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不正出血の原因は何?知っておきたいストレスや病気・受診の目安は?

不正出血は、多くの女性が経験する可能性のある症状です。
生理期間以外のタイミングで性器から出血があると、「何か悪い病気なのでは?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
不正出血の原因は多岐にわたり、病気が原因の場合もあれば、生理的な現象やホルモンバランスの乱れによるものもあります。

この記事では、不正出血の主な原因を、病気の有無や年代別に詳しく解説します。
出血の色や量から推測できる可能性、そして最も重要な「どんな時に病院を受診すべきか」についても具体的にご紹介します。
ご自身の症状と照らし合わせながら、正しい知識を身につけ、安心して対処できるようになりましょう。

不正出血とは、文字通り、月経期間以外に性器から出血がある状態を指します。
月経は通常、約25日から38日周期で起こり、期間は3日から7日程度とされています。
この月経期間とは異なる時期に出血が見られた場合、それは不正出血の可能性が高いと考えられます。

不正出血は、ごく少量の茶色い出血から、生理のように量が多い鮮血まで、その状態は様々です。
原因によって出血の種類も異なることがありますが、見た目だけで原因を断定することはできません。

不正出血の中には、排卵に伴う一時的なものや、妊娠初期の兆候など、生理的な範疇に入るものもあります。
しかし、一方で、子宮や卵巣などの病気が原因で起こることも少なくありません。
特に、がんはじめとした重篤な病気が隠れている可能性もあるため、自己判断はせず、気になる症状があれば医療機関に相談することが重要です。

目次

病気が原因ではない不正出血の原因

不正出血の中には、必ずしも病気が原因ではないものも存在します。
これらは比較的心配の少ないケースが多いですが、不安を感じる場合はやはり医療機関を受診するのが安心です。

ホルモンバランスの乱れによる出血

女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンによって大きく左右されています。
このホルモンバランスが乱れると、月経周期が不規則になったり、月経期間以外に出血が起こったりすることがあります。

ホルモンバランスの乱れによる不正出血は「機能性出血」とも呼ばれ、以下のような状況で起こりやすいです。

  • 思春期: ホルモン分泌機能が未熟で不安定なため、月経周期が安定せず、不正出血が見られることがあります。
  • 更年期: 卵巣機能が低下し、ホルモン分泌が大きく変動するため、不正出血が頻繁に見られるようになります。
    閉経が近づくにつれて不規則な出血が増えるのは、更年期における典型的な症状の一つです。
  • ピル(低用量経口避妊薬)服用時: 服用開始時や、飲み忘れ、服用の中止などによってホルモン環境が変動し、不正出血(ブレークスルー出血)が起こることがあります。
    通常は一時的なものです。
  • 黄体機能不全: 排卵後に分泌されるプロゲステロンの量が不足したり、効果が十分でなかったりする場合に起こります。
    黄体期(排卵から月経までの期間)が短くなったり、月経前に少量の出血が続いたりすることがあります。
  • 無排卵性月経: 排卵が起こらないにも関わらず、子宮内膜が剥がれて出血する状態です。
    ホルモンバランスの大きな乱れが原因で、周期が不規則になったり、ダラダラと出血が続いたりすることがあります。

ホルモンバランスの乱れによる出血は、原因を取り除くことや、ホルモン療法によって改善することが多いです。

生理的な出血(中間期出血・着床出血など)

