感じられることがあります。
これらの痛みは、虫歯や肩こり、寝違えなどと間違えられがちですが、運動したりストレスを感じた時に痛みが増したり、休息すると改善するといった特徴がある場合は、心臓病(特に狭心症)の可能性を疑う必要があります。
痛みの場所がはっきりせず、漠然とした不快感として現れることもあります。

倦怠感や疲労感

原因不明の強い倦怠感や疲労感も、女性の心臓病のサインとして見られることがあります。
特に、十分な休息を取っても改善しない慢性的な疲労感は注意が必要です。
これは、心臓の機能低下により、全身に十分な血液や酸素が行き渡らなくなるために起こります。
日常生活に支障をきたすほどの強い疲労感を感じるようになった場合は、専門医に相談することが推奨されます。

消化不良のような症状

心窩部(みぞおち)の不快感や胃もたれのような症状も、女性の心臓病、特に心筋梗塞のサインとして現れることがあります。
これも吐き気と同様に、胃腸の不調と間違えられやすいため注意が必要です。
特に、労作時やストレス時に症状が現れる、あるいは他の心臓病の症状(息切れなど)と同時に現れる場合は、心臓病の可能性を疑う必要があります。

男性に多く見られる心臓病の症状

男性の場合、心臓病の症状は比較的典型的な胸の痛みとして現れることが多いとされています。
これは、冠動脈の中でも比較的太い血管に動脈硬化が進みやすい傾向があることや、女性ホルモンの影響が少ないことなどが関係していると考えられます。

典型的な胸の痛み(圧迫感や締め付け感)

男性の心臓病、特に狭心症や心筋梗塞の最も代表的な症状は、胸の痛みです。
この痛みは、「胸を強く押さえつけられるような」「締め付けられるような」「焼けるような」と表現されることが多いです。
痛みの場所は胸骨の裏側あたりに感じることが多く、左胸だけでなく中央や右胸に感じることもあります。
通常、労作時(階段を上る、重い荷物を持つなど)や精神的なストレスがかかった時に現れ、休息すると数分で治まるのが狭心症の特徴です。
一方、心筋梗塞の場合は、この痛みが30分以上続き、休息しても治まらない激しい痛みとなります。

左腕への放散痛

心臓の痛みは、胸部から体の他の部位に広がることがあります。
男性の場合、特に左腕や左肩にかけて痛みが広がる「放散痛」が比較的よく見られます。
痛みが左腕全体に広がったり、指先にまで及んだりすることもあります。
これは、心臓からの神経が、左腕や左肩からの神経と同じ脊髄の領域に集まっているために起こると考えられています。
まれに右腕や両腕に痛みが広がることもあります。

冷や汗

心臓病の発作時には、強い痛みや不快感に伴って冷や汗をかくことがあります。
特に、心筋梗塞のように重篤な発作の場合、顔色が悪くなり、冷や汗が全身から噴き出すこともあります。
これは、体の防御反応や自律神経の乱れによって起こると考えられます。

男女共通で見られる心臓病の症状

性別に関わらず、心臓病の可能性を示唆する共通の症状も多く存在します。
これらの症状が現れた場合も、心臓に何らかの異常がある可能性を疑い、医療機関に相談することが重要です。

動悸

心臓がドキドキする、脈が速くなる、あるいは脈が飛ぶような不規則な感じ(不整脈)を自覚することを動悸といいます。
運動や緊張によって一時的に動悸がするのは生理的な反応ですが、安静時に突然動悸が始まる、動悸が長時間続く、あるいは動悸に伴って他の症状(めまい、息切れなど)がある場合は、心臓病のサインである可能性があります。

めまいやふらつき

心臓のポンプ機能が低下し、脳への血流が一時的に減少すると、めまいやふらつきを感じることがあります。
立ちくらみのような一時的なものから、意識が遠のくような強いめまいまで様々です。
特に、動悸や息切れなどの他の心臓病の症状と同時に現れる場合は注意が必要です。

失神

一時的に意識を失ってしまう状態を失神といいます。
心臓が突然止まったり、非常に遅くなったり、あるいは速くなりすぎたりして、脳への血流が極端に低下した場合に起こります。
失神は、不整脈や弁膜症など、様々な心臓病の重篤なサインである可能性があります。
失神を経験した場合は、必ず早急に医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。

