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淋病の感染率:性行為・男女差でこんなに違う!あなたのリスクを解説

淋菌感染症、いわゆる淋病は、性行為によって感染する性感染症(STI)の一つです。世界的に見ても非常に患者数の多い感染症であり、日本国内でも感染者数は増加傾向にあります。特に、淋病の感染力の高さや、単回の性行為でどれくらいの確率で感染するのかといった「感染率」について、不安を感じている方も少なくないでしょう。

この記事では、淋病がどのように感染するのかという感染経路、性行為の種類ごとの感染リスク、そして多くの方が気になる感染率について、現在分かっている情報をもとに詳しく解説します。さらに、男性・女性に現れる症状、診断・治療方法、そして感染を防ぐための予防策についても網羅的にご紹介します。淋病に関して正しい知識を持つことは、ご自身やパートナーを守る上で非常に重要です。もし、この記事を読んでご心配な点があれば、一人で悩まずに専門の医療機関にご相談ください。

淋菌感染症(淋病) 感染率

淋病の原因となる淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は、非常に感染力が強い細菌です。この高い感染力が、淋病が世界中で広く流行している大きな理由の一つと言えます。

しかし、「単回の性行為で何パーセントの確率で感染しますか?」といった正確な感染率の数値を断定的に示すことは非常に難しいのが現状です。なぜなら、感染率は様々な要因によって大きく変動するからです。

  • 相手の感染状況: パートナーの菌の量や感染部位
  • 性行為の種類と時間: 行為の内容(性器、口腔、肛門)や接触時間
  • 個人の免疫状態: 体調や免疫力
  • 過去の感染歴: 再感染の可能性

これらの要因が複雑に絡み合うため、「この行為なら〇〇%感染する」といった正確な数値を示すことはできません。

ただし、一般的に淋病の感染リスクは非常に高いとされています。特に、感染している人との一度の性器性交でも、比較的高い確率で感染が成立する可能性があると言われています。具体的な数値は研究によって異なりますが、男性が感染した女性と一度性器性交を行った場合、約20%程度の確率で感染するという報告や、感染した男性が女性と一度性器性交を行った場合、それより高い確率で女性が感染するという報告などが見られます。女性から男性への感染より、男性から女性への感染の方がリスクが高い傾向にあると考えられています。

オーラルセックスやアナルセックスでも感染は成立します。それぞれの行為における感染確率は、性器性交の場合と同様に多くの要因に左右されるため一概には言えませんが、リスクは十分に存在します。特に、オーラルセックスでは咽頭への感染リスクがあり、無症状であることが多いため見過ごされやすいという特徴があります。

重要なのは、たとえ一度きりの性行為であったとしても、あるいは症状が相手に出ていない場合でも、感染リスクはゼロではないということです。「これくらいなら大丈夫だろう」という油断は禁物です。少しでもリスクのある行為があった場合は、不安を抱え続けるよりも、適切な時期に検査を受けることが大切です。

近年、日本国内における淋病の感染者数は増加傾向にあります。特に若い世代での感染が多く報告されており、性感染症全体の対策としても淋病への注意が必要です。

目次

淋病の感染経路と感染リスク

淋病の主な感染経路は性行為ですが、その詳細な経路や、性行為の種類によって感染リスクがどのように変わるのかを理解することは、予防や早期発見のために重要です。

主な感染経路は性行為

淋病の感染は、ほとんどの場合、感染者の粘膜と非感染者の粘膜が直接接触することによって起こります。最も一般的な経路は、性器、口腔(口)、または肛門(お尻)を使った性行為です。

  • 性器性交: 感染者の性器粘膜(尿道や子宮頸管など)と非感染者の性器粘膜が接触することで感染が起こります。これが最も典型的な感染経路です。
  • オーラルセックス: 感染者の性器を口で刺激する行為(フェラチオ、クンニリングス)や、感染者の口で性器を刺激する行為によって、口(咽頭)や性器に感染が起こります。
  • アナルセックス: 感染者の肛門や直腸と非感染者の性器や口、あるいはその逆の接触によって感染が起こります。