病気ではない生理的な出血として、以下のものが挙げられます。

  • 中間期出血(排卵期出血): 月経と月経の中間あたり、つまり排卵期の頃に起こる出血です。
    排卵の際にホルモンバランスが一時的に大きく変動することで、子宮内膜の一部が剥がれて出血すると考えられています。
    少量の茶色い出血やピンク色の出血が見られることが多く、数日で治まります。
    全ての女性に起こるわけではありませんが、周期的に排卵期に見られる場合は生理的なものと判断できます。
  • 着床出血: 妊娠が成立する際に、受精卵が子宮内膜に着床する過程で起こる少量の出血です。
    月経予定日の数日前から予定日頃に見られることが多く、ごく少量でピンク色や茶色い出血が1~3日程度で終わることがほとんどです。
    月経と間違えやすいですが、通常の月経より量や期間が明らかに少ないのが特徴です。
    ただし、着床出血は全ての妊婦さんに起こるわけではありません。
  • 月経の終わりかけの出血: 月経の最終盤に見られる少量の茶色い出血やおりものに混じった出血は、古い血液が排出されている生理的な現象です。
    これは月経期間内の出血とみなされますが、長引くと不正出血と区別しにくいこともあります。

これらの生理的な出血は、通常は心配いりませんが、自己判断で「これだろう」と決めつけず、いつもと違うと感じたら医療機関に相談することが大切です。

妊娠初期に関連する出血

妊娠初期には、生理的な着床出血以外にも出血が見られることがあります。
これらも病気が原因ではない場合(ホルモンバランスの変動などによる一時的なもの)もありますが、中には注意が必要な状態も含まれます。

  • 妊娠初期の一時的な出血: 妊娠によってホルモン環境が大きく変化する際に、少量の出血が見られることがあります。
  • 子宮頸管からの出血: 妊娠初期は子宮頸部や膣の血流量が増加するため、軽い刺激(内診、性行為など)で出血しやすくなることがあります。
  • 切迫流産: 妊娠初期に出血や下腹部痛が見られる状態を指します。
    流産につながる可能性もあるため、安静などの対応が必要になることがあります。
    これは病的な状態とも言えます。
  • 子宮外妊娠(異所性妊娠): 受精卵が子宮腔以外の場所(卵管など)に着床してしまった状態です。
    進行すると腹痛や多量の出血を伴い、命に関わる危険性もあるため、緊急の対応が必要です。
    これも病的な状態です。

妊娠の可能性がある時期に不正出血が見られた場合は、必ずすぐに医療機関を受診してください。
自己判断は非常に危険です。

ストレスや生活習慣の影響

精神的なストレスや、無理なダイエット、睡眠不足、過労などもホルモンバランスを乱す要因となり、不正出血を引き起こすことがあります。

  • 精神的ストレス: 過度なストレスは、脳の視床下部から分泌されるホルモンに影響を与え、結果として卵巣からのホルモン分泌を乱します。
    これにより、月経周期が乱れたり、不正出血が見られたりします。
  • 過度なダイエット: 極端な食事制限や体重の急激な減少は、体の栄養状態を悪化させ、ホルモンバランスを崩壊させる可能性があります。
  • 睡眠不足・過労: 不規則な生活や慢性的な疲労も、ホルモンバランスの乱れにつながることがあります。

これらの生活習慣による不正出血は、原因となっている生活習慣を改善することで、自然に治まることが多いです。
しかし、背景に精神的な疾患が隠れている可能性や、ホルモンバランスの乱れが深刻な場合は、専門家のサポートが必要になることもあります。

病気が原因の不正出血の原因

不正出血の中には、婦人科系の病気が原因で起こるものも少なくありません。
中には早期発見・早期治療が重要な病気も含まれます。
不正出血が見られた場合は、自己判断せず医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。

子宮に関連する病気

子宮は、不正出血の最も一般的な発生源の一つです。
様々な病気が不正出血を引き起こす可能性があります。

子宮頸部びらん

子宮頸部(子宮の出口付近)の表面が、本来は子宮の内側にある細胞に覆われている状態です。
多くの場合は生理的なもので病気ではありませんが、この部分が炎症を起こしたり、刺激を受けたりすると出血しやすくなります。
性交後に出血が見られることもあります。

子宮頸管ポリープ

子宮頸管にできる良性の腫瘍です。
数ミリから1~2cm程度の大きさで、柔らかい組織です。
通常は無症状ですが、物理的な刺激(性交、内診など)が加わると出血したり、おりものに血が混ざったりすることがあります。
良性であるため、治療は切除が一般的です。

