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パニック障害の人に言ってはいけない言葉|関係を壊さない正しい接し方

パニック障害は、突然強い不安や恐怖に襲われ、動悸や息苦しさなどの身体症状を伴うパニック発作を繰り返す病気です。
この病気と向き合う方々は、発作の恐怖だけでなく、「また起きたらどうしよう」という予期不安や、「発作が起きたらどう思われるだろう」という周囲からの視線への恐れなど、様々な苦しみを抱えています。
しかし、病気への理解が十分でない場合、無意識のうちにかけてしまう言葉が、当事者を深く傷つけ、孤立させてしまうことがあります。
この記事では、パニック障害の方が言われてつらいと感じる言葉や、その理由、そして大切な方を支えるための適切な接し方について詳しく解説します。
正しい知識を持つことで、パニック障害の方とのより良い関係を築き、回復へのサポートができるようになります。

目次

なぜその言葉がパニック障害の方を傷つけるのか

パニック障害は、気の持ちようや甘えではなく、脳機能の偏りや自律神経の乱れなどが関係する病気です。
発作が起きている時は、コントロールしようと思ってもできない強い苦痛を伴います。
この病気の特性を理解しないまま不用意な言葉をかけることは、当事者が抱える見えない苦しみを否定し、追い詰めることになりかねません。

パニック障害の人が抱える本当の苦しみとは

パニック障害の方が抱える苦しみは、単に発作時の身体症状だけではありません。
発作が起きる場所や状況に対する恐怖(広場恐怖)から行動範囲が狭まり、外出や人との交流が困難になることがあります。
また、「いつ発作が起きるか分からない」という強い予期不安に常に苛まれ、日常生活に大きな支障をきたします。

  • 身体的な苦痛: 発作時の動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、手足のしびれ、震えなど、死の恐怖を感じるほどの激しい身体症状。
  • 精神的な苦痛: 「また発作が起きるのではないか」という強い予期不安、自信の喪失、自己肯定感の低下、うつ症状の併発。
  • 社会的な苦痛: 広場恐怖による引きこもり、仕事や学業への影響、人間関係の構築や維持の困難、病気への偏見や無理解による孤立。

これらの苦しみは、外見からは分かりにくいため、周囲に理解されにくい傾向があります。
そのため、心ない言葉は、当事者が抱える深い絶望感や孤独感をさらに増幅させてしまうのです。

症状への理解不足からくるNG表現

パニック障害に対する理解が不足していると、「怖い」「辛い」という当事者の訴えを「大げさ」「気のせい」と捉えがちです。
これは、目に見える傷や病気ではないため、「大丈夫そうに見えるのに、なぜ苦しむのだろう?」という疑問や、「自分も似たような経験はあるけれど、そこまでではない」という比較から生じることがあります。

しかし、パニック発作の経験がない人にとって、その突然襲ってくる激しい恐怖や身体症状は想像を絶するものです。
パニック障害は、ストレスや疲労などが引き金になることはあっても、根本は脳の機能的な問題であり、精神力でどうにかできるものではありません。
この病気のメカニズムや症状の多様性を理解していないと、「もっとしっかりしなよ」「考えすぎだよ」といった、病気を個人の性格や努力不足に結びつけるような、当事者の心を深く傷つける言葉を選んでしまう可能性が高くなります。

パニック障害の人に言ってはいけない具体的な言葉リスト

パニック障害の方への配慮が不足した言葉は、当事者の苦しみを否定し、孤立感を深めてしまいます。
ここでは、具体的にどのような言葉がNGなのか、その理由と共に解説します。

「考えすぎ」「気の持ちようだよ」など症状を否定する言葉

これらの言葉は、パニック障害を精神論や個人の受け止め方の問題だと捉えていることから生まれます。
しかし、パニック障害は脳の機能的な問題が関与する病気であり、当事者の意思や思考でコントロールできるものではありません。

  • 「考えすぎだよ」「気にしすぎ」
    理由:パニック発作や不安は、理性的な思考を超えて身体に起きる現象です。「考えすぎ」と言われると、「自分の苦しみは気のせいにされている」「理解してもらえない」と感じ、自己否定や孤立感を深めます。
  • 「気の持ちようだよ」「ポジティブに考えよう」
    理由:気持ちを切り替えれば治るかのように聞こえますが、病気である以上、本人の努力だけでは限界があります。「気の持ちよう」でどうにかなるなら、当事者はとっくにそうしています。この言葉は、病気を軽視し、当事者の努力不足を責めているように感じさせてしまいます。
  • 「大丈夫、心配ないよ」
    理由:励ましのつもりでも、当事者は「大丈夫じゃないから苦しんでいるのに」「私の苦しみを分かってもらえない」と感じてしまいます。特に発作が起きている最中や予期不安が強い時にこの言葉をかけられると、苦しみを否定されているように聞こえます。