これらの性行為によって、淋菌は男性の尿道、女性の子宮頸管、男女の咽頭、直腸、さらには眼にも感染を引き起こす可能性があります。

性行為の種類による感染確率

先述の通り、正確な感染確率を示すことは難しいですが、行為の種類によってリスクの程度に違いがあるとされています。

行為の種類 リスクの程度(目安) 備考
性器性交 高い 男性から女性への感染リスクは、女性から男性への感染リスクよりも高い傾向にあると言われています。
オーラルセックス 中程度〜高い 感染者の性器を口に含む側(咽頭感染)のリスクや、感染者の口で性器を刺激される側(性器感染)のリスクがあります。
アナルセックス 高い 挿入する側、される側、両方に感染リスクがあります。直腸感染は無症状が多いです。
キス(ディープ) 非常に低い(可能性は低いがゼロではないとされる文献もある) 口腔や咽頭に感染がある場合に、ごく稀に起こりうる可能性が指摘されることもありますが、一般的な経路ではありません。

(※この表の「リスクの程度」は一般的な傾向を示すものであり、個別の状況によって大きく変動します。あくまで参考としてください。)

オーラルセックスによる咽頭感染は、自覚症状がないことが多いため、感染に気づかずに他の人にうつしてしまうリスクが高いです。また、アナルセックスによる直腸感染も同様に無症状の場合が多いとされています。性器以外の部位への感染も、性行為によって十分に起こりうることを理解しておく必要があります。

接触による感染の可能性

性行為以外の接触によって淋病に感染する可能性は、限りなく低いと考えられています。

  • タオル、便座、食器、お風呂など: 淋菌は人の体外では長く生きられません。乾燥や温度変化に弱いため、これらの日常的な物品を介して感染することは、まずないと考えてよいでしょう。銭湯や温泉、公衆トイレの便座などで感染する心配はほとんどありません。
  • キス(通常のキス): 口腔や咽頭に感染がある場合でも、通常の短いキスで感染することは考えにくいです。ディープキスなど、粘膜同士の接触がより濃厚で長時間に及ぶ場合は、ごく稀にリスクが指摘されることもありますが、主流の感染経路ではありません。

ただし、例外として母子感染(産道感染)があります。これは、淋病に感染した母親が分娩する際に、産道を通る新生児の眼に淋菌が付着して感染を起こすものです。これにより、新生児に淋菌性眼炎という重篤な眼の感染症を引き起こす可能性があります。妊娠中の女性は、性感染症の検査を受けることが強く推奨されます。

淋病の主な症状

淋病の症状は、感染した部位や性別によって異なります。また、感染しても症状が出ない、あるいは非常に軽微な場合(無症状キャリア)も多いため注意が必要です。

男性における淋病症状

男性の場合、最も多いのは尿道への感染(淋菌性尿道炎)です。感染機会から通常2〜7日後に症状が現れることが多いです。

  • 排尿時の痛みや不快感: おしっこをする際に、焼けるような痛みやヒリヒリ感を感じます。
  • 膿(うみ): 尿道の出口から、黄色や黄緑色のベトベトした膿が出ます。下着に付着して気づくこともあります。
  • 尿道の痒みや違和感: 尿道のあたりがムズムズしたり、何か挟まっているような不快感を感じたりします。
  • 頻尿: 尿が近くなることがあります。

これらの症状は比較的はっきりしていることが多いため、男性は感染に気づきやすい傾向があります。しかし、中には症状が軽い、またはまったく出ない人もいます。症状がないからといって感染していないとは限りません。

尿道炎を放置すると、淋菌が奥に進んで精巣上体炎(副睾丸炎)を引き起こすことがあります。この場合、睾丸が腫れて強い痛みを伴います。さらに進行すると、尿道が狭くなる尿道狭窄を引き起こし、排尿困難の原因となることもあります。

女性における淋病症状

女性の場合、子宮頸管への感染(淋菌性子宮頸管炎)が最も多い感染部位です。しかし、女性は男性に比べて症状が出にくい、あるいは症状が非常に軽微で気づきにくいことが多いという特徴があります。半数以上の女性が無症状であるとも言われています。

症状が出る場合、以下のようなものがあります。

  • おりものの増加や変化: 黄色っぽい、または膿のようなおりものが増えたり、普段と色が違うと感じたりします。
  • 不正出血: 性交後や生理以外の時期に出血が見られることがあります。
  • 下腹部痛: 軽い鈍痛や不快感を感じることがあります。
  • 排尿時の痛みや不快感: 尿道に感染が及んでいる場合に起こります。