子宮筋腫・子宮腺筋症

  • 子宮筋腫: 子宮の筋肉組織にできる良性の腫瘍です。
    発生する場所や大きさによって症状は異なりますが、粘膜下筋腫など子宮の内腔に近い場所にできた筋腫は、月経量の増加(過多月経)や月経期間以外の不正出血の原因となることがあります。
    貧血を引き起こすほど出血が多くなる場合もあります。
  • 子宮腺筋症: 子宮内膜に似た組織が、子宮の筋肉層に入り込んで増殖する病気です。
    子宮全体が大きくなり、月経痛がひどくなったり、月経量が増加したりします。
    また、月経期間以外の不正出血が見られることもあります。

これらの病気は、不正出血だけでなく、強い月経痛や過多月経、貧血、不妊などの原因にもなり得ます。

子宮内膜症

子宮内膜に似た組織が、子宮腔以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖する病気です。
月経時にこれらの場所でも出血が起こり、強い痛みを引き起こします。
子宮や卵巣にできると、不正出血の原因となることもあります。
特に、卵巣にできた子宮内膜症性のう腫(チョコレートのう腫)は、大きくなると茎捻転などを起こす可能性もあり注意が必要です。

子宮頸がん・子宮体がん

不正出血で最も注意が必要な原因の一つが、子宮のがんです。

  • 子宮頸がん: 子宮の出口(頸部)にできるがんです。
    初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると性交時の出血や不正出血が見られるようになります。
    早期発見のためには、定期的な子宮頸がん検診が非常に重要です。
    ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされています。
  • 子宮体がん: 子宮の奥、子宮内膜から発生するがんです。
    不正出血は子宮体がんの最も代表的な症状であり、早期から見られることが多いです。
    特に、閉経後の不正出血は子宮体がんの可能性を強く疑う必要があります。
    月経がある世代でも発症しますが、閉経後の女性に多く見られます。
    子宮体がんも早期発見が重要であり、不正出血があった場合は必ず婦人科を受診し、検査を受ける必要があります。

がんによる不正出血は、初期には少量であったり、一時的であったりすることもありますが、進行すると出血量が増えたり、腹痛やおりものの異常を伴ったりすることがあります。

卵巣に関連する病気

卵巣は女性ホルモンを分泌する重要な臓器です。
卵巣の機能異常や腫瘍が、ホルモンバランスの乱れを引き起こし、結果的に不正出血を招くことがあります。

  • 卵巣機能不全: 卵巣からのホルモン分泌が正常に行われない状態です。
    エストロゲンやプロゲステロンの分泌が不安定になることで、月経周期が乱れたり、不正出血が見られたりします。
    多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などもホルモンバランスの異常を伴い、不正出血の原因となることがあります。
  • 卵巣腫瘍: 卵巣にできる腫瘍の中には、ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腫瘍)があり、これによりホルモンバランスが乱れて不正出血を起こすことがあります。
    良性・悪性に関わらず、腫瘍の種類によってはホルモン分泌に影響を与える可能性があります。

卵巣の病気は、不正出血以外にも、下腹部痛や膨満感、月経不順などの症状を伴うことがあります。

膣・外陰部に関連する病気

子宮だけでなく、膣や外陰部からの出血が不正出血として認識されることもあります。

  • 萎縮性膣炎: 女性ホルモンの低下により、膣の粘膜が薄く乾燥し、炎症を起こしやすくなる状態です。
    閉経後の女性に多く見られ、性交時や軽い刺激で出血したり、かゆみや痛みを伴ったりします。
  • 膣炎: 細菌や真菌などの感染によって膣に炎症が起こると、おりものが増加したり、不正出血が見られたりすることがあります。
  • 外陰部の傷や炎症: 外陰部にできた傷、炎症、湿疹などが原因で出血することがあります。
    見た目で出血源が確認できる場合もあります。