性別による心臓病の症状の違い(まとめ)

症状 男性に多い傾向 女性に多い傾向 男女共通で見られる可能性
胸の痛み 典型的な圧迫感・締め付け感(労作時・安静時) 典型的な胸痛は少ない、あるいは軽い不快感の場合も あり(非典型的な痛みや不快感として)
息切れ あり 特に安静時や軽い労作時にも現れやすい あり(進行した心臓病で)
放散痛 左腕への放散が多い 背中、首、顎への放散が多い あり(胸部以外の痛みとして)
吐き気・嘔吐 あり(重症の場合) 比較的よく見られる あり(他の消化器症状と間違われやすい)
倦怠感・疲労 あり 原因不明の慢性的な疲労として現れやすい あり
消化器症状 あり(重症の場合) 消化不良のような不快感として現れやすい あり
動悸 あり あり 比較的よく見られる
めまい・ふらつき あり あり 比較的よく見られる
失神 あり あり 重篤なサインとして見られる可能性

この表は一般的な傾向を示すものであり、必ずしも全ての人に当てはまるわけではありません。
男性でも非典型的な症状が現れたり、女性でも典型的な胸痛が現れたりすることもあります。
重要なのは、いつもと違う体のサインに気づき、性別による違いも念頭に置きながら、心臓病の可能性を疑うことです。

目次

心臓病の初期症状や前兆

心臓病は突然発症するイメージがあるかもしれませんが、実際には病気がゆっくりと進行し、その過程で比較的軽度な初期症状や前兆が現れることがあります。
これらのサインを見逃さずに早期に対処することが、重篤な状態への進行を防ぐために非常に重要です。

息切れや軽い胸部不快感

心臓の機能がわずかに低下し始めた段階では、激しい運動をしない限り症状が出ないことが多いです。
しかし、以前は平気だった軽い運動(例: 坂道を歩く、階段を数段上る)で息切れを感じるようになったり、胸部に漠然とした軽い不快感や圧迫感を感じたりすることがあります。
これらは「歳のせいかな」「運動不足かな」と見過ごされがちですが、心臓が発している初期のサインかもしれません。
特に、これらの症状が繰り返し現れる場合は注意が必要です。

運動時の異常な疲労

心臓が全身に十分な血液を送れなくなると、筋肉に必要な酸素や栄養が供給されにくくなります。
その結果、少し体を動かしただけで異常な疲労を感じやすくなります。
以前は楽しめていたスポーツや趣味(ガーデニング、散歩など)で、すぐに疲れてしまったり、回復に時間がかかるようになったりした場合、心臓の機能低下が原因である可能性も考えられます。

夜間の咳

横になると息苦しさが増し、咳が出やすくなることがあります。
これは、心臓の機能低下により、肺に水分が溜まりやすくなる(肺うっ血)ために起こる症状の一つです。
特に、寝ている間に何度も咳き込んで目が覚めたり、夜中に体を起こすと楽になったりする場合は、心臓病(心不全など)の初期兆候である可能性があります。
風邪や気管支炎と間違えやすいですが、他の呼吸器症状(痰が多い、発熱など)がないのに続く場合は、心臓の病気を疑う必要があります。

これらの初期症状や前兆は、日常生活の中で見過ごしてしまいがちですが、体からのサインとして真剣に受け止めることが大切です。
特に複数の症状が組み合わさって現れる場合は、迷わず医療機関に相談しましょう。

心臓の不調で考えられるその他の症状

心臓病は、心臓自体だけでなく、全身に様々な影響を及ぼします。
ここでは、上記で触れた症状以外に、心臓の不調によって現れる可能性のある症状について解説します。

不規則な心拍

動悸と関連しますが、脈拍が速くなったり遅くなったり、あるいは規則性がなくなったりする「不整脈」は、様々な心臓病のサインとなります。
心臓が不規則に拍動することで、全身への血流が不安定になり、めまいやふらつき、息切れ、さらには失神を引き起こすこともあります。
自分で脈を測ってみて、明らかに遅い(1分間に50回以下)や速い(100回以上)、あるいはリズムがバラバラだと感じた場合は、注意が必要です。
特に、自覚症状がなくても、健康診断などで不整脈を指摘された場合は、精密検査が必要になることがあります。