女性で最も注意が必要なのは、無症状のまま感染が進み、子宮頸管から子宮、卵管、骨盤へと炎症が広がる骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こす可能性があることです。PIDになると、強い下腹部痛、発熱、吐き気、悪寒などの症状が現れます。PIDは卵管にダメージを与え、不妊症や子宮外妊娠の原因となるリスクが高まります。

尿道以外の感染部位(咽頭・直腸・眼など)の症状

性器以外の部位に感染した場合も、症状が出ないことが少なくありません。

  • 淋菌性咽頭炎: オーラルセックスによって喉に感染した場合です。ほとんどが無症状ですが、症状が出る場合は喉の痛み、腫れ、赤み、咳、声のかすれ、首のリンパ節の腫れなど、風邪や扁桃炎に似た症状が出ることがあります。無症状であるため、感染に気づかず他の人にうつしやすい感染部位です。
  • 淋菌性直腸炎: アナルセックスによって肛門や直腸に感染した場合です。こちらも無症状が多いですが、症状が出る場合は肛門のかゆみや痛み、粘液・膿・出血、しぶり腹(便意があるのに少量しか出ない)などが起こります。
  • 淋菌性結膜炎: 感染した手で眼を触るなどして淋菌が眼に入ると起こります。眼の強い痛み、充血、腫れ、大量の膿性の目やにが出ます。放置すると視力障害を引き起こす可能性のある重篤な病気です。新生児の産道感染による淋菌性眼炎も同様に重篤です。
  • 播種性淋菌感染症: 非常に稀ですが、淋菌が血流に乗って全身に広がる状態です。発熱、関節の痛みや腫れ(化膿性関節炎)、皮膚の発疹(小さな赤い斑点や膿疱)などが現れます。

このように、淋病は様々な部位に感染し、多様な症状を引き起こします。特に女性や性器以外の感染では無症状のことが多いため、症状がないからといって安心はできません。少しでも感染の可能性のある性行為があった場合は、検査を検討することが重要です。

淋病の診断方法

淋病が疑われる場合、医療機関を受診して適切な検査を受ける必要があります。診断は、問診と臨床症状、そして病原体検査によって総合的に行われます。

  1. 問診:
    医師は、現在の症状(排尿痛、膿、おりものなど)、症状がいつから始まったか、性交渉の状況(時期、相手、行為の内容)、過去の性感染症の既往歴、使用した避妊具などを詳しく尋ねます。感染の可能性のある性行為について正直に話すことが、正確な診断のために非常に重要です。
  2. 検体採取:
    感染が疑われる部位から検体を採取します。
    • 男性: 尿道炎が疑われる場合は、初尿(出始めの尿)を採取します。精巣上体炎が疑われる場合は、患部の診察を行います。
    • 女性: 子宮頸管からの分泌液を採取します。綿棒などで子宮の入り口を軽く拭います。
    • 咽頭: うがい液、または綿棒で喉の奥を拭って採取します。
    • 直腸: 綿棒で肛門や直腸内を拭って採取します。
    • 眼: 膿性の目やにを綿棒などで採取します。
  3. 病原体検査:
    採取した検体を検査に回します。主に以下の方法が用いられます。
    • 核酸増幅法(PCR法など): 淋菌の遺伝子を検出する検査法です。非常に感度・特異度が高く、微量の菌でも検出できるため、現在の淋病診断で最も一般的で信頼性の高い検査法とされています。検査結果は通常数日で出ます。
    • 培養検査: 検体を特殊な培地で培養し、淋菌が増殖するかを確認する検査法です。生きた菌がいるかを確認でき、検出された菌に対してどのような抗菌薬が効くかを調べる薬剤感受性検査も同時に行えるというメリットがあります。薬剤耐性が問題となっている淋病においては、培養検査も重要な役割を果たします。ただし、培養に時間がかかるため、結果が出るまで数日〜1週間程度かかります。
    • グラム染色: 検体を染色し、顕微鏡で淋菌の存在を確認する検査法です。迅速に結果が得られる場合がありますが、感度はPCR法には劣ります。主に男性の尿道炎など、菌量が多いと予想される場合や、迅速な診断が必要な場合に補助的に用いられることがあります。

これらの検査の結果を医師が総合的に判断し、淋病であるかどうかの診断を確定します。検査を受ける適切なタイミングは、感染の可能性がある行為から通常数日〜1週間後とされています。淋菌は比較的早く検出可能になることが多いですが、念のため1週間程度待ってから検査を受けるとより確実です。不安な場合は、医療機関で医師に相談して検査のタイミングを決めましょう。

淋病の治療法と治療期間

淋病は、適切な治療を受ければ比較的短期間で治すことが可能な細菌感染症です。しかし、放置したり自己判断で治療を中断したりすると、重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、必ず医師の指示に従って治療を完了させることが重要です。

淋病は自然に治る?