これらの原因による出血は、原因となっている炎症や傷を治療することで改善します。

性感染症

性感染症(STD)の中には、不正出血を引き起こすものがあります。

  • クラミジア感染症: 子宮頸管に感染すると、子宮頸管炎を起こし、性交後出血や不正出血が見られることがあります。
    自覚症状がないことも多いですが、進行すると骨盤内炎症性疾患を引き起こし、不妊の原因となる可能性もあります。
  • 淋菌感染症: クラミジアと同様に子宮頸管に感染し、不正出血やおりものの異常を伴うことがあります。
  • 尖圭コンジローマ、性器ヘルペスなど: 外陰部や膣に病変ができる性感染症でも、病変部からの出血が見られることがあります。

性感染症は放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、感染が疑われる場合はパートナーとともに検査・治療を受けることが重要です。

その他の全身性疾患

まれではありますが、婦人科系の病気以外に、全身性の病気が原因で不正出血が起こることもあります。

  • 血液凝固異常症: 血液を固める機能に問題がある病気の場合、月経期間以外にも出血が止まりにくかったり、不正出血が見られたりすることがあります。
  • 甲状腺機能異常症: 甲状腺ホルモンは月経周期にも影響を与えるため、機能亢進症や機能低下症によって月経周期が乱れたり、不正出血が見られたりすることがあります。
  • 抗凝固薬の服用: 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を服用している場合、出血しやすくなるため、不正出血が見られることがあります。

これらの全身性疾患が疑われる場合は、婦人科だけでなく、内科など他の専門医との連携が必要になります。

年代別に見る不正出血の主な原因

不正出血の原因は、女性のライフステージやホルモンバランスの変化に伴って、年代ごとに特徴的な傾向が見られます。

10代・20代の不正出血

この年代は、ホルモンバランスがまだ不安定であったり、生活環境が大きく変化したりすることが多い時期です。

  • ホルモンバランスの不安定: 初潮を迎えて間もない10代や、まだ月経周期が安定しない20代前半では、ホルモン分泌の未熟さや変動により、周期が乱れたり、排卵期出血などの生理的な出血が見られたりしやすいです。
    無排卵月経による不正出血も起こり得ます。
  • 妊娠・出産関連: 性交渉の経験がある場合、妊娠初期の出血や、流産、異所性妊娠など妊娠に関連する出血も考えられます。
    出産後、授乳中のホルモンバランスの変化による出血も見られます。
  • 性感染症: 性交渉の活発になる年代であり、性感染症(クラミジア、淋病など)による子宮頸管炎が不正出血の原因となることがあります。
  • ストレス・生活習慣: 受験、就職、引っ越しなど、環境の変化やストレスがホルモンバランスを乱し、不正出血を招くことがあります。
    無理なダイエットも原因となります。
  • 子宮頸部びらん: 性交経験がある女性に多く見られ、物理的な刺激で出血することがあります。

この年代の不正出血の多くはホルモンバランスの乱れや生理的なものですが、妊娠や性感染症、稀に子宮頸がん(特にHPVワクチンの未接種者)の可能性もあるため、放置せず婦人科を受診することが勧められます。

30代・40代の不正出血

この年代は、妊娠・出産を経験する方も多く、また婦人科系の病気のリスクが高まってくる時期です。

  • 妊娠・出産関連: 妊娠を希望している、あるいは妊娠中の場合、妊娠初期の出血や流産、切迫早産などの可能性があります。
  • 子宮筋腫・子宮腺筋症: 30代後半から40代にかけて発症率が高まり、過多月経や不正出血の原因となることが多くなります。
  • 子宮内膜症: この年代で診断されることが多く、不正出血や強い月経痛を伴います。
  • 子宮頸がん・子宮体がん: 子宮頸がんは20代後半から増え始め、30代でピークを迎えます。
    子宮体がんも40代後半から増加傾向が見られます。
    不正出血は、これらの病気の重要なサインである可能性があります。
  • ホルモンバランスの変動: 40代になると、閉経に向けて卵巣機能が緩やかに低下し始め、ホルモンバランスが変動しやすくなります。
    これにより、月経周期が乱れたり、不正出血が見られたりすることがあります(プレ更年期)。