「また?」「こんなところで困るよ」など発作や状況を責める言葉

パニック発作は予測不可能で、いつどこで起きるか分かりません。
人前や特定の場所で起きてしまうことに対して、当事者自身が最も強い罪悪感や自己嫌悪を感じています。
そのような状況で責めるような言葉をかけることは、当事者を追い詰め、次に発作が起きた際に助けを求めることを躊躇させてしまいます。

  • 「またパニックになってるの?」
    理由:繰り返す発作に当事者自身が一番苦しんでいます。「また?」という言葉には、呆れや非難のニュアンスが含まれているように感じられ、発作を起こすこと自体が悪いこと、迷惑なことだと感じさせてしまいます。
  • 「こんなところでパニックにならないでよ」
    理由:発作が起きる場所や状況をコントロールできないのがパニック障害です。「こんなところで」という言葉は、周囲に迷惑をかけているという当事者の罪悪感を刺激し、さらに不安を高めてしまいます。
  • 「早く落ち着いてよ」「しっかりして」
    理由:発作中は身体のコントロールが難しく、すぐに落ち着くことはできません。これらの言葉は、当事者の苦しみを理解せず、一方的に改善を求めるように聞こえ、プレッシャーや無力感を与えます。

「頑張って」「乗り越えられる」など安易な精神論やアドバイス

頑張ることで回復できる側面もありますが、病気に対して「頑張る」という言葉は時に逆効果になることがあります。
パニック障害の回復には、適切な治療と周囲の理解、そして本人が安心できる環境が不可欠です。
精神論だけで解決しようとするような安易なアドバイスは、当事者をさらに追い詰める可能性があります。

  • 「頑張ればきっと良くなるよ」
    理由:当事者はすでに病気と闘うために必死で「頑張って」います。この言葉は、回復しないのは「頑張りが足りないから」だと言われているように感じられ、自己肯定感を低下させます。
  • 「病気に負けないで」「気合いで乗り越えよう」
    理由:これも精神論に偏った言葉です。病気は気合いや精神力だけで治せるものではありません。このような言葉は、病気と闘うことの難しさを軽視し、当事者に過度なプレッシャーを与えます。
  • 「〜してみたら?」「〇〇が良いらしいよ」
    理由:良かれと思ってのアドバイスでも、当事者は既に様々な方法を試している場合があります。また、専門家でない人の安易なアドバイスは、かえって混乱させたり、自分を否定されているように感じたりすることがあります。特に、「薬はやめたほうがいい」「気晴らしに旅行に行けば?」など、病状や治療方針を無視したアドバイスは危険です。

「甘え」「誰にでもある」など病気や状態を軽視する言葉

これらの言葉は、パニック障害を病気として認識せず、個人の性格的な問題や一時的な不調だと捉えていることから生じます。
病気を軽視する言葉は、当事者の苦しみを過小評価し、適切なサポートから遠ざけてしまう可能性があります。

  • 「甘えてるだけじゃないの?」
    理由:パニック障害は精神的な弱さや甘えが原因ではありません。この言葉は、病気を個人の怠慢やわがままだと決めつけ、当事者を深く傷つけます。
  • 「誰にでもある不安だよ」「みんな同じように大変なんだから」
    理由:誰もが不安やストレスを感じますが、パニック障害の発作や予期不安は、日常的なレベルをはるかに超えるものです。「誰にでもある」と言われると、自分の苦しみは特別ではない、我慢するべきものだと感じ、病気と向き合う意欲を失わせてしまいます。
  • 「病気だってことを言い訳にしないで」
    理由:当事者は、病気によって行動が制限されたり、できないことが増えたりすることに苦悩しています。病気を言い訳にしているわけではなく、病気による制限の中で懸命に生きようとしています。この言葉は、当事者の努力や苦しみを否定し、人間性まで否定されたように感じさせてしまいます。

これらのNG言葉は、意図せず使われることが多いかもしれません。
しかし、パニック障害の方にとって、これらの言葉は「あなたの苦しみは理解できない」「あなたの存在は面倒だ」というメッセージとして伝わってしまう可能性があります。
言葉を選ぶ際には、病気への理解と、当事者の苦しみに寄り添う姿勢が重要です。