残念ながら、淋病が自然に治ることはほとんど期待できません。淋菌は体内で自然に排除されることは難しく、放置すると感染が進行し、様々な部位に広がったり、より重篤な合併症を引き起こしたりする可能性があります。

淋病を放置することの危険性としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 男性: 精巣上体炎、前立腺炎、尿道狭窄、不妊症のリスク増加。
  • 女性: 骨盤内炎症性疾患(PID)、腹膜炎、不妊症、子宮外妊娠のリスク増加。
  • 男女共通: 関節炎や皮膚症状などを伴う播種性淋菌感染症、心内膜炎など全身性の感染症、感染拡大。

また、症状が軽かったり、無症状であったりする場合でも、体内では感染が続いており、パートナーに感染を広げてしまう原因となります。性感染症は、本人だけでなくパートナーも同時に検査・治療することが非常に重要です。

淋病に用いられる治療薬

淋病の治療は、主に抗菌薬(抗生物質)によって行われます。かつては内服薬もよく使用されていましたが、近年、淋菌の抗菌薬に対する耐性(薬が効きにくくなること)が世界的に問題となっています。特に一般的な内服薬への耐性が進んでいるため、現在の日本のガイドラインでは、注射薬であるセフトリアキソンが第一選択薬として強く推奨されています。

  • セフトリアキソン: 筋肉注射または点滴静注で投与されます。通常、1回の投与で高い効果が期待できます。現在の淋菌に対して最も有効な抗菌薬の一つとされています。
  • アジスロマイシン: 内服薬です。クラミジア感染症の治療にも用いられる薬剤ですが、淋病に対して単独で使用すると薬剤耐性が発達しやすいという懸念があります。そのため、通常はセフトリアキソン注射と併用されることが多いです。また、クラミジアと淋病に同時に感染している場合(性感染症ではよくあるケースです)にも併用されることがあります。
  • その他の抗菌薬: 淋菌の薬剤感受性試験の結果によっては、他の抗菌薬が選択される場合もあります。

どの抗菌薬を使用するかは、医師が患者さんの状態、感染部位、そして地域の淋菌の薬剤耐性の状況などを考慮して判断します。自己判断で市販薬を使用したり、過去にもらった抗生物質を飲んだりしても、淋病には効果がないか、あるいは耐性菌を作り出す原因となる可能性があるため絶対にやめてください。

治療にかかる期間と完治の確認

セフトリアキソン注射による治療の場合、通常は1回の注射で治療が完了します。内服薬による治療の場合は、数日から1週間程度、医師の指示された期間、毎日服用する必要があります。

治療開始から数日で症状は改善することが多いですが、症状が消えたからといって自己判断で治療を中断してはいけません。医師から指示された期間、最後まで治療を続けることが重要です。

最も重要なのは、治療後の完治確認検査です。症状が改善しても、体内に菌が残っている可能性があります。これを「菌がなくなった」と最終的に確認するために、治療終了から1週間〜数週間後に再度医療機関を受診し、病原体検査(PCR法など)を受けることが強く推奨されています。この再検査で陰性であることが確認できてはじめて、「完治した」と言えます。

完治確認ができるまでは、性行為を控えるようにしましょう。また、パートナーにも感染している可能性があるため、必ずパートナーにも検査・治療を受けるよう伝えることが、お互いの健康を守り、再感染(ピンポン感染)を防ぐために不可欠です。

淋病の予防策

淋病は性行為によって感染する性感染症ですが、いくつかの予防策を実践することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。

