MENU

あなたはED?勃起不全の診断方法と簡単セルフチェック

ED(勃起不全)かもしれないと悩んでいませんか?
「最近、性行為の際に十分な勃起が得られない」「硬さが足りない」「途中で萎えてしまうことがある」といった変化を感じている場合、それは勃起不全、いわゆるEDのサインかもしれません。

EDは多くの男性が経験する可能性のある非常に一般的な症状ですが、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし、EDは適切な診断と治療によって改善が期待できる症状です。
また、EDの背景に別の病気が隠れている可能性も指摘されています。

この記事では、勃起不全(ED)の診断について、自分でできるセルフチェックから、病院での具体的な診断方法、検査内容、原因別の診断アプローチ、そして診断後の治療や回復について詳しく解説します。
EDかもしれないと不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みいただき、正確な情報を得る一歩としてください。

目次

ED(勃起不全)診断の基本|チェックリストと診断基準

ED(勃起不全)とは?定義と診断の重要性

勃起不全(Erectile Dysfunction:ED)とは、「性交時に十分な勃起が得られないか、あるいは維持できないために、満足な性行為を行うことができない状態」と日本性機能学会/日本泌髄器科学会により定義されています。
これは一時的な現象ではなく、持続的、あるいは繰り返し起こる場合を指します。

EDは単に性生活の質を低下させるだけでなく、男性にとって精神的なストレスや自信喪失につながる可能性があり、パートナーとの関係にも影響を及ぼすことがあります。
さらに重要な点として、EDは高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、心血管疾患、神経疾患などのサインとして現れることがあるということです。
つまり、EDの診断は、これらの潜在的な病気を早期に発見する機会にもなり得ます。
そのため、「年のせいだろう」と安易に諦めず、適切な診断を受けることが非常に大切なのです。

ED(勃起不全)の診断基準

EDの診断は、主に国際勃起機能スコア(IIEF:International Index of Erectile Function)と呼ばれる問診票が用いられることが一般的です。
IIEFは勃起機能に関する複数の質問に回答することでスコア化され、そのスコアに基づいてEDの重症度(正常、軽度ED、中等度ED、重度ED)が判定されます。

特に簡略版であるIIEF-5(International Index of Erectile Function-5)は、以下の5つの質問で構成されており、短時間でEDの可能性や重症度を把握するために広く利用されています。

  1. 勃起の状態について、挿入できるまでになったことが、どのくらいの頻度であったか。
  2. 性交の最後まで、勃起を維持できたことが、どのくらいの頻度であったか。
  3. 性交を試みた時、勃起を維持するのがどのくらい困難であったか。
  4. 性交に際して、性交を完了するまで勃起を維持できたことが、どのくらいの頻度であったか。
  5. 性交を試みた時の満足度は、どの程度であったか。

それぞれの質問に対して0点から5点で回答し、合計点によってEDの程度を判定します。
合計点数が低いほど、EDの可能性や重症度が高いと判断されます。

ただし、このスコアはあくまで診断の一助となるものであり、IIEF-5の点数だけで最終的な診断が確定するわけではありません。
医師は問診、身体検査、必要に応じて追加の検査などを総合的に判断して診断を行います。

ED(勃起不全)セルフチェック方法・チェックリスト

EDかもしれないと感じたら、まずは簡単なセルフチェックをしてみましょう。
以下のチェックリストは、IIEF-5を参考に、ご自身の状態を客観的に評価するためのものです。
あくまで目安であり、正式な診断ではありませんが、病院を受診するべきか判断する手がかりになります。

以下の質問について、過去6ヶ月間の状態を振り返り、最も近いものを選んでください。

質問 ほぼしない (0点) ときどきする (1点) だいたいする (2点) 半分くらいする (3点) だいたい毎回する (4点) ほぼ毎回する (5点)
1. 性的な刺激を受けたとき、どのくらいの頻度で勃起しましたか?
2. 勃起したとして、性交を試みるのに十分な硬さだったことが、どのくらいの頻度でしたか?
3. 性交の最後まで、勃起を維持できたことが、どのくらいの頻度でしたか?
4. 性交を試みた際、勃起を維持するのがどのくらい困難でしたか?
5. 性交を試みた際の満足度は、どの程度でしたか?