むくみ(特に足首や足)

心臓のポンプ機能が低下し、全身の血液循環が悪くなると、体液が血管外に漏れ出しやすくなり、むくみ(浮腫)が現れます。
特に重力の影響を受けやすい足首や足にむくみが生じることが多いです。
朝はむくんでいないのに、夕方になると靴下の跡がくっきりつく、あるいは押してもなかなか戻らないといったむくみが続く場合は、心不全の可能性を疑う必要があります。
肺に水分が溜まる肺うっ血と同様に、全身の体液貯留を示すサインです。
顔や手、お腹などにむくみが広がることもあります。

心臓閉塞(冠動脈疾患)の主な症状

心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が、動脈硬化などによって狭くなったり詰まったりする病気を「冠動脈疾患」といいます。
これには、冠動脈が一時的に狭くなって血流が悪くなる「狭心症」と、完全に詰まって心臓の筋肉が壊死してしまう「心筋梗塞」があります。
これらの病気は、命に関わる可能性があるため、その症状を知っておくことは非常に重要です。

狭心症の症状

狭心症の最も典型的な症状は、労作時やストレス時に現れる一過性の胸痛です。
しかし、症状の現れ方にはいくつかのタイプがあります。

  • 労作性狭心症: 運動や精神的な興奮など、心臓に負荷がかかった時に胸痛が現れ、休息すると数分以内に治まります。階段を上る、速く歩く、重い荷物を持つなどの動作が引き金になることが多いです。寒冷時や食後に症状が出やすいこともあります。
  • 安静時狭心症: 労作とは関係なく、安静にしている時に胸痛が現れます。特に夜間から早朝にかけて起こることがあります。冠動脈のけいれん(れん縮)によって起こることが多く、異型狭心症とも呼ばれます。
  • 不安定狭心症: 以前は安定していた労作性狭心症の症状が、より軽い労作で起こるようになったり、頻度が増えたり、あるいは安静時にも起こるようになった状態です。これは、心筋梗塞に進展するリスクが高い危険なサインであり、早急な医療機関の受診が必要です。

狭心症の痛みは、典型的な圧迫感や締め付け感だけでなく、焼けるような感じ、重苦しい感じ、あるいは漠然とした不快感として現れることもあります。
また、胸痛を伴わず、みぞおちの痛み、首や顎の痛み、左腕の痛み、息切れ、だるさなどの非典型的な症状だけが現れることもあります(これを「無痛性心筋虚血」と呼びます)。

心筋梗塞の症状

心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まり、心臓の筋肉の一部が壊死してしまう重篤な病気です。
狭心症と比較して、より激しく、より持続的な症状が現れます。

  • 持続する激しい胸痛: 胸の痛みは狭心症よりも強く、通常30分以上続き、休息しても治まりません。痛みは「ハンマーで殴られたような」「焼け火箸を押し付けられたような」と表現されるほどの激痛であることが多いですが、高齢者や糖尿病患者などでは、痛みが軽度であったり、全く感じなかったりする場合もあります。
  • 放散痛: 胸痛が左肩、左腕、顎、首、背中などに広がる放散痛を伴うことが多いです。
  • 他の症状: 激しい胸痛に伴って、冷や汗、吐き気、嘔吐、息切れ、顔面蒼白などが現れることがよくあります。
  • 意識障害: 重症の場合、血圧が低下して意識がもうろうとしたり、失神したりすることもあります。

心筋梗塞は、発症から治療開始までの時間が非常に重要です。
これらの症状が現れた場合は、一刻も早く救急車を呼び、専門的な治療を受けられる医療機関を受診する必要があります。
「少し様子を見よう」とためらっているうちに、心臓の筋肉のダメージが広がり、命に関わる事態に繋がる可能性があります。