  1. コンドームの正しい使用:
    性行為(性器性交、オーラルセックス、アナルセックス)の最初から最後まで、毎回正しくコンドームを使用することが最も基本的な予防策です。コンドームは粘膜の接触を防ぐバリアとなり、淋菌の感染リスクを下げます。
    • 破れていないか確認する。
    • 有効期限を確認する。
    • 正しいサイズを選ぶ。
    • ペニスが勃起してから装着し、射精後にペニスが萎える前に根元を押さえて取り外す。
    • 潤滑剤を使用する場合は、油性のものではなく水性のものを使用する(油性はコンドームを劣化させる可能性があります)。

    ただし、コンドームは性器性交においては有効ですが、オーラルセックスやアナルセックスなど、コンドームで覆いきれない部分の粘膜接触による感染リスクは完全に防ぐことはできません。例えば、コンドームをしていても、口腔や肛門に感染がある場合は感染リスクが残ります。

  2. 性行為の相手を限定する:
    特定のパートナーとのみ性行為を行うことは、性感染症のリスクを減らす上で最も有効な方法の一つです。お互いに性感染症の検査を受け、陰性であることを確認した上で、他の人との性行為を持たないようにすることで、淋病を含む多くの性感染症の感染リスクを大幅に下げることができます。
  3. 不特定多数との性行為を避ける:
    性行為のパートナーが多いほど、性感染症に感染するリスクは高まります。不特定多数との性行為は避けるようにしましょう。
  4. 定期的な性感染症検査:
    特に性行為のパートナーが変わった場合や、リスクのある行為があったと感じた場合は、症状がなくても定期的に性感染症の検査を受けることが重要です。早期に発見できれば、早期に治療を開始でき、合併症やパートナーへの感染拡大を防ぐことができます。
  5. パートナーとのコミュニケーション:
    性行為を行うパートナーと、性感染症の検査を受けたかどうか、過去に性感染症にかかったことがあるかなどについて話し合うことは、お互いの健康を守る上で非常に大切です。もしご自身が淋病に感染したことが判明した場合は、必ず性行為を行ったパートナーに伝え、検査と治療を勧めるようにしましょう。これは「コンタクトトレーシング」と呼ばれる重要な感染拡大防止策です。

これらの予防策を複数組み合わせることで、淋病を含む性感染症の感染リスクをより効果的に減らすことができます。

淋病に関するよくある質問(FAQ)

淋病について、よくある質問とその回答をまとめました。

感染したか判断するには?

淋病に感染したかどうかを、ご自身の自覚症状だけで正確に判断することはできません。特に女性や性器以外の感染では、症状が出ないことが非常に多いためです。

  • 症状がある場合: 排尿時の痛みや膿、おりものの変化、下腹部痛など、淋病が疑われる症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
  • 症状がない場合: 症状がなくても、淋病に感染している可能性のある性行為(例:不特定多数との性行為、コンドームを使用しない性行為、パートナーの感染が判明したなど)があった場合は、検査を受けることが最も確実な判断方法です。

検査は、性行為があった機会から通常数日〜1週間後を目安に受けることができます。淋菌は比較的早い段階で検出可能ですが、念のため1週間程度待ってから検査を受けるとより精度が高いとされています。不安な場合は、早めに医療機関に相談し、医師の指示に従って検査のタイミングを決めましょう。

感染の疑いがある場合、どこに相談・検査すれば良い?

淋病の検査や相談は、以下の医療機関や公的機関で行うことができます。

  • 医療機関:
    • 泌尿器科(男性)
    • 婦人科(女性)
    • 性病科
    • 皮膚科
    • 感染症内科

    これらの科を標榜しているクリニックや病院を受診してください。専門医がいる医療機関であれば、より適切な診断と治療を受けることができます。

  • 保健所:
    一部の保健所では、淋病を含む性感染症の検査を無料かつ匿名で行っています。プライバシーが気になる方や費用を抑えたい方にとっては利用しやすい選択肢です。ただし、検査日や時間、検査できる項目が限られている場合があるので、事前に各自治体の保健所に確認が必要です。また、保健所では診断や治療は行えません。検査で陽性となった場合は、医療機関を受診する必要があります。
  • オンライン診療・検査サービス:
    近年、オンライン診療や郵送による検査キットを提供するサービスも増えています。自宅にいながら診察を受けたり、検査キットで検体を採取して郵送したりできるため、病院に行く時間がない方や、対面での受診に抵抗がある方にとって便利な選択肢です。
    項目 医療機関(対面受診) 保健所 オンライン診療/検査サービス
    診断・処方 可能 不可(検査のみ) オンライン診療で可能(検査のみの場合もあり)
    検査方法 PCR法、培養検査、グラム染色など PCR法、その他(保健所による) 郵送検査キット(PCR法など) + オンライン診療
    費用 診察料、検査料、薬代など(保険適用外の場合が多い) 無料(自治体による) 診察料、検査キット代、薬代、送料など(サービスによる)
    匿名性 基本的に氏名が必要 可能(自治体による) サービスによるが、匿名や仮名で利用できる場合あり
    待ち時間 受付状況による 予約状況による(要確認) オンライン診療は予約制、郵送検査は発送・返送・結果待ち
    場所 医療機関へ出向く 保健所へ出向く 自宅や指定場所(郵送の場合)