合計点数によって、EDの可能性や重症度を簡易的に判断できます。

  • 合計点 22~25点: EDの可能性は低いと考えられます。
  • 合計点 17~21点: 軽度EDの可能性があります。
  • 合計点 11~16点: 中等度EDの可能性があります。
  • 合計点 5~10点: 重度EDの可能性があります。

このセルフチェックで点数が低かった場合や、勃起力の低下に不安を感じている場合は、自己判断せず、専門の医療機関で正確な診断を受けることを強くお勧めします。
チェックリストの結果はあくまで目安であり、医師の診断に代わるものではありません。

病院で行われるED(勃起不全)の診断・検査

セルフチェックで気になる点があった場合や、EDかもしれないと感じたら、医療機関を受診して専門医の診断を受けましょう。
病院での診断は、問診、身体検査、必要に応じた追加検査などを組み合わせて行われ、EDの原因やタイプ、重症度を正確に把握することができます。

ED(勃起不全)は何科で診断を受けるべきか

EDに関する診断や治療は、主に泌尿器科で行われます。
泌尿器科は尿路や男性生殖器に関する専門科であり、勃起機能に関する専門知識を持った医師がいます。

近年では、ED治療に特化した専門クリニックも増えています。
これらのクリニックでは、EDに関する知見が豊富で、様々な検査や治療法に対応している場合が多いです。
また、プライバシーに配慮した環境が整っていることも多く、EDの悩みを話しやすい雰囲気があります。

どちらを受診するかは個人の判断ですが、EDの背景に他の病気が隠れている可能性も考慮すると、総合病院の泌尿器科や、EDだけでなく男性更年期障害なども含めた男性専門外来を受診するのも良いでしょう。
まずは、ご自身の状況や希望に合わせて、信頼できる医療機関を選びましょう。

問診によるED(勃起不全)の診断

病院での診断の第一歩は、丁寧な問診です。
医師はあなたの症状、性的な活動状況、病歴、生活習慣、精神状態などについて詳しく尋ねます。
正直かつ具体的に話すことが、正確な診断につながります。

問診で聞かれる可能性のある項目は以下の通りです。

  • 現在の症状について: 勃起力の低下はいつ頃から始まったか、症状の程度(硬さ、持続時間)、頻度、特定の状況で起こるか(例:特定のパートナー、特定の場所)、朝立ちの有無など。
  • 性的な活動状況: パートナーの有無、性行為の頻度、マスターベーションの頻度など。
  • 病歴: 高血圧、糖尿病、脂質異常症、心臓病、脳卒中、神経疾患、ホルモン疾患などの有無。
    前立腺の手術や骨盤内の手術を受けた経験の有無。
  • 服用中の薬: 現在服用しているすべての薬(処方薬、市販薬、サプリメントなど)。
    薬剤性EDの可能性があるため、非常に重要です。
  • 生活習慣: 喫煙、飲酒、食生活、運動習慣、睡眠時間など。
  • 精神状態: ストレス、不安、うつ症状、夫婦関係やパートナーとの関係について。
  • 家族歴: 家族に同様の症状や関連疾患を持つ人がいるか。

これらの情報から、医師はEDのタイプ(器質性、心因性、混合性、薬剤性など)や考えられる原因を推測し、その後の検査方針を立てます。
恥ずかしいと感じるかもしれませんが、遠慮なく正直に話すことが、適切な診断と治療への第一歩です。