NGな言葉の例 なぜNGなのか(言われた側の気持ち)
「考えすぎ」「気の持ちようだよ」 私の苦しみは気のせいじゃない、努力でどうにかなる問題じゃないのに。
「また?」「こんなところで困るよ」 発作が起きることに私自身が一番苦しんでいるのに、迷惑だと言われているみたい。
「頑張って」「乗り越えられる」 もう十分頑張っているのに、これ以上どう頑張ればいいの?頑張りが足りないと言われているみたい。
「甘え」「誰にでもある」「言い訳にしないで」 これは病気なのに、私の弱さやわがままだと決めつけられている。苦しみを分かってもらえない。

パニック障害の人への適切な接し方

パニック障害の方をサポートするためには、どのような言葉をかけるかだけでなく、どのように接するかも非常に重要です。
病気への理解を深め、安心できる環境を提供することが、回復への大きな一歩となります。

パニック発作が起きた時の具体的な対応方法

パニック発作は突然起きるため、周囲にいる人が慌てず適切に対応することが大切です。
当事者は強い恐怖や身体症状に襲われているため、まずは安全を確保し、安心させることが最優先です。

  1. まずは落ち着いて見守る: 慌てたり騒いだりせず、落ち着いた態度を保ちます。当事者は不安でいっぱいですから、一緒に不安にならないことが重要です。
  2. 安全な場所に移動する: 可能であれば、人混みや騒がしい場所、閉鎖的な空間から、静かで落ち着ける場所に移動を促します。無理に移動させず、本人の意思を尊重します。
  3. 安心できる言葉をかける: 肯定的な短い言葉で安心させます。
    「大丈夫だよ、ゆっくり息をしよう」
    「私がそばにいるよ」
    「ここは安全だよ」
    「もうすぐ治まるからね」
    「落ち着いて、私の声を聞いて」
  4. 呼吸を促す: 過呼吸になっている場合は、ゆっくりと息を吐くことを促します。「吸うより吐くことを意識してね」などと具体的に声をかけます。一緒にゆっくり呼吸をするのも有効です。ペーパーバッグ法は現在は推奨されていません。
  5. 背中をさするなど物理的に寄り添う: 許可を得てから、背中をさすったり、手を握ったりすることで安心感を与えます。ただし、触られることを嫌がる場合もあるので、本人の反応を見ながら行います。
  6. 飲み物(水)を勧める: 可能であれば、少量の水をゆっくり飲むことを促します。
  7. 医療機関や救急車を呼ぶべきか確認する: 発作が初めての場合や、症状がいつもと違う場合、長く続く場合は、本人の意思を確認して医療機関への連絡や救急車の要請を検討します。普段からかかりつけ医や服用している薬について知っておくと安心です。
  8. 発作が治まった後もそばにいる: 発作が治まっても、当事者は疲労感や不安が残っています。「怖かったね」「辛かったね」などと共感する言葉をかけ、しばらくそばにいて休息させます。

日常生活で周囲ができるサポートのポイント

パニック障害の方の日常生活をサポートするためには、日頃からの理解と配慮が重要です。

  • 病気への理解を深める: パニック障害がどのような病気か、症状にはどのようなものがあるかを正しく理解しようと努めます。本人や家族から話を聞いたり、信頼できる情報源(医療機関のサイト、専門機関のパンフレットなど)で学んだりします。
  • 話を傾聴する: 当事者が不安や困っていることを話してくれたら、否定せず、批判せず、ただ耳を傾ける姿勢が大切です。「うんうん」「そうなんだね」と相槌を打ちながら、共感を示します。無理にアドバイスをする必要はありません。
  • 安心できる環境を作る: ストレスや疲労、特定の場所がトリガーになることがあります。可能な範囲で、当事者が安心して過ごせる環境を整えます。例えば、人混みを避ける、休息できる場所を確保するなどです。
  • 無理強いしない: 苦手な場所や状況に無理に行かせたり、苦手なことを無理強いしたりしません。当事者のペースを尊重し、できることから少しずつ挑戦することを応援します。
  • 治療を応援する: 病院への通院や服薬が必要な場合、それを否定したり、「薬に頼らない方が良い」といった安易なアドバイスをしたりしません。治療の継続を温かく見守り、応援する姿勢が大切です。
  • 変化に気づく: 当事者の体調や気分の変化に注意し、困っているサインに気づいたら声をかけやすい雰囲気を作ります。
  • プライバシーを尊重する: 病気について、本人の許可なく他の人に言いふらしたりしません。