    オンライン診療や郵送検査キットは便利ですが、あくまでもスクリーニング検査としての側面が強いサービスもあります。陽性の場合や、症状が強い場合は、必ず対面での診察を受けられる医療機関を受診してください。また、オンライン診療で処方される薬剤は、その時点でのガイドラインに基づいたものではない可能性や、注射薬が必要な場合にオンラインでは対応できない場合があるため、利用する際はサービス内容をよく確認しましょう。

治療中に注意すべきこと

淋病の治療中、そして治療後もいくつか注意すべき点があります。

  • 医師の指示通りに服薬・受診する: 処方された抗菌薬は、医師から指示された用法・用量、期間を必ず守って服用してください。症状が改善しても自己判断で中止しないことが非常に重要です。セフトリアキソン注射の場合は、指定された日に必ず受診しましょう。
  • 治療期間中の性行為は控える: 治療が完了し、医師から完治の確認が取れるまでは、性行為(性器、口腔、肛門全て)は控えてください。これは、パートナーに感染を広げないため、そしてご自身が再感染しないために必要です。
  • パートナーへの連絡と同時治療: 淋病は性行為によって感染するため、パートナーにも感染している可能性が非常に高いです。必ずパートナーに淋病に感染したことを伝え、一緒に検査・治療を受けるように促してください。パートナーが治療を受けないと、せっかくご自身が治っても、再びパートナーから感染してしまう「ピンポン感染」が起こります。
  • 完治確認検査を受ける: 治療終了から1週間〜数週間後に、必ず医療機関で再検査を受け、淋菌が完全にいなくなったかを確認してください。症状が消えても菌が残っていることがあります。
  • 再感染に注意: 淋病は一度感染しても、免疫がつく病気ではありません。治療して完治しても、再び淋病に感染している人との性行為があれば、何度でも感染します。予防策を継続することが大切です。

これらの点に注意して、しっかりと治療を完了させ、再感染を防ぎましょう。

【まとめ】淋菌感染症の感染リスクを理解し、適切に対処しよう

淋菌感染症(淋病)は、非常に感染力の強い性感染症であり、特に性行為を介して容易に感染が広がります。単回の性行為における正確な感染率は様々な要因に左右されるため一概には言えませんが、感染リスクは高いという認識を持つことが重要です。男性は尿道炎症状が出やすい一方、女性や性器以外の感染では無症状であることが多く、気づかないうちに進行したり、パートナーにうつしてしまったりするリスクがあります。

淋病は自然に治ることはなく、放置すると不妊症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。しかし、適切な抗菌薬による治療を受ければ、比較的短期間で完治させることが可能です。特に注射薬であるセフトリアキソンが現在の治療の主流となっています。治療後は必ず完治確認の検査を受けること、そしてパートナーにも検査・治療を勧めることが、感染拡大を防ぐ上で非常に重要です。

淋病を予防するためには、コンドームの正しい使用、性行為の相手を限定すること、そして定期的な性感染症検査が有効です。もし淋病の感染が少しでも疑われる場合や、性行為によって不安なことがある場合は、一人で悩まずに泌尿器科、婦人科、性病科などの専門医療機関や保健所に相談しましょう。早期発見・早期治療が、ご自身の健康を守り、パートナーや社会への感染拡大を防ぐ最も大切なステップです。

免責事項
本記事は、淋菌感染症(淋病)に関する一般的な情報を提供するものであり、医療行為や医師の診断に代わるものではありません。個々の症状や治療については、必ず医療機関を受診し、医師の判断に従ってください。本記事の情報に基づいて行われたいかなる行為に関しても、当方は一切の責任を負いません。

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