身体検査・その他の検査

問診に加えて、身体検査やその他の検査が行われることがあります。
これらの検査は、EDの原因を特定したり、EDの背景に隠れた病気を発見したりするために重要です。

行われる可能性のある身体検査やその他の検査には以下のようなものがあります。

検査の種類 目的 補足
身体診察(触診など) 外性器の異常(陰茎の変形、睾丸の萎縮など)、血管や神経系の異常、男性ホルモンに関わる兆候などを確認します。 全身の状態も確認します。
血圧測定 高血圧は血管性EDの重要なリスク因子です。 診察時に必ず行われます。
血液検査 ・血糖値、HbA1c
・脂質(コレステロール、中性脂肪など)
・男性ホルモン(テストステロンなど)
・肝機能、腎機能など
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病、ホルモンバランスの異常、全身状態などを調べます。
尿検査 糖尿病の可能性や尿路の異常などを調べます。 比較的簡単に行える検査です。
超音波検査(ドップラー検査) 陰茎の血管の状態(血流)、海綿体の構造などを評価します。造影剤を使用する場合もあります。 血管性EDの診断に有用です。
神経学的検査 陰茎や骨盤周辺の神経の機能を確認します。 神経障害によるEDが疑われる場合に行われます。
夜間陰茎勃起検査(NPT) 睡眠中の自然な勃起(夜間勃起)の有無や程度を記録します。心因性EDか器質性EDかを区別するのに役立ちます。 自宅で専用の機器を装着して行う場合と、入院して行う場合があります。
精神科医や心理士による評価 心因性EDが強く疑われる場合や、EDによる精神的な影響が大きい場合に行われることがあります。 専門の心理的なアプローチが必要かを判断します。

これらの検査の中から、問診の結果に基づいて必要なものが選択されます。
すべての検査が必須というわけではなく、個々の患者さんの状況に合わせて行われます。

ED(勃起不全)の診断書について

EDの診断書が必要となるケースは、主に不妊治療の一環としてED治療を行う場合です。
男性不妊の原因としてEDが関わっている場合、配偶者との人工授精や体外受精などの生殖補助医療(ART)を行う際に、ED治療薬の使用が保険適用となることがあります。

この保険適用を受けるためには、医師によるEDの診断書や証明書が必要になります。
診断書には、EDの状態、不妊治療との関連性などが記載されます。

診断書の発行を希望する場合や、保険適用について詳しく知りたい場合は、診察時に医師に相談してみましょう。
不妊治療を行っているパートナーがいる場合は、パートナーの主治医とも連携を取りながら診断や治療を進めることが重要です。

ED(勃起不全)の原因とタイプ別診断

EDには様々な原因があり、その原因によって大きくいくつかのタイプに分けられます。
正確な診断には、どのタイプのEDであるかを特定することが重要です。

器質性ED(勃起不全)の原因と診断

器質性EDは、身体的な原因によって起こるEDです。
これはED全体の約8割を占めるとも言われており、特に中年以降の男性に多く見られます。
主な原因としては、血管の障害、神経の障害、ホルモンの異常などがあります。

  • 血管性ED: 勃起は陰茎への血流増加によって起こるため、血管に問題があると勃起が困難になります。
    動脈硬化(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満など生活習慣病が原因となることが多い)、心血管疾患(狭心症、心筋梗塞など)、末梢血管疾患などが原因となります。
    診断には、問診に加え、血圧測定、血液検査(血糖値、脂質)、陰茎の超音波ドップラー検査などが有用です。
  • 神経性ED: 勃起には脳からの神経信号が必要なため、神経に問題があると信号が伝わりにくくなります。
    糖尿病による神経障害、脊髄損傷、脳卒中、パーキンソン病、骨盤内の手術(前立腺がん手術など)などが原因となります。
    診断には、神経学的検査や問診などが中心となります。
  • ホルモン性ED: 男性ホルモン(テストステロン)の低下や、他のホルモン(プロラクチンなど)の異常が原因となることがあります。
    加齢によるテストステロン低下(男性更年期障害)や、下垂体や睾丸の病気などが考えられます。
    診断には、血液検査によるホルモン値の測定が必須です。

器質性EDの診断では、問診で症状の経過や既往歴、生活習慣などを詳しく聞き取り、身体検査や血液検査、超音波検査などを組み合わせて、器質的な異常の有無や種類を特定していきます。
特に生活習慣病との関連が深いため、その評価は重要です。

心因性ED(勃起不全)の原因と診断

心因性EDは、精神的な原因によって起こるEDです。
若い世代のEDでは比較的多く見られますが、全ての年代で起こり得ます。
主な原因としては、ストレス、不安(性行為に対する不安、パートナーとの関係に関する不安など)、うつ症状、過去の失敗体験(トラウマ)、夫婦間の問題などがあります。