この年代の不正出血は、生理的なものやホルモンバランスの変動によるものも多いですが、子宮筋腫・腺筋症、子宮内膜症といった良性疾患や、がんなどの悪性疾患が隠れている可能性も無視できません。
特に、出血が続く場合や量が多い場合は、早めに婦人科を受診し、検査を受けることが重要です。

更年期世代の不正出血

一般的に40代後半から50代にかけての時期を指します。
この時期の不正出血は、閉経前後のホルモンバランスの大きな変動によるものが多いですが、子宮体がんのリスクも高まるため、特に注意が必要です。

  • ホルモンバランスの大きな変動: 閉経に向けて卵巣機能が急激に低下し、ホルモン分泌が不安定になります。
    これにより、月経が不規則になったり、月経期間以外の不正出血が頻繁に見られるようになります。
    ダラダラと出血が続いたり、急に量が増えたりと、出血の仕方も不安定になりやすいです。
  • 萎縮性膣炎: エストロゲンの低下により膣の粘膜が薄くなり、乾燥して出血しやすくなります。
  • 子宮体がん: 閉経後の不正出血は、子宮体がんの最も重要なサインです。
    閉経後に出血が見られたら、「更年期だからだろう」と自己判断せず、必ず婦人科を受診して検査を受ける必要があります。
  • 子宮頸がん: 更年期以降も子宮頸がんのリスクはゼロではないため、定期的な検診は必要です。
  • 子宮筋腫・子宮腺筋症: 閉経とともに小さくなることが多いですが、まれに閉経後も残存したり、症状が出たりすることもあります。

更年期世代、特に閉経後の不正出血は、悪性腫瘍のサインである可能性が高いと考えられます。
そのため、この年代に出血が見られた場合は、出血量や色に関わらず、速やかに婦人科を受診することが最も重要です。

不正出血の色や量から原因は推測できる?

不正出血の色や量は、原因を推測するための一つの手がかりとなる場合があります。
しかし、あくまで可能性であり、色や量だけで正確な原因を断定することはできません。
必ず医師の診断が必要です。

鮮血・茶色い出血・少量・多量の場合

出血の状態から推測される可能性は以下の通りです。

  • 鮮血: 新しい出血であることを示唆します。
    子宮頸部や膣からの出血(傷、ポリープ、びらんなど)、子宮内膜からの新しい出血(排卵期出血、月経開始前兆、機能性出血、がんなど)の可能性があります。
    量多ければ、流産や異所性妊娠、子宮筋腫による過多月経の延長なども考えられます。
  • 茶色い出血: 古い血液が排出されていることを示唆します。
    出血してから時間が経った血液は酸化して茶色くなります。
    月経の終わりかけ、着床出血、ホルモンバランスの乱れによる少量の出血、子宮や膣に溜まっていた古い血液などが考えられます。
  • 少量: 排卵期出血、着床出血、ホルモンバランスの乱れによる一時的な出血、子宮頸部や膣の軽微な傷や炎症などが考えられます。
    がんの初期症状として少量の出血が見られることもあります。
  • 多量: 月経のような多量の出血が見られる場合は、ホルモンバランスの乱れによる機能性出血、子宮筋腫や子宮腺筋症による過多月経の延長、流産、異所性妊娠破裂などが考えられます。
    貧血のリスクもあるため、速やかに医療機関を受診すべき状態です。
出血の色/量 推測される可能性(例) 注意点
鮮血 子宮頸部・膣からの出血(びらん、ポリープ、傷)、新しい子宮内膜からの出血(機能性、がんなど)、流産、異所性妊娠破裂など 量が多い場合は緊急性の可能性も。がんの可能性も念頭に置く。
茶色い出血 古い血液の排出(月経後)、着床出血、ホルモンバランスの乱れ、子宮や膣に溜まった古い血液など 少量で一時的なら心配が少ないことが多いが、続く場合は原因確認が必要。
少量 排卵期出血、着床出血、ホルモンバランスの乱れ、軽微な傷・炎症 がんの初期症状である可能性もゼロではない。
多量 機能性出血、子宮筋腫・腺筋症による過多月経、流産、異所性妊娠破裂 貧血のリスク。緊急性の可能性も。
おりものに混じる 膣炎、子宮頸管炎(性感染症など)、子宮頸部びらん、子宮頸管ポリープ、子宮頸がんなど おりものの色や匂い、かゆみなどの他の症状もチェック。