家族やパートナー(恋人)に理解してほしいこと

家族やパートナーは、最も身近な存在として重要なサポート役になりますが、同時に大きな負担を感じることもあります。
お互いが心身共に健康でいるために、以下の点を理解することが大切です。

  • 病気は本人のせいではない: パニック障害は、性格や努力の問題ではなく、病気です。責めたり、批判したりしても何も解決しません。
  • 共に病気について学ぶ: 当事者と一緒にパニック障害について学び、病気のメカニズム、症状、治療法などを理解することで、不安を軽減し、適切な対応ができるようになります。
  • 正直な気持ちを伝える: サポートする側も、常に完璧でいる必要はありません。疲れた時や困った時は、正直に気持ちを伝え、一人で抱え込まないことが重要です。
  • 休息を取り、自分の時間も大切にする: サポートは長期にわたることもあります。自身の心身の健康も維持するために、適度に休息を取り、趣味や友人との時間を持つなど、自分の時間も大切にしましょう。
  • 専門機関や支援団体に相談する: 一人で抱え込まず、医師やカウンセラー、患者会、家族会などの専門機関や支援団体に相談しましょう。サポートする側へのアドバイスや情報提供を受けられます。
  • 小さな変化を褒める: 当事者が日常生活で少しでもできたこと、挑戦したことなど、小さな変化や努力に気づき、具体的に褒めることで、自信に繋がります。

パニック障害の人が言われて嬉しい言葉とは

パニック障害の方が言われて嬉しい言葉は、特別なものではありません。
当事者の苦しみに寄り添い、安心感や共感を与える言葉です。

  • 共感と受容を示す言葉:
    「辛かったね」「怖かったね」
    「しんどいね、大丈夫だよ」
    「どんなに苦しいか、想像することしかできないけど、話を聞くよ」
    「具合が悪い時は、遠慮なく言ってね」
  • 安心感を与える言葉:
    「私はここにいるよ」
    「そばにいるからね」
    「ゆっくりで大丈夫だよ」
    「無理しないでね」
    「慌てなくて大丈夫だよ」
  • 存在を肯定する言葉:
    「一緒にいられて嬉しいよ」
    「あなたのペースでいいんだよ」
    「あなたは大切な存在だよ」
  • 具体的なサポートを申し出る言葉:
    「何かできることはある?」
    「座れる場所を探そうか?」
    「飲み物、買ってくるね」
    「家まで送るよ」

これらの言葉は、当事者が孤立していると感じるのではなく、「理解されている」「受け入れられている」「一人ではない」と感じさせてくれます。
特別なアドバイスや解決策を示す必要はありません。
ただそばにいて、当事者の気持ちに寄り添う姿勢を示すことが、何よりも支えになります。

パニック障害について正しく知る

パニック障害への適切な接し方を実践するためには、病気について正しく理解することが不可欠です。
原因やトリガー、なりやすい人の特徴などを知ることで、当事者の言動の背景にあるものを理解しやすくなります。

パニック障害の本当の原因とトリガー

パニック障害の明確な単一の原因はまだ特定されていませんが、複数の要因が複合的に関与していると考えられています。

  • 生物学的要因:
    • 脳機能の偏り: 脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスの乱れが関与しているという説が有力です。扁桃体などの感情を司る部位の過活動なども指摘されています。
    • 自律神経系の過敏性: ストレスや特定の刺激に対して、心拍数増加、発汗、呼吸促進など、身体が過剰に反応しやすい体質。
    • 遺伝的要因: 家族にパニック障害や他の不安障害を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる傾向があります。
  • 心理的要因:
    • ストレス: 精神的なストレス(人間関係、仕事、学業など)や身体的なストレス(過労、睡眠不足、病気など)が発症や悪化の引き金となることがあります。
    • 過去のトラウマ: 過去の衝撃的な体験や継続的なストレスが影響している場合があります。
  • 環境要因:
    • 特定の場所や状況(満員電車、飛行機、閉鎖空間、人混みなど)がパニック発作のトリガーとなることがあります。これらの場所や状況で過去に発作を経験したことで、再び同じ状況で発作が起きるのではないかという予期不安が強まり、避けるようになる(広場恐怖)という悪循環が生じます。
    • カフェイン、アルコール、ニコチン、特定の薬物なども、パニック発作の引き金となる可能性があります。