心因性EDの特徴として、特定の状況では勃起できる(例:マスターベーションでは問題ない、朝立ちがある)が、実際の性行為では勃起できない、といったパターンが見られることがあります。

心因性EDの診断は、主に問診を通じて行われます。
医師は、患者さんの精神状態、ストレスの状況、性行為に対する感情、過去の経験などを詳しく聞き取ります。
夜間陰茎勃起検査(NPT)が、器質性EDとの区別をつけるために有効な場合があります。
NPTで夜間勃起が確認できるのに、性行為で勃起できない場合は、心因性EDの可能性が高いと判断される一助となります。
場合によっては、精神科医や心理士による評価が必要となることもあります。

混合性ED(勃起不全)の原因と診断

混合性EDは、器質的な原因と心因的な原因の両方が組み合わさって起こるEDです。
実際には、この混合性EDが最も多いタイプのEDであると言われています。

例えば、高血圧や糖尿病による血管性の問題(器質性)があることで勃起力が低下し、それが原因で「また失敗するのではないか」という不安やストレス(心因性)が生じ、さらにEDが悪化するという悪循環に陥ることがあります。

混合性EDの診断では、器質的な原因と心因的な原因の両方を評価する必要があります。
問診で両方の要素を聞き取り、身体検査やその他の検査で器質的な異常の有無を確認し、必要に応じて心因的な側面も評価します。
両方の原因に対してアプローチする治療が必要となるため、診断において両方の側面をしっかり見極めることが重要です。

薬剤性ED(勃起不全)の原因と診断

薬剤性EDは、現在服用している薬の副作用として起こるEDです。
特定の薬が、勃起に関わる神経伝達物質やホルモン、血管などに影響を与えることで勃起が困難になることがあります。

薬剤性EDの原因となりうる代表的な薬には、以下のようなものがあります。

  • 降圧剤(特にβ遮断薬、一部の利尿薬)
  • 精神科領域の薬(抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬など)
  • 消化性潰瘍治療薬(一部)
  • ホルモン作用を持つ薬(前立腺がん治療薬など)
  • 脂質異常症治療薬(一部)

薬剤性EDの診断では、問診で現在服用しているすべての薬について詳しく聞き取ることが非常に重要です。
医師に正直に申告することで、服用中の薬とED発症の時期に関連性がないか、EDを引き起こす可能性のある薬を服用していないかなどを確認します。

薬剤性EDが疑われる場合、可能であれば原因と考えられる薬を減量したり、別の種類の薬に変更したりすることで、EDが改善するかどうかを確認することがあります。
ただし、薬の変更や中止は必ず医師の指示のもとで行う必要があります。
自己判断で薬の服用をやめることは絶対に避けてください。

ED(勃起不全)診断後の治療・回復について

EDと診断されたとしても、落ち込む必要はありません。
EDは治療可能な症状であり、適切なアプローチによって改善や回復が期待できます。
診断結果に基づいて、ご自身のEDの原因やタイプに合った治療法を医師とともに選択していくことになります。

ED(勃起不全)は自然に治る?回復の可能性

EDが自然に治るかどうかは、その原因によります。

心因性EDの場合、原因となっているストレスや不安が解消されたり、精神的な状態が改善されたりすることで、自然に勃起機能が回復する可能性があります。
例えば、新しい環境に慣れる、悩みが解決する、パートナーとの関係が改善するといったことでEDが解消されるケースが見られます。

薬剤性EDの場合も、原因となっている薬剤の変更や中止によって、自然に勃起機能が回復することが期待できます。

一方、器質性EDの場合、特に動脈硬化など構造的な問題が原因となっている場合は、原因そのものが自然に治ることは難しく、EDも自然に回復することは期待できません。
しかし、適切な治療(生活習慣の改善、薬物療法など)によって症状を改善させることは可能です。

混合性EDの場合は、原因となっている両方の要素(器質的・心因的)を改善させることで、勃起機能の回復が期待できます。

いずれにしても、EDの原因を正確に診断し、それに合った対応をすることが回復への近道です。
「自然に治るだろう」と放置せず、まずは専門家(医師)の診断を受けることが重要です。