狭心症と心筋梗塞の症状の比較

症状の側面 狭心症(安定型) 心筋梗塞
痛みの性質 圧迫感、締め付け感、重苦しさ、焼ける感じ 激しい圧迫感、締め付け感、引き裂かれるような痛み
痛みの強さ 比較的軽度から中程度 非常に強い(ただし個人差あり)
痛みの持続時間 数分〜15分程度 30分以上
痛みの誘因 労作時、ストレス時(安静時もある) 通常誘因なく突然発症(労作時もあり)
休息による変化 休息すると速やかに改善 休息しても改善しない
他の症状 息切れ、放散痛など 冷や汗、吐き気、息切れ、顔面蒼白、意識障害など
緊急性 高い(特に不安定狭心症) 非常に高い(生命に関わる)

軽度の心臓病でも現れる可能性のある症状

重篤な心臓病でなくても、心臓に何らかの異常がある場合、比較的軽度な症状が現れることがあります。
これらは、見過ごされやすいサインであると同時に、早期に発見できれば適切な管理や治療によって重症化を防げる可能性も高まります。

例えば、心臓弁膜症の初期段階では、疲れやすい、息切れしやすいといった症状が現れることがあります。
弁膜症とは、心臓の中にある弁の動きが悪くなり、血液の流れが滞ったり逆流したりする病気です。
病気が進行すると、心不全の症状が現れますが、初期には些細な症状しか出ないことが多いです。

また、期外収縮のような軽度の不整脈の場合、普段は自覚症状がなくても、疲れている時や寝不足の時に「ドキッとする」「一瞬脈が飛ぶ感じがする」といった動悸を感じることがあります。
多くの場合は心配のない不整脈ですが、中にはより重篤な不整脈や他の心臓病のサインである可能性もあるため、医療機関で相談することが推奨されます。

さらに、高血圧や高脂血症などの生活習慣病も、それ自体は心臓病ではありませんが、心臓病の大きなリスク因子となります。
これらの病気は自覚症状がほとんどないことが多いため、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれます。
健康診断などで指摘された場合は、放置せずに適切な管理を行うことが、将来的な心臓病予防に繋がります。

性別で症状が異なる理由

なぜ心臓病の症状は男性と女性で異なる傾向があるのでしょうか?
その理由はいくつか考えられています。

  • 血管の構造と病変のタイプ: 男性は比較的太い冠動脈に動脈硬化が進み、狭窄や閉塞を起こしやすい傾向があります。これにより、典型的な胸痛が生じやすいと考えられています。一方、女性は男性に比べて血管全体が細く、比較的太い血管の閉塞だけでなく、微小な血管(心臓の筋肉内にある細い血管)の機能異常(微小血管機能障害)や動脈硬化が症状の原因となることが多いとされています。微小血管の異常は、典型的な胸痛ではなく、全身のだるさや息切れ、消化器症状などの非典型的な症状として現れやすいと考えられています。
  • ホルモンの影響: 女性ホルモン(エストロゲン)は、血管を保護する働きがあると考えられています。閉経前の女性では、心臓病の発症リスクが男性よりも低い傾向がありますが、閉経後には女性ホルモンが減少し、心臓病のリスクが高まります。女性ホルモンの影響は、心臓病のタイプや症状の現れ方にも影響を与えている可能性があります。
  • 炎症反応や血小板凝集性の違い: 性別によって、動脈硬化の進行に関わる炎症反応や、血栓ができやすさに関わる血小板の性質に違いがある可能性が指摘されています。
  • 病気の受容と表現: 社会的・文化的な要因も関係している可能性があります。女性は男性に比べて、体の不調を「気のせい」「疲れているだけ」と我慢したり、症状を周囲に伝えにくかったりする傾向があるかもしれません。また、症状の表現の仕方が男性とは異なる可能性もあります。

これらの要因が複合的に影響し合い、心臓病の症状が性別によって異なる傾向を生み出していると考えられています。
女性の場合、典型的な胸痛がないからといって心臓病の可能性を否定できないことを認識しておくことが重要です。

どのような症状が出たら病院を受診すべきか

心臓病の症状は多岐にわたり、他の病気と間違えやすいものも少なくありません。
しかし、放置すると命に関わる事態に繋がることもあります。
ここでは、どのような症状が現れたら医療機関を受診すべきかについて解説します。