原因は一つではなく、これらの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
そのため、治療も薬物療法と精神療法を組み合わせるのが一般的です。

パニック障害になりやすい人の特徴や苦手なこと

パニック障害になりやすい傾向を持つ人には、いくつかの特徴が見られることがあります。
ただし、これらはあくまで傾向であり、全ての人に当てはまるわけではありません。

  • 性格的な特徴:
    • 完璧主義で真面目: 物事を完璧にこなそうとし、自分に厳しい傾向があります。
    • 責任感が強い: 周囲の期待に応えようと無理をしがちです。
    • 心配性で不安を感じやすい: 将来のことや些細なことに対しても不安を感じやすい傾向があります。
    • 感受性が豊か: 他人の気持ちや場の空気を過度に察知し、影響を受けやすいことがあります。
    • 人に頼るのが苦手: 何でも自分で解決しようとし、ストレスや負担を溜め込みやすいです。
  • 身体的な特徴:
    • 疲れやすい、体力がない: 体調を崩しやすく、ストレス耐性が低い場合があります。
    • 過敏性腸症候群など自律神経の乱れやすい体質: 身体的な不調と精神的な不安が連動しやすい傾向があります。
  • 苦手なこと:
    • 特定の場所や状況: 過去に発作を経験した場所(満員電車、飛行機、映画館、美容院など)や、すぐに逃げ出せないような閉鎖空間、助けを求めにくい状況(一人での外出、遠出)が苦手になることが多いです。
    • 変化や不確実性: 予定外の出来事や、先の見えない状況に対して強い不安を感じやすいです。
    • 休息やリラックス: 常に緊張している状態が続きやすく、心身を十分に休ませることが苦手な場合があります。

これらの特徴や苦手なことを知ることは、当事者の行動や言動を理解する上で役立ちますが、「この特徴があるからパニック障害になる」と断定できるものではありません
あくまで傾向として捉え、個々の当事者の状況を丁寧に理解しようとする姿勢が大切です。

専門家からのアドバイス

パニック障害は適切な治療によって回復が見込める病気です。
もしご自身や大切な方がパニック発作や強い不安に悩んでいる場合は、迷わず専門家(精神科医、心療内科医、公認心理師など)に相談することをお勧めします。

専門家は、症状を正確に診断し、一人ひとりに合った治療計画を提案してくれます。
治療法には、不安を和らげる薬物療法や、パニック発作や不安への対処法を学ぶ認知行動療法などの精神療法があります。
これらの治療を適切に受けることで、発作の回数や強さを減らし、予期不安や広場恐怖を克服し、日常生活を取り戻すことが可能です。

また、家族や周囲の方々も、どのようにサポートすれば良いか、どのような点に注意すれば良いかなどについて、専門家から具体的なアドバイスを受けることができます。
正しい知識に基づいたサポートは、当事者の回復を力強く後押しします。
一人で悩まず、専門家の力を借りながら、病気と向き合っていくことが大切です。

まとめ:正しい知識と理解で支えましょう

パニック障害は、当事者にとって非常に苦しい病気です。
突然襲ってくる激しい発作の恐怖、いつまた起きるか分からないという予期不安、そして特定の場所や状況への恐怖(広場恐怖)は、日常生活を著しく困難にさせます。

この記事で見てきたように、「考えすぎ」「気の持ちよう」「頑張って」といった安易な言葉や、「また?」「こんなところで困る」と責めるような言葉は、当事者の苦しみを否定し、孤立感を深めてしまう可能性があります。

大切な方を支えるためには、パニック障害が病気であることを正しく理解し、当事者の苦しみに寄り添う姿勢が何よりも重要です。

  • NGな言葉を避け、共感と安心を与える言葉を選ぶ。
  • 発作時には落ち着いて安全を確保し、そばにいる。
  • 日常生活では、話を傾聴し、無理強いせず、治療を応援する。
  • 家族やパートナーは、一人で抱え込まず、自身のケアも大切にする。
  • 病気について共に学び、専門家のサポートを受ける。

パニック障害は、適切な治療と周囲の理解があれば、克服や症状の軽減が十分に可能な病気です。
あなたの温かい言葉と理解は、当事者にとって大きな希望となります。
正しい知識を持って、大切な方を共に支えていきましょう。

免責事項: この記事は情報提供を目的としており、医学的な診断や治療法を推奨するものではありません。ご自身やご家族の症状については、必ず医療機関で専門医の診察を受けてください。

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