繰り返しますが、これはあくまで一般的な傾向であり、例外も多く存在します。
自己判断は避け、不安な場合は必ず医療機関を受診してください。

不正出血があったら病院を受診すべき?

不正出血が見られたら、まずは落ち着いて、出血の量、色、いつから始まったか、どのくらいの期間続いているか、生理周期との関係、他に症状(腹痛、発熱、おりものの異常など)があるかなどを観察しましょう。
そして、ご自身の状況に合わせて医療機関を受診するかどうか判断することが大切です。

どんな時に受診が必要か?

以下のような場合は、速やかに婦人科を受診することが強く推奨されます。

  • 出血量が月経並みに多い、または月経より多い
  • 出血が少量でも、数日以上(目安として3~5日以上)続く
  • 出血が少量でも、繰り返して見られる
  • 出血とともに強い下腹部痛や腰痛がある
  • 発熱や悪臭のあるおりものを伴う
  • 閉経後に出血が見られた(量や期間に関わらず、最優先で受診)
  • 妊娠の可能性がある時期に出血が見られた
  • 生理周期が安定していたのに、急に不規則な出血が始まった
  • 性交後に出血が見られる
  • 心配で不安な気持ちが強い

これらのサインは、病気が隠れている可能性を示唆していることがあります。
特に、閉経後の出血や妊娠の可能性がある場合の出血、量が多い出血、強い痛みを伴う出血は、早急な受診が必要です。

受診のタイミングとポイント

不正出血が見られたら、できるだけ早い時期に婦人科を受診しましょう。
特に、上記に挙げたような「すぐに受診すべきケース」に当てはまる場合は、躊躇せず、早めの予約を心がけてください。

受診する際は、以下の情報を整理しておくと、医師が正確な診断を下す助けになります。

  • 最後の月経が始まった日
  • 月経周期(通常どれくらいか)
  • 不正出血が始まった日、終わった日(続いている場合は期間)
  • 出血の量、色、状態(サラサラ、ドロッとしているなど)
  • 出血が見られたタイミング(排卵期、生理前など)
  • 痛みの有無、場所、程度
  • 他に伴う症状(発熱、吐き気、おりものの変化、疲労感など)
  • 妊娠の可能性の有無
  • 現在服用している薬(ピル、漢方、その他の薬)
  • 過去にかかった病気や手術
  • アレルギーの有無

基礎体温をつけている場合は、グラフを持っていくと役立ちます。

婦人科での検査・診断

婦人科を受診すると、まず問診が行われます。
その後、必要に応じて以下のような検査が行われます。

  1. 内診: 膣や子宮、卵巣の状態を触診で確認します。
    出血の場所を確認することもあります。
  2. 経膣超音波検査: 膣から超音波のプローブを挿入し、子宮や卵巣の大きさ、形、筋腫やのう腫の有無などを調べます。
    不正出血の原因を探る上で非常に有用な検査です。
  3. 子宮頸がん・子宮体がん検診: 不正出血がある場合は、がんの可能性を否定するために、子宮頸部と子宮内膜の細胞を採取して調べる検査(細胞診)が行われることが多いです。
  4. ホルモン検査: 採血によって、ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、黄体形成ホルモンなど)の値を調べ、ホルモンバランスの異常がないか確認します。
  5. 血液検査: 貧血の有無や、炎症の程度などを調べます。
  6. その他: 必要に応じて、性感染症の検査、組織診(子宮内膜や子宮頸部の組織の一部を採取して詳しく調べる)、MRI検査などが追加で行われることもあります。

これらの検査結果を総合的に判断して、不正出血の原因が特定されます。
原因が特定されれば、それに応じた治療法(薬物療法、手術など)が提案されます。

不正出血の原因に関するよくある質問

不正出血に関して、多くの女性が抱く疑問点をまとめました。

不正出血はストレスが原因ですか?