筋トレや生活習慣改善によるED(勃起不全)回復

生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)が原因で起こる器質性EDや混合性EDの場合、生活習慣の改善が勃起機能の回復につながる可能性があります。

  • 食事: バランスの取れた食事を心がけ、特に血管の健康に良いとされる食品(野菜、果物、魚など)を積極的に摂りましょう。
    高カロリー、高脂肪な食事は控えめに。
  • 運動: 定期的な有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、血行を促進し、血管機能を改善させる効果が期待できます。
    週に数回、適度な強度の運動を取り入れましょう。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進するため、EDの大きなリスク因子です。
    禁煙はED改善に非常に有効です。
    過度な飲酒もEDの原因となることがあるため、適量に留めましょう。
  • 適正体重の維持: 肥満は生活習慣病のリスクを高め、EDにつながります。
    適正体重を維持することが重要です。
  • 睡眠: 十分な睡眠は心身の健康に不可欠であり、ホルモンバランスの維持にも関わります。

また、「筋トレでEDが治るか?」という疑問を持つ方もいますが、全身の血行を促進するような適度な筋力トレーニングは、健康全般に良い影響を与え、結果的にEDの改善につながる可能性はあります。
特に、骨盤底筋を鍛えるトレーニングは、陰茎の血流や勃起の維持に関わる筋肉を強化するため、EDに効果があるという報告もあります。

ただし、筋トレや生活習慣改善は、あくまで補助的なアプローチであり、万能ではありません。
これらの改善に取り組むことは大切ですが、それだけでEDが完全に回復しない場合や、器質的な原因が重い場合は、専門的な治療が必要になります。
必ず医師の診断を受けた上で、治療計画の一環として取り入れましょう。

年代別のED(勃起不全)傾向(勃ちが悪くなる年齢)

一般的に、年齢とともにEDのリスクは高まる傾向にあります。
「勃ちが悪くなる年齢」に明確な定義はありませんが、40代以降から勃起力の低下を感じ始める方が増えてくると言われています。
これは、加齢に伴う血管の弾力性の低下、動脈硬化の進行、男性ホルモンの徐々な低下などが関わっているためと考えられます。

厚生労働省の調査によると、日本人男性のED有病率は、40代で約半数、50代で約7割、60代で約8割という報告もあります(ただし、この数値には軽度な症状も含まれます)。

しかし、EDは加齢だけが原因ではありません。
若い世代でも、ストレス、不安といった心因的な原因や、生活習慣の乱れ、隠れた病気などによってEDになることがあります。
例えば、20代や30代でも心因性EDや、若年性糖尿病、早期の動脈硬化などによってEDを発症するケースが見られます。

「年のせいだから仕方ない」と諦めず、どんな年齢であっても勃起力の低下を感じたら、一度専門家に相談することが大切です。
早期に診断を受けることで、原因に応じた適切な対処や治療が可能となり、回復の可能性も高まります。

病院でのED(勃起不全)治療法

EDと診断された場合、その原因や重症度、患者さんの希望などを考慮して、医師とともに最適な治療法を選択します。
主な治療法には以下のようなものがあります。

  • 薬物療法:
    • PDE5阻害薬: シルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)、アバナフィル(ステンドラ)などがあります。
      勃起を妨げる酵素の働きを抑え、性的刺激があった際に陰茎への血流を増加させることで勃起を助けます。
      現在、ED治療の中心となる治療法です。
      効果や持続時間、副作用に違いがあり、医師が患者さんに合った薬を処方します。
    • 注射療法: プロスタグランジンE1などの薬剤を、性行為の前に患者さん自身が陰茎に注射することで勃起を誘発する方法です。
      薬物療法で効果が不十分な場合などに用いられます。
  • 機械的療法:
    • 陰圧式勃起補助具(EDポンプ): 陰茎をシリンダーに入れ、ポンプで陰圧をかけて血液を吸引し勃起を誘発する方法です。
      勃起が得られたら、リングで根元を締め付けて維持します。
  • 外科的療法:
    • 陰茎プロステーシス手術: 勃起不全が他の治療法で改善しない場合に行われる手術です。
      陰茎内に人工的な勃起を可能にするインプラントを挿入します。
  • 心理療法:
    • 心因性EDの場合や、器質性EDでも精神的な悩みを抱えている場合に行われることがあります。
      カウンセリングなどを通じて、不安やストレスの軽減を図ります。
  • 生活習慣の改善:
    • 食事、運動、禁煙、節酒、睡眠など、生活習慣の見直しは、特に器質性EDの根本的な原因に対するアプローチとして非常に重要です。