緊急性が高い症状

以下の症状が現れた場合は、心筋梗塞などの重篤な心臓病の可能性が高く、一刻も早く救急車を呼ぶか、緊急性の高い対応ができる医療機関を受診する必要があります。

  • 突然の激しい胸痛: 胸を強く押さえつけられるような、あるいは締め付けられるような激しい痛みが突然始まり、30分以上続く。
  • 胸痛に伴う冷や汗、吐き気、息切れ: 激しい胸痛と同時に、冷や汗が全身から噴き出す、吐き気や嘔吐がある、呼吸が非常に苦しいといった症状が現れる。
  • 痛みが広がる放散痛: 激しい胸痛が左肩、左腕、顎、首、背中などに広がっていく。
  • 意識が遠のく、失神: 心臓のポンプ機能が急激に低下し、脳への血流が途絶え、意識を失う。
  • 突然の強い息切れ: 安静にしている時や少し体を動かしただけで、急に呼吸が困難になる。

これらの症状は、心筋梗塞などの緊急性の高い病態を示唆している可能性があります。
ためらわずに救急車を呼ぶなど、迅速な行動が非常に重要です。

緊急性のある症状でなくても、以下のような症状が繰り返し現れたり、徐々に悪化したりする場合は、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが推奨されます。

  • 以前より疲れやすくなった、少し動いただけで息切れがする。
  • 胸部に漠然とした不快感や圧迫感を感じることがある(労作時や安静時)。
  • 背中、首、顎などに原因不明の痛みや不快感がある(労作時や安静時)。
  • 動悸(脈が速い、遅い、不規則)を頻繁に感じるようになった。
  • めまいやふらつきを繰り返し経験する。
  • 足首や足のむくみが続く。
  • 横になると息苦しくなり、咳が出るようになった。

これらの症状は、狭心症、心不全、不整脈、弁膜症など、様々な心臓病のサインである可能性があります。
早期に診断を受け、適切な治療や生活習慣の改善を行うことで、病気の進行を遅らせたり、重篤な合併症を防いだりすることができます。

定期的な健康診断の重要性

心臓病の中には、自覚症状がないまま進行するものも少なくありません。
特に高血圧、高脂血症、糖尿病といった心臓病のリスク因子となる生活習慣病は、初期にはほとんど症状が現れません。
これらのリスクを早期に発見し、管理するためには、定期的な健康診断が非常に重要です。

健康診断では、血圧測定、心電図検査、血液検査(コレステロール値、血糖値など)が行われ、心臓病のリスクを評価する上で貴重な情報が得られます。
健康診断で異常を指摘された場合は、必ず精密検査を受けるようにしましょう。

また、家族に心臓病の人がいる、喫煙習慣がある、肥満であるなど、心臓病のリスクが高い方は、積極的に医師に相談し、必要に応じて専門的な検査を受けることを検討することも大切です。
自覚症状がなくても、リスクを把握し、生活習慣の改善に取り組むことが、将来の心臓病予防に繋がります。

【まとめ】性別による症状の違いを知り、適切な受診を

心臓病の症状は、男性と女性で異なる傾向があることがお分かりいただけたかと思います。
男性に多い典型的な胸痛だけでなく、女性に多く見られる息切れ、吐き気、背中や顎の痛み、倦怠感といった非典型的な症状も、心臓病の重要なサインです。

心臓病は早期発見と早期治療が非常に重要な病気です。
ここでご紹介した症状の中に、ご自身や大切な人に当てはまるものがないか、改めて確認してみてください。
もし気になる症状がある場合は、「歳のせい」「気のせい」と決めつけず、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることを強くお勧めします。
特に、緊急性の高い症状(激しい胸痛、冷や汗、失神など)が現れた場合は、迷わず救急車を呼んでください。

また、自覚症状がなくても、定期的な健康診断を受け、ご自身の心臓病リスクを把握し、生活習慣の改善に取り組むことが、健康な心臓を守るために欠かせません。
性別による症状の違いを理解し、体のサインに注意を払うことで、心臓病という大きな病気からご自身を守ることに繋がります。

免責事項
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に関する診断や治療方針を示すものではありません。症状に不安がある場合は必ず専門の医療機関を受診してください。

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