はい、ストレスは不正出血の原因となる可能性があります。
過度な精神的なストレスは、脳の視床下部から卵巣へのホルモン分泌の指令を乱し、結果的にホルモンバランスの乱れを引き起こします。
これにより、月経周期が不規則になったり、機能性出血として不正出血が見られたりすることがあります。
ただし、ストレス以外の病気が原因である可能性も十分にあるため、ストレスだと自己判断せず、他の原因を除外するためにも医療機関を受診することが大切です。

生理予定日ではないのに出血するのはなぜ?

生理予定日ではない出血は、不正出血と呼ばれます。
その原因は多岐にわたります。

  • 生理的なもの: 排卵期出血(中間期出血)、着床出血など。
  • ホルモンバランスの乱れ: 思春期、更年期、過度なダイエット、ストレス、睡眠不足、ピルの影響などによる機能性出血。
  • 病気: 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮頸管ポリープ、子宮頸部びらん、膣炎、性感染症、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣の病気、妊娠初期の異常(切迫流産、異所性妊娠など)など。

生理予定日ではない出血が見られたら、「何が原因だろう」と不安になるよりも、まずは医療機関を受診して正確な診断を受けることが最も重要です。

不正出血と生理の違いは?

不正出血と生理(月経)は、どちらも性器からの出血ですが、起こるタイミングと周期性が異なります。

  • 生理(月経): 通常、約25~38日の周期で規則的に起こり、持続期間は3~7日程度です。
    これは、妊娠しなかった場合に、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちて排出されることによる出血です。
  • 不正出血: 月経期間以外のタイミングで起こる性器からの出血全般を指します。
    月経のように規則的ではなく、周期性もありません。
    量や持続期間も様々です。

生理的な不正出血(排卵期出血や着床出血)は、時期によっては月経と紛らわしいこともありますが、多くの場合、量や持続期間が月経よりも明らかに少ないのが特徴です。
一方で、ホルモンバランスの乱れや病気による不正出血は、月経のように量が多い場合や、ダラダラと長く続く場合もあります。
出血が見られたら、それが「生理」なのか「不正出血」なのかを判断し、不正出血であれば、その原因を特定するために医療機関を受診しましょう。

まとめ:不正出血の原因 特定と早期受診の重要性

不正出血は、女性の体に起こり得る様々な変化や状態を示すサインであり、その原因は多岐にわたります。
生理的な一時的なものから、ホルモンバランスの乱れ、子宮や卵巣、膣などの良性疾患、そして子宮頸がんや子宮体がんといった悪性疾患まで、可能性は様々です。

特に、がんなどの重篤な病気は、早期発見・早期治療がその後の予後を大きく左右します。
不正出血は、これらの病気の初期サインとして現れることが少なくありません。

「少しの出血だから大丈夫だろう」「疲れているだけだろう」「もう少し様子を見よう」と自己判断して受診を遅らせてしまうと、病気の発見が遅れてしまうリスクがあります。

この記事でご紹介したように、不正出血には様々な原因がありますが、ご自身の出血がどのような性質のものであれ、不安を感じたり、いつもと違うと感じたりした場合は、迷わず婦人科を受診してください。
医師は問診や様々な検査を通して、出血の原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。

不正出血は体に何か異常が起こっているサインである可能性があります。
ご自身の体を大切にするためにも、不正出血が見られたら、まずは落ち着いて症状を観察し、そして早めに専門医に相談しましょう。
それが、ご自身の健康を守るための第一歩となります。


免責事項: 本記事は不正出血に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスや診断に代わるものではありません。
個々の症状や状況については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、筆者および情報提供者は責任を負いかねます。

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