これらの治療法は単独で行われる場合もあれば、組み合わせて行われる場合もあります。
どの治療法が最適かは、医師の診断に基づいて個別に判断されます。
ED治療薬(PDE5阻害薬)はあくまで対症療法であり、根本原因(例:生活習慣病)がある場合は、その治療も同時に行うことが重要です。

ED(勃起不全)診断についてよくある質問

Q. 勃ちが悪くなる年齢は?

A. 明確に「この年齢から」という決まりはありませんが、一般的には40代以降から加齢に伴う血管やホルモンの変化により、勃起力が低下する方が増える傾向にあります。
しかし、若い方でもストレスや生活習慣、病気などが原因でEDになることは十分にあります。
年齢に関わらず、勃起力の低下を感じたら早めに専門医に相談することが大切です。

Q. EDは回復しますか?

A. EDが回復するかどうかは、その原因によります。
心因性EDや薬剤性EDは、原因を取り除くことで回復が期待できます。
器質性EDの場合、原因そのものが自然に回復することは難しいことが多いですが、適切な治療(薬物療法、生活習慣改善など)によって症状を改善させ、勃起機能を回復させることは可能です。
混合性EDの場合は、原因となっている両方の要素にアプローチすることで回復を目指します。
正確な診断に基づいた適切な治療を受けることが回復への鍵となります。

Q. EDは自然に治る?

A. 原因によっては自然に治る可能性もありますが、多くの場合は何らかの原因があり、それが改善されない限り自然治癒は難しいと考えられます。
特に器質性EDの場合、原因となっている病気や体の状態が自然に良くなることは稀です。
EDのサインを見逃さず、まずは医療機関で正確な診断を受け、原因に応じた適切な対応をすることが重要です。

Q. EDは筋トレで治せますか?

A. 適度な筋力トレーニングを含む運動は、全身の血行促進や血管機能の改善に繋がり、特に生活習慣病が原因の器質性EDに対して補助的な効果が期待できます。
特に骨盤底筋のトレーニングは、勃起に関わる筋肉を強化する可能性があります。
しかし、筋トレだけでEDが完全に治るとは限りません。
筋トレや運動は健康的なライフスタイルの一環として有効ですが、ED治療の主軸となるのは薬物療法や原因疾患の治療です。
必ず医師に相談し、診断に基づいた治療計画の中で運動を取り入れましょう。

ED(勃起不全)の診断・治療は専門クリニックにご相談ください

EDかもしれないと感じたら、一人で悩まず、まずは専門の医療機関に相談することが大切です。
EDは多くの男性が経験する可能性のある症状であり、決して恥ずかしいことではありません。
正確な診断を受けることで、原因が特定され、適切な治療へと進むことができます。

EDの診断・治療は、泌尿器科やED専門クリニックで受けることができます。
専門クリニックでは、EDに関する豊富な知識を持つ医師が、プライバシーに配慮した環境で相談に応じてくれます。
セルフチェックはあくまで目安であり、自己判断せずに専門医の診断を受けることが、ED改善への最も確実な一歩です。

近年では、オンライン診療でEDの相談や診断、治療薬の処方を受けられるクリニックも増えており、受診のハードルは下がっています。
対面での受診に抵抗がある方や、忙しくて通院が難しい方でも、自宅から気軽に相談できるオンライン診療を利用するのも良いでしょう。

EDは放置すると悪化したり、別の病気のサインを見逃したりする可能性があります。
この記事を読んで、ED診断の重要性や方法についてご理解いただけたなら幸いです。
ぜひ勇気を出して、専門家へ相談してみてください。

【免責事項】

本記事は、勃起不全(ED)の診断に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。
EDの症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
本記事の情報に基づいて行ったいかなる行為についても、筆者および公開元は一切の責任を負いかねます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次